忍者ブログ
オリジナル小説のダストボックス

WRITE | ADMIN

PR
カウンター
プロフィール
HN:
碧井 湊
性別:
非公開
自己紹介:
頭の中には、
いつも何かのストーリー。
なかなか、
文字にならないのが難点。

詳しい事はこちらへ。
メールフォーム
感想・ご意見等 お気軽にどうぞ
Powered by NINJA TOOLS
忍者サイトマスター
バーコード
ブログ内検索
当ブログの利用方法
★プラグイン最上部のブログタイ
 トルをクリックで、トップページ
 へ戻ります。
★トップページより、各小説タイ
 トルをクリックで、目次ページ
 へ進みます。
★プラグイン内「カテゴリー」から
 も、目次ページを開けます。
★小説各ページに「次へ」のリン
 クはありますが、「前へ戻る」
 リンクはありません。プラウザ
 内の「←」をご利用いただくか、
 一度目次ページへ戻るかして、
 ご覧ください。
アクセス解析


忍者ブログ [PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


web拍手 by FC2


 ディケイルは、頭の中の「イメージ」に、必死で意識を向けた。
 
 ―――家。アパートのような建物ではない。二階建ての、独立した建物。――狭い「庭」のような場所、それを回り込んだ細い路地の、壁の隙間――
 
 ディケイルは周囲を見渡し、それに近い光景があるのか、探した。だが、周囲はあまりに荒廃しきっていて、頭の中のイメージの、面影すら無い。
 
 ……これは、もっと、ポイントを絞って探していくべきだ。
 ―――二階建ての建物の玄関には、看板が掛かっていた。簡素なその看板に書いてある文字は――
 
 「………孤児院?」
 後から追いかけて来たマックが、ディケイルがブツブツ言っているのを見て、不思議そうな顔をした。
「ん?孤児院がどうした?」
「マック、この辺りに孤児院は無かったか?」
「――知らねぇなぁ」
 すると、その会話を耳にした仲間のひとりが言った。
「あぁ。話には聞いたことがあるぜ?『子供手当て』目的に、孤児を集めてきて一緒に住まわせている、あくどい夫婦が居るって話は。――そういえば、このへんだったな」
「詳しい場所は分かるか?」
「そうだな、確か、靴屋の筋向いだったから……」
 ――見ると、焼けてはいるが、いかにも靴屋という、ブーツの形をした看板が落ちている場所がある。
 
 「……多分、ここだ」
 その仲間に案内され、かつて「孤児院」があった場所に来てみた。――他の建物と同様、ただの残骸でしかないが。
「――ここの裏手に、マンホールがあるはずだ」
「そこまでは知らねぇなぁ」
 ディケイルは目を閉じ、瓦礫の山の中に足を踏み出した。
「ちょっ!お、おい!どこに行く気だ!?」
 マックが慌てて追いかけて来た。
 ―――ここが、玄関。すると、ここから右へ回り込んで………
 だが、瓦礫の中を目を閉じて歩くというのは、やはり暴挙だった。コンクリート片のひとつに足を取られ、そのまま頭から倒れた。
 
 「だ、大丈夫か!?」
 マックが目を丸くし、慌てて駆け寄る。
 ――それも当然だった。ディケイルは倒れた直後、頭を抱えてうずくまってしまったのだから。
 だが、頭を打ってケガをしたわけではない。――今まで、他の念に紛れて気付かなかったが、地面の中から、ものすごい質量の「念」が出ている。
 ――――恐ろしいほどに強い、『恐怖』の感情。
 ディケイルは、それが死者の残した「死の恐怖」だと思っていた。……しかし、今、それは全く別の感情だと気付いた。
 ――『死』ではなく、『世界滅亡』の恐怖。
 頭を地面についた途端、その思念に思考を乗っ取られ、ディケイルはそのまま、頭を抱えて動けなくなったのだ。
 
 ―――これだけ強い「思念」を出せるのは、普通の「人間」ではない。
 
 間違いない。「トランセンダー」だ。……しかも、並みの「トランセンダー」ではない。相当、能力の高い……。
 ディケイルは、このような能力の持ち主に、これまで、出会った事が無い。
 ――恐らく、現在存在している「トランセンダー」の中で、最も大きな能力を持っている。しかも、飛び抜けて強大な……!
 
 何とか心を落ち着けて、その思念を頭から追い出すと、ディケイルはヨロヨロと起き上がり、周囲を見回した。
 ――壁の残骸が狭い路地に倒れ込んでいる。あの下なら、マンホールがあってもおかしくない。
 ディケイルはその場所に駆け寄り、手でその残骸を取り除き始めた。
「………おい、今度はどうした!?」
「ここの下に、誰か居る。手伝え」
 そう言うと、マックも駆け寄り、コンクリートの残骸を除けはじめた。
 ――だが、どれだけ掘っても、地面へ近付いている気がしない。
 ……と、マックが言った。
「ゴリアテ呼ぼうぜ」
 ―――正論だ。ディケイルは無線でエドに連絡した。狭い場所であの巨体を動かすのは危険なので、少し広い場所で捜索をするように伝えてあったのだ。
 ……間もなく、狭い路地を、ノシノシと巨大ロボットがやってきた。
「………踏むなよ」
「難しい事を言わないでくださいよぉ」
 そう言いながらも、エドはそれでも器用に、建物の残骸を取り除いていく。
 
 やがて、山がかなり小さくなったところで、
「これ以上俺がやると、マンホールごと壊しかねないので、あとは任せます」
と言い、エドは去っていった。
 
 ……近付いてみると、コンクリートの隙間から、確かにマンホールのフタが見えた。
「―――おい、何か音がしねぇか?」
 マックに言われ、耳を澄ましてみると、確かに、何かをコン、コンと叩く、弱々しい音が聞こえる。
「おい!誰かいるぞ!生きてる!!」
 マックが叫んだ。その声に、マッド・テイラーはじめ、周囲で捜索していた面々が、次々と集まって来た。
 大人数で一斉にコンクリートを掘りだすと、さすがに早い。間もなく、マンホールのフタに手が届くだけの穴ができた。
 ディケイルはその中へ降り、そのへんにあった鉄骨の残骸で蓋を引っかけ、ずらしていく。
 
 ―――中には、2人の子供が居た。2人とも10歳くらいだろうか?褐色の肌の男の子と、ブロンドの髪の女の子だ。
 手に棒を持っている。それで、フタを裏から叩いていたようだ。
 
 マックも降りてきて、2人を抱き上げ、穴から出した。
「大丈夫か?ケガはないか?」
 ――子供相手だと、あのゴツいマックの顔も、穏やかな「パパ」の顔になっている。子供たちは安心したように、「うん」とうなずいた。
 マックが子供たちに予備の防護服を着せ、空港に連れて行くように指示をすると、だが、子供たちは行こうとしない。
 女の子のほうが、マンホールを指差して、言った。
 
 「もうひとり、居るの」

 「え!?」
「奥のほうに隠れてるわ」
「怖がっちゃって、動けないんだ。誰か、助けてくれよ」
 男の子も、必死な様子で声を上げる。
 一同は、無言で顔を見合わせた。――そして、同時に、ひとりの人物に視線を向けた。
 ………ここに居る中で、最も小柄なディケイルが、その役目に向いている。そういう意味だ。――言われなくとも、自分でも分かる。
「……分かったよ」
 ディケイルは、マンホールの中へ足を踏み入れた。
 
 ここのマンホールは、「アジト」への入り口にしていた、公園脇のものよりも、ひとまわり小さい。作業用というよりも、工事の時に、機械か何かの都合で作らざるをえなかった、そんな感じの穴だ。マックじゃ、とても入れないだろう。
 申し訳程度に付いたハシゴを降りようとするが、すぐに足が地面に付いた。……元々、地下水路へ通じるものではなかったのかもしれないが、爆撃の衝撃で崩れて、それより下が埋まってしまったのには間違いなさそうだった。
 足元を見ると、上の穴よりも少し広くなっていた。――ここに、子供2人が隠れていたのだ。ディケイルはしゃがみこんでみた。
 
 すると、そこには横穴のようなものがあり、その奥に………
 
 もうひとり、子供が居た。
 
 うずくまり、膝を抱え、その中に顔を埋めている。
 ――ヘルメットのライトの明かりだけが頼りだが、その髪が、老人のように白いのは分かった。
 
 「…………!」
 ――まただ。脳内を支配されそうな、強烈な脳波。……間違いない、原因はこの子だ。
 普通の人間なら何も感じないだろうが、少し感性が敏感な人なら、近くに居るだけで頭が痛くなったりするだろう。――ソウあたりなら、そうなりかねない。
 ひどい頭痛に顔を歪めながらも、ディケイルは穴の奥へ這って行った。
「―――もう大丈夫だ。心配しなくていい。助けに来た」
 ディケイルは声を掛けたが、その子供は動かない。じっと、顔を伏せたまま、小刻みに震えている。
 仕方なく、ディケイルはその子の肩に手を置いた。触れ合う事で落ち着かせよう、と思ったのだが―――。
 
 膨大な量の思念が、ディケイルの中へ流れ込んできた。
 
 ――漆黒の闇に浮かぶ、巨大な宇宙戦艦。そこから下へ向けて発射される、数え切れないほどの光線。爆発の閃光、轟音。恐怖に顔をひきつらせ、逃げまどう人々。
 ………しかし、その光景を、この子供は実際には見ていない。その時すでに、この穴へ隠れていたのだから。――けれども、それを「見て」、知っている。
 さらに、思念は次々とディケイルの脳を駆け巡った。
 広い宇宙空間。そこに浮かぶ、何隻もの宇宙戦艦の群れ。飛び交うレーザー砲。――その間を縫うように虚空を滑る、戦闘ロボットたち。
 ……血みどろの、「未来」。
 
 ディケイルは息をのみ、そっと、子供から手を放した。
 ―――この子は知っている。俺が、「助けに来た」のではなく、さらなる「殺戮」を生み出す存在である事を………!!
 
 気が付くと、その子供は顔を上げていた。目を見開き、真っ直ぐに、ディケイルを見つめている。
 
 ―――しかし、その目には「瞳」が無かった。
 
 
 
 「……あいつ、『予知能力』みたいなのがあるんだ」
 地上では、マックが子供たちの話し相手になっていた。――外のあまりにもひどい様子に、女の子が泣き出したが、マックと男の子で何とかなだめて、やっと落ち着いてくれたところだ。
「――へぇ、すげぇな、それは」
「だからね、何か、とーっても怖いものが来るから、逃げなきゃダメだって、言ってたの」
「だけど、寮母のおばさんは、そんな事ないから心配するなって、話を聞いてくれないんだ。……いつも、あいつ、そんな感じだったから、誰も信じてくれなくなったんだ」
「でもね、私たちは、友達だから、信じたの。それで、一緒に逃げたの」
「本当は、他のコロニーに逃げなきゃダメだって言ってたんだけど、時間がないから、ここでいいって」
「そうしたら、すごい大きな音がして………」
「死ぬかと思ったぜ、マジで」
 
 ……子供たちの話が本当なら、マックから見ても、生き残ったのは、まさに「奇跡」だ。このマンホールだって、フタが爆発の衝撃波に吹き飛ばされていれば、助からなかったに違いない。壁が崩れて埋まっていたから、助かった。――それも、「予知」していたのだろうか?
 
 「……でも、本当はとても優しい子なの。だから、見た目が少し『変わってる』からって、ヘンな目で見るのは、間違ってるわ」
「――あいつ、あの『目』のせいで、みんなにいじめられて、かわいそうだったな」
「うん。――学校にも行けないで、ずっと、部屋の中に閉じこもってるんだもん。かわいそうだわ」
「でも、俺、知ってるぜ?――おじさんたち、『解放軍』だろ?おばさんは悪く言ってたけど、俺は知ってるぜ。おじさんたちが新しい世界を作ってくれれば、きっと、世の中もっと良くなるって!
 そうすれば、きっといじめもなくなって、『レイ』だって、部屋から出れるさ!」
 
 ――マックは、何と言えばいいか分からなかった。
 しかし、マックたちが、この子たちの未来を握っているのには、間違いないだろう。
 ……それを、少しでも素晴らしいものにして、子供たちが『夢』を見られるような、そんな世界を作らないと……。
 
 マックは、子供たちを両手に抱え上げ、言った。
「おう!絶対におじさんたちが、もっといい世界を作ってやるぜ!
 大人になるのを楽しみにしてろよ!」


>> 次へ
PR

web拍手 by FC2


※ Comment
HN
TITLE
COLOR
MAIL
URL
COMMENT
PASS


※ この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:



Powered by 忍者ブログ  Design by まめの
Copyright © [ Second Box ] All Rights Reserved.
http://secondbox.side-story.net/