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 半ば強引に扉を開け、ディケイルは部屋に入って行った。ソウとエドもそれに続く。
「……何のご用なのかしら?」
 腕を抱えて、片手の人差し指を唇に当て、マーガレットは入口に立っていた。
「昨日、同居人が帰って来なかっただろ?」
「そうそう!心配してたの。……あなたたち、知ってるの?ブライアンがどこに行ったのか?」
「留置場だ」
 ディケイルは、マーガレットに背を向け、部屋の中を見渡している。
「――えっ!?……なんで?どうして??」
「分かってるだろ?あんた」
 ディケイルが、振り向いてマーガレットに鋭い視線を投げた。
「ちょ、ちょっと待って?話が全然分からないわ」
「つまり、――ブライアンが、昨日の爆発の犯人なんだ。だから、部屋を見せてもらう」
「爆発って……、昨日の夕方の、あのすごい音のこと?――あれ、爆発だったの?」
 ……知らないフリにも程がある、そう思ったのだろう、ディケイルはマーガレットに向けた目を細めた。……こうすると、本当に刃のような視線になる。
「いくらなんでも、知らない事は無いだろ?芝居もほどほどにしろ」
「ヤダ、芝居とか、ヒドいわ。
 ……だって、ワタシたち、夜は出ちゃいけない事になってるじゃない?大きな音がしたから部屋を出てみたけど、そこのお兄さんが部屋に戻れ、って言うし」
と、マーガレットはエドを指した。
「ブライアンの事が心配だったけど、仕方ないから部屋で大人しくしてたわ。
 まだこんな時間だから、朝ゴハンにも早いし、どうやって知れって言うの?」
 ――確かに、難民用のこの部屋には、テレビもラジオも設けられていない。家具類は皆無で、荷物がカバンに入れられたままの状態で部屋の隅に置かれているだけだ。誰かから聞かなければ、その情報を得る事はできなかっただろう。
 この反論に、ディケイルは口を閉ざした。
「だけど、――本当にブライアンが犯人なの?ワタシ、信じられないわ」
 マーガレットは、片隅に置かれた学校用のバッグを見た。……この部屋にあるブライアンのものらしい荷物は、たったそれだけだった。
「――あの子、可哀そうな境遇でしょ?だから、すごく同情しちゃって。
 気を張って頑張っちゃって……、確かに自意識過剰なところはあるけど、でも、話せばすごくいい子よ。……とても、爆弾テロなんて起こせるような子じゃないわ。何かの間違いじゃないの?」
 
 すると、ディケイルがニヤリとした。
「――誰も、爆発の原因が『爆弾』だなんて言ってないぜ?」
 一瞬、マーガレットが固まった。
「それに、俺は『爆発の犯人』と言っただけで、テロ事件だとも言っていない。
 普通、爆発を起こした犯人が子供だと聞けば、まず、『事故』を考えるんじゃないか?」
 だが、マーガレットは動揺した様子を見せず、口を尖らせただけだった。
「だって、アナタのその言い方、いかにも大事件っぽい言い方だったんだもん。
 ――『事故』なのね?それを聞いて安心したわ」
 
 ………うまく逃げられた。だが、落とせはしなかったが、マーガレットが「怪しい」事は分かった。
 ソウはディケイルとマーガレットのやりとりを見ているしか無かったが、言葉の裏で放たれる火花が目に見えるようだった。……この、マーガレットというのも、只者では無い。ディケイルのあの視線を平然と受け流しているというだけで、並みじゃない。
 
 「……いや、爆弾テロだというのは本当だ。ブライアンが自供しているし、爆弾の一部も見付かってる」
「自供って……!アナタ、子供の戯言を信用してんの?」
「なぜ、戯言だと?」
「だってそうでしょ?――あのくらいの年頃の男の子って、妙に『悪い事』に憧れるところがあるじゃない?アナタにも、そんな経験のひとつやふたつあるでしょ?」
 ……ソウにもその感覚は何となく分かる。まぁ、ソウの場合、「悪い事」に手を染めるような度胸は無く、少し崩れたファッションをしてみたり、その程度だったが。
「だから、爆発があったから、これは僕がやったんだー、って……」
「それは無い。あいつは爆発を『予告』している」
「………」
 そうなのか!?ソウは目を見張った。
「だから、この部屋の捜索をさせてもらう。いいな?」
「分かったわ。いいけど、……ワタシの荷物も見るの?」
「当然、そうする。――あんたが知らない間に、ブライアンがあんたの荷物の中に何か入れたとも考えられる。……むしろ、俺はあんたが『主犯』だと思ってる」
「ちょっと待ってよ!………証拠でもあるの?」
 マーガレットが上目づかいに言った。
 
 ――その顔に、不安や憤りといった色は無く、……自信たっぷりで挑戦的なものを、ソウは感じた。背筋を、イヤな汗が流れた。
 
 だが、その表情は一瞬で消え、マーガレットはふてくされたように頬を膨らませた。
「分かったわ。――ワタシも、犯人だと疑われちゃ気分が悪いわ。
 ……その代わり、徹底的に調べてね。カバンの隅々まで、見落としが無いように」
 そう言って、マーガレットは腕組みをした。
 
 その後、3人で部屋の隅々、ブライアンの通学バッグ、マーガレットの荷物、それらを時間をかけてチェックした。――ブライアンの荷物はたかが知れているが、マーガレットの持ち物が雑多で、手間がかかった。化粧ポーチの中や、生理用品の袋、アクセサリーや腕時計がたくさん入ったケース……。
 その中で、ディケイルは生理用品の袋が気になって仕方無かったようだ。
「――なんで、あんたにこんなモンが必要なんだ?」
「ちょっと、アンタ、言いにくい事を聞くわね。……察してよね。ワタシ、『痔』なの。――分かるでしょ?」
 ………一同は無言になった。
 
 「……でもさ、こんなトコロに時間かけてるくらいなら、ブライアンが行ってる学校を調べた方がいいんじゃなくて?いくらなんでも、こんなバレバレなところで爆弾なんて作らないでしょ?ワタシの目もあるし。学校のほうが、そういうのには向いてると思うわよ?」
「言われなくても後で行く」
 ――それからまだしばらく、トイレの換気扇や洗面所の排水溝の中まで調べたが、爆弾やそれに繋がるようなものは一切出て来なかった。
 ディケイルは渋い顔をして立ち上がった。
「……ね、何か出て来た?」
「いや」
「でしょ?だって、ワタシ、犯人じゃないんだもの。これで分かったでしょ?」
「いや。――出てくるべきものも出て来なかった」
「え?……どういうこと?」
 だが、ディケイルはそれ以上言わず、部屋を後にしようとした。――その行く手を、マーガレットが塞いだ。
「ちょっと待って!――まだ、調べてないところがあるわよ?」
「………?」
 マーガレットはニヤリとした。
「ワタシの、ボディーチェックっ!」
 ディケイルはウンザリした顔をしたが、――まぁ、やらない訳にもいくまい。何の加工もされていない男の素っ裸と、異様にサイズのデカいネグリジェと女性ものの下着類を見せられる事になった。――特に、まだ体温の残るレースのパンツなど、触りたくも無い。ディケイルとソウに視線の圧力を受けて、エドが渋々つまみ上げた。――そして、すぐに投げ捨てる。
 ため息交じりに作業をする男3人と、その中央で、妙にテンションが上がっている男がひとり。絶対に誰にも見られたくない光景だ。――が、当然、何も出て来なかった。
 
 「また来てねっ!」
という、マーガレットのウインクに見送られ、3人は事務所へ戻った。
 席に着くと、ドッと疲れが押し寄せて来た。だが、ソウはまだ多少は寝ているからマシだ。ディケイルとエドは完全に徹夜で、しかもそのシメに、マーガレットのヌードだ。テンションを上げようという方に無理がある。
「……悪いです。限界です。少し、休憩取らせてください」
 エドはそう言って、一旦帰宅した。――ディケイルは、ソファーにゴロリと寝転んでいる。眠ってはいない事は分かった。
「なぁ……」
「―――ん?」
「さっき言ってた、『出てくるべきものが出て来なかった』って、どういう事だ?」
 ディケイルは、額に乗せた腕の下から、チラリとソウを見た。
「ブライアンの持ってたハンドガン」
 ――確かにそうだ。ディケイルの家に居た時は、ハンドガンは持っていなかった。そして、住んでいる部屋にも無い。――どこに行ったのだ?
「……やっぱり、あいつが犯人か?」
「それは間違いない。――ただ、調べる前から予想はしていたが、ボロは出さないヤツだ。証拠が探せるかどうか……」
「だけど、爆破の犯人は、どう見てもブライアンだろ?マーガレットは、どう事件に絡んでるんだ?」
「爆弾の製造、その設置の指示、そして、ブライアンのマインドコントロール、そんなところだろ」
「だが、その爆弾の材料は、どうやって手に入れた?未だ、難民施設で監視の下に置かれてるんだぞ?それに、現に、何も出て来なかった」
「――外部に協力者が居る。それしか無い」
「………まさか!?」
 という事は、もうすでに、何らかの形でガニメデへ「密航」していた人物が存在する、と?――いや、宇宙という海に浮かぶ絶海の孤島とも言えるガニメデに、密航をする事など不可能だ。という事は……
「――建国以前から、もう既に『スパイ』が存在した、と……?」
「そういう事になるな。そんなのがひとりやふたり居ても、全然不思議は無い。とにかく……」
 ディケイルはソファーの上で寝返りを打ち、こちらを見た。
「マーガレットが崩せなかったら、そっちから攻めて行くしかない」
「――そっちの『スパイ』の手掛かりは、何かあるのか?」
「いや、サッパリだ」
 ……結局、昨日の昼と、「スパイ」捜査の状況は大して進展していない。
「――しかし、誰だ?監視カメラを外せなんてバカな指示をしたヤツ。それがあれば、今度の事件なんて、一発で解決してたものを!……いや、事件を防げたかもしれないな」
 ――当の本人が自分で「バカ」と言っていれば世話は無い。
「受け入れた難民が犯人で、監視カメラを外した事が事件の計画を容易にさせたとあれば、議会が黙っちゃいないだろうな」
「…………」
 ディケイルが再び腕で顔を覆った。
 
 ――気付けば、そろそろ朝の出勤時間だ。当然、この事務所に所属する人たちは、昨夜から駆け回っているので、出勤という表現には当てはまらないが、報告やら情報交換に顔を出す面々が、徐々に集まって来た。
 誰かがモニターを点け、朝のニュースにチャンネルを合わせた。
 画面の中で、アームストロング代表が、昨夜の爆発事件を「ガニメデ独立運動に対する反政府テロ」という表現で伝え、「決して許してはならない暴力」と、犯人を非難する声明を発表した。
 ……まだ、ブライアンが「犯人」だとは、ディケイルは政府に伝えていないらしい。――まぁ、証拠は「自供」だけでは、マーガレットが言うように、信頼性に欠ける。それに何より、10歳の子供があれほどの威力の爆弾を製造し使用したとは、誰が見ても信じがたい。「物証」でも出さない事には、公にはできないだろう。
 
 ――と、突然、事務所の外で騒がしい声が聞こえた。顔を向けてみると……
「――来ちゃったッ」
と、マーガレットが立っていた。ディケイルがギョッとして起き上がる。
 難民の監視役らしい小柄な男が、マーガレットを制止しようと腕を掴みながら、
「すいません!止めようとしたんですが、こいつ、とんでもない腕力で……」
と、半ば腕にぶら下がるような格好をしている。
「………仕方ない。――何の用だ?」
 ディケイルが言うと、マーガレットは監視役の男の頬に「お疲れサマ」とキスをして、事務所にズカズカと入って来た。――キスをされた男は、口紅の跡を付けたまま、妖怪でも見たかのように、後ずさりしながら事務所を出て行った。
 ピタリとしたノースリーブのワンピースが、筋肉質な身体をより強調している。ハイヒールの音をカツカツと響かせながら、ディケイルの前に来ると、マーガレットはパーマで巻いた髪をくるくると指で弄びながら言った。
「あのね、――元帥サンに、ひとつ提案があるの」
「何?」
 言葉を交わすのもウザいというように、ディケイルは短く言った。
「実は、ワタシ、本当の職業は、――私立探偵なの」
「…………」
 確か、身元確認の書類には「無職」とあったが。――まぁ、「私立探偵」なんて職業、証明しようにも資格があるわけでもなし、自己申告以外の何物でも無い。適当な出任せだろう。
「だからね、今度の事件、ワタシも捜査に加えてもらえないかしら?」
「――そんな事、できるワケないだろ?言っただろ?おまえ、『容疑者』なんだぞ?」
 ソウが言うと、マーガレットは口を尖らせた。
「だからこそ言ってるじゃない。――このまま、ワタシを捕まえもできず、ザルの目みたいな監視の中に置いとくよりは、アナタたちの近くに置いて、捜査の手伝いをさせながら、自分の目の届くところで監視したほうが、ずっと建設的じゃない?ワタシだって、自分が疑われてるんじゃ気分が悪いわ。自分の無実を証明したいもの。
 それに……」
 マーガレットは、ディケイルにグッと顔を寄せた。ディケイルは反射的に、ソファーの背もたれギリギリまで引き下がった。
 
 「元帥サン、――アナタ、ワタシのタイプのど真ん中ストライクなの」
 
 マーガレットはそう言って、「キャッ!言っちゃったッ」と、両手の拳を口元に当て、片足を後ろに跳ね上げて飛び上がった。
「…………」
 ディケイルは完全に引いた顔で呆然とマーガレットを見上げていたが、その周囲でこの様子を見ていた人たちは、ニヤニヤした顔をディケイルに向けた。
「どうする?元帥サン。この兄ちゃんの『愛の告白』に答えてやれよ」
 マッド・テイラーまでもが、ニヤついた顔を隠そうともせず、ディケイルを冷やかした。
「――こんなに人が大勢居るところで、返事を聞きたいって言うほどヤボじゃないわ。……部屋に戻って、待ってるから」
 マーガレットはそう言って、いつの間にか出来ていた人だかりを割って、出て行こうとした。――それを、ディケイルの声が止めた。
「待て」
「………?」
 マーガレットが足を止め、振り向いた。
 ディケイルは言った。
「……どうせやるんなら、後からじゃ意味が無い。――今からだ。
 あんたを、俺の『助手』にしてやる」


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