忍者ブログ
オリジナル小説のダストボックス

WRITE | ADMIN

PR
カウンター
プロフィール
HN:
碧井 湊
性別:
非公開
自己紹介:
頭の中には、
いつも何かのストーリー。
なかなか、
文字にならないのが難点。

詳しい事はこちらへ。
メールフォーム
感想・ご意見等 お気軽にどうぞ
Powered by NINJA TOOLS
忍者サイトマスター
バーコード
ブログ内検索
当ブログの利用方法
★プラグイン最上部のブログタイ
 トルをクリックで、トップページ
 へ戻ります。
★トップページより、各小説タイ
 トルをクリックで、目次ページ
 へ進みます。
★プラグイン内「カテゴリー」から
 も、目次ページを開けます。
★小説各ページに「次へ」のリン
 クはありますが、「前へ戻る」
 リンクはありません。プラウザ
 内の「←」をご利用いただくか、
 一度目次ページへ戻るかして、
 ご覧ください。
アクセス解析


忍者ブログ [PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


web拍手 by FC2


 「――おい、レイ、おまえ、ブライアンに何をした?」
 今日は学校が休みだと言って、レイは朝から「特製ジュース」を持ってきた。――確かに、病院食で食べられそうなモノは出て来ない。一応、食べられないもののアンケートを渡されたのだが、正直に書いて提出したら、完全に無視された。
 ――だが、できればミックスジュースでは無く、その材料をそのまま持ってきてくれる方が嬉しいのだが……。
 そんな事を言えば、またレイが悲しむといけないので、ディケイルは仕方なくカップに口に付けた。
 ……そんな事をしながら、朝のニュースの、ブライアンのインタビューを見ていたのだ。
「何をって……。何もしてませんよ。――ただ、ハンドガンを返しただけです」
「…………」
 ――こいつは、俺の真似でもしたつもりか?
 俺がブライアンにハンドガンを返した理由は、当時はあんな事件が起こるなんて思いもしていなかったから、踊らされているブライアンがそれに気付いた時、「バイオリン弾き」にその銃口を向ける事になったら面白い、そう思っただけなのだが。
 
 ……まぁ、どちらにせよ、ブライアンがこのようなカミングアウトをしてくれた事は、非常に大きな意義がある。
 まず、軍に対する非難の目は、完全に「地球」へと移るだろう。俺としてもやりやすくなるし、第一、マッド・テイラーが胸を撫で下ろしているに違いない。苦情対応係には向かない人間だ。
 それから、ソウを呼び戻す事もできる。――いや、まだ出発したばかりだ。宇宙艦隊との一戦が終わるまでは、火星で休暇を楽しんでいてもらうか。……正直、これまでの件に関して、ディケイルはソウに一番負い目を感じている。自分の意志に反して巻き込んだのも事実だし、ここまで真面目に働いてくれるとは思っていなかった。……ソウに倒れられるのが、ディケイルにとって一番の痛手かもしれない。
 ブライアンの発言は、それだけでなく、――キャサリン・ギルバートへの圧力にもなる。ブライアンにその意識は無かっただろうが、これを見たキャサリン女史は慌てるに違いない。対抗する声明でも出してくれたら面白いが、――さすがにそこまで単純にはいかないだろう。
 
 ……テレビニュースは、続いて、昨日から始まったという軍施設の見学会の盛況ぶりを中継していた。
 見覚えのある風景に、人だかりができている。――その先頭あたりで、マッド・テイラーがプラカードらしきものを持って、何やら大声で叫んでいた。
「…………」
 ――なんでこうなった?ディケイルは唖然とした。
 
 すると、レイが言った。
「昨日、怖そうな人たちがバットやデッキブラシを持って、押し掛けて来てたんです」
 ――まぁ、いつかそうなるだろうとは思っていた。ハイドロ・テラーが死んだ後もテロリストは生きている、という内容の胡散臭い記事を載せている週刊誌は、病院の売店で見掛けた。
「ちょうど、通り掛かったんで、家に帰ってから、マリーさんに、寒いから温かい紅茶でも持って行こうかと提案したんです。
 そしたら、テイラー総司令官とマック少将が、その人たちと話し合いをしていて、施設の見学会をすれば、疑いも晴れるんじゃないか、って事になったんです」
 ――ディケイルは横目でレイを見た。素知らぬフリを決め込んでいるが、全てレイが仕組んだ事に違い無い。マッド・テイラーがそんな案を出すとは考えられない。

 テレビでは、女性リポーターがその様子を背景にしゃべっている。
「――そして、見学コースの最後には、マクレガー防衛隊長官の奥様である、マリー夫人の手作りスイーツのお土産付きという、何ともアットホームな内容になっています。
 市民と一体となった、『開かれた政治』を目指す姿勢が、ここにも現れているように見えます。
 これから私も、実際に、見学会を体験してみたいと思います!」
 リポーターがにこやか手を振り、画面はスタジオに戻った。
 
 「――おまえ、責任取れよ?」
 ディケイルが渋い顔でレイを見ると、レイはニコリと笑顔を返した。
「あれ?僕は提案しただけで、それを受け入れたのは僕のせいじゃありませんよ?
 それに、元帥、自分で言ってたじゃないですか。『僕はまだ責任を負えるような年齢じゃない』って」
 ――確かに、ハイドロ・テラーの一件の時は、そんな内容の発言はした。
 ………しかし、いつから、レイにやり込められるようになったんだ、俺は?
「でも、ちゃんとケーキを作る下準備だけは、昨日手伝いましたよ。今日もお客さん来るかな、と思ったんで。
 今から帰って、また手伝ってきます」
 病室を出ようとするレイに、ディケイルは声を掛けた。
 
 「――ブライアンの事は、おまえが自分でした事だ。あいつはおまえを『友達』と呼んでいる。――その覚悟はあるのか?」
 
 レイは足を止め、振り返った。
「僕は、友達になりたいと思ってくれる人を、拒んだりはしませんよ。
 ――ただ、彼は、『変わりたい』とは思ってるけど、根本は、何ひとつ変わってない。変わった『フリ』をしてるだけです。……自分でも分かってないでしょうけど、何か、なりたい自分をイメージして、そういう『演技』をしないと、自分で居られない、そんな人なんです。だから、本当の『友達』になれるかは、分かりません」
「……ヘタな同情は、お互いに傷付く事になるだけだぞ」
「分かってます」
 レイは出て行った。
 
 それとほぼ入れ替わりに、チャンが入って来た。
「元帥、例の『氷』の準備は完了した」
「分かった。――そろそろ、俺も行く」
 ディケイルは起き上がった。
「――いいのか?」
 普段、無表情なチャンだが、若干顔を強張らせた。
「いいのか悪いのかは自分で決める。――ただ、肩だけ貸してくれ」
 
 ――今回の作戦、実は、かなりの勝算があると見込んでいる。
 ただ……、チャンがどう動くか、それだけがディケイルには気掛かりだった。


>> 次へ
PR

web拍手 by FC2


※ Comment
HN
TITLE
COLOR
MAIL
URL
COMMENT
PASS


※ この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:



Powered by 忍者ブログ  Design by まめの
Copyright © [ Second Box ] All Rights Reserved.
http://secondbox.side-story.net/