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01.  夜の公園


 2211年、1月1日。
 ニューイヤーイベントの大騒ぎが終わり、深夜の公園には、大量のゴミと祭りの後の寂しさだけが残された。

 レンガ敷きの広場を街路樹が囲んでいるだけの、簡素な「公園」だが、この辺りでは、一応、「市民の憩いの場」ではある。
 整備され尽くした空間を街路灯の明かりが煌々と照らし、そこに打ち捨てられたゴミの数々を、さらに虚しい存在のように演出していた。
 
 ソウ・ナカムラは、このような日に掃除当番が回って来た不運を呪うように溜息をつくと、大型掃除機でゴミを吸い上げて回った。
 いくら、空調が完備されたコロニーの中とはいえ、夜はわざと温度を下げているのか、冷える。
 早く終わらせてしまおうと、掃除機のハンドルを持ち直した時、視野の隅に人影が見えた。
 ――こんな時間に誰だ?イベントが終わったら、通常の人は出入り禁止のはずだぞ?
 ソウが顔を上げると、そこには、確かに人が居た。
 ヨレヨレのコートを着た男が、投げ捨てられたボトルやら紙袋やらを物色し、その中を確認している。
 ――ホームレスか。
 
 「おい。何してるんだ。こんなところに来るんじゃない」
 ソウが声をかけると、人影は動きを止め、こちらに顔を向けた。そして、
「なら、どこに行けばいいんだ?」
と返してきた。
 
 ……何だ、こいつ……。
 
 ソウはイラッとして、ホームレスに近付いた。
「掃除の邪魔だ。どけ」
「おまえ、今、あっちの掃除してたろう?こっち見てる分には、邪魔にはなっていないはずだ」
 ――ああ言えばこう言う、何て鬱陶しいヤツなんだ!ホームレスのくせに――!
 ソウは、ただでさえ深夜の公園の掃除という悪運を呪っていたのに、さらに気分を逆撫でされ、腹が立ってきた。
「さっさと出て行かないと、警備に通報するぞ!」
 さすがにヤツも引くだろうと思ったが、ホームレスはソウの顔を見て、ニッとした。
「あれ?そんな事言っていいのかな?俺、見てるんだよ。
 ――あんたがよく、夜中にここでタバコ吸ってるのを」
 ………これには、ソウも返す言葉を失った。
 
 鉱山の現場主任という、末端の従業員であるとはいえ、アース・コーポレーションの社員であるからには、「タバコを吸う」という行為は厳禁だ。
 ……法律的には、何ら問題は無いのだが、社則で、「喫煙」が禁止されているのだ。
 喫煙がバレたら――、恐らく、「解雇」だ。
 
 ソウは苦い顔をして、ホームレスの顔をまじまじと見つめた。
 街灯の光だけなのではっきりとは見えないが、まだ若い男のようだ。――いや、ソウとそんなに変わらないかもしれない。不精ひげを生やし、見た通りロクな生活をしていないのだろう、痩せて貧相な印象だ。
 伸び放題の黒い前髪の間から、グレーの瞳がこちらを見上げている。
 
 ――その瞳にやたら輝きがあるのに、ソウは違和感を覚えた。
 ホームレスなのに、なぜ、そんな「夢見る少年」のような目をしているのか――?
 
 そんなソウにはお構いなしに、彼はソウの肩に腕を回した。――さすがに、ここまで近付かれると、臭いがキツい。
「さぁて、俺と仲良くするか、俺の仲間になるか。どうする?」
 ――いやらしい二者択一だ。
 ソウは、苦虫を噛みしめたような口調で、
「黙っててくれよな?」
と答えた。
 
 「契約成立!」
ホームレスは、薄汚れた手をソウに差し出した。少し躊躇しながらも、ソウは握手を返した。
「何か、食えそうなモンは落ちてなかったか?正月休みで、ゴミの回収がないから、困ってたところなんだ」
 
 ――普通に考えれば、ホームレスという「職業」は、かなりハードな生活を強られる。
 地球ならともかく、木星の衛星「ガニメデ」のコロニーの中じゃ、街路樹程度の人工的な自然しか無く、野生の動植物を口にする事は不可能だし、食用資源も限られているから、食べられるものがゴミとして捨てられる事も少ない。
 一体、どうやって生きているのか――?
 
 何となく、ソウは同情して、言った。
「……仕方ないから、何か食う物持ってきてやる。ちょっと待ってろ」
 すると、ホームレスはオーバーアクション気味に手を上げて喜びを表現した。
「それは助かる。あんた、いい人だな」
 それを見て、ソウは思った。――こいつ、初めからこれが目的だったな。わざと、俺の前に姿を現して接触を図り、弱みを握っている事を告げ、俺をいいように操ろうと……。
 しかし、露骨に脅迫したりはしてこないところは、まぁ、良心的、と言えばいいのか。
「そうだ。せっかくだから、待ってる間にここの掃除を終わらせておいてやる。だから、3人分頼む。仲間が居るんだ」
 ……ギブ・アンド・テイクか。だが、ソウにとっても悪い条件では無い。
「分かった。だが、今、家にあるだけだぞ」
「もちろん!贅沢は言わないさ。……強いて言えば、何かフルーツがあると嬉しい」
 ……十分に贅沢な条件だ。
 ソウは、適当に頷いて、ホームレスを残し、公園を後にした。


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