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 「……ふぅ」
 ディケイルは大きく息をつくと、ソウを見た。
「なぁ」
「ん?」
「――腹が減った。悪いが、何か持ってきてくれないか?」
「レストランに行けばいいじゃないか」
「人が多い場所は嫌だ」
「なら、空港の従業員の人に頼んで、持ってきてもらえば?――なんで、俺に頼むんだよ?」
「――あんたが、一番話しやすいからだよ」
 稀代の英雄――に、ひょっとしたらなるかもしれない人物に、こう言われては、悪い気はしない。……乗せられているのは分かっているが。
「……仕方ないな。――で、ハンバーガーもサンドイッチも食えない、偏食家のあんたは、何なら食えるんだ?」
「―――フルーツ」
「……は??」
 ソウは、耳を疑った。
「――俺、火を通したものや味付けされたり調理されたものが食えないんだ。……事実上、フルーツしか食えない」
「…………」
 そういえば、最初に会った時も、フルーツが欲しいとか言っていた。――もしかしたら、精神疾患か何かなのか?……まぁ、そういう事なら仕方ない。
 
 ソウは、レストランの厨房をのぞきに行く事にした。
 ――ロビーはすっかり人が引き、残っているのは、空港職員と、守衛の制服を着た、守衛だか元ホームレスだかの連中、それに鉱員たちだけだった。
 いつの間にか、ワトソン空港長も出てきて、何やら指示して回っている。
 ――その誰もが、生き生きして見えた。自分の意思で仕事をする、それはこういう事なのだろうか……。
 
 レストランへと上がるエスカレーターを登ると、ちょっとしたホールになっていて、そこに、空港の制服を来た女性陣が集まっていた。――見ると、その中央で、ニーナが座り込んでいた。
「――可哀そうに。ニーナの彼氏、『交通事故』で亡くなったんだって」
「あの、お兄さんと仲良くなろうと頑張ってた、ビリーくん?」
「そうそう。――ニーナのお兄さん、すごくいい人だけど、妹の彼氏となると、厳しいらしいからね」
 ………何とか、こちらも落ち着いてくれたようだ。
 
 ホールを通り過ぎ、レストランの脇にある厨房の冷蔵庫を漁らせてもらい、いくつかのフルーツを物色して、ソウは空港長室へ戻った。
 ――ディケイルはまた、膝を抱えて椅子に乗っかり、モニターを見ていた。
 デスクにパイナップルやらリンゴやらを置くと、ディケイルは微妙な顔をしてこちらを見た。
「………『食べやすく切る』程度の調理は、構わないんだけど……」
 ――なら、俺に頼むな。
 
 仕方ない、といった感じで、リンゴをかじりながら、ディケイルが言った。
「――もうひとつ、頼みたい事がある」
「練乳なら冷蔵庫にあったが、一緒にオーダーしてもらわないと対応できない」
「……いや、そうじゃない。――コロニーの見回りをしてきてほしいんだ」
 ――意図はよく分からないが、守衛の制服を着た連中を集めて、できるだけ大人数で、第3コロニーを見てきてほしい、というのだ。
「で、帰りは、シャトルではなく、『地下道』から帰って来てくれ」
「…………?」
 ――「地下道」、つまり、「地下水路」の事だろう。……地下水路の地図はよく分からないが、マックか誰かが居れば問題ないだろう。
 
 なぜ、こんな事を……?という疑問は残ったが、とりあえず、マックとチャンを探して、人数を揃えてもらった。
その結果、正規の守衛も含め、200人規模の団体になった。――その男たちがゾロゾロと、空港から出て、シャトルの中へ吸い込まれていく。……一種、異様な光景だ。
 
 空港のシャトルは、鉱山と第3コロニーを結ぶシャトルのように、乗客が乗ったのに反応して「無人で動く」という点では一緒だが、その経路が異なる。
 鉱山のシャトルは、鉱山と第3コロニーを往復するだけだが、空港から乗るシャトルは、第1コロニー、第2コロニー、第3コロニー……と、コロニー全部をぐるっと1周回るようになっている。――日本の東京にある、「山手線」と同じ、環状線だ。宇宙空港駅も、その中の1つの通過点に過ぎない。
 
 シャトルの座席に腰を落ち着けると、隣にマックが座って来た。
「なぁ。さっきの『修羅場』の話なんだけど……」
 ―――それを聞くか。
「……元帥の『コレ』だったのか?あのネエちゃん」
と、小指を立てて見せる。
「違う、――と思う。多分」
「ふぅん、そうなのか……」
「――なんだ?前にもそんな事があったのか?」
「いや、そうじゃないけどさ。――アニキ、ホームレスのクセに携帯端末持ってるんだよ。で、ちょくちょく、どこかと連絡取っててな。もしかして、と思ったのさ」
「へぇ………」
 ――無収入で携帯端末?確かに、怪しい。
「―――ところで、コロニー見回りして、どうするのさ?」
「知らない」
「アニキでも、『元帥語』を理解できない時があるのか?」
 ――『元帥語』とは、ある意味、的を射ている。よほど慣れなければ、ディケイルの話すその「真意」を理解するのは難しい。……そして、それは今に始まった事ではないようだ。
 ――しかし、ディケイルもソウも、マックよりは随分年下だと思うのだが……。しかも、両方「アニキ」と呼ばれては……。「マック語」の理解力も必要かもしれない。
 
 「第3コロニー駅」は文字通り3番目の駅なので、ほんの10分ほどで着く。――ホームに降りると、次々とシャトルが入って来て、そこからゾロゾロと守衛――もどきたちが出て来た。
 そのまま、チャンを先頭に、コロニーの大通りを一通り回る。
 ――やはり、非常事態宣言が出されているのだろう。人気は無い。
 朝の放送で、全員が「こちら側」に付いた訳ではない。――第1コロニーをはじめ、まだ圧倒的に多くの人々が、ソウたちを「暴徒」か「反乱軍」と見ている。その証拠に、ソウたちの姿を見かけた母親らしき女性が、外で遊ばせていた子供を慌てて連れ戻し、家の中へ消えた。
 ………特に何事も無く、見回りを終えると、例の公園へ一旦集合し、ゴミ捨て場横のマンホールから、地下水路に降りた。――ホームレスたちは慣れたものだが、守衛たちにとっては、かなり抵抗があるらしい。できるだけ臭いを嗅がないで済むように、押し黙って、黙々と通路を歩いていた。
 
 ―――行きは早かったが、帰りは、1時間ほどかけて、空港へ戻った。駐船場の隅にあるマンホールから、次々と顔を出すと、外はすっかり暗くなっていた。
 ……一体、この行為に何の意味があったのだろう?ソウは首を傾げざるを得なかった。
 
 ソウは報告がてら、空港長室へ足を向けた。
 すると、ディケイルは相変わらず、椅子の上に丸まってモニターを見ていた。……その表情が深刻なものだったので、ソウも気になり、モニターを見てみる。
 火星経由で入って来る、地球のニュース報道だった。 ――ガニメデの「暴動」の話題だ。
 
 マネキンのような顔をした女性アナウンサーが、暴動鎮圧のために「宇宙艦隊」が投入される事を伝えていた。


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