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 ――突然、何を言い出すかと思えば……。
「そろそろ、俺らだけでコソコソやってるのも手詰まりになってきたし、民主主義国家を目指すのなら、いずれは、やらなければならない事だ。
 ――早いとこ『国家主席』を決めて、こういう面倒な事を押し付けよう」
 ………目的が、不純すぎる気がするが……。
 
 ともあれ、善は急げと、まず立候補者を募集することとなった。
 ――こんな状況の中、「国家主席」に立候補するヤツなんて居るのか?
 ソウはそう思っていたが、その予感は的中した。
 
 ……3日経っても、4日経っても、誰も来ない。
「―――宣伝が足りねぇんじゃねぇのか?」
 ディケイルはそう言い、マックやニーナにも頼んで、街頭で呼び掛けてもらったり、チラシをあちこちに貼ったりしたのだが、――6日目になっても、立候補者は現れなかった。
 一応、予定としては、募集の7日後に、候補者名を挙げての正式な選挙の公示、そしてその7日後に選挙の予定なのだが……
 このままでは、選挙の実施自体が不可能になる。
「―――仕方ない、あんた出ろよ」
 ディケイルがソウを見た。
「イヤだ」
「……即答かよ。――でも、今の調子でいけば、出れば必ず、国家主席になれるぜ?」
 ――それならば、もっと出たくない。
 だが、このままでは、本当に俺に押し付けられかねない。何とか、それを回避する手段はないだろうか……?
 考えた末、ソウは言った。
「―――仕方ない。ディケイル、おまえが出るのなら、俺も出てやる」
 ……こうすれば、少なくとも、俺がディケイルよりも票を稼ぐ事はあり得ない。
「誰だって、先に手を上げるヤツが居なければ、動きたくないモンだ。おまえが真っ先に名前を書けば、出てきてくれる人がいるかもしれないだろ?」
「――まぁ、そうも言えるな。
 俺に『国家主席』なんて任せられないと思って、誰か、出てきてくれるだろう」
 
 ――こうして、ディケイルとソウは、立候補者名簿に名前を書く事となった。
 それから、ディケイルはフラリと出掛けたのだが、帰って来ると、名簿にもう3人名前が追加されていた。――自分が当選する可能性を減らすための工作に見えなくもなかったが、ともあれ、候補者が5人出揃ったところで、募集は締め切られ、7日後の選挙に向けて、選挙運動が行われることとなった。
 
 「―――おまえは、『街頭演説』とかしないのか?他の3人は頑張ってるぞ?」
「だから、言っただろ。俺は引きこもりだから、人の集まる場所が苦手なんだよ。――あんたこそどうなんだ?」
「日々の業務が忙し過ぎて、選挙活動どころじゃない」
 言い訳のようにも聞こえるが、それは事実だった。
 
 中でも、もうすっかりサラ地となった、旧第3コロニー跡地を、軍用施設として再利用する計画が難題だった。建設費にしろ人件費にしろ、「金が無い」のだ。
 ディケイルは、
「金など、いくらでも『印刷』すればいい。――それが国家の特権だ」
と呑気な事を言っているが、その『紙幣』がまだ存在しない以上、どうやって、計画を進めて行けばいいのやら……。
 だが、だからと言って、先送りにしていては、地球と本格的な戦争になった場合、非常に不利な状況で戦わなければならなくなる。
 
 それだけでは無かった。
 選挙の実施が決まった直後の事だったが、ディケイルを案内して、鉱山地帯の一角にある、「ラボ」に行った時のこと。
 この「ラボ」は、8つあるガニメデ鉱山群の、全ての設備の製造、修理、メンテナンスを担当する工場だ。――ジョルジュが、本来、ここの所属だったりする。
 製造途中なのか修理中なのか、不完全な形のダンプカーやゴリアテのところで作業している職員に向かって、ディケイルは呼び掛けた。
「みんなに、『一大プロジェクト』を任せたい」
 その声を聞いて集まって来た技術者たちに、ディケイルは言った。
 
 「アニメに出てくるような、『巨大戦闘ロボット』を作って欲しいんだ」
 
 ――一同はポカンとした。
「……そんなモノ、どうやって作るんですか?」
 技術者のひとりが言うと、ディケイルは、広い床に横たわったゴリアテを指した。
「アレを、少し改良すれば、できないかな」
「たとえ、そんなモノがたとえ出来たとして、どう使うんだ?」
 ソウも、巨大戦闘ロボットが活躍するアニメは、いくつか見た事がある。――しかし、あれは「空想」の世界であって、実際に戦場で使えるとは、とても思えない。
 だが、ディケイルは本気なようだ。
 
 「ライトフライヤーに実際に乗ってみて思ったのだが、アレは、対戦艦には役に立たない。
 『ドミニオン』のような、近頃の戦艦には、レーザー攻撃が通用しない装甲が使われている。それなのに、ライトフライヤーは、レーザー砲が主要武器で、ミサイルの搭載量だって、数が知れている。――要するに、ライトフライヤーが何機集まったところで、戦艦は墜とせない」
 ……まぁ、何となく分かる気はする。
「じゃあと言って、今、俺らの持ってる戦力は、『ドミニオン』1隻キリだ。さすがの最新鋭の巨大戦艦と言えども、多数相手に1艦で相手をするのは、厳しい。
 ――そこでだ。俺は考えた。今あるモノで、相手の戦艦を墜とす方法はないものだろうか――」
 ディケイルは、ゴリアテに顔を向けた。
「――それが、アレだ。
 ライトフライヤーに、直接的な物理攻撃をさせるのは無理だが、アレならできる。――例えば、岩盤を割り砕く時のドリルのようなものでいい。それを持たせて、相手の戦艦へ近付き、横っ腹に穴を開ける。――その中へミサイルを投げ込めば、相手はドカン、だ」
 
 ………すごい。それならば、ゴリアテ1機で戦艦1隻を相手にできる!
 周囲の技術者たちもざわめいている。ディケイルの案に感銘を受けたようだ。
 ――しかし、とソウは思った。
「だが、ディケイル、それは難易度が高すぎないか?
 理論上は可能だが、まず、前提条件として、『相手の戦艦に近付く』という必然性が出てくる。――敵が、そんなに簡単に近付けてくれるとは思えないのだが」
「そりゃ当然だ。相手だって、近付かせまいと必死で弾幕を張ってくるだろう。……だから、あんたたち技術者の腕の見せ所になるんだ」
 
 ディケイルはゴリアテに近付き、「脚」に当たる部分に手を置いた。
「まず、宇宙空間で活動できる仕様にしてもらわないと困る。動力も、今のものではダメだ。――『G-883』を使ってもらう。ガニメデでは、ウランやプルトニウムよりも、そちらの方が手に入りやすい。
 それに、平面を二足歩行するだけでなく、三次元の中を、自由に飛び回れる機動性が無ければいけない。それも、敵の弾丸を見切れるような、飛びっきりの機動性が。――アニメみたいに、背中にブースター的なモノを付けて、その推進力で動くという感じだろうか?
 逆に、重力圏内での行動能力は考えなくていい。戦艦で宇宙へ運んで、無重力圏内で放出する。
 ――あとは、武器―――」
 ディケイルは、今度は隣のダンプカーを見た。……一同も、それに合わせて顔を向ける。
「ドリル、もしくはチェーンソーのような、物理的破壊力のあるものが理想だ。――レーザー武器は、とりあえず、考える必要はない。―――どうだ?できるか?」
 
 技術者たちは、メカニックが好きでこの道を選んだくらいだから、当然、昔はロボットアニメに憧れていた時代があったに違いない。目の輝きが、先程までとは明らかに違っていた。
「……そんなのを、作ってみたいと、憧れてました」
「難しいプロジェクトですけれども、僕たちの力を合わせて、やってみせます!どれだけ時間が掛かろうが、必ず、作り上げてみせます!」
「――いや、それが、あまり時間が無いんだ……」
 ディケイルは頭を掻いた。
 
 「1ヶ月でできないか?」
 
 「―――い、1ヶ月!?」
「……実際のところ、地球側がいつ攻撃を仕掛けてきても、おかしくない状況なんだ。できれば、それまでに、使える状態にしておきたい。……恐らく、そうなった時、これが『切り札』になる」
 先程までの勢いはどこへやら、技術者たちは顔を見合わせた。
「――あ、あの、お言葉ですが、普通のゴリアテを1機作るのにも、フルメンバーで取り掛かって、3ヶ月はかかるんです。……1ヶ月は、さすがに厳しいかと……」
「火星にも協力を頼むつもりだ。――あちらの方が、そういう技術は進んでる」
「だが、火星は中立の立場を取っている。こんな、武器の開発に協力してはくれないだろう」
「なに、『戦闘ロボット』の開発と言えば無理だろうが、『G-883を使った高性能推力システム』の開発とでも言えば、何とかなるだろう」
 ――何だか、詐欺のようでもなくはないが……。
 
 こうして、火星をも巻き込んだ、「巨大戦闘ロボット」の計画も進んでいるので、そちらの進行状況もチェックしなければならない。
 ソウにとっては、正直、選挙どころではない。
 
 しかし、時間だけは確実に過ぎ、選挙日当日。
 どれだけの人が投票に来てくれるだろうか。それが気になっていたのだが、その心配は無かったようで、「15歳以上」と定めた有権者のそのほとんどが、投票に訪れた。
 ――「15歳」という年齢が、ディケイルにはこだわりだったようで、
「一般的な就労可能年齢が15歳なのに、社会人として働いている彼らに選挙権がないのはおかしい」
という考えからだったようだ。
 
 ――そして、その集計結果―――。
 
 95%という驚異の得票率で、ディケイル・ウェイニーが初代ガニメデ自治政府の代表に決まった。
 
 「――まずい、これはまずいぞ」
 艦長室で知らせを聞いて、ディケイルは頭を抱えていた。
「何が?」
「……俺は、自分では『軍人』だと思っている。周囲もそう見ているだろう。――そんなヤツが国家主席になどなったら、軍事政権になってしまう」
「………何か、問題でもあるのか?」
「『民主主義』とは、シビリアン・コントロール(文民統制)でなければいけないんだ。『軍』が『政府』の上に立つような事は、絶対にあってはならない。
 ――俺は、軍事政権の首班になど、なりたくない」
 ……今頃、何を言っている?
「ならば、なぜ立候補なんてした?」
「あんたにそそのかされたからだよ」
 ……ごもっともで。
「――それに、俺に投票しようなんて奇特なヤツが、こんなに居るとは、全く想像もしてなかった。みんな、気がヘンなんじゃないのか?」
 ………それは、本気で言っているのか?
「しかし、これは『民意』だ。それを受け入れなければ、それこそ『民主主義』に反するだろう?」
「…………」
 
 それからも、しばらくブツブツ言っていたが、やがて諦めたように、ため息をついた。
 
 「……ところで、ソウ」
「何だ?」
「――『国家主席』って、何をやればいいんだ?」
 
 ………かなり前途は多難なようだ。


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