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 守衛の防護服と武器を持った、初期メンバーと「守衛」たちが、ディケイルに従う。
 ソウはようやく、この作戦の概要が掴めてきた。階段を上りながら、頭の中で整理してみる。
 
 この計画の根幹は、「敵を上陸させ、空港を通過したところを背後から襲う」というものだろう。
 ……そのための伏線として、ソウたちを第3コロニーまで行進させ、「暴徒」たちが第3コロニーに根城を移したと思わせる。――ガニメデコロニー長など、「地球派」の連中は、それを地球に報告するに違いない。そして、ワトソン空港長にその念押しをさせる。
 ワトソンの役割は、それだけではない。『敵』は、ワトソンたちが「こちら側」になったという情報を持っていない。しかも、あんな危険に見えるところに縛られて放置されていれば、まず、こちらの「仲間」だとは思わないだろう。『敵』はワトソンの言葉を信じる。――ワトソンひとりでも良かったのだが、ひとりでは、簡単に殺されてしまうかもしれない。だから、敢えて4人――しかもそのうち1人はうら若き女性だ――を配置する事で、『敵』の凶行を防ぐ。
 ――そうして、暴徒は全員第3コロニーに行った、空港内にはもう居ないと思わせ、「シェルター」の存在に気付かれる可能性を低くする。
 
 主力メンバーは、そのシェルター内に待機する。そして、ディケイルがモニターを見ながら状況を把握し、指示を出す。
 
 ――管制塔の情報は欲しいが、『敵』に見つかれば、逃げ場が無い。あまりにも危険だ。――だから、苦し紛れに、「死んだフリ」などという手を使った。……いや、管制塔という「地の利」を生かし、ドミニオンに救助を求める「演技」すらしていたのかもしれない。そうすれば、「空港には、暴徒側に投降していない人も多く存在する」と思わせ、ワトソンたちの安全も、さらに確かなものにできる。……しかも、それだけでなく、死体がカムフラージュになり、「ここに伏兵はいない」と思わせ、チャンたちの存在をも隠す。――そういう目的もあったのかもしれない。
 
 ――初めから、宇宙戦艦を使わせる気はなく、――いや、一般市民も多く居る場所を、まさか攻撃するとは予想だにせず、だから、あえてターゲットをコロニーに向けるようにしたのだろう――、第3コロニーが爆撃されたというのは、全くの誤算だった。空港を解放して、あっさり上陸させる気だった。しかし――!
 
 
 瓦礫の山となったロビーの残骸の一角で、ワトソンたちが手を振っていた。非常用のヘルメットをかぶっている。――何とか、自力でロープを解いたらしい。ニーナが、簡単に解けるようにしていたのかもしれない。
 シェルター待機組の空港職員たちが、彼らを連れ出し、シェルターまで連れて行く。……周囲の空気があまりにも沈痛なのに、ワトソンたちは戸惑っている様子だったが、ディケイルたちは押し黙ったまま、かつて「玄関」があった場所に進んだ。
 
 ――玄関を出ると、空港内の惨状が嘘のように、これまでと変わらず整然としていた。
 シェルター駅のホームに人影は無く、シェルターも全て発車していた。――『敵』が乗って行ったのだろう。
 
 ディケイルたちは、ホームを降り、「外」に出た。
 ――空港及び駅の建物内は、「昼」の照明だったが、人間によってコントロールできない、ガニメデの大地は、「夜」に包まれていた。
 
 ガニメデの自転周期は、公転と同じく、約7日。――地球の衛星「月」と同じように、自転と公転の周期が同じなのだ。だから、いつも同じ位置に、「木星」が見える。……「恒星になり損ねた星」と言われるほど巨大なガス惑星は、地球の常識ではあり得ない程のサイズで、夜空に圧倒的な存在感を示していた。その向こうに、澄み渡った薄い大気を通して、数え切れないほどの星々が、その美しさを競うように瞬く。
 
 月明かり――ならぬ木星明かりで、夜とはいえ、周囲は意外と明るい。さらには、それが氷の大地に反射して、普通に移動する分には全く困らないくらいだ。
 
 ……少し行くと、シャトルが3両、氷の平原に停車しているのが見えた。――コンピュータ制御の自動運転なので、こんなところに停車しているという事は、何かの原因で緊急停止しているという事だ。
 
 ――その原因は、すぐに分かった。
 シャトルの前方に、「巨人」が居た。
 
 「巨人」――「ゴリアテ」と呼ばれる、作業用ロボットだ。「身長」は20メートルはある、と思う。2本の腕と2本の脚を持ち、人間のように二足歩行ができる。主に、鉱山や空港で、荷物の積み下ろしに使われている。
 ――ソウが運転するダンプカーに、鉱員たちが掘り出した鉱石を積む、言わば「相棒」のような存在。エドが乗って操縦している。――この前、ソウがエドに鉱山に取りに行くよう指示を出した、『アレ』だ。
 
 ゴリアテは、シャトルの線路を踏まないように、膝を折って四つん這いになり、掌で、シャトルの行く手を阻んでいた。……遠目で見ると、ミニカー相手に「通せんぼ」をして遊んでいる子供ようにも見えるが、これは命懸けの戦争だ。
 ――ダンプカーを置いておいてもよさそうなものだが、それでは、線路を壊してしまいかねないので、後々の事を考えた場合、ゴリアテのほうが向いていたのだろう。
 
 ソウたちは、守衛の防護服フル装備で、シャトルに駆け寄る。――走ろうと思うと、重量が重く、ヘルメットのせいで息苦しい。
 そして、シャトルを囲むように整列し、一斉にマシンガンを向けた。
 
 ――シャトルの中には、人がぎゅうぎゅうに詰め込まれている。
 
 ……この作戦は聞いていた。
 シャトルを駅に3両停車させておき、宇宙艦隊の連中が何とかギリギリ全員分乗できるようにしておく。そして、発車してしまえば、ゴリアテによって緊急停止させられ、『敵』は身動きが取れなくなる。コロニーなどの建物以外では、シャトルの扉は開かなくなっている。ガニメデでは、緊急の場合、シャトルから降りて退避するより、シャトルの中で救助を待った方が、よほど生存率が高いからだ。
 
 案の定、シャトルの中では、「宇宙艦隊」の軍服を着た男たちが、情けない状況でこちらを見ていた。――あまりにも混み合いすぎて、窓の外から銃を向けられても、それに対抗して、銃を横に構える事すらできないのだ。
 ――まるで、網にかかった魚だ。
 
 ……もし、『敵』の数がシャトルに乗りきれない人数だったり、逆に少な過ぎてシャトルの中がガラ空きだったりしたら、どうするのか?……計画を聞いた時、ソウはディケイルに聞いてみた。
「――そうなったら、アウトだな」
「なら、この計画がうまくいくと思う根拠は何だ?」
「だいたい、宇宙戦艦ってのは、搭乗人員が500人くらいのものだ。――それに、当初の投入人員の5倍とは、『アイツ』の考えそうな事だし。
 それならば、シャトル3両で丁度いい。――だが、船が2隻以上だったら……」
「……だったら、どうするんだ?」
「そうならない方に掛ける。――ギャンブルだ」
 ―――何とか、そのギャンブルには勝ったようだが……。
 
 ディケイルは、ゴリアテの頭部に仕込まれたライトの明かりの中を、先頭のシャトルに向かって近付いた。そして、いきなり、マシンガンの銃口を窓に向けた。
 
 乾いた銃声と窓ガラスが割れる音が、辺りに響く。
 
 ――なんという事を―――!!と、ソウは慌てたが、よく見れば、下から天井に向かって撃っているので、窓ガラスを割っただけで、中の人間に影響はなさそうだった。
 
 「――悪ぃが、右手が使えないから、左手で引き金を引いている。次に撃ったら、運が悪いヤツが死ぬだろう。―――おまえらの指揮官を出せ」
 ……見ると、確かに、右の脇で銃身を抱え、左手で照準を定めている。――器用というか、何というか………。
 
 だが、待つ事なく、すぐに返答は帰って来た。
「――私が指揮官だ」
 ……その声は、先程ワトソンに話し掛けていた、「チーフ」と呼ばれる人物だった。
「おまえだけ降りてこい。そうすれば、部下たちには手を出さない」
 破られた窓から、「チーフ」は氷の地面に飛び降りた。――明らかに、守衛のものとは違う、もっといかにもな、本格的な軍用装備だ。銃を向けられ、両手を上げてはいるが、肩に提げた銃も、ディケイルが持つものよりもっとゴツい。
 
 ――そのチーフを前にして、ディケイルはマシンガンを地面に投げ捨てた。
 
 ………今度は何を考えている!!
 ソウは肝を冷やした。
 
 しかし、ディケイルは落ち着き払った様子で、ホルスターからハンドガンを取り出した。それを、左手に持ち、真っ直ぐ前に向ける。
 そして、言った。
 
 「―――俺は、あんたに、『決闘』を申し込む」


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