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   08.  ギャンブル
 
 
 2211年1月9日。
 
 早朝から、ガニメデ宇宙空港内にサイレンが鳴り響いた。
 休憩室やロビーのソファー、シェルター内で休んでいた人々が、一斉に起き上がる。
 
 「――管制塔より、全員に通達。
 ガニメデ上空500kmの地点に、不審な飛行物体確認。
 形状より、地球・宇宙艦隊に所属する宇宙戦艦・ドミニオンと予測される。
 繰り返す。――管制塔より、全員に通達……」
 
 眠るつもりはなかったが、少し休もうと、レストランのソファーで横になっていたソウも、ハッと飛び起きた。――のだが、予想以上に空間が狭く、テーブルの端にひどく額を打ち付けた。……目の前に火花が飛んだが、おかげですっかり目が覚めた。
 台ふきだかおしぼりだか知らないが、そのへんにあったタオルでおでこを押さえながら、空港長室に走る。
 ――部屋に入ると、ディケイルが、いつもの格好でモニターを見ていた。管制塔から送られてきた画像だろう。
 慌てふためいて飛び込んできたソウをチラッと見て、
「……頭、どうした?」
と聞く。
「………何でもない。――それより、どうする?」
「どうするって……。やるしかないだろ」
 ディケイルは、ぐるぐると包帯が巻かれた手で、館内放送用のマイクのボタンを押した。
「――『指揮官』より指令。全員、配置に着け」
 それだけ言うと、
「さて、行くか」
と立ち上がった。
 ……寝ていないのだろう。目の下にひどいクマがある。
 
 ――シェルターに入ると、もっとひどい状況の人物が居た。
「………元帥、言われたとおりに、モニターの修理、やりましたよ。……3日、徹夜したんですからね。でも、何とか間に合いました………」
 ジョルジュがそう言って、ヨロヨロとディケイルをモニターに案内する。
「……コンソール・パネルの使い方は、そこにメモしときましたんで、自分で読んでやってくださいね……」
「ご苦労さん」
「――じゃあ、僕、寝ますから………」
 そう言って、ジョルジュは部屋の隅へ行き、適当に毛布をかき集めると、ゴロンと横になった。
 ――これから「戦争」が始まろうとしているのに、呑気なのか、度胸がいいのか……。
 
 ディケイルは、さっそく、モニターを確認する。
 ――空港長室よりも、圧倒的な情報量が同時に得られるようになっていた。宇宙空港内各所の監視カメラの画像だけでなく、管制塔の映像、各コロニーの様子、地球からのニュース映像など、様々な映像が一斉に映し出された。
 ……まず、気になるのが、管制塔からの映像。――2本の滑走路と思わしき部分を翼のように広げた、いかにも『宇宙戦艦』という形の、巨大な物体。
「……『ドミニオン』とは、また、思い切ったのを持ってきたな」
「………ん?」
「『ドミニオン』は、現在、アース・コーポレーションが所有している戦艦の中で、最大級、そして最新鋭のものだ。俺たちを、よほど殺したいらしい」
「……………」
 
 それから、ロビーの無人カメラの映像を最大化し、窓口カウンターがある一角を拡大する。――そこには、5人の人が居た。ワトソン空港長、そして、ニーナも居る。
 ディケイルは、マイクのボタンのひとつを押した。
「……ワトソン空港長、気分はどうだ?」
 すると、モニターの中でワトソンが答えた。
「最悪だ!いい訳ないだろ!?――貴様、もっとマシな作戦は無かったのか!!」
 ――昨日の様子と大違いだ。……よく見ると、後ろ手にロープで縛られている。いや、今まさに、ニーナが縛っている。……ソウはあまり詳しい作戦を、実は聞いていないのだが、一体、彼らをどうする気なのか……?
 ワトソンが憤慨していると、ニーナが言った。
「空港長、ここは空港に万一の事があった時の、簡易避難所なんです。もしここが壊れたら、この建物の設計自体がどうかしてるって事なんですから。そうなったら、シェルターだって、危ないのは同じですよ?
 大丈夫!何とかなりますって!」
 ……こんな時、ニーナの明るい口調が救いになる。――実際、心の中では、どう思っているのかは分からないが。
「―――とても危険な任務を押しつけてしまった事を、申し訳なく思っている。だが、あんたにしかできない、とても重要な任務なんだ。よろしく頼んだ」
 ディケイルがそう言うと、ワトソンは渋々といった表情で押し黙った。
 ――そう言っている間に、ニーナは次の人物を縛る作業に入る。……全く、意味がわからない。
 
 次は、管制塔内の様子。
 管制塔の職員と共に、チャンの姿が見えた。他に、武装した守衛が大勢居る。
「……チャン大将、そちらは大丈夫か?」
 すると、チャンは「大丈夫」と言うように、カメラに向かって親指を立てて見せた。
 だが、管制官のひとりが、不安そうにこちらを見た。
「――ここ、攻撃されませんよね?」
「あぁ。言った通りにやってくれれば、大丈夫なはずだ。よろしく頼んだ」
「……分かりました」
 まだ、不安が残る顔をしていたが、ディケイルはモニターを切り替えた。
 
 ―――各コロニーの様子だ。厳戒態勢は敷かれているものの、いつもと変わらない日常の風景が、そこに映し出されている。
 ……これだけを見れば、戦争が始まる目前というのが嘘のように、平和に見える。
 
 それから、ディケイルはシェルターに居る人々に向き直った。
 それを見て、人々は一斉に言葉を止めた。
 
 「―――みんな、これから『戦争』が始まる」
 マック、マッド・テイラー元守衛隊長をはじめ、皆が一様に、緊張に引き締まった面持ちで、彼らの『指揮官』を見た。
「……俺にできる限りの作戦は立てたが、残念ながら、勝てる保証は無い。
 口先だけで威勢のいい事を言うのは簡単だが、嘘をつくのは嫌いだ。――圧倒的な戦力差がある事は、みんな、分かっていると思う。やめたければ、出て行ってくれて構わない。今ならまだ間に合う。それを止める資格は、俺には無い」
 だが、誰ひとり、動こうとする者は居なかった。――それを見て、ディケイルは一瞬、口元を緩めた。
「――それでも、俺に付き合ってやろうという物好きは、一緒に、『地獄』を歩こう。
 ……よろしく頼む」


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