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27.  嘘
 
 
 「――なぁ、ソウ」
 疲れたから仮眠を取るという名目で、ディケイルは自宅へ引き下がった。……なぜだかソウの腕を引っ張るので、手錠をジョルジュに預けて、ソウもそれに従う。――何も知らないジョルジュが一番の被害者だ。
「……何でもいいから、あいつが地球のスパイだっていう証拠、捏造してくれよ。ラボに頼めば何とかしてくれないか?」
「無茶言うなよ」
「このままだと、俺、あいつに喰われそうだ」
「それは自業自得だろ?初めに、『助手』にするなんて言ったから。自分できっぱり断れば良かったんだよ」
「いや、ヤツを目の届くところに置くのは、計画のうちだった」
「えっ……?」
「だから、何も出て来ないのを分かってて、部屋の捜索をしたり、あいつを疑ってるような事を言った。――そうしたら、簡単に釣れた」
「……なんでそんな事を?」
「あいつが爆発に絡んでいる限り、そうしておけば『次』の犯行は防げる。――あいつも、俺の監視をしたいだろうし、そのうち近付いて来るだろうとは思ってたがな」
「…………」
「――だが、あぁいう角度から攻めてくるとは予想外だった……」
 ソファーに横になりながら、ディケイルは情けない目をソウに向けた。――これほどまでに困窮した顔をしたディケイルを、ソウは初めて見た。……本人はそれどころでは無いだろうが、ソウは可笑しくて仕方が無い。
「――こうなったら他から当たるしか無い、が……」
 ディケイルは、ポケットの中から何かを取り出した。――先程、爆発現場で拾ったモノらしい。金属製のカプセル状のもので、かなり丈夫そうだが、片面が弾けたように破れている。
「もし、これが爆弾の一部だとしたら……」
 ディケイルは額に腕を乗せた。
「爆弾の種類は、『水素爆弾』の可能性が高い」
「………な……!?」
 
 「水素爆弾」。――かつては、「核爆弾」を起爆剤とし、核爆弾の何倍もの威力を発揮する大量破壊兵器として作られたもの。……しかし、実戦でそれが使われる事は無かった。
 その代わり、「核爆弾」を起爆剤としない新たな方式で小型化が進められ、今では、手のひらサイズのものまであるという噂を聞く。
 
 「――そうなると、簡単に作れるシロモノじゃない。水素を超高圧で圧縮して金属化し、安全に持ち運べるように加工しなくちゃならない。……素人が作れるようなモンじゃない」
「……ということは……?」
「まず、ガニメデで作るのは無理だ。地球から持ち込まれてる」
「…………」
 ――やはり、難民船が着いた時に荷物検査をしなかったのが致命的だったか。
「となると、その、『首謀者』ってのは、水素爆弾に詳しい人物……?」
「いや、それがな……。
 水素爆弾を作るのが難しいのは、金属化水素をカプセルにするのに、特殊な技術と設備が必要なだけで、完成したカプセルさえあれば、簡単に組み立てられる。しかも、そのカプセルは非常に取り扱いがラクで、起爆装置と別々に持ち歩けば、多少の衝撃じゃ何ともない。素人にだって扱える」
「……なら、ブライアンでも……」
「あぁ。部品を渡されて、組み立て方を教えられれば、使えるだろう。
 ――内部に協力者など居なくても、犯行は可能だ」
「つまり、マーガレットが爆弾の材料を持ち込み、ブライアンに組み立てさせ、設置させた。ガニメデ内部の協力者は居ない、と――」
「あぁ。その可能性が高い。
 火薬か何かのノーマルなタイプの爆弾なら、ガニメデ国内で材料の調達は可能だ。――それを国内の協力者がマーガレットに渡して、マーガレットが爆弾を作り、ブライアンに設置させた。そういうストーリーを考えていたんだがな……」
 ――そうなると、先程までディケイルが期待していた突破口が塞がってしまう。
「しかし、さっきあれほど部屋を調べたのに、何も出て来なかったじゃないか。事件の前にも、誰かが一通り検査はしているはずだ。一体、どこに隠してたんだ?」
「さぁな。――だが、そうだとすれば、事件はこれで終わる可能性が高い。マーガレットを見張っている限り、動けないだろうからな」
「……でも、そうなると、マーガレットがボロを出さない限り、事件を解決するのはほぼ不可能で、……ってコトは……!?」
「――だから、証拠を捏造するように頼んでるんだよ」
 ぐったりした顔でディケイルはため息をついた。
 
 少し休めと返答を逃げて、ソウはディケイルの部屋から撤収した。
 事務所に戻ると、……意外にも、マーガレットとジョルジュが楽しそうに会話をしていた。
「――盛り上がってるようだな」
 ソウが声を掛けると、ふたりは同時にこちらを見た。
「そうなのよ、ソウちゃん。この子、『鋼の操縦士』に詳しくてね、つい盛り上がっちゃったわ」
 ――『鋼の操縦士』は、ソウも見た事がある。巨大ロボットが登場するバトルアニメで、放送されたのは数年前だが、今でも根強い人気がある。
「『鋼の操縦士』は、本当、ロボットアニメの最高傑作ですね。特に、主人公が搭乗するC62-999改のカッコ良さ……」
「そうそう、それとあのラスト、主人公をかばってヒロインが死んじゃうとこなんて、可哀そうで可哀そうで、ワタシ、涙が止まらなかったわ」
「あの時の、敵が乗ってたアルカディア400プロトタイプのバルサーキャノン、分かります?こう、腕の中からギュイーンと……」
 ……微妙に会話が噛み合ってない気はするが、本人たちは気にする様子も無く、会話を楽しんでいる。
 ――まさか、「巨大戦闘ロボット」開発の事をしゃべってないだろうな、と、ソウは少し不安になったが、ラボの連中には厳重に口止めしてあるし、さすがにジョルジュもそれは心得ているだろう。
 
 そのまま、ジョルジュにマーガレットを任せ、ソウはそっと自分の席に着いた。予算計画をまとめたりと、テロ事件の捜査の他にも、いろいろと仕事はあるのだ。
 しばらくすると、マッド・テイラーが入って来た。一番奥の自分のデスクに座り、
「おい、参謀長!困った事になったぞ」
と言ってきた。
「……何かあったんですか?」
「今、議会に呼び出されて行ってきた」
「――それは、お疲れ様で……」
「で、今回のテロ事件、その原因は軍にあると責められた」
「…………」
 まぁ、そうなるだろうと予測はしていたが。――早いな。
「あの、キャサリン・ギルバートとかいうオバサン、法務大臣だか何だか知らないが、責任を全部軍に押し付けようとしている。犯人よりも軍が悪いという勢いだ」
「――ブライアン・マルコーが犯人だと言ったんですか?」
「あぁ。『調査はどうなってる』としつこかったから、公表はしないという条件で伝えた。そしたら、『難民を入れたのが間違いだ』と、こうきた。それに、監視カメラを外した事もうるさく言われた」
 ――このままでは……
「最後には、『軍に責任を取ってもらわないと困る』だとさ。
 ――元帥が直接呼び出されるのも、時間の問題だろうな」
 今度、ディケイルが軍から追放されるような事があれば、さすがにかばい切れない。――最悪、政府と軍部の分裂という事態に陥るだろう。
 それが、『犯人』の目的だとディケイルも言っていた。
 ……それだけは、避けなければならない。
 
 それから、旧警察の職員から連絡が入った。――例の工具の件だ。
 やはり、全部では無いが、一部から、ブライアン・マルコーの指紋と、なんとかいう火薬の一種が検出されたらしい。その火薬は、マッド・テイラーが見付けた起爆装置の一部と思われるモノに付着していたものと一致した、と。
 ……物証が出た。テロ事件の犯人は、ブライアン・マルコーにほぼ決まったという事だ。
 
 そんな事をしていると、ようやくディケイルも戻って来た。
 未だに盛り上がり中のジョルジュとマーガレットを見てギョッとしたが、これ幸いと自分の定位置に向かおうとした――が、マーガレットがそれを許さなかった。
「何してたのよぉ?ワタシと24時間一緒に居るんじゃなかったのぉ?」
「『24時間目の届くところに置く』とは言ったが、『俺の』と言った覚えは無い」
「……何よ、その屁理屈」
 すると、ジョルジュが
「では、あとは元帥にお任せして……、僕は戻ります」
と、ニヤけた顔を残して去って行った。
 
 それから、ソウはマッド・テイラーの話やら警察からの連絡やらを伝えた。――マーガレットが居るので、必然的に小声になる。マーガレットは、不機嫌そうに入口のデスクに手錠で繋がれ、化粧ポーチを広げて鏡を眺めていた。
「……このままだと最悪だな」
「あぁ。――誰かが『責任』を取らないと収まらないに違いない」
 この場合、誰がどう見てもディケイルがその「適任者」だ。
「参ったな……」
 ディケイルは天井を仰いだ。
 すると、マーガレットの声がした。
「ねぇ、トイレ行きたい」
「…………」
「手錠外してよ。誰かついて来るんでしょ?」
 ディケイルとソウは顔を見合わせた。
「早くしてよ、さっきから我慢してたんだから。ここでしちゃうわよ?」
「………分かった、行くよ」
「それから、『夜』ってどうするの?ワタシ、誰と一緒に泊まるのかしら?」
 そう言って、マーガレットはニヤニヤした。
「…………」
 ――ソウは他人事と思っていたため、そこまで考えていなかった。
「分かったよ。――ソウ、しばらくレイを預かってくれ」
「………え!?」
 ――まさか。
「こんなオッサン、引き受けてくれそうな人が思い付かない。言い出したのは俺だしな」
「…………」
 ディケイルは、「キャッ!恥ずかしいッ!」と意味不明の事を言ってひとりで盛り上がっているマーガレットに向かって歩き出した。
 その途中、足を止めてソウを振り返った。
「なぁ、ソウ」
 その目はどんよりとくすんでおり、悲痛な覚悟を秘めているように見えた。
「――戻れなくなりそうなったら、止めてくれよ」
 ………もう、どう言っていいものか、ソウには分からなかった。


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