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32.  修羅場
 
 
 「な………!?」
 何がどうなってる?と言いたかったのだが、言葉も出て来なかった。
「あら、お客さんが増えちゃったわね。これまた予想外だわ」
 部屋の中央に居る男が言った。スキンヘッドに精悍な顔立ち、男性看護師の白衣を着ているが、……その声には、間違いなく聞き覚えがあった。
「……ま、マーガレット!?」
「正確には、『ハイドロ・テラー』だな」
 ディケイルが言うと、その男はニヤリとした。
「やっと気付いたの?遅かったわね。――無一文のホームレスから国をひとつ作っちゃった凄い人って聞いてたから、もっと早くに気付かれるんじゃないかって、ちょっとドキドキしてたのに、残念だわぁ」
「―――お、おい、俺はまだ全然分かってねぇぜ?」
 椅子の上で、マックが声を上げた。
 一方、レイは銃口をピタリとハイドロ・テラーに向けたまま、無表情で黙っている。
 
 「……じゃ、説明してあげるわ。――ワタシは、この部屋に爆弾を仕掛けに来たの。置くだけ置いてズラかろうと思ってたら、アナタが居るじゃない?邪魔されちゃ困るから、ちょっと縛らせてもらったの。
 そしたら、今度はこのヒトがそれを邪魔してくるし、参ったわ」
と、ディケイルに顔を向けた。
「アナタ、そのケースの中身分かってる?この病院1個吹き飛ばすくらいの爆弾なのよ?それを振り回してワタシに殴りかかるなんて、常識じゃ考えられないわ」
「俺はあんたを信用してるんだよ。あの程度の衝撃で爆発するような、そんなヤワなモンを作って無いとな」
「……ま、それは正解だわね。この爆弾は、ワタシが持ってるこのリモコンのボタンを押すか、このリモコンが爆弾から1km以上離れるかしないと、起爆しないようになってるの。……もうひとつ、ヒミツの起爆方法があるんだけどね。今は教えてあ~げないっ」
 ディケイルは、左手を上げて見せた。――アタッシュケースと、手錠で繋がれている。マーガレットに付けていた、あの、ジョルジュ特製のヤツだ。
「つまり、あんたは、俺に爆弾を持たせて、さっさと逃げ出すつもりだった。――で、安全なところまで行ったところで、自動的にドカン、とな」
「そう、そういうコト。――でもね、この坊やが、そうさせてくれないのよねぇ~。困ったわ」
 今度は振り返って、レイを見た。――相変わらず、レイは無表情にハイドロ・テラーを見ている。
 
 ……マーガレットとして、化粧をしていた時よりも、カツラを外して素顔を晒した今のほうが、整った顔立ちをしている。それだけ、化粧がヘタだったという事か。
 ソウの視線に気付いて、ハイドロ・テラーはこちらを見た。
「――あら、参謀長サン、ワタシの顔が気になる?メイクしないと、ずいぶんオトコマエになるでしょ?
 みんな、なかなか理解してくれないけど、ゲイとオカマは別物なの。女性になりたいっていう願望があるのがオカマで、男のままで男を愛せるのがゲイ。……両方の人も、中には居るけどね。ワタシは純粋なゲイだから、メイクなんて興味無いし、けど、小道具にメイク道具が必要だったから、頑張ってオネエになってみたの。――でも、あんなの、何も楽しいと思わなかったわ」
 そう言って、今度はディケイルを見た。
「――でも、アナタがワタシのタイプのドツボだったのは本当よ。……一回くらい、襲っておけばよかったわ。今になっては残念ね」
 ディケイルは血の気の引いた顔でハイドロ・テラーを見た。――いや、その発言に対してでは無く、体調的に顔色が悪いようだ。見れば、ベッドの奥で点滴台が倒れ、チューブの先から液体が漏れている。ディケイルの今の状態で、麻酔の無いまま長時間を過ごすのは厳しいだろう。
 とにかく、一刻も早く、事態を収拾しなければ……!
 
 だが、そんなソウの焦りとは裏腹に、室内の空気は、完全に膠着しきっていた。
「――ねぇ、坊や。その銃、下ろしてもらえないかしら?ワタシ、今この場でこの爆弾を爆発させる事もできるのよ?銃を下ろしてくれなきゃ、そうしちゃうかもよ?」
「好きにすれば?そうすれば、自分も死ぬわけだし」
 レイが冷たく返すと、ハイドロ・テラーは歯ぎしりをした。
「まぁ!可愛くない子ねっ!――この子、アナタの養子なんでしょ?なら、銃を下ろすように言ってくれない?じゃないと、今病院に居る何千人もの人が死ぬってコトを、説明してあげてよ」
「レイが銃を下ろしたところで、これがある限り、この病院は爆発するんだろ?なら、俺も連れて行けと言ってるだろうが」
 ディケイルはだるそうにアタッシュケースに手を置いた。
「だって、あなたを連れ出そうとすると、あの子が怖い顔をするんだもん。――どうすればいいのよ、全く!」
 ――要するに、ディケイルはハイドロ・テラーの爆弾に脅され、ハイドロ・テラーはレイのハンドガンに脅され、レイはディケイルの命令でないと動かない。……三竦み状態になっているのだ。
 
 「――何となく、今の状況は分かった。だが、……そもそも、あんたは誰だ?」
 マックがハイドロ・テラーを見た。
「だから、何度も言ってるじゃない!ワタシは爆弾テロのプロフェッショナルである、ハイドロ・テラーだって!」
「なんで、そんなヤツがここに居るんだ?」
「だからぁ……」
 ハイドロ・テラーはため息をついた。
「いいわ。どうせだから、全部説明してア・ゲ・ル。
 ――まず、ワタシは難民船に紛れ込んで、地球からガニメデに来たの」
「誰の指図だ?」
 ディケイルが力の無い目をハイドロ・テラーに向けた。……やはり、体調は限界に近付いてきているようだ。額に汗が浮かんでいる。
「誰って?アハハ、冗談言っちゃいけないわっ。ワタシは、天下のハイドロ・テラー様よ。誰かの命令で動いたりしないわ。ただ、やりたいからやるだけよ」
「金で雇われるヤツだ、という噂も聞いた事があるがな」
「だ、誰よ、そんないい加減な噂流してるのは!……とにかく、ワタシはガニメデでドカンとやったら面白いんじゃないか、と思って、ガニメデに来たの!
 ――そしたら、偶然、マルコーの坊やと一緒になったじゃない?これは面白い事になった、と思って、作戦を考えたの」
 
 ……それが、『第2コロニー駅爆破事件』。
 
 「そうそう早く捕まっちゃったら、楽しめないじゃない?だから、直接ワタシが爆弾を設置するんじゃなくて、仲良くなったボランティアのオバサンの弱みを握って、やらせたの」
 物品担当のカミラが、実際より多く発注をかけて、ネコババをしている事を知り、脅迫。生理用品の中に爆弾の材料を紛れ込ませて、受け渡しをしていた。
「ワタシが設計と起爆装置の制作をしたわ。起爆装置の材料は、カミラのオバサンが用意して、ワタシに渡してくれるの。で、それを加工して、それとあとは、口紅のケースに隠して持ってきた水素カプセルを、何回かに分けて渡すの。――あのオバサン、ただでさえ発注ミスが多いのよ。だから、多過ぎるから返すって言えば、誰もヘンに思わなかったみたいね」
 そして、カミラが自宅で設計図通りに組み立て、保管した。
「念のため、組み立てミスをしてないか、写真を撮らせて確認までしたのよ。素人の仕事だから、あまり信用しちゃいけないかなって思って。でも、ワタシがものすごく分かりやすい設計をしといたから、あのオバサン、完璧にやってくれたわ。……もちろん、その写真はすぐに返したけどね」
 ――カミラの自宅は徹底的に捜索されたが、そのようなものは出て来なかった。きっと、すぐに処分したのだろう。


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