忍者ブログ
オリジナル小説のダストボックス

WRITE | ADMIN

PR
カウンター
プロフィール
HN:
碧井 湊
性別:
非公開
自己紹介:
頭の中には、
いつも何かのストーリー。
なかなか、
文字にならないのが難点。

詳しい事はこちらへ。
メールフォーム
感想・ご意見等 お気軽にどうぞ
Powered by NINJA TOOLS
忍者サイトマスター
バーコード
ブログ内検索
当ブログの利用方法
★プラグイン最上部のブログタイ
 トルをクリックで、トップページ
 へ戻ります。
★トップページより、各小説タイ
 トルをクリックで、目次ページ
 へ進みます。
★プラグイン内「カテゴリー」から
 も、目次ページを開けます。
★小説各ページに「次へ」のリン
 クはありますが、「前へ戻る」
 リンクはありません。プラウザ
 内の「←」をご利用いただくか、
 一度目次ページへ戻るかして、
 ご覧ください。
アクセス解析


忍者ブログ [PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


web拍手 by FC2


 「―――教えてあげるよ。僕がどうやって爆弾を爆発させたか。
 ……不思議だと思わない?僕は今ここに居るのに、なんで爆発したのか。――もちろん、時限爆弾とか、そんな単純なモノ使ってないよ?ねぇ、聞きたいでしょ?この『魔法』を」
 
 聞きもしないのに、ブライアンはひとりで語りだした。――何も知らない人が見れば、自分の作ったモノの自慢をする、ただの子供だ。……だが、その内容を聞けば……。
 常軌を逸している。ディケイルの身体は、凍り付いたように動かなくなった。
 
 遠くで、救急車両のサイレンが響いている。それをかき消すように、コロニーの緊急警報のサイレンも鳴り出した。
 仮設住宅のあちこちで、部屋を飛び出す音や何かを叫ぶ声がする。軍のメンバーが、異常を察して災害救助の援護に向かおうとしているのだろう。
 
 「僕、知ってたんだ。――コロニーを回るシャトルって、1周回るのに、3、4時間かかるんだぜ?僕、確かめた事があるんだ」
 コロニー環状シャトルは、定期的に走っている訳では無く、人が乗れば動き、誰も乗っていなければそのまま止まっている。まともに乗って1周ぐるりと回れば、1時間もあれば周回できてしまうだろう。だが、乗客がまばらであれば、……確かに、数時間はかかる。
「――それでね、僕、駅に発信機を、シャトルに爆弾本体を仕掛けたんだ。……昼間の駅なんて、誰も居なくて簡単だったよ。その、発信機と爆弾本体の起爆装置ってのは、5メートル以内の距離に近付くと、爆弾を起動させるっていう、そういう仕組みになってるんだ。
 ……で、コロニーをぐるっと1周回って、駅へ戻って来た時、―――ドカンだ!
 どう?すごくない?」
 ――しかも、ちょうど帰宅時間を狙っている。住宅街と商業施設の集まる第2コロニー駅は、昼間とは打って変わって大混雑だっただろう。
 ディケイルの背中を冷や汗が流れ落ちた。
 
 ――レイをチラリと見ると、真っ青な顔で、ただブライアンのほうに目を向けていた。……まずい。
 
 「でさ、その後でここに来たじゃない?
 ――『元帥』がさ、偉そうに僕の事をバカにしてくれたけどさ、心の中じゃ、可笑しくて仕方なかったんだよ。笑っちゃいたいくらいにさ!……そうやって、僕に話をしてるヒマがあったら、爆弾を探すべきだったんだよ。バカだよね。
 レイ、おまえだって同じだよ。――僕がいじめてた事を気にしてないとか言って、心の中ではバカにしてたんだろ?知ってるよ?
 ……僕をバカにするヤツは、みんな死んじゃえばいい。当然の報いだよ」
 
 レイが突然、鋭い叫び声を上げた。
「イヤあああああああああああ!!」
 ――頭を抱え、蒼白な顔を歪めてその場に倒れた。……目が異常に充血して、真っ赤になっている。
 ディケイルには分かった。――爆発の犠牲者の「意識」が、周囲に飛び散り、それがレイの中を通過していくのだ。……苦悶の嘆きを残して。
 仮設住宅は、第2コロニーとの隔壁近くに設置されている。隣のコロニーの出来事とはいえ、距離でいえば、大して離れていない。――それだけ、「意識」も強烈に襲ってくる。
 レイの「意識」とリンクして、ディケイルもひどい頭痛がしてきた。
 
 ブライアンは、レイの居なくなった空間に向かって、話し掛けている。
「みんな、僕に騙されてたんだ。僕が、落ちるところまで落ちて、何にも力が無い、何もできない存在だと思ってたんでしょ?――バカだよ、全く。
 僕は、父さんなんかと違う。『才能』があるんだ。だから、このくらいの事、やろうと思えば簡単にできるんだ。
 ――自分の実力?能力を過信するな?
 僕をバカにするのはやめたほうがいい。僕は、自分の才能をよく分かってる。だから、こんなすごい事ができたんだ。……レイ?おまえにできるか?クラス一番のおまえにできるか?
 ――僕が一番なんだ。僕が……」
 ブライアンは、奇妙な笑顔のまま、――恐ろしく抑揚の無い声で語っている。
「本当は、爆発の現場も見てみたいと思ったんだ。バカな人間とか、バカな人間が作ったくだらないモノが壊れるところを、この目で見てみたいとも思ったんだ。
 ――だけど、ここに来て正解だったよ。
 おまえとか、父さんをバカにしたこいつの、こんなに絶望的な顔が見えてさ。
 ………ヘヘヘヘヘッ、最高だよ」
 
 レイは苦しそうに肩を揺らしている。
 ディケイルはほとんど無意識に動いていた。そして、ケラケラと笑うブライアンの襟元を掴んで立ち上がらせた。――顔を近付けるように持ち上げると、いくらディケイルが小柄だとはいえ、10歳の子供の足は半ば宙に浮いた。
 ブライアンの顔は、歪んだ笑いをこびりつかせたまま、ディケイルを見上げている。
「―――子供だから殺されないとか、そんな間の抜けた勘違いをしてないよな?」
 我ながら、大人げ無いとは思う。――だが、ディケイルは、この子供に対して、どういう対応をしていいのか分からなかった。ただ、怒りを込めた視線で突き刺す以外に。
 しかし、ブライアンは、ディケイルの凄んだ顔に、さらなる笑みを返した。
「殺したいのなら、殺せばいいじゃないか。さぁ、さっさと殺せよ。どうせ、殺せないんだろ?分かってるさ。――昼間、僕がおまえを殺さなかったのは、なんでだと思う?……おまえのこんな顔を見たかったからなんだよ?
 ――それと、もうひとつ教えてあげる。間が抜けてるのは、そっちのほうだよ?
 
 僕、爆弾を置いて来たと言ったけど、『1個』だとは言ってないよね?
 ……そろそろだよ」
 
 ディケイルは息を呑んだ。――心臓が握り潰されそうな動揺が身体を走る。
 急に手を放されたブライアンが床に転がり、……そのまま笑い転げた。
 
 次の瞬間、先程よりもさらに強い衝撃が、ディケイルの足元を揺らした。
 
 
 
 ソウは、たまたま事務所に残っていた。
 ――書類整理に集中できなかったから、余分に時間がかかってしまった、それだけの理由だ。
 しかし、何とかキリがつくところまで片付け、さて帰ろうと立ち上がった時、――足元が揺れた。
 ……地震か!?とソウは反射的にデスクの下へ隠れた。地球の日本の子供たちは、地震の時はこうするように教育されている。――そのクセが、未だに抜けない。
 だが、デスクの下でソウは思った。……そういえば、ガニメデに来てからというもの、「地震」というモノに出会った事が無い。
 同じく事務所に残っていたエドが、そんなソウに声を掛けて来た。
「――な、何があったんですかね?……にしても、何やってるんですか?」
 ……地震では無いようだ。ソウは若干照れを感じながら、デスクの下から出た。
「地震かと思ったんだ。――だけど、何だろうな?」
 まぁ、少なくとも、――ただ事では無い。
 ソウは、エドと共に、事務所の外に出てみた。
 事務所の前は、広場のようになっていて、マッド・テイラーやチャンが「訓練」に使っているスペースになっている。そこに、ソウたちと同じように部屋を飛び出してきた人が集まっていた。だが、誰も状況が分かっていない。
 そのうち、第2コロニー方面から、救急車や消防車のサイレンが聞こえてきた。それとほぼ同時に、誰かが
「第2コロニー駅で爆発があったぞ!」
と叫びながら走って来た。その声も、後半はコロニーの緊急警報サイレンにかき消された。
「た、大変だ……!!」
 隣でエドが緊張した声を出した。――ソウも帰ろうと思っていたように、今はちょうど帰宅時間だ。その最中の駅の爆発。……最悪の事態が予想された。
「救助に行こう!」
 ソウは言った。――今、この場に居る中では、俺が一番階級が高そうだ。ここは指示役に回るべきだろう。
 ソウは、周囲にいる人たちに思い付き次第に指示を出した。――備品倉庫にある担架やら消火器やらを現場に運べだとか、既に帰宅している軍のメンバーに連絡を取れだとか、ここを緊急救護所にできるように、空き部屋の整理をしろ、だとか……。
 家族が増えたため、ワンルームマンションから仮設住居の家族向けの部屋へ移り住んでいたマックも、いつの間にか現れて、ソウの指示を大声で伝えながら、荷物の運び出しをしていた。
「――マック、総司令官や副司令官とは連絡が取れたか?」
 彼らは、確か第4コロニーか第5コロニーに住んでいる。
「あぁ、連絡した。すぐに現場に向かうそうだ。――元帥は?」
 ……そういえば、この騒ぎなのに、姿を見かけない。何をしているのか……?
「後で呼びに行く」
「じゃ、こっちは頼んだぜ。この荷物運びがてら、俺も現地に行くからな」
「あぁ、分かった。――気を付けろよ」
 そう言ってマックを送り出した後、ソウは第1コロニーの自宅に電話をした。
 
 「……参謀長!大丈夫ですか!?」
 マタルが真剣な声を飛ばしてきた。
「あぁ、俺は大丈夫だ。――ニュースを見ていないのだが、今、テレビは見てるか?」
「はい、見てたとこです。……中継が始まりましたけど、ひどい状態ですね」
 ……どれほどの被害になるのか、想像が付かない。
「とにかく、危ないから、家から出るんじゃないぞ」
「分かりました」
「俺は、多分、今夜は帰れない。悪いが、ひとりでいい子にしてろよ」
「子供扱いしないでくださいよ!」
 ……全く、子供らしくないな。
 
 さて、ディケイルを見に行こう、と、仮設住宅のある区画に向かっていると、ニーナとカティに会った。――何やら慌てた様子で、カティがニーナの手を引っ張っている。
「どうしたんだ?」
「あ、参謀長!」
 ニーナが振り向いた。……カティがソワソワした様子をしているので、歩きながら話をする事にした。
「今日、難民に食事を運ぶ当番で、こっちに来てたんです」
 ――ニーナは本来、宇宙空港勤務だが、軍と関わる仕事もいろいろしてくれている。
「そしたら、あのすごい音。――何かあったんですか?」
「第2コロニー駅で爆発があったらしい」
「……まぁ、大変……」
「――で、ニーナたちはなんでこっちに?家は第2コロニーだろ?」
「えぇ、私たちも帰ろうと思ってたんですけどね。……なんか、この子が――」
と、カティを見た。
「……声が聞こえたんです」
「え?」
「レイの悲鳴が。――きっと、『発作』だわ」
 ……なるほど、難民の避難所もこちらの区画にあるから、ディケイルの自宅からも近い。そこで、レイの悲鳴を聞き、心配になって見に行くところ、という訳か。
「元帥が付いてるから大丈夫、って言ったんですけどね。――やっぱり、家族同然で育った訳でしょ?心配らしくて」
 そんな会話をしながら歩き、階段に差し掛かった時だった。
 ―――再び、地響きと轟音がソウたちを襲った。
「キャッ!」
 階段を上りかけていたニーナが、バランスを崩して倒れた。それを慌てて抱き止める。
 ……ニーナと目が合った。お互い、考えている事は同じようだった。
 
 ―――事態は、さらに悪い方に向かっている。こうしている場合じゃない!
 
 3人は飛び上がるように階段を駆け上がった。
 ディケイルの部屋の前に来ると、ノックもしないでノブを回した。――カギは掛かっていなかった。
 力任せにドアを引き、室内を見て、――ソウは硬直した。
 
 「――どうしたんだ?一体!?」
 何とか、声を絞り出してみたが、誰も返事をしない。――異常な事態である事だけは分かった。
 だが、室内の状況から何が起きたのを推理する事は、ソウには不可能だった。
 
 レイが、部屋の片隅に倒れ込み、頭を押さえて呻いている。テーブルを挟んだ向かいで、レイと同じくらいの年齢の男の子が、腹を抱えて笑い転げている。――思い出した。難民船に居た子供。……ブライアン・マルコーだ。
 そして、その傍らに呆然と立ち尽くすディケイル。その顔は、完全に血の気を失っていた。
 
 「レイ!」
 ソウの脇をすり抜けて、カティがレイに駆け寄った。その肩を揺するが、苦しそうに息をするばかりで、何の反応もしない。
「ビニール袋か紙袋はありませんか?過呼吸の治療に必要なんです!」
 カティの鋭い声が飛んだ。――この状況の中、一番しっかりしているのはカティのようだった。
「そこに見えるの、そうじゃないかしら。取りに行くわ」
 ニーナが、キッチンの脇に置いてあった白い袋を取り、カティに渡した。スーパーのレジ袋のようだ。カティは、それでレイの口と鼻を覆った。
 ――窒息してしまうのではいか!?ソウは心配したが、だが、レイの様子はみるみる落ち着いてきた。
「……過呼吸の一番いい治療法は、自分の吐いた息を吸わせる事なんです。――元帥も覚えておいてください。レイがまた、『発作』を起こしたら……」
 呆然と突っ立っていたディケイルだったが、カティに真剣な顔を向けられ、
「……あ、あぁ……」
とだけ答えた。
 ―――この場では、男性陣は全く役に立たなかった。情けないばかりだ。
 その後、レイを医務室に連れて行くと言って、ニーナとカティはぐったりとしたレイを抱え上げ、部屋を出て行った。
 
 ……その後ろ姿を見送った後も、ディケイルは立ち尽くすばかりで、ソウに状況を説明する様子も無かった。
「どうしたんだ?一体!?」
 今度は少し語気を強めて、ソウは再び質問をした。ディケイルは生気の無い目を、ソウの方へ動かした。
「―――俺が、甘かった」
「……どういう事だ?」
 だが、ディケイルはそれ以上何も言わず、崩れ落ちるように床に座り込んだ。――尋常じゃない。
 ――とにかく、今はディケイルが全く当てにならない。とりあえず、現地の状況を確認してみよう。ソウは携帯端末でマックに連絡を取ってみた。――だが、何度呼び出し音を鳴らしても、出る様子は無かった。ソウは諦め、エドの携帯番号を押した。……しかし、マックと同じく、何の反応も無い。
 
 その時、ソウはある事に思い当たり、――携帯端末を取り落とした。
 ――マックやエドは、災害救助に向かっていた。その現場で、二度目の爆発……!!
 
 ……床で、携帯端末の呼び出し音が鳴った。その振動で、虫のような動きをする。
 そっと、それを取り上げ、受話ボタンを押した。
 マッド・テイラーだった。――落ちた衝撃で、スピーカー機能がオンになったのだろう、耳に当てなくても聞こえる音量の声が、告げた。
「――参謀長か?マッド・テイラーだ。今、現地に着いた。
 ………救急隊員や支援に来ていた軍のメンバーにも、大勢死傷者が出ている。――最悪の事態だ」
 
 それを聞き、ブライアン・マルコーが奇声を上げた。
「ハハハハハハハハハ!ざまぁ見ろ!!――イヒヒヒヒヒヒ……」
 ―――その声は、ソウの全身の血を凍り付かせるのに十分だった。


>> 次へ
PR

web拍手 by FC2


※ Comment
HN
TITLE
COLOR
MAIL
URL
COMMENT
PASS


※ この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:



Powered by 忍者ブログ  Design by まめの
Copyright © [ Second Box ] All Rights Reserved.
http://secondbox.side-story.net/