忍者ブログ
オリジナル小説のダストボックス

WRITE | ADMIN

PR
カウンター
プロフィール
HN:
碧井 湊
性別:
非公開
自己紹介:
頭の中には、
いつも何かのストーリー。
なかなか、
文字にならないのが難点。

詳しい事はこちらへ。
メールフォーム
感想・ご意見等 お気軽にどうぞ
Powered by NINJA TOOLS
忍者サイトマスター
バーコード
ブログ内検索
当ブログの利用方法
★プラグイン最上部のブログタイ
 トルをクリックで、トップページ
 へ戻ります。
★トップページより、各小説タイ
 トルをクリックで、目次ページ
 へ進みます。
★プラグイン内「カテゴリー」から
 も、目次ページを開けます。
★小説各ページに「次へ」のリン
 クはありますが、「前へ戻る」
 リンクはありません。プラウザ
 内の「←」をご利用いただくか、
 一度目次ページへ戻るかして、
 ご覧ください。
アクセス解析


忍者ブログ [PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


web拍手 by FC2


48.  殺意
 
 
 レーザー砲の光線が、レイの目前に迫っていた。――一瞬に満たない短い時間だろうけど、なぜだか、はっきりと見えていた。
 ………死ぬ!!
 分かっているのに、身体がピクリとも動かない。――恐怖の鎖にがんじがらめにされて、頭の中が真っ白になった。
 
 と、突然、横から強い衝撃を受けた。それに突き飛ばされるように、レーザー砲の前から移動した。――見ると、エトウの監督機が、レイのイザナミを抱きかかえるようにしていた。
 そのすぐ向こうを、高速艇がものすごいスピードで通過していくのが見えた。
 
「マグアドル軍曹!何をしている!正気を保て!これは訓練ではないぞ!!」
 エトウの鋭い声に、レイは頬を引っ叩かれたような気がした。――そうだ、こんなところで死んでどうする!?
「すいません!」
 レイは慌てて、イザナミの滑走路に向かおうとした。――すると、それを通信が遮った。
「――イザナミ艦橋より、イザナギ監督機及び実戦機に通達。
 司令長官より命令。所属不明機を撃墜せよ」
 ナオミの声に、エドの裏返った声が続いた。
「マジか!?」
 すかさず、エトウの檄が飛ぶ。
「ボスロイ大佐!自分の立場を自覚しろ!おまえは指揮官だ。命令に従い、部下を守る事が任務だろう!」
「はいはい……。――だけど、レイまで参加させる事はねぇだろ?」
「イザナギの件は極秘事項だ。それを知られたからには、相手を帰す訳にはいかない。相手には明らかな敵意がある。確実に仕留めなければ、今後の作戦に影響する。だから、戦える者は全員出す。そんな事も分からないのか?」
「だからって、レイはまだ子供だぜ?訓練だってロクにしてない。なのに……」
 
 しかし、そんな悠長な会話をしている場合では無かった。
 高速艇は旋回し、またすぐにこちらに向かって来たのだ。
「敵には、そんな言い訳は通用しない!死にたくなかったら戦え!!」
 エトウはライフル砲を高速艇に向け、連射した。――しかし、高速艇は錐もみのように回転しながらそれを避け、再びレイめがけてレーザー砲を放った。
「自分の命くらいは自分で守れ!!」
 エトウに突き飛ばされて、レイは体勢を崩した。――その頭上を、光線がかすめて行った。……ダメだ。こんなんじゃ、本当に死んでしまう!
 
 過ぎ去った高速艇は、またもやこちらにその舳先を向けた。回り込んだエドが、その側面へ向けてライフル砲を放つが、回避されてしまう。
「チッ!速過ぎて当たんねえ!」
「横からでは、スピードについて行くのは難しい。狙うのなら、正面か背後からだ!」
 そう言いながら、エトウは再びライフル砲を構える。――が、弾道を見抜いたように、高速艇は急上昇し、――その船底の窓を開き、何やら発射した。
「――追尾ミサイルだ!!」
 それは、弧を描いて、レイの方へ突進してきた。
「逃げろ!!」
 エトウに言われて、ハッとした。――まさか、自分がターゲットにされているとは思わなかった。普通、攻撃の意思のある、エトウかエドを狙うんじゃないか?なぜ、手も足も出せず、ただ漂っているだけの僕を……!?
 しかし、考えている暇など無かった。慌ててブースターを点火し、ミサイルに背を向けて飛んだ。
 ――多分、今はフルパワーになっていると思う。風景からはあまり感じられないが、メーター上は、ものすごいスピードが出ているように表示されている。……それでも、ミサイルは振り切れない。確実に、レイの乗るイザナギにターゲットを絞って追い掛けて来る。
「前に逃げていてはダメだ!横へ飛べ!多少は時間が稼げる」
 エトウに言われ、レイは意識をブースターに送った。――すると、吹き飛ばされるように横滑りし、レイはその衝撃に耐えるため、シートにしがみ付いた。
「わあっ!!」
「気を抜くな!旋回して来るぞ!!」
 モニターを見ると、確かに、少し行ったところで、ミサイルは旋回に、再びレイめがけて飛んで来た。
「追尾ミサイルは、簡単には振り切れない。撃ち落とすしかない!」
 エトウは、ミサイルに向けてライフル砲を構えた。しかし、あまりのスピードに、射撃をする事ができない。
 
 「――コイツ、一体何者なんだ?ただの高速艇じゃねぇぜ。速度が半端ねぇ。ミサイルまで装備してよ」
 エドは、高速艇を追い回していた。けれども、そのスピードについて行くのが精一杯で、射撃のタイミングすら与えられない。
「それに、最初から確実にレイをターゲットにしている。それも理解ができない」
 エトウはそう言いながら、何とかミサイルをターゲットマーカーの範囲内に入れようと飛び回っていた。
 ――そんな会話も、途切れ途切れにしかレイの耳に入って来なかった。イザナギを動かす事に必死で、余裕が無いのだ。……止まれば死ぬ。それだけは確実に理解できた。
「レイ!できるだけミサイルから距離を離して時間を稼ぎ、正面からミサイルを狙い撃て!」
 エトウが叫んだ。――そんな事、簡単に言われても……!!
 しかし、少し操縦に慣れて来たのか、今の状況を判断する事くらいはできるようになった。――確かに、そうでもしなければ、ミサイルを撃ち落とす事は不可能だろう。
 
 「――おい、エド。聞こえるか?
 イザナミからも援護射撃をしたいけど、テスト機の収容が間に合ってないから、動けないんだ。高速艇を、こっちに誘導できるか?」
 ……ジョルジュの声だ。確か、アス会戦の時、なぜか大活躍してたみたいだし、そんな人が援護してくれるとなれば、心強い。
「あぁ、やってみる。頼んだぜ、ジョルジュ!」
 
 ――しかし、そんな事は承知の上のようで、高速艇は、イザナミの射程圏内に決して入ろうとはしなかった。そればかりか、ミサイルから逃げ回るのに必死なレイめがけて突進してきた。
「―――!!」
 もう、どうしていいのか分からない。とにかく避けようと、思い切り横跳びをした。振り回されるような感覚に、頭がクラクラする。
 ――でも、何とか生き残ったようだ。……あわよくば、ミサイルと高速艇が衝突してくれないか、とも思ったが、高速艇が巧みにミサイルの弾道を回避し、ミサイルは今まで通りレイを狙ってきた。
「レイ!おまえがイザナミの近くに行けば、高速艇も行くんじゃないか?」
 エドが言ったが、エトウが即座に否定した。
「いや、そうはしないだろう。それより、そんな事をしたら、我々もミサイルに対して攻撃できなくなる」
 ――ヘタに射撃をして外したら、イザナミを傷付ける可能性も出て来るからだ。
「チッ!じゃあ、どうすりゃいんだよ!!」
 
 エドは、遠隔攻撃では埒が明かないと踏んだのか、ライフル砲を収納し、代わりに背中から何かを引き抜いた。――それは一見、長大な剣のように見える。しかし、刃に当たる部分がチェーンソーのように回転し、光を放った。
 エドはそれを振りかざし、高速艇へ向けて一直線に飛んだ。
「おりゃあああ!!」
 エドは高速艇の尾翼の辺りに向けて、それを振り下ろした。――だが、寸でのところでかわされた。
「エド!無茶するな!相手はまだ他にも武装を持っているかもしれないんだぞ!この状況で近付くのは愚行だ!!」
「そんな事言ったってよ!弾が当たらねぇんじゃ、他にどうしろってンだよ!!」
 エドは再び高速艇に斬りかかった。――しかし、今度は、後尾から放たれた光に阻止された。……後ろ側にも、レーザー砲の砲台が付いていたのだ。
「ぐわっ!!」
「エド!!」
 レイも息を飲んだ。――だが、何とか直撃は免れたようだ。しかし、左脚に当たる部分が吹き飛ばされていた。
「だから言わんこっちゃない!!」
 ……これで、エドの機体の、足に取り付けられたブースターの推進力と、機動のバランスが失われてしまった。これでは、高速艇を追い掛ける事は不可能だ。
 
 フリーになった高速艇は、再びレイを狙った。
「撃て!レイ!!」
 レイはライフル砲を取り出した。――しかし、構える事ができない。高速艇はさらにスピードを上げてきた。
 レイは、今度は飛び上がってそれを避ける。足元を高速艇が通過していった。――が、ミサイルは即座に反応し、レイの背後に迫る。
 逃げても逃げても、「殺意」から逃れる事ができない。レイは恐怖で叫び出しそうだった。それを、エトウの冷静な声が抑えた。
「レイ!取り乱したら負けだ!高速艇は私に任せろ。レイは落ちついて、ミサイルに対処しろ!」
 何とかギリギリのところで正気を保っている状態だった。――いや、エトウの存在が無かったら、どうにかなってしまっていたかもしれない。レイの心の最後の一糸を、エトウが握ってくれている、そう思った。
 ――すると、少しだけ心に力が湧いてきた気がした。……落ちつけ、落ちついて、冷静に……。
 レイは、先程エトウに言われた言葉を思い出した。――ミサイルから距離を離して時間を稼ぎ、その間に、正面から狙い撃つ――。レイは、ブースターをフルに点火した。猛烈な推進力が、レイを宇宙の彼方へ押し遣る。それでも、ミサイルは確実にレイを捉えている。それを確認して、レイは、急転回した。
 これには、さすがのミサイルも対応し切れなかったようで、しばらく真っ直ぐ進んだ後、大きく旋回して戻ってきた。――今だ!!
 レイは、背後を振り向き、真正面からライフル砲を構えた。
 
 「……ターゲットマーカー内に標的を入れて、ロックオン」
 声に出して確認しながらでないと、落ちついて行動できそうになかった。それでも、心拍数は異常に上がり、呼吸が乱れる。――それが指先に伝わり、モニターの中の円と十字のマークが安定しない。そうしている間にも、秒速で「死」は近付いて来る。
「レイ!早く撃て!!」
 エトウの声が飛ぶ。――きちんとターゲットできているかどうか分からなかったが、レイは焦って、発射ボタンを押した。
 
 レイの持つライフル砲から放たれた光は、ミサイルの側面をかすめて、虚空へと消えて行った。
 ―――外した!!
 
 「まずい!逃げろ!!」
 エトウが叫んだが、レイは動けなかった。
 ――終わった。……死の恐怖が、レイの心臓を握りつぶさんと、締めつけにかかっていた。
「馬鹿野郎!!」
 ミサイルの弾頭の見つめるレイの前に、突然、何かが飛び出した。――それがエドの乗る監督機だと気付いた時には、視界一面が爆発の光に包まれていた。
 猛烈な爆風に、レイのイザナギは吹き飛ばされた。何度も回転を繰り返し、方向感覚が全く分からなくなる。
「エド!!」
 だが、エトウの絶叫に近い叫び声が、レイの意識を何とか現実に引き戻した。――と同時に、身体中に凍り付くような痺れが走った。
 ………エドの乗る監督機が、撃墜された。………そ、そんな………!!
 
 「――ミサイル、処理完了!」
 頭が真っ白になったレイの耳に、エドの声が飛び込んできた。――見ると、モニターの端に、エドの得意気な顔が映し出されている。
「馬鹿!!無茶し過ぎだ!!」
 エトウに怒鳴りつけられ、エドは首をすくめた。
「ミサイルは片付けたんだから、許してくださいよ。――悪いですけど、後で回収、よろしくっス」
 ――ここに来て、ようやくレイは、事態を把握した。
 エドは、レイを助けるために、ミサイルの前に飛び出し、爆発の直前、緊急脱出をしたのだ。
 レイは愕然とした。……僕は、なんて無力なんだ……。
 
 「―――レイ!高速艇がそちらに行くぞ!撃て!!」
 エトウの声が飛んだ。ハッとしてモニターを見ると、その中央に、高速艇の機影がはっきりと映し出されている。
 レイはライフル砲を構えた。――今度は、失敗できない。今度こそは……。
 ターゲットマーカーの中に、機影が入った。落ちついて……。
 
 しかし、その時、レイを強烈な脳波が襲った。――頭が、割れるように痛い。……どうして、こんなに強い殺意を持っているんだ?どうして、僕を……!!
「撃て!!」
 エトウの声が、レイの恐怖に火を点けた。
「うわああああ!!」
 レイは発射ボタンを押した。無茶苦茶に連打する。――しかし、その全てを掻い潜り、高速艇はレイの目前へ迫った。
 ――更なる恐怖に駆られて、発射ボタンを押すが、いつの間にか、ライフル砲は反応しなくなっていた。……弾切れだ!!
 高速艇の砲口が光った。
「レイっ!!」
 エトウの鋭い声が飛ぶ。しかし、レイの耳には届かなかった。
 
 ―――僕は、ここで、死ぬ。
 
 レイは目を閉じた。


>> 次へ
PR

web拍手 by FC2


※ Comment
HN
TITLE
COLOR
MAIL
URL
COMMENT
PASS


※ この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:



Powered by 忍者ブログ  Design by まめの
Copyright © [ Second Box ] All Rights Reserved.
http://secondbox.side-story.net/