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 「待て!なんで確認もしないで取るんだよ?――爆弾かもしれないだろ!?」
 ディケイルは慌てて後ずさった。マーガレットがキャッと悲鳴を上げ、ディケイルの腕にしがみ付く。
「ちょ……!!」
 ソウはそれを持ったまま固まった。
「……ど、どうすればいい?」
 ――足が震えてきた。ソレの重量のせいもあり、手も震えだした。……こ、この振動で爆発したりなんかしたら……!!
「落ち着け、ソウ。――まず、何かライトが光ったり、音がしたりはしてないか?」
 言われて、ビニール袋越しによく見てみる。――ライトの光とか、そういうものは見当たらない。それから、そっと腕を動かし、耳に近付けてみたが、音も何もしない。――いや、動かした時に、微かに金属音がしたような……。
「……機械の音とか、そういうのは無い。中身は、金属か何かのようだ」
 ソウが言うと、ディケイルはマーガレットの腕を払って、こちらに歩いて来た。――ソウの手から慎重にそれを取り上げ、自分の目と耳でも確認する。
 ……そして、ゆっくりとビニール袋を開いた。その中身を見て、ディケイルは不機嫌そうな顔をした。
「おい、誰だ?爆弾なんて言ったヤツは?」
 ――いや、ソウが睨まれる筋合いは無い。
 ディケイルは、袋の中身を床に出した。
 ……それは、ドライバーやペンチといった工具類だった。厚手のビニール袋に、無造作に入れられていた。
「――なんで、こんなモノがこんなところにあるの?」
「配電盤のケースの中だったし、メンテナンスの業者の人が置き忘れて行ったのかもしれないな」
「いや、それは無いだろう。プロが仕事道具を、こんな乱雑に扱うはずが無い。普通、専用のケースに入れるとかするだろ」
 ……ディケイルの言う通りだ。――とすれば……
「――じゃあ、ブライアンが爆弾制作に使ってた道具、って事?」
「可能性はある。――旧警察署に持っていけば、指紋なんかを調べてくれるだろう」
 指紋を付けないように、上着の袖でつまむようにして袋に戻し、ディケイルはそれを持って立ち上がった。
「……物証が出ちゃったわね」
「いや、指紋なり爆弾の成分なりが出ない限り、そうとは言えない」
「でも、もし、そういうのが出ちゃったりしたら……、ワタシの無罪は証明されるわよね?」
「まだだ」
 ディケイルは階段に向かいながら言った。
「ブライアンが爆弾を作ったかもしれないという裏付けにはなるが、あんたが『共犯』でないという理由にはならない」
「え~っ!何でよ?」
 ディケイルがマーガレットを振り返った。
「これを、ブライアンがどこでどうやって手に入れたか。それが分からない限り、な」
 
 ……第1コロニーの旧警察へ寄って工具類の調査を依頼し、3人は第2コロニーへ戻った。――爆発現場の検分をするためだ。
 工事用の柵で簡単に仕切られた中に足を踏み入れると、ディケイルは苦しそうな表情をした。――その気持ちは分かる。もっと早くに手を打てば、防げたかもしれない。その思いは、ソウも同じだった。
 作業員たちに階級章を示して、それから3人は瓦礫の山の中を見て回った。
 
 「――ブライアンの言った事が本当だとして、まず、1回目の爆発があった現場は、線路の上。……シャトル本体に爆弾が設置されていたらしいからな」
 ――ちょうど、線路がひどく折れ曲がっている辺りだろうか。その位置に立って、ディケイルは周囲を見渡す。
「その時の、爆弾の起爆装置を動かす発信機は、ここから5m以内に設置されていた事になる。――普通に考えて、ホームの上」
 ディケイルはホームに飛び乗った。……鎖を引っ張られて、慌ててマーガレットもよじ登る。
「……今は跡形も無いが、駅名標識の裏だとか、電柱の陰だとかなら可能だろう。――問題は、2回目の爆発の爆心地」
 確か、1回目よりも2回目のほうが大きかった。当然、爆弾も2回目のほうが大型のものが使われただろう。
「1回目の爆発の衝撃で、2個目の爆弾まで一緒に破裂してしまうような事があってはいけない。――となると、少し距離を置いた場所に設置されたと考えるべきだが、実際には、爆発の被害範囲は、ほぼ円形の、狭い地域に限定されている。となると、ふたつの爆弾は、かなり近い場所に設置されたと考えられる。……という事は、1個目の爆弾と2個目の爆弾との間には、衝撃を遮れるような障害になるようなものがあった。――このホームなら、それになり得る」
 ……確かに、ホームだけは、角が欠けたりヒビが入ったりはしているものの、ほぼ原形を留めている。よほど丈夫にできているのだろう。
 ディケイルはホームの上を横断し、線路と反対側に飛び降りた。通常なら、改札口を通らないとホームに入れないように、柵が設置されている部分だ。
「……ホームのここ、やたらと抉られたように壊れてるな。――この近くに置かれたのかもしれない。花壇の跡らしいものもある。植え込みの陰なんかに隠しておけば、きっと見付からない」
「だけど、犯人はなんで、あえてこんな近くに爆弾を2個も設置したのかしら?」
「1回目の爆発で、救急車両やら救助隊やら野次馬やらがやって来る。それを狙っての2回の爆発。つまり、1回目の爆発は人寄せで、2回目が本番だった、という事だ。――それは分かるよな?
 その場合、できるだけ近い場所で爆発を起こしたほうが、被害を大きくできる」
「なるほどね……」
「それには、この『駅』という場所の目的やら構造やらが最適だった。――そして、第2コロニー駅という事も。
 商業施設と住宅棟が混在する第2コロニーは、夕方のあの時間、どの駅よりも混雑する。それに加え、旧第3コロニーの軍施設も近い。――最も大きな被害を出す事が可能な場所だった。
 ――となると、犯人の目的は、不特定多数の人を無差別に殺す事。……テロだ」
 まぁ、それは事件が起きた当初から何となく分かっていた。
「では、そのテロの目的は何か?」
「――ガニメデの独立運動に反対するとか?」
「政府の見解はそんなところだったな。――だが、それならば、第2コロニーよりも第1コロニーを狙ったほうが、説得力がある。しかし、犯人は第2コロニーを標的にした。それはなぜか?」
「………?」
「一般市民をできるだけ多く巻き込みたかったから。
 ――第1コロニーには、行政施設がほとんどで、あんなところで爆発を起こしても、役人や政府関係者にしか犠牲は出ない。それでは市民感情を煽れない。
 ……要するに、犯人の目的は、政府、――しいては軍の管理責任を問うため。……いや、政府と軍の対立を狙っているのかもしれない。となると……」
 ディケイルは腕を組んで、廃墟と化した街並みを見ながら、独り言のように呟いた。
「俺の考える犯人像とブライアン・マルコーが、合致しないんだよ」
 
 ……ソウは、ディケイルの言っている事がよく分からなくなってきた。マーガレットも同じようで、ポカンと口を開けてディケイルを見ている。
「昨日の昼、俺はブライアンに殺されそうになった」
「えっ……!?」
 目を丸くするマーガレットに、ディケイルはチラリと視線を送った。
「顔を合わせてすぐに、ハンドガンを取り出して、それから延々と自分が俺を恨んでいる理由を語り出すんだぜ?そんな我慢ができないお子様が、こんな回りくどいターゲットを選ぶか?――あんたも言う通り、必ず、陰に首謀者が居て、ブライアンに吹き込んでいる。
 ……そして、その首謀者は、地球と繋がっている」
「―――その、首謀者が、ワタシだと言いたいのね?」
「正確には、首謀者の『ひとり』が、だ」
「……じゃあ、他にも犯人候補が居るの?」
「まだ分からん。――しかし、そう考えると、俺の中でしっくりくるんだ」
「だから、24時間見張って、地球や他の『首謀者』と連絡を取り合ったりしてないか、チェックしたいワケね」
「――まぁ、そう簡単に尻尾を出すとは思ってないがな」
 マーガレットは、今度は怒りはせず、肩をすくめて見せた。
「まぁ、アナタの考え方に従えば、ワタシは地球から来た難民だし、条件としてはピッタリだわね。疑われても仕方ない立場だわ。……だけど、好きなヒトにそんな風に思われてるのは悲しいわ。だから、ワタシも頑張って、自分の無実を証明してみせる!」
 
 ……それから、ホームの周囲を中心に、爆弾や起爆装置の破片などが落ちて無いか見て回った。――何やらディケイルが拾っていたようだが、ソウは特に収穫も無く、その後、軍本部へ戻った。
 
 事務所に入ると、ジョルジュが待っていた。
「ナカムラ参謀長!お久し振りです!」
 人の良さそうなそばかすのある顔が、ソウを見てこちらにやって来た。――先程、電話で頼んでおいたモノを、ラボから早速持って来てくれたようだ。
「……でも、こんなモノ、何に使うんですか?」
 ――ジョルジュはソウに、長い鎖で繋がれた手錠を渡した。
「注文通り、人間の手では絶対に壊せない程度の強度にしておきましたけど……」
 ……確かに、手錠の幅も鎖の太さも、先程のものよりかなり丈夫になっている。――ただ、かなりの重量があり、これをぶら下げて歩いているだけで疲れてしまいそうだ。
 しかし、ディケイルはソウの手からそれを取り上げ、躊躇無くマーガレットの手首にはめた。
「――ちょっと、重いんですけどぉ~!」
「あんたなら大丈夫だ」
「そんなぁ~。こんなか弱いオトメに向かって、ヒドいわ」
「そうか?あんたには似合ってるぜ?」
「ワタシをドーベルマンか何かと一緒にしないで!」
「言うならブルドックだろ」
「まっ……!!」
 ――ソウの横で、事情を知らないジョルジュがふたりのやりとりを唖然と見ていた。
「……な、何なんですか?このオッサン」
「オッサンとは失礼な!マーガレット『おネエ様』と呼んで!」
 マーガレットに食ってかかられ、ジョルジュはソウの背中に隠れた。
「もう、腹が立ったわ!」
 マーガレットはそう言い、片方の手錠をソウに預けたまま奥へ行ってしまったディケイルを追い掛けた。必然的に、ソウもついて行く事になる。
 
 すっかり定位置と化したソファーに寝転がるディケイルに向かって、マーガレットは鼻息を荒げて言った。
「ひとつ、約束しなさいよ!」
「何だよ、うるさいなぁ。少しは休ませろ。昨日から徹夜なんだぜ?」
「そんな事関係無いわっ!」
 マーガレットがソファーにドカリと座ったものだから、ディケイルはその反動で飛び起きた。その顔にマーガレットが顔を近付ける。――ソファーから落ちる寸前まで、ディケイルは退却せざるを得なかった。
「もしアナタが、ワタシが犯人だって証拠を見付けたら、正直に認めて、全部、何もかも話してあげるわ。
 ――でも、もし、ワタシが無実だって事が分かったら……」
 
 マーガレットがさらに顔を寄せた。――ディケイルはバランスを崩し、ソファーから落ちた。
 その顔を見下ろして、マーガレットは言った。
 
 「もし、ワタシが無実だって事が分かったら、――ワタシと付き合いなさいっ!」


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