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 「――その裏で、ブライアンの坊やが事件をかき回してくれそうな気がして、いろいろ試してみたわ」
 まず、ハイドロ・テラー自身がディケイル・ウェイニーに恨みがあるという風に吹き込んだ。
「少し同情してやると、すぐにワタシを信用したわ。だから、試しに弾が1発だけ入ったハンドガンを渡してみたの。……そしたら、アナタの家に呼ばれた時、ワタシの言った通りにアナタを撃とうとしたらしいわね。――あの子は避けられて当たらなかったって言ってたけど、本当は、引き金を引けなかったんでしょ?
 口では大きな事を言うけど、実際にそんな事をする度胸は無い。だけども、プライドだけは高くて、誰かをアッと言わせる事をやってみたい。――たとえ、それが嘘でもね。
 ……ワタシの計画にピッタリの性格をしてたわ、あの子」
「――で、俺とレイに、全て自分がやったように言わせた、と」
「そう。あの子はうまくやってくれたわ。『証拠』を渡したら、指紋を付けたり自分で細工して、学校に隠してくれたし、積極的に『犯人』になろうとしたわ。……今でもまだ、自分が犯人だって、その気になってるんでしょ?――バカな子ね。利用されただけだってのも分かってないのね」
 ハイドロ・テラーはケラケラと笑った。やがてその目を、ディケイルの上に落とす。
「……でも、もっとバカなのは、それに完全に踊らされたアナタたちよ。あんまり素直に騙されてくれるモンだから、いろいろ忠告もしてあげたくなっちゃったわ。もう、可笑しくて可笑しくて。サイコーだったわよ」
 ディケイルは苦い表情で顔を歪めて視線を落とした。
「爆弾を起爆させた方法にしたって、ブライアンの坊や、何かおかしな事を言ってたらしいわね。その時点で、すぐにおかしいって気付くべきだったんじゃないの?だって、起爆装置の一部が見付かってたんでしょ?あんなの、どう見ても時限装置よ。
 ……念のため、起爆装置を2種類以上付けておくのがワタシの趣味だから、実は、他にも、爆発するフラグがあったの。――それは、シャトルのドアが開く時の警報音。あれは、全世界共通だから、地球からサンプルを持って来て、それの音に反応する端子を埋め込んであったのよ。
 ――今になっては、どちらが実際に動いたのかは、分からないけどね」
「2個目の爆弾は?」
「あぁ、アレ?――アレは、1個目の爆弾が破裂する衝撃で、時限装置のスイッチが入るようにしてあったの。――1回目の爆発があってから30分後。ベストタイミングだったわね」
 ……嘘だ。今まで嬉々として語っていたのに、2個目の爆弾の説明だけは、やたら簡単だ。ソウから見ても、何だか不自然に感じる。
 
 だが、ハイドロ・テラーはソウの訝しげな視線になど気を止める様子も無く、話を続けた。
「……その隙に、次の爆破の計画をしてたの。もう、あのオバサンに爆弾は渡してあったから、あとは、設置する方法を考えて、連絡だけすれば良かったの。
 ――でも、さすがね。どうやってだが知らないけど、ブライアンが本当の犯人じゃないって、バレちゃったのね。
 難民施設の食堂で騒ぎになってるって聞いた時は、焦ったわ。あのカミラってオバサンも、脅されてるから動いてただけで、小心者の極みみたいな人でしょ?だから、アナタがうまくまるめ込めば、全部しゃべっちゃうかも~って、気が気じゃなかったわ。だから、エドちゃんを付き合わせて、現場に行ってみたの。……そしたら、案の定、落ちる寸前になってるじゃない?ヤバイと思ったわ」
 それで、わざと悲鳴を上げて、カミラの注意を後方に向けさせ、背後からソウが爆弾を狙っている事を知らせた。パニックになったカミラが、何か行動を起こすかもしれない。しかし、実際に動いたのはディケイルの方だった。
 だが……?
「――なんで、カミラのオバサンが持ってた爆弾が爆発したのか、気になるでしょ?
 ……ワタシ、いつかそういう時が来るんじゃないかって、初めからあの人に渡しておいたの、――自殺用の爆弾を。アレ、威力は半径80cm以内だから、1歩離れれば、ケガも何もしないで済んだのよ。……なんで、そんな小規模なのかって?だって、あのオバサンが自殺する度胸も無い事くらい、分かってたわ。だから、いざとなったら、ワタシがあの爆弾を起爆させる必要があるんじゃないかって、思ってたの。
 でね。その爆弾の起爆方法ってのに、ちょっと工夫してね」
 ハイドロ・テラーは楽しそうにディケイルを見た。
「さっきも言ったわよね?これまでにワタシが作った爆弾、ほとんどがそうなんだけど、起爆方法はひとつじゃないの。あの爆弾には、『フタを開ける』っていうスイッチと、もうひとつ、スイッチが仕込んであったの。――それがね」
 クククと喉の奥で笑う奇妙な声がした。――その声は、ソウの背筋を凍り付かせる程度に部屋の温度を下げた。
 
 「『伏せろ!』ってコトバっ!」
 
 ソウは目を見開いた。――あの時、確かにディケイルはそう叫んだ。……まさか、その言葉が起爆スイッチになっていたとは……!!
 ……いや、あのような場合、ディケイルが言わなくても、誰かが言っていた。それを想定していた、という事か――!!
 ディケイルも、蒼白な顔でじっとハイドロ・テラーを見上げている。
「つまりぃ、アナタが余計な事を言わなければ、爆発なんてしなかったの。――ま、誰も言わなかったら、ワタシが言ってたんだけど。
 手も足も出さないで、ただ動かずに見てれば、アナタは足を吹き飛ばされないで済んだのにねっ!自分で本当の事件解決に繋がるキーパーソンを殺して、さらには自分の足まで落とすなんて、――究極のバカね!」
 ハイドロ・テラーは腹を抱えて笑いだした。ソウの斜め前で、レイが静かにハンドガンを動かした。細かい表情はソウの位置からは見えないが、相当怒っているようだというのは分かった。
「……ちょっと、そんなコワい顔しないでよぉ。真実を言ってるだけじゃない?」
「うるさいんだよ、オジサン」
「―――憎たらしい子ね。
 ……まぁいいわ。もうひとつ、アナタにとっては、ちょっといいコトを教えてあげる。――あの時、足を出してたから、アナタの保護者サンはまだ助かったの。……手で爆弾を取り上げようとかしてたら、あのオバサンと同じく、今頃頭が無かったでしょうね。だから、ツイてたとも言えるのよ。
 ――ワタシにとっては、残念だったけどね。だって、その時死んでくれてたら、今、こんな事をしてる必要無かったワケだしぃ~」
「――要するに、最終目標は、俺だったんだな」
「そうよ」
「……なら、どうして初めから俺を狙わなかった?」
「だから、言ったでしょ?単純にひとりだけ殺しても、面白くないじゃない?だから、出来る限り騒ぎを大きくして、アナタが精神的にズタズタになるところを見てみたかったの。――この目標は、おおかた達成できたと思ってるわ」
「精神的に、じゃないだろ。――『立場的』の間違いじゃないのか?」
 ディケイルは、壁に背中を預けた。――かなり苦しそうだ。
「そんなの、どっちでもいいわ。……とにかく、落ちるところまで落ちたところで殺す、それが目標だったの。だから、一緒に捜査するって名目で、アナタに近付いて、どんな風に壊れていくか、観察したかったのよ。――今、エンディングを迎えるには、まだちょっと早かったかもしれないけど」
「あぁ、早過ぎるな。ミカエルが急かしてきたから慌てたとしか思えない」
「……何か、アナタ、ワタシをどうしても地球から送りこまれたスパイか何かだって思いたいようね」
「それ以外に考えられるか?――ただの愉快犯なら、ふたつ目の標的に、『ラボ』なんてマニアックな施設を選ぶハズが無い。それはどう説明する?」
「そ、それは……。――そう、アレよ。あの子、ジョルジュくんとかいう子。あの子をちょっと、いじめたくなったの」
「そのために、わざわざ爆弾を用意するか?それに、何もしなければ、俺は未だにあんたの尻尾を捕まえられなかっただろう。なのに、今になってなぜ急に行動を起こした?――自分がハイドロ・テラーだとバラしてまで」
「それは………」
「答えは見えてる。――ガニメデ内部に既に存在しているスパイからの情報を受け、ラボの一員であるジョルジュに接触を図った。だが、結局、何が行われているのかまでは突き止められなかった。しかし、近日地球が送り込んでくる宇宙艦隊の邪魔になる存在かもしれない。仕方ないので、とりあえず爆破でもしておこう。……違うか?」
「違うも何も……。意味が分からないわ」
「そして、足は失ったとはいえ、比較的元気そうだから、邪魔して来ないよう、俺も殺しておこう。――で、正体がバレたあんたは、変装をやめて、ガニメデ国外へ脱出するつもりだった。……計画が崩れて残念だったな」
 ハイドロ・テラーは黙った。――明らかに、先程までの勢いが無い。
「今は黙っていてもいい。あんたはこのまま捕まる。そうすれば、どんな方法を使ってでも、真実を吐かせてやる。……あんたの爆弾の犠牲になった人たちの命が、ただの愉快犯の自己満足のために失われたとなれば、死んでも死にきれないだろうからな」
「――アナタ、今の状況を分かってそんな事言ってる?今、圧倒的に有利はのはワタシなのよ?その、レイって子は、ワタシひとりを標的にしてるだけ。……でも、ワタシは、この病院に居る全ての人たちの命を預かってるの。どちらが折れるのが利口かしら?」
「果たして、そうかな?」
 ディケイルはニッとした。
「この病院には、この5人しか居ない、としたら?」


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