忍者ブログ
オリジナル小説のダストボックス

WRITE | ADMIN

PR
カウンター
プロフィール
HN:
碧井 湊
性別:
非公開
自己紹介:
頭の中には、
いつも何かのストーリー。
なかなか、
文字にならないのが難点。

詳しい事はこちらへ。
メールフォーム
感想・ご意見等 お気軽にどうぞ
Powered by NINJA TOOLS
忍者サイトマスター
バーコード
ブログ内検索
当ブログの利用方法
★プラグイン最上部のブログタイ
 トルをクリックで、トップページ
 へ戻ります。
★トップページより、各小説タイ
 トルをクリックで、目次ページ
 へ進みます。
★プラグイン内「カテゴリー」から
 も、目次ページを開けます。
★小説各ページに「次へ」のリン
 クはありますが、「前へ戻る」
 リンクはありません。プラウザ
 内の「←」をご利用いただくか、
 一度目次ページへ戻るかして、
 ご覧ください。
アクセス解析


忍者ブログ [PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


web拍手 by FC2


11.  罪と罰
 
 
 ソウは、ダンプカーで第3コロニー――が、かつてあった場所に戻り、エドのゴリアテと協力し、建物の残骸の除去を行ったが、生存者の発見には至らなかった。無線で、子供が3人見つかったと聞いて、その時は喜んだのだが、それも束の間。その後、たまに見かけるのは焼け焦げた亡骸ばかりで、今までの疲労と重なり、もう、ぐったりだった。
 仕方ないので、あとの作業は翌日に回し、その日は空港に戻った。
 
 ――戻ったといっても、空港に休息ができるスペースなど無い。空港自体も、残骸のようなものだ。強いていえば、シェルターの中なら無事だが、鉱員やら空港職員やらで、かなりな満員御礼状態になっていた。
 ……迷った末、戦艦「ドミニオン」なら休める場所があるだろうと、エドと共に戦艦内へ向かった。
 
 ディケイルたちは、一足先にドミニオン内に来て、「偵察」をしていたらしい。――まぁ、これだけ大きな軍艦だ。どこかに『敵』のひとりやふたり、隠れていてもおかしくはない。
 しかし、そのような事も無かったようで、一同は、適当に休憩室へ消えて行った。
 ソウも、とにかく休もうと、空いている休憩室を見て回ったのだが――、どうしても気になる事があり、ディケイルを探す事にした。
 
 ……ダンプカーを運転しながら、先程抱いた「違和感」を、思い出したのだ。
 
 ディケイルは、多分、ここが艦橋なのだろう、巨大なモニターやら複雑な装置類が並んだ空間に、ひとりぽつんと居た。
 艦長席だろうか。中央の、少し高くなった部分にある椅子に、背中を丸めて座り込んでいる。――動かないので、眠っているのかとも思ったが、一応、押さえめの声で呼び掛けてみた。
「……起きてるか?」
 すると、すぐに返事があった。
「あぁ」
「―――休まないのか?」
「休んでるさ」
「休憩室は、まだ空きがあるぞ?」
「いや、こっちの方が落ち着くんだ」
 ……今に始まったことではないが、ディケイルの感覚は、よく分からない。
「――少し、話、いいか?」
「何だ?」
 ソウは、一呼吸して、言った。
 
 「おまえ、ヤツらがコロニーを襲撃する事を、知ってたな?」
 
 ………ソウは、否定の返事を期待した。――だが、ディケイルは、静かに、だが、はっきりと言った。
 
 「あぁ、知ってた」
 
 ――ソウの中に、絶望と、そして怒りの感情が生まれた。
「そして、ヤツらに第3コロニーを襲わせることで、他のコロニーの、まだこちらに味方していない人々を味方に付けようと、そう考えていたな?」
「あぁ、そうだ」
 ソウは拳を握りしめた。
「――もちろん、積極的にじゃない。地球側がコロニーを襲う『可能性』は考えていた。――だが、それを止める手段は、俺には思い付かなかった」
「………それは、本当か?」
「あぁ、本当だ。
 前にも言っただろう?俺は嘘をつくのが嫌いだ。
 だから、コロニーが襲撃される可能性があると『知っていた』と、正直に認める。それによって、ガニメデの人たちへ地球への反感を根付かせることができると考えていたことも認める」
 
 ――ソウは、大きく息を吸った。
「ならば、なぜ、それを止めなかったんだ?」
「言っただろう?俺には止められなかった。――他に、もっといい手段があったか?
 ……それとも、『野犬狩り』で大人しくみんな死ねばよかったか?」
「そうは言ってない!――しかし―――!!」
 
 ソウは、怒りを込めた目でディケイルの黒い後ろ髪を見つめた。
「――コロニーの住人を避難させるとか、もっと、手はあっただろう?」
「だから、コロニー長に連絡して、避難勧告を出してくれるよう頼んだ。だが、聞いてくれなかった」
「いや!もっと早く、もっと落ち着いて話し合いをしていれば、話は通じたんじゃないのか!?
 ――おまえ、少なくとも、空港を封鎖した直後には、その『可能性』が分かってただろう?」
 
 ……だから、「演説を聞いた住人が空港に押し掛けて来た」という話を聞いた時、「シェルターが足りない」と、困った顔をしていた……!!
 
 「……分かってすぐから、避難できるような対策をすれば、こんな事にはならなかった。そうじゃないのか!?」
「――『対策』と言っても、何をする?
 あの総管理責任者と何時間話し合いをしたところで、俺の言う事を聞いてくれたと思うか?ヘタなことをすれば、『あちら側』の住人が団結して、空港が襲われたかもしれない。そうして、俺たちを叩きのめせば、『あちら側』だって、地球に対して面目が保てる。
 ……もし、そうなっていたら、どうした?人数的には、まだ、あちらのほうが圧倒的に多い。――ホウキやデッキブラシを持った一般市民相手に、銃を向けられるか?」
 ソウは言葉に窮した。
「―――だから、祈るしかなかったんだ。……宇宙艦隊のヤツがら、そこまでの暴挙に出ない事を。しかし―――」
 
 「………言い訳じゃないか」
 ソウの怒りに震える声を聞き、ディケイルは椅子の上で顔を上げた。
「もうひとつ言えば、その『野犬狩り』の時、敢えて何人かのホームレスを守衛たちに殺されるように仕向けた。全員に決起の連絡をしなかった。――そうして、守衛たちに油断させるための生贄とした。
 ……違うか?」
 ディケイルは黙っていた。
 
 「所詮、どんなに都合のいい言葉を並べたところで、口先だけの言い訳だ。何の救いにもならない。――誰も、戻って来ないんだ。死んだ人はもう、どうやっても戻って来ないんだよ!」
 
 ディケイルは、ソウに力の無い目を向けていた。そして、疲れ切った声を出した。
「―――俺が、あんたを積極的に仲間に引き入れなかった理由、分かるか?」
「………?」
「あんたは、勘が鋭すぎるんだよ。だから、敢えて誘わなかった」
 
 ――何だ?それは?
 俺が居ない方が、『仲間』を自由に動かせる。こんな面倒な会話など、しないで済む。
 ―――ならば、なぜ巻き込んだ!?
 
 ほとんど無意識に、足が前に出ていた。椅子に近付くと、ソウを見上げるディケイルの顔面に、拳を振り下ろした。
 ディケイルは、あまりに呆気なく椅子から転げ落ち、床に転がった。
 ――それっきり動かない。
 ………やりすぎたか?
 
 ソウは一瞬ヒヤリとしたが、寝転んだまま、ディケイルは言った。
「―――だが、あんたが一番話しやすいと言ったのは、嘘じゃない。……俺は、あんたがいないとダメなのかもしれない」
 ――意識はあるようだ。少し胸をなで下ろしつつも、ソウは冷たく言い放った。
「俺は、おまえの仲間にも、部下にもなった覚えは無い。……もう行く」
「――あぁ、俺にはそれを止める資格は無い。………お疲れさん」
 
 ソウは踵を返し、艦橋から出た。


>> 次へ
PR

web拍手 by FC2


※ Comment
HN
TITLE
COLOR
MAIL
URL
COMMENT
PASS


※ この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:



Powered by 忍者ブログ  Design by まめの
Copyright © [ Second Box ] All Rights Reserved.
http://secondbox.side-story.net/