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 ガニメデの大地は、表面をほぼ氷に覆われていると思っていい。だが、地球上の湖が凍結したように滑らかな訳ではなく、古い地殻変動でできたとされる深い溝が、多数存在する。――言わば、エベレスト登山なんかで見られる「クレバス」のもっと大きなのが、あちらこちらにあるようなものだ。しかも、軟弱な氷の膜で覆われている事も多い。……だから、コロニーの外を移動する時は、しっかり「道」を知っていないと、大変な事になる。この、怪物ダンプカーだって、溝に落ちれば一巻の終わりだ。
 
 鉱山から宇宙空港までの道は、ほぼ毎日通っているので、慣れたものだ。鉱山で採掘した、「G-883」を含む鉱石を、宇宙空港まで運ぶのが、ソウの仕事なのだから。
 
 ――しばらく行くと、ヘッドライトの先のほうに、人影が見えた。かなりの数が居る。――「守衛」たちだ。
 ディケイルも気付いたらしい。
「……先回りされたか」
 舌を打ち鳴らし、膝を立てた上に肘を乗せ、親指の爪を噛みながら様子を見ている。
「―――道を開けてくれる様子はなさそうだな」
「車を止める気だろう。――どうする?」
「避けられるか?」
「ここは、道幅があまり広くない。あの並び方だと、厳しい」
 守衛側もそれを計算しているのだろう。安全を確認されている道幅いっぱいに、横並びに立ち、こちらに銃を向けている。――もし、フロントガラスに銃弾が当たったところで、この強化ガラスなら全く問題は無いが、しかし、それよりも……。
「――捨て身で来る気か」
 ディケイルは暗い表情をした。
 
 ……守衛側としては、ホームレスごときに鉱山を乗っ取られ、恐らく、空港封鎖も成功しているのだろう、やりたい放題にやられ、このまま地球に帰って、「ごめんなさい」では済まない。守衛側の責任者は、――恐らく、「解雇」だ。
 あちらだって、「生きる」か「死ぬか」なのだ。……だが、それに付き合わされる「部下」たちは、たまったものではない。
 
 こうしている間にも、守衛の壁との距離は、確実に縮んでいた。もう、制服のデザインがはっきり分かるところまで来ている。
「――どうする!?」
 ソウは左手をブレーキにかけた。――その手を、ディケイルが押さえる。
「このまま行け」
「だが……!」
「止まれば、俺たちが死ぬ事になる」
 ディケイルはそう言うと、運転席の「仲間」たちを振り返り、
「少し、息を止めてろ」
と言って、窓を開けた。
「おい!―――」
 「死ぬ気か!?」と続けたかったが、強烈な寒気が顔に直撃し、手袋をした手で口を押さえなければ、肺が凍りそうだった。
 ディケイルは窓から顔を出した。そして、
「おまえら!死にたいのか!?どけ!!」
と叫んでいるのが聞こえた。
 だが、守衛たちの返答は「銃声」だった。
「やめてください!」
と、ジョルジュがディケイルを室内に引き戻し、窓を閉めた。――怪我はないようだが、当分、咳き込んで声が出せないようだった。
 
 ――もう、守衛たちの列は、すぐ目の前だった。運転席の位置が高いので、実際の距離よりも近く見える。……だが、今ならブレーキが間に合う。しかし――!!
 突然、横から突き飛ばされた。前にばかり集中していたソウは、あっさりと座席を追われ、横に転がった。
 ――座席を奪ったのは、ディケイルだった。急ハンドルを切り、道幅いっぱいまで脇に寄る。車体が大きく揺れて、後ろのホームレスたちが体勢を崩し、「わぁっ!」と叫んだ。
 ソウは、逆にその揺れで身体を起こした。何とかフロントガラスから覗きこむと、半ば、車幅が道からはみ出しているのだが、それでも、前方にはまだ何人かの守衛が居た。
 
 ――もう間に合わない。
 
 巨体の下に、守衛が消えていくのが見えた。――ホームレスたちには分からないだろうが、乗り慣れているソウには分かった。運転に慣れれば、この巨体ではあるが、空き缶ひとつを踏んでも、その感覚が分かる。
 
 ――ソウは目を閉じ、崩れ落ちるように床に座り込んだ。
 だが、ディケイルは無表情に、前を向いたままアクセルを踏み続けていた。


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