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24.  死角
 
 
 いつの間にか、レイは姿を消していた。用事が済んだと見るや、自宅へ帰ったのだろう。――大人の会話には立ち入らない。マタルもだが、そういう妙に気を遣う、子供らしくない面がある。
 
 「――な、なんでそうなるんだ?」
 『スパイ』の正体が、マーガレット・ローズ。――いかにも偽名臭い。写真を見て、あの「女装の男性」かと、ソウは思い当った。――それはいいが、なぜ、今の話から、こういう結論になるのか?
 ディケイルは明らかに面倒臭そうだったが、仕方ないといった様子で話し出した。
 
 「……まず、ブライアン・マルコーが何者かに誘導されて、難民船に乗った件。これは分かるだろ?」
「―――なんで分かるんだ?」
 ディケイルはため息交じりに頭を掻いた。
「つまり、難民船の存在を、インターネットの掲示板で知った件。――ブライアンは、以前からインターネットの掲示板はよく利用していた。ガニメデ暴動の『映像流出』を行った時にも使っていたくらいだ。ブライアンがどの掲示板を使っているかくらい、その気になれば容易に探し出せる。そこに、難民船の情報を流し、ブライアンを誘導した」
「なるほど……」
「それは、推測に過ぎないが、『船に最後に乗った事』が、決定的な証拠だ」
「……は?」
「だってそうだろ?ブライアンは、難民船に乗る『予約』をしていなかった。定員が決まってる宇宙船に、予約も無しで人を集めるとは考えられない。なのに、船は予約者全員を乗せていたにも関わらず、最後にブライアンを乗せて、出港したという事になる。……明らかに、ブライアンが来るのを知ってて待ってる」
「………」
「それに、案内人。――普通、案内人とかそういう仕事って、『主催者』に当たるヤツがやるだろ?なのに、ブライアンを船に乗せたマーガレットは、素知らぬフリで一般の難民を装っている。……不自然じゃないか?
 そして最後に、そのマーガレットがブライアンと同室の件。意図的としか思えない」
 ――まぁ、言われてみれば、そうとも思えてくるが……。
「だが、ちょっと待て。――難民を2人同室にしたのは、俺の判断だ。そこまで『向こう』は予測できたか?」
「いや、『同室』は必須条件じゃない。――ただ、他の人間よりも親しくなっておく、それでいい」
「…………」
「確証は無いが、ブライアンにハンドガンを渡したのも、マーガレットだろう。でなければ、ブライアンが自力で銃を手に入れたとは考えにくい」
「それこそ、インターネットで……」
「あいつ、銃の使い方を知らなかったんだぜ?インターネットで買ったのなら、当然、その使い方も調べていて当然だ」
「――だけど、それなら、マーガレットがブライアンに銃を渡したとして、何で使い方を教えてなかったんだ?」
「『ブライアンが銃を持っている』事が重要だったんじゃないか?」
「………??」
「つまり、俺らの疑惑の目を、ブライアンに集中させておきたかった、って事だ」
 ――なるほど。……少々強引な推理な気もするが、それなら、筋が通っている気がする。
 
 「だが……」
 ディケイルはソファーの上で伸びをした。
「マーガレットを捕まえる事はできない」
「………なんで?」
「証拠が無いだろ?――それに、『スパイ』を取り締まる法律が、そもそも無い」
「…………」
 ――全く、無い無い尽くしだ。
「そして、何より、『スパイ』の目的が分からない」
「………え?」
 
 『スパイ』。――実際にそんな人物にお目にかかった事は無いが、映画やドラマで、何となくイメージは持っている。
 特殊なカメラなどを駆使し、機密情報を手に入れる。――そして、時には人を殺める事もいとわない。
 
 「――今、ガニメデに、そんなに隠しておかなきゃならない『機密情報』なんてあるか?」
 ……そう言えばそうだ。まだまだガニメデは内政が未発達で、混乱している。その分、情報はかなりオープンになっていて、地球はともかく、火星に行けば、今のガニメデの状況は事細かに分かるだろう。
 ――強いて言えば、ディケイルとフォンシェの関係と、「巨大戦闘ロボット」の件。しかし、前者はディケイルの個人的な内容が強いので、ディケイル本人から探らなければ、普通にスパイ活動をしたところで、得られる情報では無い。後者は、……確かに、知られては困る情報だが……。
「じゃあ、なんでそんな手の込んだ事を……?」
「…………」
 ディケイルは黙って考え込んでいる様子だった。
 ディケイルに分からない事を、ソウが考えても、答えが見つけ出せるハズが無い。ソウは書類整理の作業に戻ろうとしたが……
 
 ――正体不明の不安で、頭の中にモヤがかかり、なかなか集中できなかった。
 
 
 
 その夜。
 レイはいつものように、食事の準備をしていた。
 
 ディケイルに普通の食事をさせるのは諦めた。――マックの奥さんのマリーが「料理が得意」と聞いて、一度、相談した事があるのだ。
 そしたら、マリーは言った。
「赤ちゃんって、最初はおっぱいを飲んで育つでしょ?その後、どうやって普通のご飯を食べられるようになるか、知ってる?」
「………?」
 『孤児院』出身ではあるが、自分で食事も食べられない程小さな子供は居なかったので、考えた事が無かった。――ソウが小さい時の事など、覚えてもいない。両親の顔すら知らないのだから。
「――初めはね、ご飯を柔らかく煮たものだとか、単純な味のものを食べさせるの。それに慣れてきたら、それに野菜を混ぜたりしてね。――調味料を使った『料理』を食べられるようになるのなんて、かなり後なのよ」
「へぇ~……」
「いきなり赤ちゃんにカレーライスを食べさせようとしても無理。――あなたの保護者さんも、それと同じなんじゃないかしら?」
 
 ――ディケイル本人が聞いたら確実に拗ねそうな内容だが、要するに、いきなり「料理」を出してもダメ、という事だ。
 フルーツをスタートとして、だんだん、味が混ざったモノに慣れされ、将来的に、いろいろな味をたべられるようになればいい。
 マリーの話を聞いて、レイは少し気楽になった。
 
 レイは、マリーに聞いて作ってみた、スペシャルドリンクをディケイルに出してみた。――見た目は、オレンジジュースに似ている。ディケイルも「油断」して、それに口を付けた。……そして、微妙な顔をしてグラスを止めた。
「――何か混ぜたか?」
「リンゴジュースをベースに、バナナとニンジンとホウレンソウと……」
 ――レイがそう言うと、ディケイルは吐きそうな顔をした。
「………不味いですか」
「いや……」
 分かってる。不味くはない。――だが、聞いてしまった以上、精神的に受け付けないのだろう。
 レイは、苦しそうな顔をしているディケイルの前に腰掛けた。
 
 ――前から、言ってみたかった事がある。
「……生意気を言うようですいません」
 先に断っておく。ディケイルは口を押さえたままレイに目を向けた。
「―――僕の事、信用してくれませんか?」
 思わぬ内容に、ディケイルは目を見開いた。
 レイは、ディケイルの目を見つめて、――だが、意識を送らないようにしながら、続けた。
「……元帥の食事に『毒』を盛るような人、僕たちの周りには居ません。
 せめて、僕の作るものだけでも、信じてもらえませんか?」
「…………」
 いくら、徐々に馴らしていくとはいえ、最初のハードルを越えてもらわなければ、それ以上前には進めない。
 
 ディケイルは、テーブルに肘をつき、手で顔を覆った。
「―――俺って、おまえにそんな思いさせてたのか」
 そう言ってため息をついた。……見ているレイの方が、何だか申し訳なくなってきた。
「……悪かった。――できるだけ、頑張ってみる」
 頭を掻き回しながら、ディケイルはグラスと向き合った。――オレンジ色の液体を眺めながら、それに挑むタイミングを図ろうと、呼吸を整えている。
 
 ――とりあえず、話し合いは成功したようだ。あとは言葉通り、頑張ってもらおう。
 レイは、見ているのも可哀そうだと思い、キッチンに向かった。自分の食べる分を作るためだ。
 ―――しかし、じゃがいものスープが完成する前に、インターホンが鳴った。火を止め、玄関のドアを開けると……
 
 そこに立っていたのは、ブライアン・マルコーだった。
 
 「……レイ、今、ちょっと時間いいか?」
「――どうしたの?」
「ちょっと、話があるんだ」
 ……こんな時間に、改めてしなければならない話とは何だろう?
「入って。――元帥居るけど」
 ――念のため、ブライアンの「思考」をチェックする。……今度は、武器は持っていなさそうだ。だが、―――何だろう?この「暗い」感じは――?
 
 ……ブライアンと共にリビングに入ると、ディケイルは未だにグラスと向き合っていた。若干、量は減っただろうか?
 
 「――何?話って」
 テーブルに案内して、ブライアンの前に、ディケイルと同じジュースを置いた。それには手を付けず、ブライアンは言った。
「あのさ、僕……」
 ブライアンは顔を上げた。――不自然に目が輝いている。
「おまえと一緒に学校から帰る時、――駅の前通るだろ?」
 ――確かに、学校から旧第3コロニー方面へ行く時には、必ず第2コロニー駅の前を通る。
「おまえが先に行っちゃったからさ。僕……」
 ブライアンはニコリとした。――その表情は、レイに戦慄を走らせた。
 
 「―――置いて来たんだ。……爆弾を」
 
 ディケイルもブライアンに鋭い目を向けた。その時。
 グラスを倒すほどの地響きと共に、強烈な轟音が襲った。
 
 「フハハハハハハハハ!!」
 ブライアンの狂ったような笑い声が、それを吹き消すかのように部屋に響いた。


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