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 「………あの、軍の関係者の方ですか?」
 不意に声を掛けられて、ソウはビックリしてそちらを見た。
 声の主は、防護服にヘルメット姿なのでよくは分からないが、背の高い女性のようだった。後ろに、カメラを構えた男が居る。
「――ちょ、ちょっと、勝手に写真撮ったらダメだよ。許可は受けてるの?」
 ソウが抗議すると、その女性は言った。
「今から、許可を頂きます。――私、戦場ジャーナリストの、スージー・クーリンと申します」
 
 ――仕方無いので、ドミニオンの食堂へと案内した。防護服を脱いでみると、スージーという女性は、非常にスレンダーでスタイルの良い事が判明した。ダブッとした白いシャツに、短すぎるほどのショートパンツ、そこから、形の良い脚を惜しげも無く見せている。――しかし、露出度がほぼ同じだとしても、ジュリアーナのような女性らしさが無いのは、なぜだろうか?
 耳のラインでパッツリと切った栗色の髪が、彼女の性格をも示しているようだった。
「ガニメデ軍に、取材のお願いに来ました」
 ソウが何も言わないうちから、単刀直入に彼女は切り出した。
「実は、私と、こちらのカムイ・ミウラは、『アス大戦』の一部始終を現場で見ています」
「…………」
 まさか、小惑星帯の中にでも隠れて見ていたとでも言うのか?
「その証拠に、こちらの写真をご覧ください」
 スージーは、テーブルに何枚かの写真を並べた。――確かに、ドミニオンやプリンシパリティが戦っている模様が写っている。
「正直にお話しします。我々は、この写真を『マーズ新聞』に売り込もうとしたんです。ですが、断られました。――地球側に内部分裂があったなどという記事は載せられない、という理由で」
 ……その事は、ソウもついさっきジョルジュから聞いたばかりで、火星でも報道されていなかった内容だ。間違いない。この人たちは「現場」に居た。
「しかし、我々はスクープとして、この事実を記事にする事を諦めていません。そこで、ガニメデ軍の方にお話しを伺いたいんです」
「――しかし、今はそんな状況じゃ……」
 しかも、当のソウは、今は「軍関係者」でも無い。しかし、スージーは諦める様子は全く見せない。それどころか、こちらが要求を受け入れる事を確信しているかのような態度で、1枚の写真を示した。
「………これで、我々の取材許可はいただけると思っています」
 ――そこに映っているのは、小惑星に潜んでヴァーチャーを狙う、「巨大戦闘ロボット」の姿だった。
「この写真を地球へ持ち込めば、そちらにとっては、かなり不都合な事になると、お察ししますが」
 ……確かに、これはまだ機密事項のトップに置かれている、極秘中の極秘事項だ。それを地球にバラされたら……、極秘に開発してきた意味が無くなる!
「――で、何を聞きたいんだ?」
 ソウのため息を見て、スージーはニコリとした。
「一通り、全部」
「……だが、申し訳ないが、俺は、『アス会戦』には参加していない。――それに、軍人でもない。勝手な事をする訳にはいかないから、艦長に確認を取る」
「分かりました。取り継いでいただければ助かります」
「ただ、艦長は病気で寝ている。しばらく取材は受けられない。一旦帰って、また後日改めて……」
「それが……」
 スージーは、苦い顔をしてカムイとかいう男を睨み付けた。
「こいつが、来る時に乗って来た高速艇の操縦をミスりやがって、帰る船がなくなってしまったんです」
「…………」
「艦長の病気が治られるまで、ここに居させてもらえないでしょうか?」
「そう言われても……」
「さぁ、テメェも頭を下げるんだよ。こうなったのは、テメェのせいなんだからな!」
「す、すいません……」
 スージーに首根っこを押さえられ、カムイはテーブルに頭を擦り付けた。――ソウは、この男に同情したくなってきた。
「分かった。艦長に確認してくる。しばらくここで待っててくれ」
 
 
 
 「――い、痛いよ、スージー」
 ナカムラとかいう男の姿が見えなくなってから、スージーは手を離した。カムイは首筋をさすりながら、スージーにウインクした。
「うまくいったようだね」
「あぁ」
 ――もちろん、高速艇が事故で壊れたなんていうのは嘘だ。だからといって、嘘を見破られても困るので、壊してきた。このまま、ガニメデまで同行するつもりでいる。
 
 『マーズ新聞』の編集長は、スージーにこう言った。
「こんな内容の記事、使えないよ。こんな写真だけじゃ、何の証拠にもならない。それっぽく見えるように加工したとか言われれば、それまでだ。誰も信用しないよ」
 口では理屈を捏ねているが、「命が惜しい」という態度が見て取れた。――報道に携わる者として、その態度はどうなんだ?スージーは腹が立った。
「――なら、どうすれば採用してもらえるんですか?」
 スージーがあまりにも引き下がるので、編集長は困った顔で言った。
「ガニメデ軍の幹部から、裏付けを取って来れば、載せてやる」
 
 ………で、ドミニオンがフォボスに寄港するという裏情報を聞き付け、乗り込んで来た、というワケだ。
「――だけどさ、金が目的なら、この写真、アース・コーポレーションに売った方が良かったんじゃないの?」
 カムイが言った。
「テメェ、知らねぇのか?ガニメデから映像を持ちこんだマルコーとかいうヤツの末路を?……オレはこんなところで死にたくはねぇ。金持ちになって、それから幸せになってやるんだ」
「『金』と『幸せ』って、繋がるモンかなぁ……」
「うるせぇ!テメェに何が分かる?」
 脇腹に肘打ちを食らって、カムイは息を止めて黙った。
 ――誰が何と言おうと、金と名誉と幸せ、全部手に入れてやる!!
 
 ……で、結局、艦長からは「好きにしろ」という許可が下りたらしく、スージーとカムイは、ドミニオンに滞在する事になった。
 だが、さすがに自由に動き回る事は許してくれなかった。指定された部屋から出ない事、部屋の外に出る時は、ナカムラ参謀長が必ず同行する事、という条件を出された。――あのナカムラとかいうヤツ、軍人じゃないとか言っておきながら、参謀長っていう主要な幹部じゃないか。顔に似合わず食えないヤツだ。
 それでも、ナカムラや、その部下なのかただの知り合いなのかの、ジョルジュ・カリエとかいうオタクっぽいヤツから、いろいろと情報は聞き出せた。
 プリンシパリティの艦長が自殺した事。地球側の各艦の乗組員に対しては、捕虜という扱いはせず、ガニメデに同行するか地球に帰還するか、自由に選んでいいと伝えてある事。だが、その返答のほとんどは、ガニメデに亡命したいという内容だった事……。
「ガニメデはコロニー都市なんだ。収容人員に限界がある。それを分かってて、あいつは亡命の許可を出してるのか……?」
 ナカムラが嘆いていたが、そんな事は、スージーの知った事じゃない。
 
 しかし、ドミニオンが繋留されている3日間、そして、ガニメデへと旅立った後の2日間も、結局、艦長へ直接取材する事は叶わなかった。
 
 4月11日。
 スージーにとっては二度目のガニメデだ。この前来た時は、その様子になど興味が無かったが、この時は、何となくドミニオンの窓から下を覗いてみた。上空から見たガニメデコロニー群は、凍て付いた大地に必死でしがみ付く虫の卵のようにも見えた。
 ガニメデ宇宙空港にドミニオンが到着し、空港長だと名乗る頭の薄い男が入って来た。
「元帥!お出迎えに上がりました。戦勝パレードの準備は整っております。空港の前では、市民たちが、英雄の雄姿を心待ちにしていますよ」
 
 ――この時、スージーは初めてディケイル・ウェイニーという男を見た。
 小柄で貧相で、髪はボサボサ。病気だったからもしれないが、顔色が異常に悪い。……それでも、目にだけはやたら鋭い光が宿っている。
 右脚が無いから、手すりに身体を預けるようにして立っていたが、空港長の言葉を聞くと、拳でドンと壁を殴った。
「何が戦勝だ?何が英雄だ!?
 ハイドロ・テラーが『人殺し』なら、俺はそれよりももっと殺してきた『殺人鬼』だ。
 そんなヤツに与えられる称号が『英雄』ならば、そんな言葉には犬のフンほどの価値も無い!」
 ……唖然とする一同を残して、ディケイル・ウェイニーは出て行ってしまった。
 スージーは後悔した。……こんなワケの分からないヤツを、取材対象にするんじゃなかった……!


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