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13.  家族
 
 
 火星からのニュース中継が終わり、今日もコロニーの残骸撤去に向かおうと準備をしていると、ジョルジュが走って来た。
「――『参謀長』!元帥から通信ですよ」
「………何!?」
 ソウは慌ててシェルターのモニター前に向かった。
「――よう、ソウ、片付けは進んでるか?」
 呑気に話し掛けてくるディケイルに、ソウは異様に腹が立った。
「バカ野郎!!」
 気付くと、大声を張り上げて怒鳴っていた。――周囲に居た人々が、一斉にソウを振り返る。が、それにはお構いなしに、ソウは続けた。
「どれだけ、みんなに心配かけたと思ってるんだ!?ひとりで無茶をするなと言ってるだろう!」
 ――すると、ディケイルはシュンとした様子で言った。
「………悪かった」
 ―――こう、素直に謝られては、これ以上、文句が言えないじゃないか……!
 
 ソウはひとつため息をついて、言った。
「――で、何の連絡だ?ニュースで、『条約』の事は知ってる」
「そうか。……ソウ、頼みがある」
「何だ?」
「今日中に、ガニメデに居る『仲間』のうち、家族が地球に居る者を探して、その、家族の人数を把握してくれ」
「―――は??」
「つまり、単身赴任でガニメデに来てる人の、地球に残してる家族が何人居るのか。――できれば、リストにしてもらえると助かる」
「……どういう事だ?」
「地球側と『取引』をした。――彼らを、ガニメデへ呼び寄せる」
 通信を聞いていた、近くに居た鉱員たちが歓声を上げた。
 
 ――薄々はソウにも分かっていたが、家族を地球に残してきた者にとって、それは「人質」を取られているも同然なのだ。どんなに不安だったことか……。
 あぁ見えて、やるべき事はちゃんとやっているようだ。――しかし、そんな地球側にとって不利な取引、どんな条件を出して結んできたのか?
 
 「……少しでも急がなくてはいけない。『地球』の気が変わらないうちにな。だから、できるだけ早く調べてくれ」
「分かった。――だが、今日中というのは無茶だ。まだ、こちらは、どこまでが『味方』で、どこまでが『敵』なのか、それすら分かって無いんだからな」
「そうか。……じゃあ、明日の朝まで待ってやる」
 ――寝ずにやれという意味か。相変わらず無茶苦茶だ。
「……で、あんたはいつこっちに戻って来るんだ?」
「明後日には帰る」
「―――気を付けろよ」
「大丈夫だ。帰りは輸送船で帰る。――マーズ開発の社長サンが、支援物資をくれた」
 ……「暴動」を助成するのではなく、地球側の攻撃で被害を受けた「難民」への人道的支援、と言えば、地球側は何も言えないだろう。
「じゃあ、頼んだぜ」
 ――通信は切れた。
 
 ………さて、大変な事になった。地球に家族を残して単身赴任に来ている者のリストなど、どうやって調べる……?
 
 だが、大変なのはそれだけでは終わらなかった。
「――あの、参謀長――」
と、ドミニオンの整備を任せていた、元空港職員のひとりが声を掛けて来た。
「ん?何だ?」
「……『アレ』、どうしたらいいでしょう?」
「―――『アレ』??」
 ソウは、とりあえず、その整備士について行ってみることにした。
 
 ―――すると、案内されたのは、巨大な『核爆弾』の前だった。
 
 実物を見るなんて、当然初めてだが、その物々しい雰囲気といい、ボディに付けられたマークといい、昔のニュース映像や映画か何かで見た「ソレ」と、同じものに見えた。
 ――まさか、こんな宇宙戦艦の中に、「ニセモノ」なんて、置いてないだろう。
 
 「………な、なんで、こんなモノがここにあるんだ?」
「さぁ。分かりません。――元帥には報告してあったんですが、『隠しておけ』と言われ……」
 ――まぁ、そうそう簡単に隠せるシロモノではない。
「参謀長なら、何か聞いているのかと」
「……いや、聞いてない」
 そもそも、『参謀長』になった覚えもない。
「――どうしますか?」
 そう言われても……。
「………まぁ、素人が動かそうとする方が危険だろう。こういうのは、けっこう厳重に管理されているハズだ。――とりあえず、このままにしておこう」
「分りました」
 ――と言いながら、その整備士には、「誰にも言うな」と口止めしておいた。
 こんなモノが存在するというだけで、パニックに陥りかねない。
 
 ―――しかし、地球のヤツらは、こんなモノを持ってきて、何をする気だったのだ――?
 
 ……ソウは、それ以上考えるのをやめた。最悪の想像だけをしたところで仕方がない。今は他に、やらなければならない事が山ほどある。
 
 
 
 1月14日。
 ガニメデ宇宙空港に貨物船が到着した。――火星からの支援物資を積んだ船だ。
 荷物に紛れるように船から出て来たディケイルを、ソウは見つけ出し、声を掛けた。
「――無事でよかった」
 だが、ディケイルは「生きて」はいるが、何だか顔色が悪い。
「………無事なものか。――俺、乗り物酔いがひどいんだ……」
 そう言うと、その場にしゃがみ込んでしまった。
 
 ――ライトフライヤーで火星まで飛ばすのは平気だが、輸送艦に乗っているのはダメ――。地球に居た頃、「自分で自動車を運転している分には問題無いが、助手席に乗ると車酔いしてしまう」という知り合いがいた。……そういうパターンなのか?
 
 少し落ち着くのを待って、ソウはディケイルを抱えるようにして、「ドミニオン」の医務室へ連れて行った。――こちらは着陸したまま、動いていないから大丈夫だろう。
 水をもらって、ベッドに横になると、ディケイルはソウに言った。
「――面倒かけたな」
「あぁ、全くだ」
 ……結局、「単身赴任者」の家族のリストを作るのに、今朝までかかってしまった。――各鉱山の労働者名簿を見たり、第1コロニーの住民登録台帳を調べたり――。でも、そのいずれもがかなりいい加減なものだったので、結局、ひとりひとりに話を聞いて回った。……しかし、まだ漏れがあるかもしれない。
 とにかく、今はソウも、ディケイル以上にクタクタだった。
 
 ――しかし、そうして話を聞いて回っているうちに、確実に分かった事がある。
 それは、ガニメデに居るほとんどの人の心が地球から離れ、ディケイルたちの「味方」になってくれている、その事実だった。
 あとは――
「……マルコー総コロニー長他、地球側の幹部連中が、住人たちに追い出されて、行方不明になっている。――どうする?」
「アース・コーポレーションの社員を続けたいと思っている者は、無条件に、地球へ帰ってもらう。――そう告知しておけば、そのうち、勝手に船に乗って出てってくれるだろう」
 ――こちらの「社員」と、地球の「家族」との交換、ってことか。……まぁ、それなら、この「取引」の材料としては納得できない話でもない。
 
 「―――それと……」
「……何だ?」
 いい加減休ませてくれという顔で、ディケイルはソウを見るが、それは、ソウだって同じ事だ。ここ数日の間にあった出来事だけは、確認しておかなければ、俺だってゆっくり休めないじゃないか。
「――あの、『爆弾』、どうする気だ?」
「分からん」
「分からん、って……」
「どうしようもできない。――とりあえず、船の端っこの方にでも隠しておくしかないだろ」
「――それにしても、ヤツら、何であんなものを……」
 だが、それについては、ディケイルは何も言わなかった。
 
 すると、今度はディケイルが質問をしてきた。
「――あの子たち、元気にやってるか?」
 ……第3コロニーの生き残りの、あの3人の事だろう。――ソウの目には、ディケイルが子供の事を心配しているのが、かなり意外に映った。
「あぁ、元気にしてる。昼間はニーナに付いて、何かの手伝いをしている。……夜は、俺と一緒の部屋で寝てる」
「そうか。――だが、このまま宙ぶらりんな状態にしておくのは良くないな。早く誰か、『保護者』を付けないと……」
 ――しかし、現実を見ると、今のこの混乱した状態の中、里親を探すのは、非常に困難だ。ソウが考えていると、ディケイルが言った。
 
 「あんた、誰かひとり、預かれないか?」
「―――え!?」
「俺は、あの、白い髪の子を預かる」
 
 ――レイか。……かなり変わったところがあるので、案外、ディケイルと合うかもしれない。
 そうすると、さすがに独身の身で、女の子を引き受けるのは問題がある気がするので、必然的にマタルという事になる。……人懐っこくて、ソウとも普通に話せる子だ。問題はなさそうだが……
 
 「……どちらかというと、マックのほうが、その役、向いてないか?」
「マックは、地球から家族が来るだろ?……どちらかというと、独身のヤツが預かったほうがいい気がする」
 ――いや、マックが家族を呼びたがっているなんて聞いていない。リストにも入れていないハズだ。
「……あ、リストに入って無かったから、俺が入れておいた」
 ―――は?何を勝手な事を!?
「大丈夫か?マックは離婚してるんだぞ?――問題が起きないか?」
「まぁ、何とかなるさ」
 ………何という適当な……!
 
 ――それはともかく、マックが「里親」リストから外されるとなると、あと、頼めそうなのは、チャン――いや無理だ。そういうキャラじゃない。でなければ、エドかジョルジュ――本人がまだ子供なのに、子供なんて預かれる気がしない。じゃあ、ワトソン空港長――「里親」というより「おじいさん」だ。
 ……やっぱり、俺なのか??
 
 「女の子は、ニーナに頼もうと思う。――面倒見が良さそうだし、うまくやってくれるだろう」
「――そ、そうだな……」
 
 ソウは、両親が亡くなってから、ずっとひとり暮らしをしてきた。――正直、「他人と暮らす」事になると、うまくやれる自信が無い。
 しかし、今はそんな事を言っている場合ではない。――それは分かっているが……。
 
 気が付くと、ディケイルは寝息を立てていた。……さすがに、起こすのは悪い。
 ソウも、少し休もうと、人が慌ただしく歩き回る中、艦内の自分の寝床にしている休憩室へ向かった。
 
 休憩室に、子供たちの姿は無かった。ニーナたちの手伝いに出かけたようだ。
 いつも、ひとつのベッドを、3人で寄り添って使っている。――まだ2つ、ベッドの空きはあるのだが、そこには、小さな衣類がきちんと畳んで置かれていた。ボランティアの人にもらったのだろう。
 ――孤児院では、相当厳しい教育をされていたようで、わがままも言わず、大人たちの言う事を素直に聞いて、自分のできる限りの仕事をしている。……見ていて、可哀そうになるくらいだ。
 ――もう少し、子供らしく、奔放に育ってもいいのではないか?
 そう考えて、ソウは思った。
 ……結婚どころか、ろくに恋愛経験すらないが、「人の親」になるのに、そんな事は関係ないのかもしれない。とりあえず、やれるところまでやってみよう……。
 
 いつの間にか、ソウも眠りに落ちていた。


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