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 ――一気に人が流れ込んできて、一時、何が何やら分からなくなったが、オレンジ色の髪の女性――どうやら宇宙空港の職員のようだ――が、空港の職員仲間を探し出して指示を出し、空港ビルの機能が復旧した。
 といっても、離着陸ができるような状態ではない。ただ、レストランやら休憩室やらが使えるようになり、徹夜で走り回って疲れ果てているホームレスや守衛たちが、食事や休息を取れるように、整えてくれたのだった。
 正直、ソウも疲れ切っている。だが、やるべき事はたくさんあった。まず、鉱山に待機しているはずのエドと鉱員たちを迎えに行き、それから、『仲間』の把握もしなければならないだろう。中には、「スパイ」も居るかもしれない。あとは………。
 ……勢いで流れ込んできた一般市民たちも、大丈夫なようだ。空港職員たちの誘導を受け、レストランや荷物の移動を手伝う者、ロビーで談話する者――流れは落ち着いたようだ。
 
 さて、では鉱山に戻るとするか――。
 と、ソウが歩き出そうとすると、再び玄関から大勢の人が入って来るのが見えた。……今度は何なんだ!?
 すると、その中のひとりが、
「ナカムラ主任!」
と手を振り、こちらにやってきた。――エドだ。
「……なんか、こっちでえらいことになってるって聞いたんで、来てみました」
「みんな、無事か?」
「はい!もちろん!――って、『人質』のフリをして、隠れてただけですけどね」
「それなら良かった。今から、迎えに行こうと思っていたところなんだ。――あ、それと、『主任』って呼び方はやめてくれ。……俺はもう、『主任』でも何でもない」
「――分かりました。ナカムラ『さん』」
 ソウは、エドと鉱員たちを、とりあえずシェルターに案内する事にした。
 
 シェルターの広い室内は、さながら避難所になった体育館か何かのようだった。空港の非常用の備品だろう、毛布が用意され、あちこちで疲れ果てた人々が寝ている。
 その向こう、正面奥のモニターの前には、ジョルジュが居た。それを見て、エドが駆け寄る。
「――ジョルジュ!無事だったか!?」
 その声を聞くと、ジョルジュは振り向き、抱き合おうとするエドに向かって、右アッパーを打ち込んだ。――エドは完全にアゴを捕えられ、床にダウンする。それを見下ろし、
「こんな世紀の大イベントに、なんで僕に黙ってひとりでコソコソ参加してんだよ!」
と仁王立ちするジョルジュ。――顎を押さえながら起き上がり、
「悪ぃ。それは謝る。――だけど、いきなり殴る事はねーだろ!」
とジョルジュの股間を蹴りあげるエド。――ソウは止めに入ろうと思ったが、ジョルジュがそれ以上反撃する様子は無く、本格的なケンカに発展する事はなさそうだった。
 いいコンビなのかもしれない。
 
 ソウはふと思い、室内を見渡してみた。――だが、姿が見えないのに気付き、ジョルジュに声を掛けた。
「おい、ジョルジュ、――『元帥』はどこに行った?」
 ……股間を押さえて、床にうずくまっていたジョルジュは、涙目でソウを見上げた。
「――モニターを修理してくれって言われて、ここに来たんです。それからは知りません。……僕、システムエンジニアですけど、こういうのは専門じゃないんで、ちゃんと直らなくても知りませんからね」
 ――自分で壊しておいて、後で「直せ」なのか。ワガママなヤツだ。
 
 しかし、あいつ、どこに行ったんだ……?
 「モニター」を気にしていたということは、何か、確認したい映像でもあるのかもしれない。とすれば………。
 
 何となくだが、ソウは空港長室へ行ってみた。
 ――すると、予想通り、ディケイルが居た。椅子の上に膝を抱えて座り込み、右側の壁に設置されたモニター画面を見ている。――映っているのは、空港内の監視カメラの映像のようだった。
 ソウが入って行くと、「ん?どした?」と顔を上げた。――椅子の上で小さくなっている姿を見ると、今までさほど意識していなかったが、かなり小柄に見える。
「いや、――少しは、休んだほうがいいんじゃないのか?」
「あんたこそ、休んだらどうだ?――どうせ、このままじゃ終わらない。すぐに、『敵』は攻めてくる。休める時に休んだほうがいい」
「……今度は、何をしてくるだろうな、『敵』は?」
「さぁな。――だが、『宇宙艦隊』が出てきてもおかしくない」
「…………」
「そんなの相手に、輸送艦1隻とマシンガンで、どう戦うか……」
 その時、ディケイルの無線に通信が入った。
「……あ、マックか。――うん、……うん。分かった」
「――どうした?」
「さっきの放送を見た一般市民が、空港に押し掛けているそうだ」
 ――先程のディケイルの「演説」を、テレビ局が生中継したのだろう。……だが、それは、ガニメデコロニーだけではなく、火星や地球にも、同時に流されていた可能性が強い。だとすると……。
「………どうするんだよ?」
「受け入れるしかない、が……」
「……が?」
「シェルターが足りない」
「………え?」
 ――ソウには、その言葉の意味が分からなかった。なぜ、ここでシェルターが必要なのか?とりあえず、連絡先を聞いて名簿を作り、自宅待機って名目で家に帰せばいいではないか。……一般市民を、戦闘に巻き込む気もないだろうに。
 だが、ディケイルは何やら考え込んでいる様子で、黙っていた。
「――とりあえず、迎えにでも出たらどうだ?」
 仕方なく、ソウが言ってみたが、ディケイルは膝を抱えたまま、
「勘違いしてるヤツが多いが、俺、基本、引きこもりなんだよ。――人前に出るとか、そういうの、苦手なんだ」
「……………」
 ――じゃあ、さっきの演説は一体何だったんだ?
 ソウは、もう一言言おうとしたが、ノックの音に中断させられた。
 ドアを見ると、先程の、オレンジの髪の女性が立っていた。手に、サンドイッチを載せたトレイを持っている。
「『元帥』、で良かったですよね?――お食事でもどうかと思って、持ってきました」
「ありがとう」
 ――だが、ディケイルは、差し出されたトレイの上を見て、固まった。
「……せっかく用意してもらって悪いけど、俺、菜食主義者なんだ」
「あら。……じゃあ、レタスとトマトのサンドイッチなら食べられますか?作りなおしてきますけど」
「………ごめん、俺はいいや。他の人に食べさせてあげて」
 ――なんという、女性泣かせな。……いや、案外、女性と話すのが苦手なのかもしれない。
 フォローしてやろうかとも思ったが、何となく、このままディケイルを困らせるのも面白いと思い、ソウはそっと、ドアに向かった。――背後で、ぎこちない会話が聞こえる。
「でも、何か食べないと、身体がもちませんよ?」
「…………」
「お好きなものあったら、遠慮なく言ってください。作ってきますから」
「ありがとう。……でも、いいや」
「――あら?その手、怪我してません?ちょっと見せてください」
 テーブルにトレイを置く音。――そのすぐ後に、カチッという冷たい金属音。
 
 ――金属音?
 
 ソウは振り向いた。
 ――すると、そこには、目を疑う光景が待っていた。
 
 ………女性の手に、ハンドガンが握られ、その銃口が、真っ直ぐ、ディケイルのこめかみに当てられていた。
 
 「…………おい……!!」
「動かないで」
 ソウが慌てて戻ろうとするが、女性の声が鋭く制止した。
「撃つわよ」
 ……ディケイルは無表情で黙っている。
 ソウは、必死になって心を落ち着けた。――落ち着け、とにかく落ち着け、状況を把握するんだ!
「――君は、一体、何者なんだ?」
 やっとソウの口から出た言葉が、それだった。
 女性は、光の無い目をこちらに向けた。
「『ビリー・ベイカー』って人、知ってる?」
「………」
 ソウには、聞いた事がない名前だった。
「知る訳ないわよね。――私の、彼氏『だった』の」
 ディケイルは相変わらず無表情に、死んだような目を虚空に向けている。
「………今朝、亡くなったわ」
「……………」
「彼はね、本部の守衛だったの。――私の兄も守衛で、同僚なのよ。それで、知り合った」
 ―――まさか!
「私、ガニメデ空港で整備員の仕事をしててね。――彼とは遠距離恋愛だった。でも、お金が貯まったら、結婚しよう、って……。
 昨日、彼が仕事でガニメデへ来るからって聞いて、楽しみにしてたわ。――仕事の合間の少しの時間だったけど、直接会って話ができて、嬉しかった。兄にも、久しぶりに会ったわ――」
 彼女の目が、少し遠いところを見るように、宙を漂った。
「そうしたら、今朝早く、兄から連絡が入ったの。――ビリーが死んだって」
 彼女の視線は、ディケイルの頭部に固定された。
「……あんたに、ひき殺された、って」
 ディケイルは、目を閉じた。
「―――その、あんたが、テレビで偉そうにしゃべってるじゃない?
 ……私、思ったの。こいつを殺さなきゃ気が済まない。だから、ここに来た」
 ―――ダメだ。最悪だ!どうすればいい??
 ソウは焦るが、どうすることもできない。
 
 「殺してやる!!」
 
 彼女は、引き金に手を掛けた。


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