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12.  取引
 
 
 ――一体、何がどうなってる?
 ソウはポカンとする以外になかった。
 
 「そういえば、元帥見かけねぇと思ったら、火星なんかに行ってたのか!?」
 マックが言ったので、ソウはそれにも驚いた。
「……おまえ、あいつが居なくなった事、知らなかったのか?」
「あぁ。前から、アニキ、身体が弱くてな。ホームレスの頃も、しょっちゅう倒れて寝込んでたんだよ。でも、ここんとこ、珍しく動いてただろ?――だから、それがキて、また寝込んでるのかと思ってたぜ」
 ――――あ、そう……。
 ……しかし、そんなヤツが、ひとりでよく無事に火星にまで行けたモンだな……。
 
 だが、今は、その「目的」の方が重要だ。ソウは、テレビモニターを凝視した。
 
 「……マグワイヤ・マーズ開発社長は、先日の『ガニメデ暴動』について会見し、『暴徒側の言い分にも一理あり、その後のアース・コーポレーションの対応にも不適切な部分があった』と言及、ガニメデ独立運動の指導者、ディケイル・ウェイニー『元帥』と、『不可侵条約』を締結したと発表しました」
 
 ――アナウンサーが淡々と読み上げる。その流暢な言葉の流れが、頭の中を通過して……、行く直前に、ソウは事態を何とか把握した。
「………どういう事だ?よくわからねぇ」
 マックも一生懸命ニュースを見てはいるが、形式的な言葉が苦手なのだろう。
「要するに、『元帥』は、火星と仲良くしましょうと、約束してきた、そういう事だ」
「ふぅん。……それがどうした?」
「――つまり、火星は、言わば地球の『子会社』だ。……そいつが、こちらの味方に付いたというのは、――」
 ……一体、どんな魔法を使ったんだ!?
 ―――にしても、勝手に決めた『元帥』なんて称号、こんな公式の場で通用してしまっていいのか?
 
 アナウンサーは続けた。
「火星は、今後、地球とガニメデ独立運動に対し、中立的な立場を取ることとなり、いずれの陣営にも一切の援助は行わない、また、今後とも、地球、ガニメデ両者とは、経済的な交流はこれまでと変わらず続けていく、そう社長は宣言しました。マーズ開発としては……」
 
 ――なるほど、それが半独立の体制を築いている火星にとって、最も有利な立場なのだろう。
 それにしても、ディケイルが思い付きで出かけて行って、こうもうまく話が通るワケがない。必ず、裏に何かある………!
 
 
 
 ――マグワイヤ社長との会見を終え、ディケイルは、「マーズ開発」本社ビルの中をウロウロしていた。
 物見遊山ではない。ある人物を探すために……。
 
 火星は、ガニメデと違い、古くから移住計画が立てられており、土壌改良から緑化、大気調整などが進められ、コロニー無しでも、地球と変わらず生活できるようになっている。
 窓の外を見ると、青い空の下、緑に囲まれた整然とした街並みが一望できた。
 ――地球でも、こんなに美しい街並みにはなかなか出会えない。
 
 ライトフライヤーで空港に降りた時は、かなりの厳戒態勢で迎えられたが、すぐに、それは解除された。――「あいつ」が配慮してくれたのだろう。
 今だって、多少の監視は付いているが、自由に動き回っていても、止められることは無い。……さすがに、ビルの外へ出ようとすれば、止められそうだが。
 ……まぁ、ウロウロしていても仕方ない。正直、腹が減った。――だが、俺が食べられそうなモノがあるだろうか?ディケイルは社員食堂らしい部屋に入ったが、準備中だったため、フリードリンクコーナーのオレンジジュースをカップに注いで、テーブルに就いた。
 カップの中の、オレンジ色の液体を一口飲む。――香料か何かが入っている。……無理だ。これ以上飲めない。
 すると、突然、テーブルの上に何かがドサッと置かれた。
 ――顔を上げると、リンゴやバナナが入った紙袋が目に入った。その向こうに、それを置いた人物なのだろう、誰かが立っていた。
「――久しぶりだな」
 グリーンの瞳が、ディケイルを見下ろしていた。――探し人は、向こうから来てくれたようだ。
「………そうだな、フォンシェ」
 
 ――フォンシェ・アレハンドロ。マーズ開発の社長秘書をしている人物だ。……癖の強い赤髪をしているクセに、整った顔立ちをしているので、それが欠点になっていない。――悔しいが、ディケイルより数段上のナイスガイだ。
「……『あの時』以来か?」
「―――あの時?何の話だ?」
 素直に返答をしてこないのはいつもの事だ。……特に今は、「立場」というのもあるだろうが。
 フォンシェも、コーヒーカップを手にして、斜め向かいの席に座った。
 ディケイルは、遠慮なくバナナをいただく事にした。
「……にしても、あんたほどの人物が、なんで火星なんかに来てるんだ?地球に居れば、幹部クラスで居られるだろうに」
「ガニメデ行きの船に、手違いでホームレスをひとり乗せた責任を取らされた」
「………それは、お気の毒に………」
 ディケイルは話題を変える事にした。
「――それにしても、おたくの社長さん、話の分かる人で良かったよ。まるで、あらかじめ口裏が合わせてあったかのように、すんなり条約が決まったからな」
「……それは良かったな」
「そういえば、地球からガニメデへ行く船の中で、コレ、『拾った』んだよ」
 ディケイルは、上着のポケットから「携帯端末」を取り出した。
「使いやすそうだったから、メモ代わりに使ってたら、惑星を超えた通信ができるんだな。誰だか知らない人から、欲しい資料が送られてきて、助かったよ。――空港の地図とか」
「そうか」
「……まぁ、肝心な事が抜けてたから、あまり役には立たなかったけどな。――にしても、コレを落とした人、誰だろうな?」
「さぁな」
 
 ……気の無い返事をしながら、コーヒーを飲んでいるが、全て裏で手を回してくれていたのがフォンシェである事を、ディケイルは知っていた。――地球側から「派遣」されている立場上、堂々と認める事ができないことも。
 
 「……まぁ、せっかくだから、このまま使わせてもらうわ」
「私の知った事じゃない」
「それもそうだな。――ところで……」
 ディケイルは2本目のバナナに手を伸ばした。
「……おたくの上司は、元気か?」
「上司?――今の私の上司は、マーズ開発のマグワイヤ社長だ」
「おっと、それは失礼。……じゃあ、『元』上司」
「―――それを聞いてどうする?」
「話がしたい」
 フォンシェは顔は前を向いたまま、目だけをディケイルに向けた。
「――話って、何だ?」
「悪いが、あんたには関係のない事だ」
「話を取り継げと言っておきながら、私に関係がないとは、いささか図々しくはないか?」
「…………」
 ――都合のいいところだけ話に言及してくる。面倒なヤツだ。忌々しげな目をフォンシェに向けるが、彼はコーヒーカップを回して、琥珀色の波紋を眺めていた。
「……『取引』したいんだ」
「…………」
「詳しい事は、そのうち分かる。――できるか?」
「できるできないではなく、やるか、やらないか、だろう?」
 フォンシェは、カップの中身を一気に飲み干すと、立ち上がった。
「――10分後に、私の部屋に来い」
 
 
 
 フォンシェの執務室は、最上階の、社長室のあるフロアの片隅にあった。――とはいえ、社長室からは独立しており、「秘書室」という感じでは無い。
 部屋に入ると、既にフォンシェは居なかった。部屋の中央に、通信用のモニター設備だけが用意してある。モニターはまだ真っ暗だ。
 ――背後で、扉が閉められた。……周囲を気にせず話せる状況を作ってくれた。さすがフォンシェ、気が利く。
 
 しばらくすると、突如、モニターの画面が光った。――グレーの背景の中央に、金髪の若い男が映っている。
 ディケイルは、目立たないよう、ひとつ深呼吸をした。
「―――久しぶりだな、ミカエル・アイヒベルガー」


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