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 ソウは地団駄踏んだが、それで状況がどうなるものでもない。

 ―――最悪だ!
 
 この状況を打破する方法は………、ひとつしかない。可哀そうだが、この男に付き合ってもらおう。
 ソウは、床に座り込んでいる男に声を掛けた。
「名前は?」
「……は?」
「あんたの名前だよ。悪いが、あんたの顔は知ってるんだが、名前を覚えてない」
 すると、男は切なそうな顔をして、答えた。
「………ジョルジュ・カリエですよ。あなたの部下の、エドワードの、友人です」
「なるほど……」
 
 道理で、こちらは知らなくても、向こうは知っているワケだ。――どうせ、「上司」の悪口を肴に、飲んだりしているのだろう。
 だが、今はそんな事を考えている場合ではない。
 
 「悪いが、付き合ってもらうぞ」
 そう言うと、ソウは、ジョルジュにマシンガンの銃口を突き付けた。
「………じょ、冗談やめてください!!」
 ジョルジュの顔からみるみる血の気が引いていく。
「大丈夫だ。これの使い方を俺は知らない。――人質になっている『フリ』だけしてくれればいい」
 ――フリどころか、完全に脅されている。怯えきった様子で、ジョルジュは床に這いつくばった。
 
 すぐに、管理室の入り口に人がやって来た。副鉱山長は、中の様子を見て、固まった。
「――ナカムラ主任!気でも触れたか!?」
「はい、もうずいぶん前から壊れています。――いいから、入らないでください。撃ちますよ?」
 仕方なく、副鉱山長は後ろへ退いた。
 鉱山警備の守衛たちも集まっているが、彼らに銃は与えられていない。警棒程度の武器では、マシンガンに太刀打ちできるわけがない。
「――『本部』の守衛に連絡しろ。至急だ!」
 小声で副鉱山長が守衛のひとりに指示しているのが聞こえた。ソウはマシンガンを握りなおして、カチッという音を立てた。その下でジョルジュが「ヒイッ」と悲鳴を上げる。
「動くな。こいつが死ぬぜ?」
 走りかけた守衛も、仕方なくピタリと動きを止めた。
 
 ―――事態は膠着した。だが、黙っていても、ここ以外のところでは、事態は明らかに進んでいる。「本部」の守衛にも、この鉱山の異変は知らされているに違いない。すると、「敵」がここに到着するのも、時間の問題だ。
 ――そうなった時、俺は―――。
 
 突然、通信のブザーが鳴った。……坑道内部からの専用通信だ。
 銃口をジョルジュに向けたまま、ソウは受話器を取った。
「――おぅ、『人質』、何とかやってるか?」
 受話器の向こうで、ディケイルの呑気な声が聞こえた。……頭のどこかの血管が切れそうになるのを何とか抑えて、ソウは答えた。
「……あぁ、何とか、な」
「悪いが、人質、『アレ』、頼むよ」
「………アレ?」
「そうだよ。さっき話した、『アレ』だよ」
 ―――何だ?「アレ」って??
 ソウは考えた。――そして、その答えはすぐに出た。
 ディケイルとソウが直接会話したのは、地下水路のアジト以来、無い。しかも、この作戦に関係する内容では全く無かった。という事は、車両基地での、ディケイルの演説……。
 ――チャンに、「空港組」の突入指示を出せ、という意味だろう。傍受を警戒して、暗号まがいの会話を求めているのだ。……だが、こんな漠然とした会話、誰が理解できるか!
 
 ――しかし、どうやって、車両基地と連絡を取る??
 ………ソウは思い当って、守衛の制服に取り付けられた無線機を見た。なるほど、鉱山の扉の中じゃ、無線が使えないのだ。だから、扉の外に居るソウに、代わりにやれと………。
 ――こういう事は、事前に確認し合っておくべきなのではないか?
 ソウは、呆れて言葉が出なかった。
 
 だが、ディケイルはお構いなく、
「じゃあ、頼んだぜ」
と、ソウが理解していて当然とでもいう様子で、通信を終えようとした。
「ちょっと待て」
 ソウは、慌てて引き止め、言った。
「『アレ』の件は了解した。だが、その代わり――」
「ん?何だ?」
「―――これが終わったら、1発殴らせろ」
 
 ……通信は切れた。――ソウの苛立ちはMAXまで来た。だが、やる事だけはやらなくてはならない。
 だが、これだけの人目がある前で、無線を使うのは、あまりよろしくないのではないか?いかにも、「他に別動隊が居る」と知らしめる事になる。
 ――ソウは、そのまま受話器を置かず、「うん、うん」と適当に言いながら、会話を続けているフリをした。そして、こっそり、胸元の無線のスイッチを押す。……一瞬、このダイヤル設定で本当にチャンに通じるのだろうか、と疑問に思ったが、さすがに、そのへんはディケイルが何とかしているだろう。――もし、これで、守衛に通信が繋がったとしても、知った事じゃない。
 ――だが、無線用イヤホンから聞こえて来たのは、紛れも無くチャンの声だった。
「…こちら、車両基地待機組」
「………『アレ』だよ。わかったか?」
 ――すると、チャンは即答した。
「了解した。すぐに実行に移す」
 ……チャンには、「暗号」が伝えてあったらしい。――全く、適当な――。よくこれで「戦争」なんかやれるものだ。
 ソウは受話器を置いた。――銃口の先で、ジョルジュが不思議そうにソウを見上げている。
「……何でもない。気にするな」
 こんな状況ながら、ため息が出た。
 
 ――だが、ディケイルが空港組に指示を出したという事は、「本部」の守衛たちがこちらに向かっているという、何らかの情報を得たのだろうか?もし、そうだとすると………!
 
 考えている間もなく、多くの足音が鉱山内に踏み込んで来た。高い天井に響くそれは、作業靴の音ではない。――軍用ブーツの音だ。
 ―――とうとう来たか!!
 ソウの背筋を、冷たいものが走った。
 
 隊長らしき人物が、副鉱山長を押しのけ、前へ進み出た。
「……君か?『野良犬』たちの飼い主は?」
「――は?」
「ホームレスたちをたぶらかし、鉱山を封鎖したのは、君なのかと聞いている」
 ―――ちょっと待て!?なぜ、そういう話になるのだ!!
 だが、この状況で、どんな説明をしたところで、信じてもらえるはずもない。
 ソウは答えた。
「そうだ」
 すると、ギョッとしたように、ジョルジュが身をくねらせた。その動きを押さえつけるように、銃口を彼のこめかみに置いた。
「………ならば、どうする?」
 
 ソウは考えていた。この状況からの突破法を――。
 まず、この「管理室」は、プレハブとはいえ、万一の落盤事故に対応して、シェルター並みの耐久度を持っている。もちろん、窓も強化樹脂になっていて、マシンガンの銃弾程度では、穴を開ける事はできないだろう、……多分。
 だから、隊長が従えている守衛たちの銃口が、全部こちらを向いていても、それは、脅威にはならない、ハズだ。
 問題は、入口。ドアが開け放たれたままになっている。……これは失敗した。まず、ドアは閉めるべきだった。だが、今ヘタに動けば、相手に隙を与えてしまうことになりかねない。
 しかし、守衛側としても、人質を取られている以上、ヘタには動けないだろう。
 守衛側にとって、唯一存在する打開策、――それは、隊長の陰にスナイパーを忍ばせておき、ソウを狙い撃つ。
 ―――こうされては、ソウとしては回避のしようが無い。
 そうならないよう、ソウができる対策としては……
 ソウは、ジョルジュの作業着の首元を掴み、引っ張り上げ、立たせた。そして、その背後から、銃口を彼の心臓に向ける。――ジョルジュには悪いが、「盾」になってもらう他ない。
 ジョルジュは、両手を頭に置き、「うぅぅ……」と、可哀そうな程悲痛なうめき声を上げていた。――悪いな、心の中でソウは謝ったが、それを表面に出すわけにはいかない。
 
 「……ホームレスの連中が、独自で、あんなに頭を使った動きをできるワケがない。必ず、社員の中に協力者、いや、『指導者』が居るはずだと、読んでいた」
 ――こいつら、ホームレスたちを甘く見過ぎている。さっき、「野良犬」と言っていたが、相手を「人間」として見て、その能力を正当に評価しなければ、自分で自分の首を絞める事になる。それを分かっているのか……?
 だが、ソウがそれを親切に教えてやる義理もない。
「なら、俺をどうする?」
「我々の仕事は社内の『警備』であり、社内の人間を傷付ける事は許されていない。だから、捕えて、地球に連れ戻す。そして、『懲罰委員会』にかける」
 ……なんだ、殺す気はないのか。ソウは内心で胸をなで下ろした。
「――だが、それも、おまえが大人しくしていれば、だ。もし、その男に少しでも傷を付けてみろ。おまえの身体はハチの巣になる」
 ……あ、やっぱり………。
「今なら、ここで死ぬ事は無い。きちんとした弁明をすれば、退社も免れられるかもしれない。――銃を下ろせ」
 ……まさか。こんな安っぽい説得で銃を下ろすわけないだろう。
 
 ――守衛の隊長とソウは、ジョルジュを挟み、にらみ合った。ジョルジュが泣きながら震える声と、サイレンの音以外、何も聞こえなくなった。
 時が止まったかと錯覚するほど、静かに張りつめた空気が、周囲に満ちていた。
 
 ……だが、その空気を壊す轟音が、突然鉱山内に鳴り響いた。同時に、地の底から沸き上がる、地響き。
 ――見ると、坑道口を塞いでいた扉が、微妙に歪んでいる。
「な、何事だ!?」
 副鉱山長が裏返った声を上げた。
 続いて、またすぐに轟音。「ドスン」という衝撃音が、地面を揺らした。――この衝撃で、扉にヒビが入った。
 3度目の衝撃。……扉に穴が開き、巨大なドリルの先のようなものが、そこから覗いた。
 
 ソウは地球時代、日本に住んでいたから、「地震」というのは何度か体験した。――だが、こんなにひどい揺れは初めてだ。何とか銃を構えながらも、壁に寄り掛からないと体勢を保てない。
 完全武装の守衛たちも、その多くは立っている事ができずに、地面に転がった。――隊長も例外ではない。ジョルジュは、銃口などお構いなく、頭を抱えて床にへたり込んだ。
 
 4度目の衝撃。――これで、その「震源」が姿を現した。
 ―――それは、鉱石運搬用のダンプカーだった。
 ……ダンプカーと言っても、地球でよく見かける規模のものとは、だいぶ違う。キャタピラー式になっており、その車輪の高さだけで5mを超えるという代物だ。その上に、最大積載量1000トンという荷台、そして、ソウのアパートの部屋とどちらが広いかと思われる程の運転席が付いている。さらには、ちょっとした落盤事故にも対応できるよう、ブルドーザーのようなアームから、巨岩を割り砕けるドリルまで装備されていた。
 文字通り、「化け物」だ。
 ……普段、ソウが運転している、「仕事道具」であるのだが。
 
 ダンプカーは、扉を押し倒し、その上に乗り上げた。……「核シェルター級」と謳われた扉も、これには完敗したようで、巨大なキャタピラーの下で、悲鳴のような音を上げ、妙な形にプレスされていった。
 
 その運転席から、こっちに手を振る、小さな人影が見えた。
「悪ぃ、待たせたな」
 ――それは、見間違いようもない。ディケイルだった。


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