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 それから1週間。
 元帥には会っていない。ナカムラ参謀長の話では、マーガレットという人と、ずっと軍の事務所に泊まり込んでいるらしい。――それほどまでに、あの事件の真相解明は大変なのだろう。
 けれど、元々身体が弱い元帥が、そんな無理な事をして、また倒れたら大変だ。参謀長も「気を付けている」と言っているが、やはり、レイには心配だった。
 ――自分にも、何か手伝いができないものだろうか――?
 ようやく授業が再開された教室で、空席になったブライアンの席を眺めながら、レイは思った。――今頃、ブライアンはどうしているんだろう?……どんな気持ちで、今の時間を過ごしているのだろう?
 
 ブライアンが「第2コロニー駅爆破事件」の犯人だと発表されると、その衝撃は、すさまじいものだった。
 「難民」をずさんなチェック体制で入国させてしまった不備、こんな重大な犯罪をみすみす起こさせてしまった警備の甘さを、マスコミ各局が競って指摘した。そして、そもそも、「誰でも受け入れる」という理念は間違っていると、政府の大臣か誰かが訴える始末だ。名指しで元帥を非難する人も居た。
 学校にも、「なぜそのような危険人物を通わせていたのか」、「学校で爆弾を作るという危険な行為を見過ごしていたとは、どういう事か」と、保護者からクレームが殺到したらしい。――学校で起こった事件では無いのに。
 
 レイは、だがそんな世間の狂騒よりも、自分の中のモヤモヤで、暗い気持ちになっていた。
 ――事件の直前、ブライアンと会っていたにも関わらず、どうして止められなかったのか。
 レイは、それが自分の力不足のせいだと思った。……僕が、もっと早く気付いていれば、あんなにたくさんの人が死ぬ事なんて無かったんだ。
 だから、せめて、事件の真相を明らかにするために、何か出来ないだろうか……。
 
 マタルとカティは隣のクラスだから、なかなか時間が合わなくて、一緒に帰れる事は少ない。レイは放課後、ひとりで帰途に就いた。
 その途中、必然的に事件現場を通る。――だいぶ瓦礫も片付いて、広大な更地と化していた。その真ん中に、ポツンとホーム跡だけが、かつての名残を残している。
 
 ――結局、犠牲者の数は200名を超す大惨事になった、と、ニュースで見た。負傷者を入れると、その被害者の数は1000人に及ぶらしい。
 マック少将もそのひとりだ。ソウとマタルと一緒にお見舞いに行ったが、包帯が痛々しかったけれども、本人は元気そうでホッとした。状態が落ち着いたら退院できると言っていた。
 
 もう、現場近くを通っても、そんなに「意識」が乱される事もなくなった。……しかし、とレイはふと思った。その「残存思念」から、事件の真相に繋がるような事は探れないだろうか?――これは、レイにしか出来ない事だ。
 レイは、空き地に向かって意識を集中してみた。――だが、死者の無念の思いが若干感じ取れるだけで、事件の詳しい状況は全く分からなかった。……犠牲者たちも、何が何やら分からないまま、その命を奪われたのだろう。
 と、ひどい頭痛がして、気分が悪くなってきた。……ダメだ、これ以上やれば、また「発作」を起こしかねない。
 
 レイは慌ててその場を離れ、第3コロニーの自宅へ向かった。……今、ソウとマタルと一緒に生活しているが、なぜだか、ふたりがレイの家にやってきたのだ。
「こっちのほうが、朝寝坊しても安心だ」
とか何とか、ソウは言っていたが、やはり、今の状態では、何か起きたらできるだけ早く対応できる場所に居たいのだろう。――ナカムラ参謀長は真面目な人だ。
 
 歩きながら、レイは、ブライアンを自宅へ呼んだあの時の事を思い出していた。
 ――レイの中に、モヤモヤとした疑問があったのだ。レイはあの時、ブライアンの「意識」を見たのだ。……けれども、「爆弾」とかそんな強烈なモノは感じられなかった。見落としたのか、とも思っていたけど、……やはり、何か引っ掛かる。
 何となく足を止め、しばらく考えたが、レイは踵を返し、来た道を戻りだした。
 
 ――目的地は、「旧警察」。
 ……あとでバレたら、ソウにもディケイルにも怒られるのは確実だが、レイは、そのモヤモヤを解決しなければ気が済まなくなっていた。――これは、僕にしか出来ない事だ。
 
 入ってすぐの詰所に、何人かの軍の人が居た。マック少将の部下の人たちだろう。
「……すいません」
 レイが呼び掛けると、その人たちは一斉に振り向いた。
「あの、――ブライアン・マルコー、居ますか?」
 それを聞いて、軍の制服を着た防衛隊の人たちは、互いに顔を見合わせた。
「君は誰?――友達か何か?」
「はい。――僕、ウェイニー元帥の同居人の、レイ・マグアドルです」
 そう言うと、その人たちの様子が明らかに変わった。――自分の判断で勝手にやる事に元帥の名前を出すのは心苦しかったが、効果はテキメンだった。
 先程まで胡散臭い目をレイに向けていた人たちが、
「元帥からのお使い?」
と、興味深げにレイに向き直った。
「はい。――ブライアンの様子を見てくるように、って」
 
 ……すると、あっさりと留置場に案内してくれた。
 他にも、何人かの大人が閉じ込められている鉄格子の前を通り過ぎ、もうひとつ厳重そうな扉を過ぎた向こうの一番奥に、ブライアンは居た。
 鉄格子とコンクリートの冷たい空間の中で、10歳の少年は膝を抱えて、――だが、自信に満ち溢れた顔でこちらを見上げた。
 
 「レイ、――今頃何の用だ?」
 案内してくれた人は、少し離れたところで立っていた。一応、自由に話せるように気を遣ってくれたのだろう。――だが、レイは「言葉」の会話など、する気は無かった。
 ブライアンと目が合った瞬間、レイは「意識」を飛ばした。
 ――ブライアンの「意識」がレイの脳裏に流れ込む。……留置場の粗末な食事、遠巻きに見守る防衛隊の人々――その誰もが、ブライアンに「恐怖」の目を向けている――、そして、怒りに満ちたディケイルの顔、床でのたうち回るレイ、―――そして………
 
 ブライアンの「意識」の中で、化粧をしたおじさんが話していた。
「――アナタが望むものを用意してあげたわ。この『手柄』は、アナタのモノにしていいのよ。――アナタは、必ずヒーローになれるわ」
「アナタは、一番教えてやりたい人に、それを伝えるだけでいいの。……どう?最高じゃない?」
「そうすれば、アナタはガニメデで一番になれる。――今まで、ガニメデでこんなすごい事をした人が居た?……本当はワタシがやりたいくらいだけど、いいわ。まず、アナタからヒーローになって。ワタシも、すぐに追い掛けるから」
 ……断片断片で、具体的な事は分からないが、ブライアンがこれまでに無いほど高い自意識と優越感を持った感じがした。――それこそ、笑っちゃいたいほどに。
 
 ――それから、ディケイルのうんざりした顔に銃を向けながら、屈辱に震えている感情、そして……
 
 第2コロニー駅付近で、振り返ると、レイが何やら言って走って先に行ってしまった。その後――
 
 ブライアンは、何事も無く、旧第3コロニーに向かって歩いている。
 
 ……そこまで見ると、レイは目を閉じた。――やっぱり。
 そんなレイを、ブライアンが憤りを込めた目で見ていた。
「おい!黙ってないで何とか言えよ!」
 ――ディケイルのような「トランセンダー」でない限り、普通の人間――ノーマルには、レイが何をしたのかすら分からないだろう。だた、じっと目を見つめられていただけ、そう思うに違いない。
 レイの斜め後ろに立つ防衛隊の人も、不思議そうな顔をレイに向けている。
 
 レイは、
「分かった。――また来るよ」
とだけ言って、その場を去った。
 
 ――やはり、ブライアン・マルコーは爆弾テロの犯人じゃない!
 
 しかし、……それで事件が解決したワケじゃない事はレイにも分かった。――この、レイが「意識」に侵入して得た情報など、何の「証拠」にもならないからだ。ソウに言ったところで、信じてもくれないだろう。
 ……早く元帥に伝えたい。
 
 レイは駆け足で自宅に戻った。息が躍っているが、それどこじゃない。――何とか、事務所に行く口実は無いだろうか?
 レイは、冷蔵庫を開け、昨日、マックのところにお見舞いに行った時に、奥さんのマリーからもらったカップケーキを見つけ、それを持って事務所に向かった。


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