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碧井 湊
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 ソウは慌てて追い掛けたが、ディケイルは既に地下駐車場に降りていた。……平然とした顔で助手席に座っている。仕方なく、ソウは運転席に乗り込んだ。
「――そういえば、この車、どうすればいいんだ?」
「レンタカーだ。そのへんに乗り捨てておけば、片付けてくれるだろう」
 ……まぁ、フォンシェが何とかしてくれるか。
 ――何となく、それ以上は会話が続かないまま、空港前のホテルに着いた。行きはぐるぐる回らされたので分からなかったが、あのマンションは、空港の目と鼻の先だった。地理が分からないソウでも、迷う事無くホテルに到着できた。
 フロントで確認すると、既にシングル2部屋の予約がされていた。……あまりの手はずの良さに、ソウは舌を巻いた。
 キーを受け取ると、ディケイルはさっさと自分の部屋に行ってしまったので、ソウも部屋で休む事にした。
 広くは無いが、圧迫感がある程狭くも無く、落ち着いた雰囲気の部屋だった。ベッドの感触も良い。――行きの旅客船の寝台では、さすがに熟睡はできなかった。その前の晩も寝ていない。フゥと息を吐くと、ドッと疲れが押し寄せて来た。
 一応、携帯端末を確認してみる。――十数件の着信履歴が残っていた。……まぁいいや。ガニメデに戻るまで無視しておこう。
 ――だが、あいつにだけは連絡を入れておこう。ソウはボタンを押した。
 
 「……こんばんわ!」
 受話器の向こうで、元気の良い声がした。――マタルだ。
「お土産、忘れてませんよね?」
 ……そういえば、忘れてた。明日、空港で何か買って行くとするか。そのくらいの無駄遣い、フォンシェも許してくれるだろう。
 ソウは、ディケイルが無事だった事と、明日の便で連れて帰る事を告げた。
「――そうなんですか!レイが喜びますよ。……元帥の事、相当心配してたんで。
 詳しい事はよく分かりませんけど、何か、レイと元帥、元帥が居なくなる前にケンカしてたみたいで、そのせいで居なくなったんじゃないかって……」
「それは違う。レイにも知らせて安心させてやってくれ」
 ――全く、あんな子供にまで心配かけておいて。……保護者失格だ。
「あと、それと……」
 マタルは何か言いかけて、考え込むように黙った。
「どうした?」
「一応、連絡だけしときます。――参謀長が火星に行く前、難民船が来ましたよね?」
 ……あ、そういえば、その事をディケイルに連絡するのを忘れていた。まぁ、明日言えばいいか。
「あの中に、――ブライアンが居たんです」
「ブライアン、って?」
「学校の同級生『だった』んですけど、――マルコー・コロニー長の息子です」
 ―――何だって?
 マタルの話では、ニーナと一緒に難民の宿泊所へ食事を運んで行った時、たまたま見かけたのだそうだ。
「本人に話し掛けてみたんですけど、やっぱり、ブライアン・マルコーでした」
「……その子が、何で、ガニメデに戻って来てるんだ?」
「さぁ。聞いても教えてくれませんでした。でも、一応報告しといたほうがいいかな、と思って……」
 ――確かに、おかしい。なぜ、ガニメデを追放された「社員」の家族が、難民としてわざわざガニメデに戻って来たのか――?
 ……イヤな予感がする。
 マタルに、お礼とおやすみの挨拶をして、ソウは電話を切った。
 部屋の内線を使ってディケイルに連絡しようか考えたが、やめた。――そういうのが嫌いだから、携帯端末の番号を教えないと言っていた。俺自身も、それは理解できる。……どちらにせよ、今知らせたところで、ガニメデに着くのは3日後だ。それまではどうしようも無い。明日知らせれば十分だ。
 
 ソウはシャワーを浴びて備品のパジャマに着替え、ベッドに入った。――やはり、なかなか寝付けなかったが、そのうち、疲れとベッドの心地良さに負け、眠りに落ちた。
 
 
 
 昼食の時、マタルに声を掛けられたのには、正直驚いたが、だが、動揺はしなかった。……まさか、こんな早い時期にとは思わなかったが、いつか、素性がバレるのは分かっていた。
 「後日、個別に身元確認を行いますので……」
 あの、総務大臣だか何だかの男は言っていたが、あれから3日も経つが、何も無い。ただ、食事をする場所と自分の部屋を往復するだけの、何も無い日々が続いていた。
 ――やる気あるのか?……そんな事さえ思えてきた。
 
 だが、意外にも、「同居人」のマーガレットが、ブライアンの事に興味を持ってきた。
「――ねぇ、アナタ、ガニメデにお友達が居るの?」
 夕食が終わり、他にする事も無く、部屋で寛いでいると、マーガレットがブライアンの前に座った。……寝転んでいる顔の前で、ミニスカート姿であぐらをかくのは、勘弁願いたい。
「昼間、男の子に話し掛けられてたじゃない?」
「友達じゃないよ。――元、同級生」
「そうなんだ……。てコトは、アナタ、ガニメデに住んでた事があるの?」
「うん」
「――アナタの名字、『マルコー』っていうのね。どこかで聞いた事があるわ」
「………」
「思い出した!もしかして、ガニメデ・コロニーで責任者をしてた、あのマルコーさん?――ってコトは、アナタ、彼の息子さんなのかしら?」
 マーガレットがパンと手を叩いた。――その様子があまりにも演技臭くて、かえってブライアンは奇妙に思った。
「……それがどうしたの?」
「マルコーさんはね、地球に居た頃、ワタシのお客さんだったの」
 ……嘘だ。いくら父さんでも、こんなオッサンの店に通う程、もの好きじゃない。
「演技はいいから、本当の事を言ってよ」
 マーガレットのヘタ過ぎる芝居にウンザリして、ブライアンは言った。
「僕が『マルコー』の息子だったら、どうするの?」
 すると、マーガレットは表情を一変させた。――これまでの、愛想のいいオカマの顔では無い。……無表情だが、凄みを感じさせる顔。ブライアンは驚いて起き上がった。
 
 「ワタシの『協力者』にならない?」
 
 マーガレットはニコリとした。が、その目は笑っていない。――ブライアンの背筋を、冷たいものが走った。
「………どういうこと?」
「ワタシね、ガニメデに恨みを持ってるの。――特に、ディケイル・ウェイニーに」
 マーガレットは、暗い光を放つ目を、ブライアンの顔に据えたまま、言った。
 
 「あの男、何者だか知ってる?――とんでもない『人殺し』よ。
 マーガレットの視線は、遠くを見るように、ブライアンの頭上を越えた。
「ワタシ、好きだった人が居てね。――警備員をしてたの。銀行の輸送車の運転とか、そんなお堅い仕事をしてたわ。……だから、あまり表立っては付き合えなかった」
 ――通貨が「CP」に統一されたとはいえ、国家間での取引とか、一部では「現金」が使われている、という噂は聞いた事がある。……それを狙う強盗とヒーローが戦いを繰り広げる映画が、ガニメデに居た当時、人気になっていた。
「ある時、彼が運転する現金輸送車が襲われてね。――彼は、殺されたわ」
 マーガレットは、相変わらずブライアンの背後を見ている。……その目に、少し光るものが浮かんだ。
「強盗に撃たれたの。――警察が捜査したけど、結局、犯人は捕まらなかった。でも、ワタシは諦められなかった。だって、唯一の生き甲斐である彼を殺されたんだもの。ワタシはひとりで捜査しようと思った。
 それで、彼の交友関係とか、仕事場での様子とかを調べ始めた。……そうしたら、怪しい人物が浮かんできたの」
 マーガレットは、脇に置かれたポーチから、1枚の写真を取り出し、ブライアンの前に置いた。――あまり鮮明では無いが、この黒髪とグレーの瞳の痩せた男は、間違いない。ディケイル・ウェイニーだ。
「それから1年以上、この男を探したけど、見付からなかった。――当然ね。地球に居なかったんだから。
ガニメデで暴動が起きたっていうニュースを見て、ビックリしたわ。……この男が、『革命』だの『自由』だのと、偉そうに語ってるじゃない?
 ――ワタシは確信したわ。こいつ、ディケイル・ウェイニーは、その『革命』とやらの資金を調達するために、現金輸送車を襲った。……そして、彼を殺した。
 その金をバラ蒔いて、この『革命』を、一見、成功させたように見せた。――金に釣られて集まって来たガニメデの人たちも、共犯よ。
 ……こんなくだらない事のために、彼は死ななければならなかったの……?そう思ったら、涙が止まらなかったわ」
 マーガレットは、だが、涙では無く、怒りに燃えた鋭い光を目に宿していた。
「……だから、私は、ディケイル・ウェイニーに、そして、ガニメデに復讐してやると誓ったわ。――必ず、あいつを殺して、その正体を暴いてやるわ」
 その後、マーガレットは哀しい目をブライアンに向けた。
「――あなたやマルコーさんだって、被害者なのよ。なのに今は、こんなにみじめな思いをしていなきゃならない。こんなの、どう考えたって間違ってるわ」
 そう言って、マーガレットはブライアンを抱きしめた。
「……一緒に、復讐しましょ。そして、私たちが正しい事を、ガニメデの人たちに分からせてやりましょ」
 
 ――ブライアンは何も言えなかった。
 ただ、これまでに受けて来た辛酸たる扱いを思い出し、涙を流すしか無かった。
 
 ……これは、僕にとって、とんでもない幸運なのかもしれない。
 今、ブライアンは、あまりにも力が無い。「復讐」を実行できる金やら実力やらを身につけるまでに、どうすればいいのか、どれだけの時間がかかるのか、正直分からなかった。
 だが。……今、目の前に、それらを兼ね備えた人物が居る。そして、強い恨みを持つターゲットもブライアンと同じ、ディケイル・ウェイニーとガニメデだ。
 ―――果たして、どこまで信用していいのだろうか?
 そうも思ったが、だがその疑問はすぐに消えた。……こんな話をブライアンにしたとして、何の得がある?自分の計画を他人に聞かせるというのは、それだけ自分に不利になる事だ。敢えてそれをした、という事は、……それだけ『本気』であるに違いない。
 第一、「オカマ」とか「ゲイ」という人は、自分に素直でないと、それを表現できない。だから、基本、正直な性格であるというイメージがある。
 
 マーガレットの腕が苦しくなってきた。ブライアンは涙を拭い、その手を振り解いた。
「……僕も、あいつらに復讐してやりたいと思っていたんだ。だから、僕にできる事なら、協力するよ」
「―――本当?」
 マーガレットは嬉しそうにブライアンの手を握った。
「こんなところで、協力してくれる人が見付かるなんて、思ってもいなかったわ。最高に幸運ね」
「――で、何をする気なの?」
 ブライアンは、マーガレットがどこまで『本気』なのかを確認する意味でも、聞いてみた。すると、マーガレットは、
「う~ん、実は、まだ具体的には考えて無いの。とりあえず……」
と言って、大きな化粧ポーチから、何やら取り出して、ブライアンに渡した。――それは、小型のハンドガンだった。ずしりと重い。……本物だ。
「アナタ、子供だから、相手も油断して、あの男に近付けるかもしれない。そうしたら、これ使って。……本当は、自分で撃ってやりたいんだけど、アナタの仇はワタシの仇でもあるんだから、どっちでもいいわ。
 ――弾は1発だけ入ってるわ。……本当は、事を成し遂げた後、『自殺』するために持って来たの。でも、アナタに預ける。――誰にも見せちゃダメよ?いいわね」
 ブライアンは銃の冷たい重量感に圧倒され、ウンとうなずいた。――間違いない。『本気』だ。
 そして、ある疑問が頭に浮かび、マーガレットに聞いてみた。
「――だけど、マーガレット……さんは、どんな武器を使うの?これだけじゃないでしょ、持ってきたの」
「いいえ。そんなにいろいろ武器なんて持って来れるワケないじゃない。これだって、荷物検査されたら確実に没収されてたわ。運が良かっただけよ。
 ――本当の武器は、コレよ」
 マーガレットはそう言って、化粧ポーチを開いた。
 
 そこには、マスカラや口紅では無く、ドライバーやペンチといった工具類が、ズラリと並べられていた。


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