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20.  裏
 
 
 火星に到着したのは、その2日後の事だった。――その間、議会関係者から何度か着信があったが、留守電にしておいた。やるべき事はやったハズだ。俺は国家の代表なんかじゃない。あとは議会で適当に決めてくれ!!
 
 火星の首都・アマゾニスにある「アマゾニス総合空港」は、ガニメデ宇宙空港とは比にならない規模の、立派な建物だった。地球、もしくはガニメデとを結ぶ宇宙空港の機能だけで無く、火星各都市を結ぶ従来の空港としての機能も備えているためだ。
 ……ソウは、さっそく空港で迷った。――出口が分からない。
 すると、グランドホステスらしい、スマートにユニフォームをまとった女性がにこやかに話し掛けてきた。――恐ろしく美人だ。
「ご案内いたしましょうか」
「あ、……よろしくお願いします。――この、病院に行きたいんですけど」
と、ソウはフォンシェとの電話の時メモをした紙を見せた。
「――アマゾニス総合病院でしたら、右手の突き当たりの北出口より、バスが出ております。……ですが、お客様の目的とされる方は、既に転院なさっています」
 ………え?今、何と言った?
 ソウは耳を疑った。――ソウがそこへ何をしに行くのか、……という事は、ソウが何者であるかも知った上で、この人は話し掛けて来たのか?
 呆気に取られるソウの顔を、その美女はにこやかに見返し、2枚のカードを差し出した。
「こちらに、お客様の新たな目的地が書いてございます。それを、正面出口で客待ちをしているタクシーにお渡しください。――そして、こちらが支払い用のクレジットカードでございます」
 ……見ると、1枚は、名刺大の紙切れに、手書きで文字が書き込まれた紙。もう1枚は、――名前の入っていない「社員証」だった。……一体、こんなモノをどうやって……!
「では、よい旅を」
 グランドホステスは、にこやかに礼をすると、姿勢良く歩き去って行った。――後ろ姿まで見惚れてしまう程、スタイルも良い。
 
 ――しかし、だ。
 全く、狐につままれたような気分だ。だが、従うしかあるまい。
 ソウは、渡された2枚のカードをコートのポケットに入れ、教えられた正面出口に向かった。
 
 そこには、確かに客待ちをしているタクシーが何台か居た。――どれでもいいのだろうか?とりあえず、ソウは一番前のタクシーの運転手に、「マーズ大学病院」と書かれたカードを見せた。
 ……無愛想にドアを開け、ソウがおどおどと乗り込むと、運転手は車を出した。
 
 ――意外だったが、火星はガニメデよりも、交通手段はアナログであるようだ。すれ違うバスも、人間が運転しており、タクシーや個人で持っている自動車も多い。それだけ人口が多く、交通も複雑だという事かもしれない。
 
 目的地へは、15分程で到着した。「無記名」の社員証を渡すと、運転手は一瞬胡散臭そうな顔をしたが、黙って支払いリーダーを通して、すぐに返してきた。
 ――よく分からないが、火星ではクレジットカード代わりに「無記名の社員証」が使われる事も多いのかもしれない。……地球では考えられない事だ。
 
 マーズ大学病院も、空港ほどではないが立派な建物だ。緑豊かで広大な敷地に、12階建てのビルが、まるで屏風を立てるように波形を描き、ドンと建っている。窓が多く、建物の中の日当たりは良さそうだ。
 さて、と。――そういえば、病室の番号は、この紙にも書いていない。……とりあえず、受付で聞けば分かるだろうか?
 正面玄関を入り、広大なロビーの中央に、「案内所」と書かれたカウンターがあった。……ここで聞けばいいか。
「あの……」
 カウンターの中に居る女性に話し掛けると、事務服を着た女性はソウに
「こんにちは」
と笑顔を返した。――これまた、物凄い美人だ。……一体、火星というところは、どうしてこうも美人が多いのだ?
 そんな事を思っていると、ソウが話し掛ける前に、案内嬢が言った。
「左手の通路を突き当たりまで行かれますと、病棟用のエレベーターがございます。それで8階までお上がりくださいませ」
「………え!?」
 ――まただ。一体どうなっている?
 狐につままれた顔のまま、「あ、ありがとう」と言って、ソウは指示されたエレベーターに向かった。
 
 『寝台優先』と書かれたエレベーターのボタンを押す。――すぐにエレベーターは到着したが、一応、周囲を見てベッドやストレッチャーが無いか確認する。……大丈夫そうだ。後ろに白衣を着た若い研修医らしい男が居るだけだ。
 エレベーターに乗って、8階のボタンを押す。後ろの研修医も乗り込んできて、彼は6階を押した。
 ――エレベーターで見知らぬ人と乗り合わせた時、何となく目のやり場に困って、階数表示が動くのを眺めてしまう。エレベーターが動きだし、表示が「2」に変わった。
 その時。
 
 「――よう、ソウ」
 ……聞き慣れた声が背後でして、ソウは飛び上がるくらいに驚いた。慌てて振り向こうとするが、「声」はそれを制した。
「監視カメラが付いてる。こっちを見るな。――ここにはマイクは無いから声は問題無い」
「……で、ディケイル……、おまえ………!!」
 扉に貼られた鏡に映ったその姿を確認する。――全く気付かなかった。当然だ。髪をサッパリと切り不精ヒゲを剃り落とし、黒ぶちの眼鏡を掛けてこちらを見ている男は、どう見ても、あの「元帥」では無い。
 ディケイルは、エレベーターの壁にもたれ、白衣のポケットに両手を突っ込んで立っていた。
「――おまえ、俺たちがどれだけ……」
「文句は後で聞く。――尾行が付いているかもしれない。巻かなくちゃならない。今は言う事を聞け」
 ディケイルはそう言うと、扉の前へ来た。
「8階のナースセンターで、これを見せろ。……誰かが案内してくれる」
と、ソウのコートのポケットに何やら突っ込み、6階で扉が開くと同時に、
「後でな」
と言い残し、出て行った。


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