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26.  愛と束縛
 
 
 ディケイルの予想外の回答に、周囲のギャラリーたちは唖然とした。ガヤガヤと笑い声すら聞こえていた事務所内は、凍りついたような静寂に包まれた。
 それを破って、マーガレットは歓声を上げた。
「嬉しい!さすが元帥サンねっ!アナタなら分かってくれると思ったわ」
 ――どういう方向での意味なのか、ソウには分からない。
 マーガレットはツカツカとディケイルに歩み寄り、その手を握った。
「ヨロシクお願いします!元帥サン」
「だが、勘違いするな。俺はあんたを『容疑者』としか見ていない」
「分かってるわよ。何もノンケを掘ろうなんて言ってないわっ」
 マーガレットはディケイルの腕をポンと叩いた。――ディケイルはその腕を押さえ、顔を歪めてソファーに倒れた。
 一方、後ろのギャラリーは、この展開にどういう反応をすればいいのか分からなくなったようで、潮が引くように自分の仕事に戻って行った。
 
 ソウは、ようやく声を絞り出した。
「――おい、本気か?」
「あぁ、本気だ。マーガレットの言う事には一理ある」
「じゃあ、これから、ずっと一緒に居られるのねっ。シアワセだわ」
「おい!遊びじゃないんだぞ!」
 ソウが渋い目を向けると、マーガレットは口を尖らせた。
「ジョークが分からない人ね。――この人は、元帥サンの『何』なの?」
 ――何だか、お邪魔虫みたいな言い方だ。
「俺の『相棒』だ」
「ふぅん……」
 マーガレットが不満そうな目をソウに向けた。――何だ?この居心地の悪さは?
「とにかく、あんたはこれから事件が解決するまで、24時間、目の届く範囲で行動してもらう。いいな?」
「分かったわ。
 ――どうせなら、提案なんだけど、ワタシと元帥サンの手と手を、手錠で繋ぐってのはどう?……映画か何かで見たわ。探偵と容疑者が鎖で繋がれながら、一方はその正体を暴こうと、一方は探偵を殺そうと陰謀を巡らすの。――スリリングでロマンチックじゃない?」
「おい!いい加減にしろ!」
 ソウは声を荒げたが、ディケイルは腕組みをして言った。
「一理あるな。――悪いがソウ、そのへんに手錠か、代用できるモノは無いか、見てきてくれないか?ついでに、長めの鎖もな」
 ………おいおい、マジか!?
 ――思い付きで、マックのデスクの引き出しを探ってみると、手錠がひとつ出て来た。カギもある。それから事務所を出て、物品倉庫を探すと、鎖もあった。――不本意だが、小道具は揃ってしまった。
 それらをディケイルに渡すと、そのへんにあったペンチで手錠を分解し、鎖を長いものに取り換えた。その、手錠の一方をマーガレットの左手首に掛け、もう一方は――自分の手首にははめず、手に持った。
「ちょっとぉ。話が違うじゃない!?……これじゃ、まるで鎖に繋がれて散歩する犬みたいじゃないのよ!」
「さすがにそこまでのヘンタイ趣味はねぇよ。――行くぜ」
「どこに!?」
「学校だよ」
 ――そういえば、先程、マーがレットの部屋でそんな事を言っていた。
 
 寒いから上着を取って来る、という理由で、一度、マーガレットの部屋に寄ってから、歩いて第2コロニーへ向かった。
 必然的に第2コロニー駅の爆発現場付近を通る事になるのだが……
 
 その惨状は、想像以上だった。
 駅の建物の跡形すら残っていない。辛うじてプラットホームと、歪んでねじれたように宙に突き出している線路のレールがその名残を留めてはいるが、周囲一帯がコンクリートの残骸となり、灰色と焼け焦げた黒のモノトーンの世界になっていた。駅周辺のビルにも被害は出ていて、コンタクトレンズショップなどが入っている駅前ビルは、壁をえぐられて無残な内装を晒し、いつ崩れてもおかしくない状態に見えた。――コロニーの屋根が無事だったのが奇跡的なくらいだ。
 その中で、何人かの作業員が動き回っていた。――まだ被害者が出てくるかもしれない。その捜索をしているのだろう。
 
 工事用のフェンスに囲われた現場の横を通り過ぎ、マタルやレイも通う学校へ向かう。
その途中、ほとんど通行人と出会わなかった。周辺には避難勧告が出されたままになっているからだ。
 学校も当然休みで、校庭にも人影ひとつ見えなかった。
 だが、職員室を覗くと、何人かの教員が、デスクに向かって仕事をしていた。そのうちのひとりが、ソウたちに気付いてこちらにやって来た。
「あの……、何かご用で?」
「軍の者です。――爆発物が他にも設置されていないか、念のため、公共施設を中心に見回っています。校内を見せてもらえないでしょうか?」
 そう言って、ディケイルは階級章を見せた。――まだ、正式にブライアン・マルコーが犯人だと公表していない以上、『捜査』の名目で学校に入るのはおかしい。
「はぁ……」
と、その女性教員は胡散臭い目をマーガレットに向けた。――当然だ。毛皮のコートにミニスカートの「オカマ」の姿は、どう見ても軍関係者には見えない。だが、さすがに「宇宙空軍司令長官」の肩書きには逆らえない。女性教員はそれ以上疑う事はせずに、校舎に案内した。
 点検が終わったら連絡ください、と言い残し、女性教員は戻って行った。
 
 「……さて」
 ディケイルは手に持った手錠の片方を階段の手すりに掛けた。
「ちょっと!何するのよ!」
「あんたはここで大人しくしてろ」
 ディケイルに言われて、マーガレットはブスッとふてくされて階段に座った。――本当に犬みたいな扱いだ。ソウは少しマーガレットに同情した。
 それから、ディケイルは、レイの所属する「5年2組」の教室に入った。――ブライアン・マルコーとレイは同級生なのだ。
 机と椅子が並ぶ教室を見渡す。――その中のひとつの席に、ディケイルは向かった。ソウもついて行って見ると、……椅子の背に、「ブライアン・マルコー」と書かれた名札が付けられていた。
「……な、なんで、この席がブライアンのものだと分かったんだ?」
「どうせ、学校に来たって、ブライアンはいじめの対象になってただろう。――この席が、他と比べて汚れているように感じた。――ほら、天板に『死ね』と彫られてる」
「…………」
 ある意味、子供ほど残酷な「制裁」を加えられる人種は居ないだろう。ブライアンは、どんな気持ちで学校に来ていたのか……。
 暗い気持ちで机を眺めるソウの前で、ディケイルは机の中を見たり、手を突っ込んだりしていたが、何も無かったようだ。あと、後ろの壁に設置されたロッカーも見たが、薄汚れた体操着が突っ込まれていただけで、これといったものは何も出て来なかった。
「……そんな、教室とかロッカーとか、分かりやすいトコロと見ても、何も出てくるワケないじゃない。もっと、他を探しましょ」
 急に声がして、ソウはビックリして飛び上がった。
 見ると、教室の入り口にマーガレットが立っている。
「お、おまえ……!」
 マーガレットは、手首の手錠のリングと、――そこから離れた鎖をくるくると回して見せた。
「ペンチでくっつけたくらいじゃ、簡単に取れちゃうわよ。こんなの意味ないわ」
「……ソウ、後で、ジョルジュか誰かに、もっと頑丈なのを作るように頼んでくれ」
「分かった」
 
 ――マーガレットは、今度はワンピースのベルトに直接鎖を結わえつけられ、ディケイルに引っ張られて歩き回る事になった。
「人権侵害だわ!」
 マーガレットは抗議の声を上げたが、ディケイルが
「あんたが自分で言い出した事だろ」
と言うと、不服そうな顔をしながらも黙った。
 
 教室内を一通り確認した後、校内の共有スペース、……音楽室だとか理科室だとか、体育館や図書館といった場所を見て回った。――が、特に怪しいものは見付からず、……というか、あまりに雑多なモノが多過ぎて、どれが怪しいのか怪しくないのかすらソウにはよく分からなかったが……、再びスタート地点の階段に戻った。
「……やっぱり、本気で調べるとしたら、3人じゃ足りないわよ。百人とか、もっと大人数でないと……」
「今はとてもそんなに人を回す余裕は無い」
「そんな事を言ってる場合?相手は爆弾魔なのよ?早くその証拠を見付けないと、また次の事件が起こるかもしれないじゃない」
「……おかしな事を言うな」
 ディケイルがマーガレットに鋭い視線を向けた。
「犯人はすでに捕まっている。なのに、その証拠を見付けるのに、なぜそんなに急ぐ必要がある?」
 ――核心を突いたか!ソウはドキドキしながら話の展開を待ったが、マーガレットは平然と言った。
「ワタシだって、あの子がひとりで、そんな大それた事をやったなんて思ってないわ。――絶対に誰か共犯が居る。そうだとしたら、早くそいつも捕まえないと危ないって言ってるの」
「だったら、その共犯は自分ですと、さっさと白状したらどうだ?」
「まぁ……」
 マーガレットはつけまつげで重そうな瞼を持ち上げて、ディケイルを睨んだ。
「だから、そんなにワタシを犯人にしたいんだったら、その証拠を見せてって言ってるの!証拠も無しに、人を犯人呼ばわりするなんてヒドイわ!」
 そう喚き立てた後、今度はニコッとしてディケイルの腕を掴んだ。
「……でも、そういう冷たい視線がたまらないわ」
「…………」
 それから、腕を組もうとするマーガレットの腕を、ディケイルは全力で振り解いて、階段を降りようと歩きだした。
 すると、マーガレットが急に立ち止まった。必然的に、ディケイルも足を止める。
「ねぇ。――この学校、屋上って上がれるのかしら?」
 ……言われてみれば、ここは最上階で、だが、階段は上にも続いている。
「行ってみましょ」
 今度はマーガレットが鎖を引っ張るように、屋上へと向かった。
 
 ――屋上への扉は簡単に開き、高い柵に囲まれ遊技場のようになっている屋根の無い空間に出た。バスケットボールのゴールといくつかのベンチ、ボールや遊具の収納庫らしい小さな物置が置かれている。
 それらを中心に、不審な物が無いかを見て回った。が、あって当然なような物ばかりで、怪しく見える物は出て来ない。念のため、柵の周辺をぐるっと回るように見回ってみる。――3人で同じところを見ていても仕方ないので、ソウはディケイルとマーガレットとは反対側を見て歩いていたのだが、ふと、視線の先に、何かが目に入った。……屋上への出入り口の建物の壁に、何やら箱が据え付けられている。
 近付いてみると、金属製のフタが付いており、小さな金具の取手で開け閉めできるようになっていた。――配電盤の設備か何かだろうか。
 その取手をつまんでフタを開いてみると……
 やはり、電気関係の設備らしく、何かのスイッチやメーターが並んでおり、その脇の箱の隙間に……
「――ん?何だコレ?」
 ビニール袋に入れられたソレを手に取ってみる。――けっこうな重みがある。
「何かあったのか?」
 ソウの声を聞いてディケイルたちもやってきた。
「――こんなモノがここに入ってた」
と、ソレをディケイルたちに見せるように差し出した。すると……


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