忍者ブログ
オリジナル小説のダストボックス

WRITE | ADMIN

PR
カウンター
プロフィール
HN:
碧井 湊
性別:
非公開
自己紹介:
頭の中には、
いつも何かのストーリー。
なかなか、
文字にならないのが難点。

詳しい事はこちらへ。
メールフォーム
感想・ご意見等 お気軽にどうぞ
Powered by NINJA TOOLS
忍者サイトマスター
バーコード
ブログ内検索
当ブログの利用方法
★プラグイン最上部のブログタイ
 トルをクリックで、トップページ
 へ戻ります。
★トップページより、各小説タイ
 トルをクリックで、目次ページ
 へ進みます。
★プラグイン内「カテゴリー」から
 も、目次ページを開けます。
★小説各ページに「次へ」のリン
 クはありますが、「前へ戻る」
 リンクはありません。プラウザ
 内の「←」をご利用いただくか、
 一度目次ページへ戻るかして、
 ご覧ください。
アクセス解析


忍者ブログ [PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


web拍手 by FC2


49.  天国へようこそ
 
 
 それからは、防衛への対策に全力を注ぐこととなった。
 まずは、「イザナギ」の量産化。地球が今後、この方面で攻めてくるとなると、それは必須だった。まだまだ開発途中の段階ではあるが、今でき得る限りの性能を持たせた形で、ラボと工業プラントで製造を進めた。
 それに伴って、パイロットの訓練。研修合宿後、メンバーには集中的に訓練が行われた。イザナミも頻繁に出動し、もっとガニメデに近い宙域で実施され、安全に配慮を置くようになった。
 その安全の強化の意味もあるが、いち早く、不審船舶の侵入を察知できるよう、小惑星帯に現存する2本のトンネル、ユナイテッドとアルビックに、無人衛星が設置された。――「ツクヨミ」と名付けられたそれは、トンネル内を通過する全ての船舶を認識し、航路予定図に無い船舶が通過した場合、即座にガニメデ要塞に通信が入るようになっている。以前から、計画はされていた事だが、あの事件を機に、最優先事業として実施された。
 
 ――レイの事は、それでも心配ではあったが、めげる事なく、訓練に勤しんでいるようで、ソウはホッとした。……逆に、あまりにも優等生的に訓練を続けているマタルの方が心配になってきた。――無理をしてるんじゃないか。そう思えてならないのだ。
 しかし、何か言ったところで、「余計なお世話だ」と言われるのは目に見えているので、ソウは遠くから、それを見守るしか無かった。
 
 それと、軍事的でない方面で、進めていた事。――新コロニーが完成した。第25、26、27コロニーと名付けられた新コロニーは、ひとつは居住用、残りふたつは農業用になっている。これで、住居不足と就職難は、大きく改善されるだろう。
 以前から進めていた、地下水路をシェルター化する計画も、ほとんど完成し、コロニーに万一の事があった場合にも、数万人単位で避難する事が可能になった。――さすがに、全員は入りきらない。というか、全コロニーが破損すれば、たとえシェルターに逃げ込んだところで、全滅は目に見えている。天災で、27ものコロニーが全て損傷を受ける事は、まず考えられない。考えられるとするならば、……人災。それは、政治的もしくは軍事的に解決すべき問題だ。
 
 それから。
 長い間、仮施設で運用していたガニメデ宇宙空港も、ようやく新施設へ移転した。同じ場所に作るのは困難だったので、すぐ隣に、滑走路を共有するような形で造られた。また、仮施設の跡地へは、近々大型宿泊施設が建設される予定で……。
 これは、亡命者及び難民対策だ。
「――今後、必ず、もっと移民はやってくる」
 ディケイルがそう予言しているので、それに従って、そういう施設も計画しているのだ。
 
 そして、ソウはそんな新宇宙空港に居た。
 7月7日。地球の日本では、「七夕」という、神話の中の恋人が、年に一度だけ会えるというロマンチックな日なのだが、ソウの目の前には、ロマンチックとは程遠い光景が繰り広げられていた。
 
 ――駐船ポケット内に、真っ黒な宇宙船が一隻。舳先が異様に飛び出ている、変わった形をしている。そして、それを取り囲むように、チャンを中心とする陸戦部隊が立ち並び、銃を構えていた。
 
 ――それというのも……。
 
 二日前、稼働を開始したばかりの「ツクヨミ」から、緊急通信が入った。
 軍本部に居たソウたち軍幹部は、会議室へ呼び出された。
「――ユナイテッド・トンネル内を、所属不明の不審船が通過した」
 マッド・テイラーが前のモニターを示した。ツクヨミからの映像らしい。……「カブトムシ」みたいなヘンな形をした宇宙船が映っている。この船が、ガニメデ方面へ向かっているというのだ。
「現在、哨戒艦が確認に出ている。各部門は、緊急事態に備え、至急配備をするように」
 マッド・テイラーの指示で、一斉に面々は散って行った――かと思ったら、なぜか、ディケイルだけ席を立とうとしなかった。それどころか、
「こいつは気にするな。放っておけばいい」
と、やる気が無さそうに頭を掻いた。
「どういう事だ?」
 マッド・テイラーは当然、ディケイルに問い質す。
「あの船は――」
 ……しかし、哨戒艦からの通信が、ディケイルの説明を遮った。
「不審船、こちらからの通信に応じません。――それどころか、威嚇射撃を行ったところ、発砲し返してきました!どうしますか!?」
 だが、それへの対応の指示を出す間も無く、次の通信が入った。
 通信士の男は、恐怖に引きつった顔で告げた。
「――ふ、不審船、本艦に衝突!そこから、不審船の乗組員の侵入を受けました!」
「な、何!?」
 それから間もなく、
「ほ、本艦は、不審船の乗組員により、占拠されました!!」
 ――悲痛な叫びの後、通信はプツリと切れた。
 ……あっという間の出来事に、マッド・テイラーをはじめ、その場に居た者は泡を食ったように立ちすくんだ。――ただひとり、ディケイルを除いては。
「……あの野郎、好き勝手しやがって……」
 ディケイルは黒い髪を掻き混ぜながら、哨戒艦への通信を求めた。
「おい!出て来い!海賊どもめ!!」
 ―――か、海賊!?
 その言葉に、ソウはハッとした。まさか……!!
 
 しかし、その予感は的中した。通信に現れたのは、ドレッドヘアに黒い眼帯の男――スカルだ。
「――パパッチノ、俺にケンカを売るとはいい度胸してるな」
 すると、スカルは顔を一気に紅潮させて激昂した。
「俺をその名で呼ぶな!!」
「何度でも呼んでやるさ、パパッチノ・ニール・イム・エ・デコタン!」
「デコタンじゃない!デコタだ!!」
「似たようなモンだろ」
「……おまえ、俺を怒らせたな?おまえの可愛い部下たちに、クレアさんのコスプレをさせて、パラパラを躍らせるぞ!」
「じゃあ、おまえの秘密をバラしてやる。後ろにおまえの手下たちが居るんだろ?聞こえるか?おまえらのボスの……」
「あああああああああ!!!!」
 画面の中で、スカルが絶叫した。その声は、通信を通しても、耳を塞ぎたくなるようなものすごい音響だ。ディケイルの言葉を聞きとらせまいとしているのだと思うが……。
 ……それにしても、何の会話だ、これは?
 ――とりあえず、ディケイルとスカルは、旧知の仲だという事は分かった。
 叫ぶのに疲れたのか、肩で息をしながらデスクに突っ伏し、スカルはディケイルを恨めしそうに睨んだ。
「……で、何しに来た?」
 ディケイルが言うと、スカルは何とか身を起こし、モニターの中でこちらに指を指した。
「おまえが呼び付けたんだろうが!それなのに、この歓迎ぶりとは、嬉しくて涙が出るぜ!」
「…………」
 ソウにも何となく分かった。――フォンシェの指図で、スカルはガニメデへ向かっていたのだろう。だが、ディケイルはそれを知らなかった。当然、ツクヨミはスカルの乗る船を「不審船」と判断し……。
 
 ――で、その後、スカルの船、ヘル・ビートルはガニメデ宇宙空港に到着した。
 ……鋭いツノで甲板に穴を穿たれた哨戒艦は、ワープもできず、数日掛けてガニメデに帰還する予定だ。
 武装した兵士たちに取り囲まれているのは、海賊行為を行った事は事実だし、現に、哨戒艦から何人か人質を取られている。それに、要塞では無く一般の空港に降りたというのも、攻撃を避けての事だろう。――スカルとは、かなり慎重な人物のようだ。
 こうしてスカルは、ディケイルに面会を求めて、宇宙船に立て篭もっていた。
 
 「――おい、ソウ、行くぞ」
 急に腕を引かれて、ソウは驚いた。
「……え?俺も?」
「当然だろう。参謀長が来ないでどうする?」
 ――その理論は理解できなかったが……。
 とりあえず、ソウもディケイルに付いて、ヘル・ビートルに乗り込む事になった。
 チャンたちが厳重に見守る中、ヘル・ビートルに近付くと、側面の昇降口が大きく開いた。扉は、そのまま地面へと下り、裏側に設置された階段が現れる、という仕組みだ。ディケイルに続いて、ソウも恐る恐る階段を上った。
 
 ――ヘル・ビートルの中は、外観からは想像できないほどの広さだった。――そして何より、その豪華な内装は目を見張るものだった。昇降口から入ったところは、短い廊下になっているのだが、その正面に、巨大な絵画が掲げられていた。――多数の天使と悪魔が戦いを繰り広げている図のようだ。
 その脇に立った、頭にターバンを巻いたふたりの男に銃を突き付けられながら、廊下を奥へと進む。――廊下の壁は、黄金色に輝き、ところどころに、どれ程の価値があるものか知らないが、巨大な壺が置いてあったりする。――いささか、悪趣味な感も否めない。
 そして、重厚な扉を通り過ぎ、紗のカーテンを通り過ぎると……
 
 突如として、広い空間に出た。メインとなるホールのようだ。十数人の屈強な、だが、ガラの悪い男たちが、思い思いに座っている。ソウたちの姿を見ると、ジロリとガンを飛ばす。
 赤が基調の、複雑な模様が入った絨毯を踏みながら、前へ進む。正面に、一段高くなった場所があり、その奥の壁にも、大きな絵が飾られていた。――6枚の翼を持つ天使に、1匹の黒い大蛇が巻きつき、首筋にキスをしている。
 その前に、金の装飾のある大きなソファー。
 トラ柄の敷物か、あるいは本物の虎の毛皮だろうか?それを敷かれたソファーの上に、明らかに異彩を放つ男が寝そべっていた。
 ドレッドヘア、黒い眼帯、黒いコートの袖から見える腕に施された、ドクロのタトゥー。――スカルだ。
 
 スカルは、片手にブランデーグラス、片手にチュッパチャップスを持って、前に立ったディケイルにジロリと目を向けた。
 そして言った。
「天国へようこそ」


>> 次へ
PR

web拍手 by FC2


※ Comment
HN
TITLE
COLOR
MAIL
URL
COMMENT
PASS


※ この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:



Powered by 忍者ブログ  Design by まめの
Copyright © [ Second Box ] All Rights Reserved.
http://secondbox.side-story.net/