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 ……しかし、そんな疑惑で立ち止っている暇など無かった。
 朝になれば、また、第3コロニーへ向かい、瓦礫の山を片付ける。状況を知った他のコロニーの人々も参加し、他の鉱山からも、ダンプカーやゴリアテが参加した。
 ――だが、あの子供たち以外の生存者は見つからなかった。
 空港へ戻ると、空港ビルの残骸も、徐々に片付けが始まっていた。――それにしても、一体いつになったら復興できるのか?ソウには予想も付かなかった。
 
 気付けば、「あの」夜以来、タバコを吸っていない。ヘルメットをかぶった作業が多かったし、タバコを吸う余裕など、一切無かった。
 戦艦の中には、当然、喫煙室など無い。こっそり管制塔へ向かい、階段の下でタバコに火を点けようと――して、やめた。……どうせ、いつかは禁煙しなければならないんだ。ならば、この勢いで頑張ってみよう。
 
 次の日もまた、瓦礫撤去の作業だ。――心が痛いが、遺体をひとつひとつ埋葬する事はできない。コロニーの残骸と一緒に、氷の大地に埋めていく、それしかなかった。
 だが、この日になると、ある変化が見て取れた。
 瓦礫撤去の手伝いだけではなく、食事を用意してくれたり、難民に衣類を提供してくれたり、様々なボランティアを買って出る人たちが増えて来た。
 ――これは、ディケイルの目論み通り、地球への反感が強まっている証拠だ。あれだけの事をしておきながら、何のフォローも無いのだ。当然の事だろう。
 そんな、ボランティアのひとりから、こんな話を聞いた。
「――コロニー長が、地球軍が攻撃してくる事を知ってて、それなのに避難命令を出さなかったらしいわよ。こんなに被害が出たのは、コロニー長のせいよ」
 ……ディケイルがシェルター内から出した通信の話が、こんな形になって伝わったのだろう。
 ―――真相を皆に知らせるべきか?
 ソウは迷ったが、それを言ったところで、誰も救われない。……いや、冷静に見れば、ディケイルの言った事は間違ってはいない。あぁするしかなかった、誰だってそう思う。――ただ、ソウの納得がいかないだけだ。
 
 午後になって、今度は子供たちがコーヒーを持って現れた。
「……ニーナさんに、みなさんが休憩するように、持ってってって頼まれたんです」
 ブロンドの髪の少女――カティというらしい――が、大きな紙袋にカップをたくさん入れて、第2コロニーの隔壁近くに設けられた休憩所にやって来た。大きなポットを抱えて、少年2人がそれに従う。
 ――3人とも、10歳くらいなのだが、まだ、非常事態宣言が解除されていないため、学校が再開されていない。だから、空港内で、ニーナに従って手伝いをしていたのだ。……あの年齢で、自主的に手伝いを申し出るとは、なかなかしっかりしている。
 
 褐色の肌のマタル少年が、不器用な手付きでカップにコーヒーを注いでくれた。
 ――白い髪の少年、レイは、……少し離れたところで、頭を抱えて座りこんでいる。
「……あいつ、ひどい頭痛持ちで、時々、あんな風に発作を起こすんだ。でも、少しすると、落ち着くから、大丈夫」
 ………その様子を見ていると、ソウまで頭痛がしてきた。なぜだろう……?
 ソウも少し休もうと思い、コーヒーカップを手に、レイの近くに座った。……レイの様子を見ると、尋常じゃない。両手で頭を押さえ、顔を伏せ、ブルブルと震えている。――ロウのように白い肌には、大粒の汗も浮かんでいた。
「――だ、大丈夫か!?」
 マタルはああ言うが、これは普通ではない。病院に連れて行ったほうが……。
 しかし、レイは顔を伏せたまま、言った。
「大丈夫です。いつもの事なんで」
 
 ―――そういえば、初めてレイの声を聞いたかもしれない。結局、流れで、ソウと同じ部屋で寝る事になった3人だが、レイは他の2人に比べ、極端に口数が少なく、まともに会話をしたのは初めてだった。
 ……考えてみれば、まともに顔を見ていない。いつも、顔を伏せるようにしていて、長い前髪が顔を隠している。――髪や肌のあまりの白さから、恐らく、色素欠乏症(アルビノ)であると思うが、それがコンプレックスなのだろうか?
 
 ――しかし、見ている方が痛くなってくるほどの苦しみようだ。ソウは見ていられなくなった。
「……やっぱり、病院に行こう。一度、しっかり検査してもらったほうがいい」
 そう言って、ソウはレイの腕を取ろうとした。
 
 ――その時。
 ………何か、強い感覚が、ソウの脳裏を包みこんだ。……あれ?この感じ、前にもあったかも……。――そんなに昔ではない。つい最近な気がする――、が、いつだったっけ……?
 しかし、その感覚は、あまりに暗く、あまりに重く、そしてあまりに悲しくて……、ソウはそっちのほうが気になった。
 
 「―――怖いんです」
 急に、レイが話しだした。
「……え?」
「これで、終わらない。―――もっと、もっと、凄まじい恐怖が、僕らの上に降り注ぐ。……そして、もっともっと、多くの人が、死ぬ」
「…………」
 ――マックから聞いていた。マタルが「レイには『予知能力』がある」と話していた事を。これが、その、「予知能力」なのか??
「それは、誰にも止められない。――あなたの、友達にも」
 ……俺の友達?誰のことだ??
「―――彼は、それを止めようと奔走するが、それがさらなる悲劇を呼ぶ事も知っている。……この、負の連鎖は、誰にも止められない」
「…………」
 ――10歳の子供が言うセリフではない。まるで、何かにとり憑かれているかのようだ。ソウは気味悪くなってきた。
 だが、レイはすぐに普通の様子に戻った。
「……すいません。驚きましたよね。――たまに、こういう事があるんです。
 何て言うんだろ?たくさんの人の『思い』が僕の中に入って来て、それを言葉にしないと、どうにも苦しくなるんです。――聞いてもらって、助かりました」
「………そ、そうか。それは良かった……」
 ――いや、別の意味で、やはり病院の検査は受けたほうがいいと思う。
 そんなソウの心配を気にする様子もなく、レイは立ち上がると、マタルたちの方へ歩いて行った。
 
 しかし、――ディケイルは何をしているのだ?まさか、本当に火星に『亡命』でもしたのか?
 ……いや、火星に逃げたところで、所詮、「地球」の子会社だ。とっ捕まって、地球に送られるか、その場で「処刑」でもされるのがオチだろう。
 ………まぁ、とにかく、無事に着いているといいのだが……。
 
 
 
 その消息は、翌日の朝、意外なところから知れる事となる。
 
 1月12日、朝。
 ソウは、マックに叩き起こされて目が覚めた。
「――何だよ!一体!?……何かあったのか??」
 ソウは、どちらかというと寝ざめの悪い方で、寝起きはとにかく気分が悪いのだ。
 しかし、そんなソウをマックはそっとしておいてはくれなかった。
「いいから!来てくれって、アニキ!大変な事になってるんだ!!」
 ――仕方なく、マックに引っ張られ、部屋を出ると、艦内の食堂に連れて行かれた。
 食堂は、数百人が同時に食事をとれるようになっており、かなりの広さがある。そのあちらこちらにテレビモニターが設置され、ニュースやら娯楽番組やらを、食事をしながら見る事ができた。
 ――その中で、動いているモニターのひとつに、人だかりが出来ていた。
「『参謀長』を連れて来たぞ!場所を開けてくれ!!」
 ………だから、「参謀長」になど、なった覚えは無いってば!
 抗議したかったが、テレビモニターを見て、その言葉も眠気も、同時に吹き飛んだ。
 
  画面の中で、ディケイル・ウェイニーが「マーズ開発」の社長と、笑顔で握手を交わしていた。


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