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 ソウは、軍本部の事務所でソワソワしていた。
 ――ディケイルがブライアン・マルコーを自宅に呼んで聴取すると言い出した時は、猛反対した。
「いくら子供とはいえ、相手はマルコーの息子だぞ?おまえを逆恨みして、何をしでかすか分からない」
「だから、敢えて俺と一対一で話そうっていうんだ」
 ――ますます意味が分からない。
「……せめて、カメラか盗聴器でも……」
 ソウが言うと、ディケイルが白い目を向けてきた。
「あんた、いつから地球の手下みたいな事を考えるようになった?」
 
 現に、火星から戻ってから、ディケイルは、コロニーじゅうに設置されていた監視カメラ類を、全て撤去した。――「独立」後、地球との通信は切れているとはいえ、「国内」で傍受されてそれを火星経由で地球に送られたら、取り締まりようが無い。ガニメデ国内に、既に「スパイ」が潜入している、と考えているのだ。
 ――キャサリン女史あたりは、「治安上問題がある」と反対したが、ディケイルが他の議員たちをうまくまるめ込んで、許可を取ってしまった。
 
 ……学校が終わってから、レイが一緒に連れて帰って来ると言っていた。
「万一、ブライアンがレイを人質に取るとか、そんな事があったら……」
 ソウが心配したが、ディケイルは呆れたような顔をしただけだった。
「考え過ぎは寿命を縮めるぜ?」
 ――まぁ、とにかく、そろそろ時間だ。一体、どういう事になるのやら……。
 
 しばらくすると、事務所のドアが開き、……レイが入って来た。
「レイ!――大丈夫か?」
 ソウは思わず立ち上がったが、レイは不思議そうな顔をした。
「大丈夫、ですけど……、――何かありましたか?」
「あの、――様子はどうだ?」
 入口近くの空いている席にレイを座らせ、その隣にソウも椅子を持ってきた。
「普通ですよ。――ここで待ってろと言われたので、来ました」
 レイは、机の脇に置いてあった、火星土産のクッキーの残りに手を伸ばし、パクリと口に入れた。
「そうか。……何か、変わった事は?」
 あまりしつこくソウが聞くからか、レイは少し迷った様子を見せてから、言った。
「元帥には、参謀長には絶対に言うなって言われてたんですけど……。実は、ブライアン、――銃を持ってます」
「えっ――!!」
 だから言わんこっちゃない!ソウは事務所から飛び出そうとした。――が、レイがそれを制した。
「でも、元帥は大丈夫です。――僕には分かります」
 ……ソウの年齢の半分以上も年下のレイが、落ち着き払ってそう言うので、ソウは無暗に動転した自分が恥ずかしくなってきた。――しかし、何を根拠に「大丈夫」と言っているのか……?
 レイはその後、宿題だろう、机にノートを広げだしたので、ソウはその場から撤収した。――勉強の質問をされては困る。
 
 ソウも、仕方なく、自分のデスクで書類の整理を始めた。……が、集中できない事に変わりは無い。つい、どこかで銃声らしき不審な音がしないか、耳を澄ませてしまう。
 
 ……しかし、特に異常は無いまま、再び事務所のドアが開いた。――ディケイルだ。
「ディケイル!――無事か?」
 再びソウは立ち上がった。だが、ディケイルもレイと同様、
「無事って?何かあったのか?」
と不思議そうな顔をソウに向けた。
「いや、――無事ならいい」
 ディケイルは、一番奥のデスク――の横にあるソファーにドカリと身を投げた。
「……話はどうだった?」
 ソウが聞くと、ディケイルは眠そうに話し出した。
 
 
 
 レイに叩き起こされてから間もなく、ブライアン・マルコーはやって来た。レイには、
「事務所に行ってろ。――ソウが居るだろうが、余計な事は言うなよ」
と念を押し、部屋から出て行かせた。
 ――ふたりきりになると、早速、ブライアンはハンドガンを取り出した。銃口を真っ直ぐにディケイルに突き付ける。
「おまえを殺す」
「あぁ、そうか」
 敢えて面倒臭そうにディケイルが言うと、ブライアンは逆上したように顔を真っ赤にした。
「なぜ、おまえが殺されなきゃならないのか、今から教えてやる!しっかり聞いて、後悔するがいい!!」
 
 ……ブライアンの話では、父親のマルコー元コロニー長は、地球帰還組の中で唯一クビになった。母親は気が触れ、その場から失踪。その後、父親とふたりで、ジュネーヴの街を彷徨う事になった。
 やがて、ディケイルが出立前に渡したメモリーカードの存在を思い出し、ミカエル・アイヒベルガーに「交渉」して、それを引き取ってもらう約束をした。
 ――だが、父親は裏切られ、無残に殺された。
 ひとり残されたブライアンは、ネットカフェを転々としつつ、メモリーカードのコピーの映像を巧妙にインターネット上にバラ捲いた。そして、それを一挙に公開する。
 作戦は大成功で、アース・コーポレーションに対する反感は確実に高まった。――が、その代償として、ブライアンは行き場を無くした。
 困窮極まったところに、ガニメデ行きの「難民船」の情報を聞き、それに乗って亡命、今に至る、と……。
 
 要するに、父親が死んだのはディケイルとミカエルのせいだ。そのせいで、自分はみじめな思いをしている。アース・コーポレーションにひと泡吹かせるほど有能な自分が、今の境遇にあるのは間違っている。
 ――だから、ディケイルを殺して、世界に自分の『正義』を認めさせてやる、という言い分だ。
 
 ディケイルは、一通り話を聞いた後、懇々と説教を始めた。
「――あのな、『自分が今不幸な境遇にあるのは他人のせい』と考えるのを、まず、やめたほうがいい。そうしないと、世間に出た時、出世できないぜ?」
「うるさい!おまえに言われる筋合いは無い!」
「まぁ、黙って聞け。
 ――まず、おまえの父親が死んだのは、俺のせいでもミカエルのせいでも無い。いくらでも、こうならないで済む手段はあった。
 ……俺が第3コロニーへ避難命令を出すように頼んだ時、素直にそれを聞き入れてくれていたら、今もコロニー長で居られただろうし、地球に帰らなければならない状況にはならなかった。……つまり、『クビ』にはならなかった。敢えて地球に帰る選択肢を選んだ事が間違ってる。ガニメデを追い出されて地球に逃げ帰って来たとあれば、ミカエルは誰かに責任を取らせる。それが、一番立場の高い、おまえの父親である事は、考えなくても分かる。クビになるのは、ガニメデに居る時から分かっていたんだ。
 それに、俺が渡したあの映像のせいで『殺された』みたいに言っているが、じゃあ、俺があの時、映像を渡さなかったら、殺されないで済んだのか?――遅かれ早かれ、ホームレスとして『処理』されている。……そもそも、アレをネタにミカエルを強請ろうなんて欲をかいたから、その時期を早めたんだ。アレの正しい使い道は、『こんなモノをディケイル・ウェイニーに渡されました。私はアイツのような姑息なヤツが許せません。是非、もう一度、ヤツにリベンジするチャンスをください』と、ミカエルに頼み込む事じゃなかったのか?謙虚な態度で出れば、ミカエルだって、まさか殺そうとはしなかったハズだ。
 ――おまえの父親は、重ね重ね、最悪の選択肢を辿って行った。自業自得だ」
 ……ブライアンは、苦しそうな表情で黙った。――偉そうな事を言って、やはり子供だ。少し言葉で押してやると、すぐに心が折れる。
 
 「それと、あとひとつ。
 ――他人に乗せられているのを、自分の『才能』だと思うのは危険だ。確実に身を滅ぼす。自分の実力をしっかりと見極め、能力を過信するな」
 そう言うと、ブライアンは明らかに動揺した。……さては……。
 
 ブライアンがガニメデ暴動の映像をネットで流した件を言ったつもりだったが、この反応の仕方は、「今現在」のこの状況も、誰かに乗せられているのかもしれない。となると……。
 
 ディケイルは、慎重にそこを掘り下げていく事にした。
「――で、難民船の情報は、どこで聞いた?」
「………」
「インターネットの掲示板、だな」
 先程ブライアンがしていた話から推測した当てずっぽうだが、図星だったようだ。ブライアンの目が泳いだ。
「そして、そこで言われた通りの場所へ行った。――おまえ、船に乗ったの何番目だった?」
 ――ブライアンは、あまりにもどうでもいい情報だと判断したのだろう。素直に答えた。
「……最後」
「ひとりだったか?」
「………?」
「ひとりじゃないだろ?誰か、その船に案内してくれた人が居たはずだ。でなければ、勝手に知らない船に乗り込んだ事になる」
 ブライアンは、案内人が居たという意味だろう、コクリと首を縦に振った。
「――そいつは、今、同じ部屋で暮らしているヤツか?」
 ブライアンは黙った。――明らかに警戒している。……という事は、肯定の返答をしたも同然だ。
 
 「……分かった。いろいろ情報を教えてくれてありがとう。もう行っていい」
 ――ディケイルはそう言って、ソファーに寝転がった。
「………おい!僕は本気だぞ!?今からおまえを殺すんだぞ!!」
 ディケイルの態度に腹が立ったのだろう、ブライアンは金切り声を上げた。
「撃ちたきゃさっさと撃てばいいだろ。止めはしない。
 ――だが、ひとつだけ言っておく。俺は、弾を『見切れる』」
「………!?」
「だから、絶対に当たらない。――それ、弾が1発しか入って無いだろ?」
 ブライアンは驚いて目を見開いた。
「充填器の位置で分かる。……せっかくの弾、こんなところで無駄にするな」
「――だ、黙れ!!」
 ブライアンはソファーに近寄った。――ディケイルと銃口との距離は、1mを切った。さすがにこの距離なら、避けられないと踏んだか。
「それと、もうひとつだけ」
 ディケイルは、ソファーの上にゆっくりと起き上がった。
「―――安全装置、外れてないぜ?」
 その言葉に、ブライアンは明らかに動揺した。
 
 その隙に、ディケイルは動いた。
 足を振り上げ、ブライアンの手を狙う。――手の甲を蹴られたブライアンは、その衝撃でハンドガンを取り落とした。
 痛む手を押さえるブライアンの前で、ディケイルは悠々とハンドガンを拾い上げた。
「……安全装置ってのはな、ここ、トリガーが動かないように固定するレバーで、……こうやると、外れる。分かったか?」
 
 
 
 「――で、その、ハンドガンはどうした?」
 呆然、というより、唖然として話を聞いていたソウは、その結末を促した。
「返した」
「………はぁ?」
 ソウはさらに呆気に取られた。
「そもそも、俺があいつからハンドガンを取り上げる理由が無い。
 ――銃を取り締まる法律も無ければ、銃を取り締まる権限も無い。ヘタにそんな事をすれば、俺が泥棒扱いされる」
「し、しかし、ブライアンは銃をおまえに向けていたんだよな?……立派な『殺人未遂罪』じゃないのか?」
「安全装置が掛かったままの銃でか?――『殺人未遂』を問うにしても、その『殺意』にすら疑問が生じる状況だぜ?」
「しかし……!――もし、他で銃を使われたら……」
「あいつにそんな度胸は無いさ。あれだけ時間があったクセに、一度も本気で引き金を引こうとはしなかった。
――しかし、まぁ、この『対談』には意味はあった」
「………?」
「『スパイ』の正体が分かったからな」
「えっ……!!」
 全部マジメに話を聞いていたつもりだが、そんな話が出ただろうか……?ソウには全く見当が付かない。――が、とりあえず、ディケイルに言われるまま、ブライアンと同じ難民船に乗ってガニメデに来た人物の名簿を見せた。
 ディケイルは、ひとりの人物を指し示した。
 
 「――マーガレット・ローズ。こいつがスパイだ」


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