忍者ブログ
オリジナル小説のダストボックス

WRITE | ADMIN

PR
カウンター
プロフィール
HN:
碧井 湊
性別:
非公開
自己紹介:
頭の中には、
いつも何かのストーリー。
なかなか、
文字にならないのが難点。

詳しい事はこちらへ。
メールフォーム
感想・ご意見等 お気軽にどうぞ
Powered by NINJA TOOLS
忍者サイトマスター
バーコード
ブログ内検索
当ブログの利用方法
★プラグイン最上部のブログタイ
 トルをクリックで、トップページ
 へ戻ります。
★トップページより、各小説タイ
 トルをクリックで、目次ページ
 へ進みます。
★プラグイン内「カテゴリー」から
 も、目次ページを開けます。
★小説各ページに「次へ」のリン
 クはありますが、「前へ戻る」
 リンクはありません。プラウザ
 内の「←」をご利用いただくか、
 一度目次ページへ戻るかして、
 ご覧ください。
アクセス解析


忍者ブログ [PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


web拍手 by FC2


47.  遭遇
 
 
 2211年6月17日。
 レイは宇宙戦艦の中に居た。
 研修合宿は、なんと『イザナミ』で行われるのだ。他に、「イザナギ」を多数収容できて、しかも滑走路を装備している船舶が無いからだが、それにしても、物々しい。以前、この船が『ドミニオン』という名前だった時には、平気で出入りしていたのに、いざ正式な乗員として乗り組むとなると、緊張する。
 
 結局、この研修に参加を決めたのは、10名に満たなかった。当初、「特別機動部隊」への参加を希望したのは40名近く居たのに、実際、同意書を持って来られたのは、その4分の1にも満たなかった。――エトウの話を聞いて怖くなり、他の部隊への希望に切り替えた人もいれば、両親に反対されて、士官学校を去った人も居たらしい。
 マタルはどうするんだろう……?ナカムラ参謀長がサインをするんだろうか、と思っていたけれど、マタルは、参加者の中に居た。それだけ、マタルの決意は固いという事だろう。
 
 そして、この研修に参加するに当たって、レイたちにも正式な軍の「階級」が与えられた。軍用船舶に、一般人が乗り組むのは都合が悪いからだ。――『軍曹』という、士官としては最低のものだが、それでも、制服に階級章が付くと、何だか少し大人の仲間入りをした気分になる。それには当然、「責任」というものもついてくるんだろうけど。
 ――こうなったら、もう、元帥の言う通り、後戻りはできない。
 
 それから、この研修には、レイたち士官学校の学生の他にも、「アス会戦」後、地球から投降して来た人や、公募に応募してきた人たちもいた。ずいぶん年は離れているけれど、この研修中、同じように、訓練に挑む仲間だ。
 
 離陸までは、あてがわれた部屋で、シートベルトをしていなければならない。部屋割りは、基本、宿舎と同じなのだが、研修へ参加しない人が居る場合は、そこへ他の部屋の人か大人の参加者の人が入る。――だが、レイたち「207号室」組は、4人とも参加していた。それも、全員、「特別機動部隊」の訓練への参加だ。
 4つ並んだベッドの脇にそれぞれ設置されているシートに腰を下ろし、シートベルトを締めて、レイはブライアンと向き合っていた。
「――なんか、緊張するな」
 レイはコクリと頷いた。――実のところ、宇宙船に乗る経験自体が、初めてなのだ。
「そんなの、何も緊張なんかするコトないさ。乗ってりゃ、ジタバタしようが、行くところに行くんだから」
 ボビーが言うと、ケビンが苦い顔をした。
「これは訓練研修だ。遊びじゃない。緊張感というモノは無いのか、ジェイコブ軍曹」
「ぐ、軍曹だなんて……。テレるじゃないか!」
 しかし、ボビーの軽口もそこまでで、戦艦が動き出すと、さすがに口を閉ざした。横向きにかかる重力が半端ないのだ。しかし、それでも、重力コントロール装置でかなり軽減されているハズだ。大昔、それが付いていなかった宇宙船で地球を飛び立った人々は、どんな世界を体験していたのだろうか……?
 
 しばらくすると、重力を感じなくなり、それから間もなくして、シートベルト着用サインが消えた。――重力圏を離脱したという意味だ。
 真っ先にシートベルトを外したボビーが、立ち上がって声を上げた。
「――お、おい!身体が浮くぞ!!」
 そう言いながら、床を蹴って見せる。すると、ボビーはそのまま天井に貼り付くような格好になった。しかし、
「――低重力磁場が起動します。ご注意ください」
 艦内放送が入ると同時に、ボビーは床に落ちた。――といっても、受けている説明通りなら、その重力は0.1G以下なので、大したダメージも受けていないだろう。
「……浮かれるのもいい加減にしないと、痛い目を見るぞ」
 ケビンがそう言って、ボビーに白い目を向けた。
 
 それから、研修生は全員、食堂ホールに集められた。
 行ってみると、すごい人数だ。――それは、「特別機動部隊」のメンバーだけでなく、戦艦の乗組員研修の人たちも多く居るからだ。……ニーナも、整備技師として、教える立場で参加していた。
 一同が集まると、エトウ・パルネラから挨拶と、この研修の日程やら、簡単な説明があった。
 
 その後、各部門に分かれての研修になる。
 「特別機動部隊」の研修室となるのは、格納庫の脇の事務所みたいな場所だった。強化ガラスの窓越しに、「イザナギ」が並ぶ広大な格納庫が一望できる。
 席に着いてそれを眺めていると、「よっ」とエドが声を掛けてきた。
「レイ・マグアドル軍曹。――マジで来るとは思わなかったぜ。元帥がよくOKしたな」
「元帥は、僕が決めた事には反対はしませんから」
「ふぅん……。――でも残念だったな。『アナログ』チームだったら、俺がビシビシ仕込んでやったのによ」
「大丈夫です。僕はどこのチームに居ようが、真面目にやりますから」
「――だけど、パルネラ少将は俺よりも断然厳しいぜ?大丈夫か?」
「大丈夫です。――エド大佐こそ、大丈夫なんですか?」
 ……何となくは知っている。エドが妹のニーナにアタックし続けている事を、兄のエトウが良く思っていない事は。それとは関係ないだろうが、操縦を教えていたエドの方が、教えられていたエトウよりも、今は階級も立場も下なのだ。――難しいことはよく分からないが、かなり微妙な人間関係である事は分かる。
「俺は大丈夫。あんな偏屈者には負けねぇ……、って、噂をすればご本人登場だ。――じゃ、行くぜ」
 エドはエトウに睨まれながら、教壇の方へと走って行った。……エドはエドなりに、頑張っているらしい。
 
 その日の研修は、離陸と着陸、そして緊急脱出の訓練だった。
 テキストで講習を受けた後、パイロットスーツがひとりひとりに支給された。これは、狭いコクピット内で動きやすくなっている他、宇宙服の仕様にもなっていて、万一、宇宙空間に放り出された際でも、生命を維持するための機能も備えられているのだ。
 そして、「エレクト方式」と「ハイブリッド方式」のパイロットスーツには、また別に、「脳波」を通しやすいような、特殊な電極のようなものも付けられている。
 ――更衣室で着替えてみると、何だか、バトルアニメの主人公になったような気分になった。
 
 にわかヒーローたちは、ゾロゾロと並んで格納庫に向かった。そして、各員にあてがわれたテスト機に乗るのだが……。
 レイは自分に与えられたロボットを見て驚いた。――この前、元帥が乗っていた、あの真っ赤な「イザナギ」じゃないか!
「――エレクト方式を使うのはレイくんしか居ないから、実戦機でテストしてもらうよ。より実戦に近いデータも取りたいし」
 真っ赤な防護服を身に付けたジョルジュが、ニヤニヤしながらレイをコクピットへ導いた。ラボからも、研究員が何人か参加しているみたいだ。
 中に入ると、……やっぱり、何となく、テスト機とは違う。どこが違うと言われると困るが……。
「しっかりシートベルトをしてね。これはかなりスゴいから。――じゃ、頑張って」
 ハッチを閉めて、ジョルジュは行ってしまった。
 シートに身を預けると、これまで以上に緊張する。シートベルトを確認し、ゴーグルを顔の前に下ろして、レイは深呼吸をした。
「WAKE UP!」
 周囲の壁が一気に風景に切り替わり、行き交う整備の人々や、順番に前へ出るテスト機の姿が目に入った。
 その向こうで、ゆっくりと巨大な扉が開いた。同時に床が細かく振動し、滑走路なのだろう、床の一部が外に突き出すように動いていく。
 ――その向こうは、一切何もない、虚無の、宇宙空間。
 
 「―――14号機、聞こえますか?聞こえたら返事してください」
 突然、女性の声が聞こえて、レイは驚いた。見ると、目の前のモニターに、若い女性の顔が映っていた。
「本官は、今回の訓練のオペレーターを務める、ナオミ・ピッツバーグ少尉です。ヨロシクねっ」
 ……ニーナくらいの年齢だろうが、ずいぶん可愛い声をしている。
「よ、よろしくお願いします!」
「ウチがナビゲートするから、その通りに動いてね。……じゃ、また後でねっ」
 通信は切れた。――何だろう、今までものすごく緊張してたのに、今の声を聞いたら、肩の力が抜けたような気がする。
 
 その後、オペレーターの指示の元、滑走路へと向かった。
 滑走路は、目の前の宇宙空間に真っ直ぐ伸びていた。
「……本来、この滑走路は、ライトフライヤー用のものであり、イザナギの発進には、不可欠なものではない。だが、滑走路を利用することによって、初めから機動性を最大限に利用でき、そして……」
 エトウ少将の説明があり、順番に離陸を体験する事になった。
 まず、既に軍で訓練を受けている、大人の人たち。その後で、レイたちのチームの番だ。
「――14号機のマグアドル軍曹には、ひとつ注意事項がある。
 他の機体と違い、それは実戦仕様だ。出力を落として発進してくれ」
 ……とエトウに言われたが、どうやって落とせばいいのか分からない。でも、返事をしないと怒られるので、
「は、はい!」
と返してはみたものの……。
「――14号機、準備はいいですか?」
 オペレーターに促され、発進台に乗る。――これが滑走路上を滑って、イザナギを宇宙空間へと送り出すのだ。
「発進準備、カウントダウン」
 レイは、前屈みの体勢をとる。発進のスピードで、バランスを崩さないようにするためだ。
「5、4、3、2、1、――発進!」
 このカウントダウンにも意味がある。戦艦側の発進台の解放と、イザナギのブースターの点火を同時に行わないと、うまく飛び立てない。
 レイはカウントに意識を集中し、ブースターを点火した。――うまくいったようだ。背中に取り付けられたブースターに押されるような感覚を受けた次の瞬間には、もう宇宙空間に放り出されていた。……途端に上下の感覚が分からなくなり、バランスを崩した。
「――マグアドル軍曹!だから出力を落とせと言っただろう!」
 ……早速、エトウに怒鳴られてしまった。
「は、はい!すいません!」
 レイは慌てて他のメンバーが並ぶ隊列へと向かった。


>> 次へ
PR

web拍手 by FC2


※ Comment
HN
TITLE
COLOR
MAIL
URL
COMMENT
PASS


※ この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:



Powered by 忍者ブログ  Design by まめの
Copyright © [ Second Box ] All Rights Reserved.
http://secondbox.side-story.net/