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 翌日。
 軍本部へ行く途中、ディケイルの家に寄った。まだ登校前のようで、レイがひとりで家に居た。
「マタル、大丈夫でしたか?」
「あぁ。――ただ、士官学校に入るとか言ってた」
「…………」
 レイはそれを聞くと顔を伏せ、ポツリと言った。
「士官学校へ入りたいってのを、先に言い出したのは、僕なんです」
「――え!?」
「もちろん、元帥に言ったら、ものすごい勢いで反対されましたけどね」
「…………」
 ――やっぱり。
「でも、僕は、試験を受けるつもりです。――反対されようとどうしようと、僕は、元帥の役に立ちたいんです」
 それから、レイは学校へ出掛けて行った。
 ソウは、レイが出してくれた牛乳を飲みながら、ソファーに座った。
 ――あれだけ仲が良かったのに、それに、同じ目標を持っているのに、なんで離れ離れになりたがってるんだ?
 ……まぁ、ただのケンカなら、そのうち仲直りするだろう。あまり気にする事では無いのかもしれない。
 
 しかし、事務所でエドから話を聞いた時、その考えは甘かったと思い知らされた。
「――やっぱり、マタルとレイ、仲違いしちゃいましたか」
「……なんで、そんな事をエドが知ってるんだ?」
「この前、マックさん家でパーティーがあったでしょ?あの時、マタルが俺に聞いてきたんです。『サン・ジョルディの日って何だ?』ってね」
「それで?」
「俺は教えてやりましたよ。――男が女性にバラを、女性は男に本を贈って、愛の告白をする日だ、って。
 そしたら、何か考えがあるみたいだったんで聞いてみたんです。――誰か告白したい相手が居るのか、と」
 ――そこまで聞けば、ソウにも心当たりがある。……恐らく、マタルはカティに告白したかったのだろう。
「けれども、マタルはずっと3人でやってきたから、その仲を壊す事になるんじゃないか、って心配してて。でも、俺は、たとえそうなろうとも、自分の想いは貫かないとダメだ、と思ってるんです。自分の気持ちを抑えてごまかしたところで、結局、うまくいかなくなるのは目に見えてますもんね。それならば、一か八か、当たって砕けろ、と」
「……そう、マタルに言ったのか?」
「はい、言いました」
「…………」
「でも、結局、フラれたんじゃないんですかね。――で、何となく気まずくなって、レイやカティと距離を置きたくなってきた、ってトコでしょう」
「――おまえ、何て事をしてくれたんだ?」
 ソウが睨むと、エドはキョトンとした。
「何で俺が睨まれなきゃいけないんですか?俺は、俺ならこうするって言っただけで、決めたのはマタル自身ですよ?俺が何も言わなくても、いつかはこうなってたんじゃないですか?人間関係なんて、そんなモンでしょ?」
 ――意外とドライなヤツなんだな。ソウはエドを見る目が少し変わった気がしたが、それ以上言ってもどうしようもない事なので、自分の席に向かい、貯まっている書類に手を通そうと、引き出しを開けた。
 
 ――そこで、動作が止まった。
 ……ソウの目は、1冊の本に釘付けになっていた。――『Titanic』というタイトルのこの文庫本は、ニーナがくれた。
 ソウの脳裏を、先程エドが言っていた言葉が駆け巡った。……サン・ジョルディの日……、女性が男に本を……、……愛の告白………。
「―――ま、まさかな。ただの偶然だろう」
 心の中で言ったつもりだったが、無意識に声に出していたらしい。
「ん?どうした?何かあったのか」
と、マッド・テイラーが聞いてきた。
「あ、――い、いえ、何も……」
 ――ヤバい。顔がものすごく熱い。きっと、真っ赤に上気しているだろう。こんなところを見られたら……。
 ソウは必死で顔を伏せて、書類を読むフリをしながら顔を隠した。
 ―――も、もし、万が一にも、これが「サン・ジョルディの日」のプレゼントだとしたら……。
 俺は、女性からの愛の告白に対し、何の反応もせず、スルーした事になる。この上なく失礼な行為だ。こんな男、もうとっくに見限られているだろう。
 ……いや待て。思い違いをするな。これは、言葉通り、軍に入隊した挨拶だけのものであって、返事なんか返せば、「はぁ?」と思われるのがオチだ。
 いや、手土産に「本」なんて、普通あり得ないだろ?――これをもらってから、何日経った?まだ1週間じゃないか。何か気の効いたプレゼントを用意して、返事が遅くなったことを詫びれば、間に合うかもしれない。こんなチャンス、逃す手は無いだろ!?
 
 「――じゃ、ちょっとラボに行ってきまーす」
 エドが事務所から出て行った。それを目で追い、ソウは思った。
 ……エドがあんなにアプローチをかけている相手にアタックするなど、俺にはできない。彼女は、俺なんかより、エドの方がずっと見合ってる。俺みたいなつまらない男と付き合うより、その方がいい。ニーナにしてみれば、最愛の彼を亡くしたショックから抜け出そうと、少し年上の男に安心感を求めただけだろう。……しかし、その傷を癒せるのは、俺じゃなく、エドだ。
 ソウはフゥと息を吐いた。――一時は、心臓か飛び出すかと思ったが、冷静になってみれば、これでいいんだと納得した。……全く、俺はいつになったらまともに恋愛ができるようになるんだ?
 
 「――おっひさぁ~!いろいろあったけど、退院許可が出たぜぃ~っ!」
 突然、事務所の入口で声がして、ソウは顔を上げた。――手を上げてこちらを見るその姿を見たら、頭の中のごちゃごちゃがスッと消えたような気がした。
「―――ディケイル!……いつからキャラが変わったんだ?」
「キャラでも変えなきゃ、どんな顔して入って来ればいいか分からなかったんだよ」
 ディケイルは、まだ若干不自然ではあるが、自分で歩いて、定位置であるソファーにやって来た。そこにドカリと座り、ソウを見た。
「……いろいろ、世話かけたな」
「いや、そんな事はいい。……もう大丈夫なのか?」
 体調の事もだが、精神面での事の方が気になった。それはディケイルも分かっているようで、いつものように膝を抱えて言った。
「こればかりは、自分ではどうにも分からない。――ただ、病院に居るよりは、外で動いてた方がマシだってのは、自分でも分かる」
「――マシだかマシじゃないか知らんが、今、病院から電話があったぞ。また『脱走』したってな」
 電話の受話機を置きながらマッド・テイラーが言うと、ディケイルは口を尖らせた。
「――3日後に退院していいって許可が出たんだ。3日後だろうと今日だろうと、何が違うんだ?」
「そういうモンじゃないだろ……」
「だが、退院許可が出ようが出まいが、ひとつ、確認しておきたかった事があるんだ。――今から、それを見に行く」
「そんな急に動いて大丈夫なのか?――で、確認しておきたい事とは?」
「ソウ、悪いが、ラボまで付き合ってくれ」
 
 
 
 つい先程出て行ったエドを慌てて呼び止め、軍用車でラボに向かった。
 その車中、エドが「戦闘ロボット」の状況について、説明をした。
「今、試作機が3体あるのは、前言いましたよね?――それぞれに、起動方法と運転方式が違うんです」
「――というと?」
「まず、1体は、従来のゴリアテと同じように、キーで起動して、レバーやペダルの操作で操縦するタイプ。『アナログ方式』ですね。
 それと、火星の誇る最新鋭の工学技術を駆使して作られた、脳波で起動や操縦を行うタイプ。――火星から来た、工学博士だか何だかの人が言ってましたけど、エレクトロエンスなんとか……、――よく分からないんで『エレクト方式』と言っときます。
 この、エレクト方式が問題で、相当機械と波長が合わないと、起動すらできないんです。なんでそんなモンを作ったんだ?と、俺なんか思いますけど、その博士が言うには、その方式だと、まるで自分の手足を動かすような感覚で、ロボットの操縦ができるみたいです。ただ、起動するに足りる脳波の持ち主が居ないだけで……」
 ――結局、どんな優れた機械を作ったところで、それが使える人間が居ないのでは、意味は無いだろう。ソウも、その点ではエドに賛同する。
「それで、そのエレクト方式の欠点を解消するために、アナログ方式でも起動や操縦を可能にした『ハイブリッド方式』ってのが3体目。要するに、普通にキーで起動して、あとは脳波操縦で動かせる、って事です。
 ――この前の『アス会戦』では、アナログ方式に俺が乗って、ハイブリッド方式をエトウさんが操縦しました」
 
 ……エドがエトウ・パルネラに敬称を付けるのは、ただ年上だからという理由だけでは無いのが、ソウには分かった。――どうやら、エトウは相当な妹思いであるらしい。だから、ニーナに言い寄っているエドは、相当険悪に扱われているのだろう。……それでもめげないエドの根性は、大したものなのかもしれない。
 
 「――俺も、ハイブリッド方式には乗りましたけど、怖くて、脳波操縦なんてできませんでしたよ。本当、金と時間の無駄な気がします、アレは」
「……そう言われると、気になるじゃないか。その、エレクトなんとかってヤツが」
 ディケイルが妙に関心を示しだした。
「俺、脳波には自信があるんだよ」
「――あ、でも、脳波ってのは、頭の良さとかそういうのには関係ないみたいですよ」
「もちろん、そういう意味で言ってるんじゃない。――むしろ、『第六感』とか、そういうヤツだろう。……俺、昔から見えるんだよ」
「何がですか?」
「何がって?例えば……、おい、エド、右肩の上に白髪のじいさんが……」
「ちょ……!!き、急に何言い出すんですか!?は、背後霊でも居ると……?」
「おい!しっかり運転しろ!でないと、俺たちが霊になるぞ!?」
 ディケイルが妙な事を言うから、焦ったエドがハンドルを急に動かして、道の外に出るところだった。
「ちょ……、本気でやめてください。俺、そういうのダメなんですから」
 ――エドの意外な弱点を知ったところで、車はラボに到着した。


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