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 突然、レイが来たから、ディケイルは驚いた。ソウの話では、俺の家にマタルと一緒に泊まり込んで、仲良くやってるはずだが。――何かあったんだろうか?
 だがレイは、
「差し入れです」
と、カップケーキの入った箱を差し出しただけで、行ってしまった。――マーガレットを見て、ギョッとした態度を見せたが、まぁ、自然の反応だ。
「――あら、美味しそうね。いただいていいかしら?」
 隣で、マーガレットが箱に手を伸ばし、4つ入ったカップケーキのひとつを取って、勝手に食べだす。
 ……ディケイルは、そんな様子を見てはいなかった。――敢えて、ディケイルが食べないと分かっているカップケーキなんかを「差し入れ」に持ってくる、というのは、どう見てもおかしい。何か用があるのだろう。しかも、ふたりで話せるところで。
 ディケイルはチラリとマーガレットに目を向けた。……指を舐めながら、「美味しいわ」と満足そうな顔をして食べている。ディケイルは手錠の片端を、マッド・テイラーが座るデスクの脚に引っ掛けると、
「おい!こいつを置いて行くな!」
と抗議する声を無視して、自宅へ向かった。
 
  ――部屋に入るなり、レイが興奮した様子でディケイルに話し掛けてきた。……やっぱり。
 だがその内容は、ディケイルの予想の斜め上を行っていた。
 
 「元帥!ブライアンは犯人じゃありません!」
「―――どういう事だ?」
 すると、レイは伏せ目がちに、留置場にブライアンを訪ね、「意識」を読んできた事を話した。
「……勝手な事をしてごめんなさい」
「いや――」
 本来ならば「そんな危険な事をするな」と叱らなければならないところだが、……閉塞しきっていた状況に「突破口」が開いてしまった。それは事実だ。
 頭を下げるレイの髪を撫で、ディケイルは言った。
「おまえ、とんでもない大手柄だぞ、これは」
 すると、レイはホッとした表情をして、ディケイルを見上げた。
「――これで、事件解決しますか?」
「いや、事件を『ゼロ』に戻せる」
「………?」
「初めに俺がしていた推理の形に方向が戻せる、という事だ」
 
 ディケイルはソファーに片方の足を乗せて座り込んだ。立てた膝に腕を乗せ、親指に顎を乗せる。――考え事をする時には、無意識にこんなポーズになる。
 
 予想通り、マーガレットが『首謀者』である事は、レイの証言で分かった。――しかし、これはディケイルにとっての「事実」であるだけで、他人にそれを認めさせるには、確かな証拠が必要だ。
 
 ――ブライアンが犯人でない、という事は、「他に」犯人が居る、という意味だ。……つまり、ディケイルが最初に考えていた、マーガレットと繋がった内部の「協力者」の存在が浮かび上がって来る。
 ――そこから攻めれば、マーガレットを落とす事も可能になる。
 その「協力者」の人物像。……難民に自然な形で接触できる人物。それは限られている。
 
 ――ボランティア。
 
 第3コロニーの惨劇から始まったボランティアは、キャサリン・ギルバートが中心となり、主婦層をメインに組織されている。詳しくは知らないが、100名を超える規模の団体になっているようだ。そして、現在、難民支援に力を貸してくれ、食事の世話や日用品の手配などを引き受けている。もちろん、それにかかる費用は政府が負担しているが、人件費がかからないだけでも、政府にとっては大助かりなのだ。
 ソウにはあやふやに答えていたが、「協力者」の存在を考えた時から、見当は付けていた。
 難民施設に出入りしているボランティア。――その中から、マーガレットと連絡を取り合っている者を探せば、必ず行き当たる。
 ボランティアの連中と仲が良いニーナに聞けば、何か情報が得られるかもしれない。
 
 そして、その存在を隠すために、ブライアンに我々の目を集中させておく必要があった。なぜなら、テロの犯人は「難民」でなければならないから。「外部からの者の犯行」でなければ、軍の管理能力を問う事ができない。
 そして、ブライアンにはその「動機」もあり、「犯人役」としては申し分無かった。
 だが、ブライアンにそんな事ができる能力は無い。一対一でディケイルに銃を向けるチャンスがあったのにも関わらず、引き金を引く事すらできなかった小心者だ。
 そこで、マーガレットは、ブライアンに持ち掛けた。
「『テロ事件の犯人』という大役を、あなたにやらせてあげる。実際の犯人は別に居るのだが、あなたをヒーローにしてあげたいから、犯人の座を譲ってあげる。ヒーローにさえなれば、あなたの事をバカにしたヤツらを見返してやれる」
 本人が言っていた通り、「『悪』に憧れを抱く子供の心理」を巧みに利用したのだ。
 ――ブライアンは、直前にディケイルにヘコまされ、自分に大それた事を成し遂げる能力が無い事を思い知らされていた。だが、自意識だけは人一倍強く、他人の「手柄」を自分のものにしてでも、自分の名を上げたい、そんな気分だった。
 
 ――利害は合致した。
 
 そこで、ブライアンは、ディケイルとレイに「自分が犯人である」と言い、ディケイルたちの反応を見て、自意識を満足させると同時に、マーガレットの思惑通り、犯人となる事に成功した。
 ――今から思えば、あの小心者が本当に犯人なのならば、あのような態度は取れなかったはずだ。罪の意識に押し潰されていたに違いない。本当は犯人でないから、「騙されている」ディケイルたちを見て、面白くて仕方無かったのだ。
 そして、マーガレットも、ブライアンが簡単にこの優越感を手放さない事も見抜いていた。その通りに、ブライアンは逮捕後、未だに真実を話そうとしない。――『爆弾テロ犯』という、ヒーローの名に酔っている。
 今後も、たとえ真犯人が捕まったとしても、ブライアンの口から真相が語られる事は無いだろう。……その真相は、ブライアンの「理想」にとって、お粗末極まりないものだから。あのプライドだけは高い子供のことだ。真実を明らかにする事は、自分を貶める事であり、それだけはどうしても許せない、そう思っているに違いない。
 
 ……しかし、完全に騙された。
 ブライアンの言っていた通り、偉そうな事だけ言って、俺の目は節穴だったのか、畜生!
 
 ディケイルは爪を噛んだ。
 ――だが、今は悔しがっている暇すら無い。……「協力者」がまだ自由の身で居るとなれば、「第2の事件」が起きる可能性も捨てきれない。とにかく、その「証拠」を提示して、話を先へ進めなければ。
 レイの話の裏付けを目に見える形でしなければ、ディケイル以外の人間には理解すらできないだろう。
 
 ――まずは、ブライアンが「犯人では無い」根拠。それを上げなければ、ソウを納得させる事はできない。
 ……さすがに、レイの「特殊能力」の事を明かす訳にはいかない。そんな事をしては、あのソウだって、レイを見る目を改めるだろう。――自分の心を読まれる、それは普通の人間が最も忌み嫌う事だ。
 
 それには、「爆弾を設置していない」事を証明すればよい。どうやって?
 ――この場に及んで、監視カメラを外した事が猛烈に悔やまれる。その映像さえあれば、一目瞭然だったのに。そればかりは、あのキャサリン女史の言葉を認めざるを得ない。
 ……だが、そうでなくとも、ブライアンの話の「矛盾」を突けば、その証明になるのではないか?
 ブライアンが爆弾を設置した状況、……あの時話していた内容。
「第2コロニー駅に発信機を設置し、停車していたシャトルに爆弾本体を設置、3~4時間かけて環状線を1周して、再びシャトルが第2コロニー駅に到着、発信機に近付いたら爆発するように設定した」
 
 ……待てよ?何か違和感がある。何か……。
 
 ディケイルはある事に思い当り、ソファーからガバッと立ち上がった。――ビックリした顔で、キッチンに向かっていたレイがこちらを向いた。
「ちょっと出掛けてくる」
「少し休んだ方がよくないですか?どうせ寝て無いんでしょう?」
 だが、ディケイルはレイにニヤリと笑顔を向けた。
「もうすぐ、事件は解決する。――その後で、思う存分寝てやるさ」
 
 
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