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33.  依存症
 
 
 ブライアン・マルコーは釈放された。
 嘘をついて大人を騙した事を、マック少将に相当説教されたらしいけど、罪に問える内容じゃない、って事になったみたいだ。
 
 ブライアンは、学校に来た。
 レイは、ブライアンはもう来ないんじゃないか、と思っていた。けれども、何か考えがあるのだろう。
 その日の放課後、レイはブライアンを屋上に呼び出した。
「―――何?」
 疲れ果てた目を泳がせながら、ブライアンはレイの前に立っていた。
「……これを、返そうと思って」
 レイはポケットからあるものを取り出した。――それは、ハンドガンだった。
「…………」
 ブライアンはそれを見下ろして、しばらく突っ立っていた。やがて、
「――僕に返して、どうする気?」
と聞いて来た。
「さぁ。自分の思うようにすればいいと思うよ」
 レイは、ブライアンの手にそれを渡し、屋上を出た。
 
 
 
 ――レイは、初めてマーガレットを見た時から、この人は元帥を殺そうとしていると気付いていた。ディケイルが怪我をしたと知った時にはヒヤリとしたが、ナカムラ参謀長の顔を見て、本人は大してショックを受けていないと知って、安心した。
 しかし、怪我のせいで、ディケイルの行動力は奪われてしまった。もし、こんな時にマーガレットが襲ってきたら、対応はできないだろう。レイは、ディケイルの周辺に意識を置き、『悪意』の動きに注意していた。
 ……そうしたら、4日前のあの日、激しい『悪意』が動いているのを感じた。
 授業中だったが、「気分が悪くなった」と保健室へ行くフリをして、レイは学校を抜け出した。
 
 ディケイルの居る病院へ行くと、エドが飛び出してくるところだった。
「――おい、レイ、おまえ、学校は?」
 レイの姿を見付けて、急いでいる様子ではあったが声を掛けて来た。
「マーガレットって人が、元帥の病室に向かってませんか?」
 その質問には答えず、レイはエドに質問を返した。
「あぁ、元帥からそんな話を聞いて、今から、軍本部に連絡に戻るところだ。チャン大将が入院患者の避難とかの指揮をしてくれてる。もし用があるなら、チャン大将を探してみてくれ」
 ……やはり、ディケイルも気付いてはいたようだ。
 レイは、チャンは探さず、混乱する病院の中を、ダイレクトにディケイルの病室へ向かった。
 
 ――病室では案の定、ディケイルとマーガレットが取っ組み合いをしていた。患者たちの避難の時間稼ぎをする気だろう。……しかし、あの身体では無理があり過ぎる。
 横の椅子に縛り付けられたマックも、心配そうにその様子を見ていた。
 レイは、ポケットからハンドガンを取り出した。
「――動かないで」
 そう言うと、マーガレットはディケイルから手を離した。
「レイ!おまえ、何しに来た!?」
 ディケイルはレイに丸い目を向けながら、壁際に下がり、呼吸を落ち着けるようにうずくまった。……傷が痛むに違いない。
 
 ハンドガン。――元々はブライアンの持ち物だ。……いや、マーガレットのもの、と言った方が正しいだろうか。
 旧警察に、ブライアンの『意識』を読みに行ったあの時、ブライアンがハンドガンを隠した場所も分かった。
 ――それは、レイの自宅の郵便ポストの中。
 帰って見てみたら、ポストの天井に、テープで貼り付けられていた。恐らく、マーガレットに「ディケイルを撃とうとしたが、外れてしまった」と言い訳していたから、その嘘をごまかすために、ハンドガンはマーガレットに気付かれない場所に隠す必要があったのだ。――それが、よりにもよって、ディケイルの自宅とは。これにはレイも驚いた。考えてみれば、ブライアンはそうする事で、ディケイルとレイに「挑戦」した意味もあったのかもしれない。
 
 レイは、それから、ディケイルに何かあったらいけないと、ハンドガンを持ち歩いていた。
 使い方は、調べなくても分かる。レイの脳波を、人の心を読む時と同じように、ハンドガンにリンクさせれば、それがどういう仕組みになっているのかが分かるのだ。
 
 ――しかし、いざ、それを使う場面が来た時。
 どういう展開になるだろうか?――ハンドガンを見付けた翌日、ソウに「元帥は僕が守る」なんて調子に乗った事を言ってみたはいいが、果たして本当に使えるのだろうか?と頭の中でシュミレーションしてみた。
 ……まず、レイが銃を使おうとすれば、ディケイルは絶対に止めるだろう。そして、「自分が撃つから渡せ」と合図をしてくるに違いない。そして、ディケイルに銃を渡す。それはいい。――だが、そのディケイルが、果たして銃を使うだろうか?
 ……いや、あの人はそうそう簡単に、人を傷付けるような事をする人じゃない。マーガレットを生きたまま捕え、その罪を償わせようとするだろう。しかし、身体があんな状態だ。マーガレットがその気になれば、ディケイルから銃を奪う事なんて、簡単に出来てしまう。
 ――という事は、このハンドガンが、逆にディケイルの命を脅かす凶器になる可能性が高い。
 
 レイは、マタルに見付からないようにこっそりと銃を取り出し、細工した。――1発だけ入っていた弾を取り出し、代わりに、そのへんに転がっていたピーナッツを突っ込んでみた。すると、意外にも、充填器はそのままの位置で固定され、弾が1発だけ入っているように見える。……弾じゃなくても、弾っぽいモノを入れておけば、それらしく見えるんだ。ちょっとした発見だった。
 
 ――マーガレットは、ピーナッツを込められた銃で、長時間、動きを封じられていた事になる。元々、自分の持ち物だった銃だ。そして、ブライアンが使わずに隠していた事も知っていた。深く考えもせずに、「弾が1発入っている」という認識を持っただろう。
 しかし、それはマーガレットだけでは無く、その場に居た全員がそうだった。……ディケイルも例外では無い。
 
 ――さて、あとは、ディケイルにこの状況をどうにかする算段があるのか?
 バレないか気にしながら、レイはディケイルの意識を探った。……が、意外にも、ディケイルはその場の成り行き任せに考えているようで、特に作戦など練ってもいなかった。
 ………本当に大丈夫だろうか?レイは不安になりながらも、では、自分の作戦を実行してみようと、行動に移した。
 
 まず、マーガレットの意識を探る。慣れていない人は、よく目を合わさないと、その脳裏が読めないため、少し挑発するような事を言って、こちらを見るように仕向けた。――その作戦は成功し、レイはマーガレットの意識に入り込んだ。
 ……その目的は、「爆弾の解除方法」を探るため。
 ハンドガンのような単純な造りのモノならいいが、さすがに、爆弾の構造を読み取ってそれを動かないようにする方法を見付けだすのは、難易度が高過ぎる。元々、レイには爆弾の知識なんてモノが無い。
 だから、マーガレットの意識から、そういう知識も拝借した。――この試みは正解だった。あまりに複雑な構造で、マーガレットの知識が無ければ、解除は無理だっただろう。
 
 ――その様子を見て、ディケイルが不安になったようだ。……レイが、マーガレットの脳に脳波を送り込んで、直接心臓を止めようとしているように見えたらしい。――まぁ、やろうと思えば不可能では無かったと思う。けれども、そんな事をすれば、ディケイルが悲しむだけだ。ディケイルは、口で厳しい事を言いながら、レイに意識を送って来た。
 ――俺に銃を渡せ、と。
 ……やっぱり、こうきたか。まぁ、これも計画のうちだ。
 
 レイは、ディケイルに銃を渡し、時間稼ぎをしてもらう事にした。
 ディケイルとマーガレットが何やら格闘している間、レイは床に置かれたアタッシュケースに意識を集中させていた。
 ――見える。金属水素のカプセルがいくつかと、起爆装置らしい、電気配線。……それを繋げている、この線と、この線を切断すれば……。
 しかし、あの距離で、しかもアタッシュケースという隔壁越しに、その作業をするのは、想像以上に大変だった。なかなか、思うように思念が飛んでくれない。――でも、やっと配線の1つが切れたところで、だが、アタッシュケースは動かされてしまった。……見ると、ディケイルが人質になってるじゃないか!早くしないと……!!
 ――って、元帥、爆弾を振り回さないでください!意識が送れません!
 
 だが、一度コツを掴んでしまえば、もう1本を切断するのは、先程よりずっと楽だった。
 ……何とかなった……。
 レイはホッとして、顔を上げた。――今度は、ディケイルは床に転がって銃を突き付けられている。……何がどうなったのか見て無いが、本当に怪我人なのか?
 しかし、観客になっているワケにはいかない。
 レイは言った。
 
 「遅くなってすいません。爆弾の解除ができました」
 
 ――それから、ハンドガンの中身がピーナッツだと種明かしをしてやると、マーガレットは絶望に沈んだ顔で、レイの事を『悪魔』だと言い残して、――自爆した。
 
 ……これも、止めようと思えばできただろうか?
 レイは、チャンに抱えられて床に伏せながら思った。……しかし、同時に、「なるべきようになった」という気持ちが頭をよぎった。
 
 ……その夜。
 病室を移ったディケイルを尋ねた時、レイは言われた。
「――自分を『特殊』な人間だと思うな。その傲慢さが、いつか、自分の首を絞めるぞ」
 ……自分の心を見透かされたようで、レイの身体の奥のほうが冷たくなった。
 ディケイルは、レイのした事を褒めてはくれなかった。元々、褒めてもらうつもりも無かったし、逆に怒られるんじゃないか、と思っていた。――だが、ディケイルは怒りもしないで、厳しい目をレイに向けた。
「少し、他の人ができない事ができるからといって、でも、それは他の人よりも優れているという事じゃない。自分のやるべき事をわきまえて、その上で考えて行動する人間。――ソウのようなヤツを見本にしろ」
 ……そう言うディケイルの顔が、何だか寂しそうだった。
 
 ――後で聞いたのだが、ナカムラ参謀長は、今回のゴタゴタの責任を取って、軍を離れてしまったのだ。
 
 
 
 ――レイは、ずっと考えていた。
 ディケイルはブライアンに銃を向けられた後、なぜ、それをそのまま返したのだろうか?と。
 ……本当の答えかどうかは、聞いてもいないので分からないが、――いや、聞いたところで教えてくれるとも思えないが、レイは自分なりの答えを出した。
 
 ―――それは、ブライアンに、『命』というものの本当の価値を教えるため。
 
 ブライアンに返す時、ハンドガンには、きちんと弾を戻しておいた。
 ……それを、ブライアンがどう使うか。――あとは、ディケイルを信じるだけだ。


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