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25. 告白
 
 
 その後、ディケイルに問い詰め、何とかブライアン・マルコーが爆発の犯人である事を聞き出した。
 ――しかし、この状況、一体どうする?間もなく、被害者の遺体が次々とこちらへ運ばれてくる事になっている。マッド・テイラーからそう連絡があった。その指示をしなければならない。……だが、ディケイルはこんな有様で、ブライアン・マルコーからも目を離せない。
 
 ……こうなったら、ディケイルに正気を取り戻してもらう他無い。
 
 かなりの苦し紛れだとは分かっていたが、強引にそう結論付けると、ディケイルの襟元を掴んだ。
「心構えはいいか?」
 そう言って、ディケイルの顔を思い切り殴った。――今度は、以前言われた通り、顎を狙って。
 ディケイルは後ろの壁に頭を打ち付け、床に倒れた。
「――痛ぇなぁ」
 後頭部を押さえて、ディケイルは起き上がった。
「文句言うな。こっちだって手が痛いんだ」
と、手を振りながらディケイルに近付き、両肩を掴んで顔をまじまじと見た。――口の中を切ったのか、唇から血が出ている。
「おまえ、『もう逃げない』と言ったよな?じゃあ、こんなところでボケボケしてんじゃねーよ!」
 ……自分でも驚いた。半ば演技で凄んで見せたのだが、かなりの出来だったと思う。――こっち方面に隠れた才能があったのか!意外な発見かもしれない。
 そして、その「熱演」を見せられたディケイルは目を丸くした。――まぁ、これまでソウがこんなに声を荒げた事は無かったから、当然だろう。
「………すまなかった」
 ディケイルはそう言い、ソウの手を払って立ち上がった。……そして、ソウに言った。
「――だからと言って、一方的に殴られるのは違うと思う。――覚悟はいいか?」
 突然、ディケイルの踵が目の前に飛んで来た。とっさに避けようとしてバランスを崩し、後ろのテーブルと一緒に床に転がった。
 ディケイルは、口元の血を拭いながら、ソウを見下ろした。
「手加減してやったんだ。ありがたく思え」
 ……確かに、ディケイルの本気のキックを食らったら……。あのマックを一発K.O.させる程の威力があるのだ。タダじゃ済まない。手加減があったのは確かだろうが……。
 ――しかし、こんな時にする事か!?
 ソウは無性に腹が立ってきた。だが同時に、こんなところでケンカをしている場合では無い事も分かっていた。……何より、ディケイルを正気に戻す作戦は、成功したようだ。それは喜ばなければならない。
 
 ……そんなふたりの様子を、ブライアンは笑いを止めてポカンと眺めていた。
「――まず、こいつをどうする?」
「とりあえず、旧警察の留置場にでもブチ込んでくる」
 アース・コーポレーションの「統一」以降、ガニメデにおける治安維持は、警備局の「守衛」が行っていたが、統一以前には「警察」が存在した。――確か、第1コロニーで、守衛詰所として使われていたはずだ。
 ディケイルが、ブライアンの手を引っ張って出て行った。それを追い掛けるように、ソウも広場に戻った。
 
 ――広場にはまだ、人が動き回っているだけで、「遺体」は到着していないようだった。近くに居た人に聞くと、2回目の爆発の後、やはり隔壁が自動的に閉まり、そのロックを解除するまで、行き来が出来ない状態だという事だった。
 だが、間もなく扉が開いたという情報が入り、向こうから、作業用の運搬車がゆっくりと入って来た。荷台に乗せられているのは、――遺体。かなりの数だ。
 運搬車が広場に着くと、運転席からマッド・テイラーが出て来た。それを見付けて、ソウは駆け寄った。
「――今日、家内の誕生日だったから、食事でもしようと、たまたま第2コロニーに来て居たんだ。だから、隔壁を閉められても、中に居る事は出来た。……家族を避難させていて、現場に着くのが遅れたが。だが、皮肉にも、そのおかげで俺は無事だった」
「……で、マックとか、エドとかは……?」
「マックは見掛けた。2回目の爆発で怪我をして、病院に運ばれたはずだ。エドワードは見ていない」
「…………」
 心臓が締め付けられる思いがした。
「それで、これを見せようと思って、一旦、こちらに戻って来た。――元帥は居るか?」
 そう言って、マッド・テイラーは手にしたモノをソウに見せた。焼け焦げ、ボロボロになっているが、何かの電気配線のようだった。
「――何ですか、これ」
「恐らく、爆弾の起爆装置の一部だ。――あの爆発は、事故じゃない。『事件』だ」
 ……確かに、ソウはディケイルにブライアン・マルコーが犯人だと聞いたから、それを「事件」だと知っているが、現場に居た人にとっては、事故だか事件だかも、何が原因なのかも分からなかったに違いない。
「はい。……今、元帥は、その『犯人』を、警察に連れて行っています」
「何だと!?」
 マッド・テイラーはソウの肩をガシリと掴んだ。
「そ、その犯人は、何者なんだ?」
 その目は、溢れんばかりに怒りを湛えていた。――それが、現場の惨状を物語っているように、ソウには見えた。
「―――子供です」
「子供……!?」
 そう言うと、マッド・テイラーはソウの肩を掴む力を緩め、だらりと手を下ろした。
「……悪魔に違いないと思っていたよ。――俺は作業に戻る。こっちは頼んだ」
 見ると、人々によって荷台の遺体は広場に敷かれたシートの上に並べられていた。空になった運搬車に乗り込み、マッド・テイラーは現場に戻って行った。
 
 ……地面に横たわる無残な遺体を前に、ソウは立ちすくんだ。焼け焦げて顔も分からない状態のものや、衣服だけでなく皮膚までボロボロに引き裂かれたもの、――それでも、人間としての「形」が残っていればまだマシで、中には、「一部分」しか無いものも……。
 
 ブライアン・マルコーの笑い声が頭の中に蘇った。その、耳が痛くなる甲高い響きが、まるでここが「地獄」であるかのような錯覚をもたらした。
 ……いや、錯覚じゃない。まさに、「地獄」だ。
 
 その後も、担架に乗せられたり別の作業車に乗せられたりして、次々と遺体は運び込まれた。分かる範囲で遺品を確認し、身元を確かめるように指示を出し、――ソウは倒れた。何とかギリギリ気を張っていたが、相当ひどい状態の遺体を目にした時、あまりの気分の悪さで目の前が真っ暗になった。
 
 ……気が付くと、医務室らしい、殺風景なベッドに寝かされていた。
「――大丈夫ですか?」
 横で声がする。……見ると、レイだった。
 ――まさか、完全に気絶するとは……。情けない思いで、ソウは起き上がった。倒れる時に打ったのだろう、額にガーゼが当てられている。ズキズキ痛い。
「無理しないでください」
「ありがとう。もう大丈夫だ。――それより、レイこそ大丈夫なのか?」
「僕は大丈夫です。いつもの事なんで」
 見回してみるが、医務室にはレイとふたりきりのようだった。
「……医務員さんも、爆発で怪我をした人の救護に行ってしまいました。元帥が、参謀長の様子を見てるように……」
 ――そんなケガ人じゃあるまいし、放っておいてくれ。
「参謀長の意識が戻ったら、知らせるように言われてるので、呼びに行ってきますね」
 レイは出て行った。……何の用事だか知らないが、用があるのなら叩き起こしてくれれば良かったのに。
 
 窓の外を見ると、眩しい光が降り注いでいた。――ここは、コロニーの中では無く「外」に当たるから、空の状況で時間を知る事はできない。……だが、時計を見ても、早朝に当たる時刻だった。
 旧第3コロニーに設置された仮の軍本部は、建物と建物を廊下が結んでいるような形になっていて、建物から出れば、完全に「外」だ。今、遺体が置かれている広場はというと、一見「外」のようだが、建物に取り囲まれていて、その屋根を繋ぐようにテントが覆っているから、完全に「外」では無い。
 医務室は、広場とは反対側に当たり、広場が今どんな様子なのかは、うかがい知る事はできなかった。
 
 バタンとドアが開く音がして、振り返って見ると、ディケイルが立っていた。
「いつまで寝てんだ?」
 ――全く、嫌味以外の言葉はその口から出て来ないのか?
 その口元が赤く腫れている。……昨日殴ったせいだ。まぁ、そうさせた犯人である以上、あまり偉そうな事も言えないか。
「ちょっと来てくれ」
 ディケイルはそう言って、入口から姿を消した。
「ちょ……、待て!」
 慌ててベッドから降り、その後を追い掛ける。
「……どこに行くんだ?」
「マーガレットのところ」
 ――昨日の件の「家宅捜索」といったところか。だが……
「『事件』の捜査なら、コロニー防衛隊を通した方がいいんじゃないのか?」
「マックには話をしてある」
「……見舞いに行って来たのか?」
「あぁ」
「様子はどうだった?」
「何本か骨が折れてるから、しばらくは動け無さそうだが、命に別条は無い。口も達者だったから、頭も大丈夫だろう」
「それなら良かった。――エドは無事なのか?」
「エドならそこに居る。――おい」
 見ると、前方にエドの姿が見えた。ディケイルの呼び掛けに応えて、手を挙げている。
「無事だったか……!」
 ソウがホッとして顔を見ると、エドはキョトンとした。
「何がですか?」
「何がって……。爆発に巻き込まれたんじゃないかと……」
「俺が、ですか?」
 ――何をとぼけた事を言ってるんだ?ソウは思ったが、エドはあっけらかんと答えた。
「俺は、難民の見張りをしてましたよ。……参謀長にそう言われたじゃないですか」
「え――?……あ……」
 ………そういえば、そんな事を言っていた気がする。爆発の直後、難民が不安になってパニックを起こしたり、混乱に乗じて逃亡を図る者が出たりするといけないので、エドに見張りをしているように言ったような……。
 ソウ自身が半ばパニックになっていたから、すっかり忘れていた。
「あ、そういえば、参謀長から着信がありましたね。慌てて飛び出したんで、事務所に携帯を置きっぱなしだったんです」
 ――心配して損をした。
 
 この廊下の先が、現在、難民収容所としている住居区画だ。
 
 難民がガニメデに到着して約3週間。ディケイルの指示で、個別に身元確認と荷物のチェックを行ったが、やはり、怪しいものは出て来なかった。……いや、「難民」という立場にある以上、確かな身元など無く、どう身元を確認していいのかすら分からなかった、というのが正直なところだ。
 しかし、あまり長期間足止めをしておく事もできず、3月に入ってからは、「収容所で寝泊まりする」、「行き先を係の者に連絡しておく」という条件で、行動規制を緩和していた。――ブライアン・マルコーも学校に行っていたはずだ。
 だが、経済力が無い者がほとんどで、食事や日用品の手配はこちらで行っていた。――いつまでもこんな事をしている訳にもいかないが、とりあえず、住む先と仕事を決めてもらわなければ、追い出すわけにもいかない。さらに言えば、現在、コロニーには空いている住居がほとんど無く、仕事も鉱山作業員くらいしか空きが無いので、実際のところ、どれだけの難民が自立できるのか、それも問題だった。
 
 廊下を歩きながら、ディケイルはエドに昨夜の様子を聞いた。
「――何人かが、爆発の音に驚いて、廊下に飛び出してましたけど、部屋に入っているように言ったら、みんな静かにしてましたよ」
 
 ブライアンとマーガレットにあてがわれた部屋は、2階の手前から3番目の部屋だった。
 ディケイルがノックをすると、「はぁ~い」という「男」の声がして、ドアが開いた。――その隙間から、がたいの良いネグリジェ姿の「男」が、顔を覗かせていた。……こんな格好をしているが、近くで見ると、マック並みの体格をしている。
「悪いが、少し部屋の中を見せてもらいたい」
 「男」――マーガレット・ローズは、いぶかしげな視線で3人を撫で回した。
「………どなた?」
「ディケイル・ウェイニーだ。――入るぞ」


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