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51.  対峙
 
 
 宇宙艦隊と対峙を始めて3日目。
 敵、味方共に動きは無い。
 
 ディケイルが全艦に出した指示は、ただ、「動くな」というもの。しかし、敵を目前にして何もせずただ時間を過ごすというのは、尋常でない精神力が必要だ。
 イザナミの艦橋には、緊張を強いられ続ける事に疲れが出はじめたのだろう、やるかたないような、そんな空気が漂い始めていた。
 ――一体、どうなってるんだ?テッドは気になって仕方なかったが、だからといって、この3日間、ずっと艦長席でモニターを睨み続けているディケイルに、質問をする勇気も無かった。
 ……会戦が始まる前、「指示に従わない者は殺す」と言っていた。ヘタな事を言って、反抗と捉えられたらたまらない。
 
 そう思っていたら、クリスが声を上げた。
「艦長。ひとつ質問をさせてください」
 その声に、艦橋に居る一同は、ギョッとしてディケイルに目を向けた。だが、ディケイルは死んだような目をモニターに向けたまま、言った。
「何だ?」
「いつまで、この状態は続くのでしょうか?」
 すると、ディケイルは目だけをクリスに向けた。
「指示はしてあるはずだ。その通りにしてくれればいい」
「しかし、我々も艦長と同じ命運を背負って、ここに居るんです。それに、艦長は、持久戦になるから、モチベーションの維持が重要だとおっしゃいました。しかし、今やっている事に何の意味があるかが分からなければ、モチベーションと言われても、維持は困難です。
 艦長が何を目指しているのか。それだけでもお聞かせください」
 ――ヤバい!言いたい事を言いやがった!!
 艦橋内の空気が、一気に氷点下まで冷え込むのを感じた。
 
 しかし、ディケイルはただクリスを眺めているだけだった。そのうち、
「――前から思ってたが、おまえ、言いたい事を言うヤツだな」
と言った。
「はい。言いたい事も言わないで、死ぬのはイヤですから」
 クリスが涼しい顔で返答すると、ディケイルは黒い髪をかき混ぜた。
「その考えは正しい。
……分かった。説明する。ただし、通信は開くなよ」
 
 ディケイルは再び視線をモニターに戻した。
「――今回の作戦の概要は、説明したはずだ。どこまで理解している?」
「はい。現在の布陣と、他は、長期戦になるから、その都度、元帥の指示に従え、と、それだけは理解しています」
「…………」
 ディケイルは何を思っているのか、膝を抱えて眠そうな目をした。
「……まぁ、つまり、そういう事だ」
「―――はぁ?」
「敵の注意を引き付け、時間を稼ぐ。今やっている事は、そういう事になる」
「というと?」
 尚も突っ込むクリスに、ディケイルは渋い顔をした。
「……今回の作戦のポイントは、敵の補給路を断ち、物質的に敵を追い詰めること。
 つまり、別動隊が居る」
 すると、艦橋内がざわめいた。
「お言葉ですが、現在、宇宙空軍に在籍している全ての艦艇が、この会戦に参加していると把握していますが……」
「傭兵を雇った。――だから、言いたくなかったんだ……」
 こんな事、議会にバレたらまた何を言われるか分からない、と、ブツブツ言いながらディケイルはまた頭を掻いた。
「それに、その作戦を全員にバラしてしまったら、なんつーか、みんな、安心するだろ?ただ動かなければそれでいい、そう思って、どうしても油断する。……そういう細かいところまで察するヤツだと思ってる、敵の指揮官は」
「だから、敢えて詳しい説明をしなかったんですか」
「あぁ。この作戦を知ってるのは、俺と、副司令官だけだ」
 ……それにしても、ディケイルはあの参謀長を重用、というか、特別に引き立てているようだが、あの気弱そうな人物で本当に大丈夫だろうか……?テッドは不安になった。
「――で、敵が困窮したところを、全力で撃つ。
 ……正直、こちらにも余裕は無い。できるだけ早く終わらせたいんだ。だから……」
「敵を混乱させ消耗させるために、敢えて隙を見せながら、動かないでいる。そういう事ですか?」
 クリスが言うと、ディケイルは少し驚いた様子を見せた。
「俺、シュミレーションゲームをよくやるんです。余裕が無い中で砦を守る時、よく使う手です。言わば、『空城の計』」
「…………」
「それが成功するには、敵武将が、相当慎重で頭の切れる人物である事が必須条件です。
 ……つまり、敵の指揮官は、あなたほどの人物が恐れるほどの能力の持ち主である。――そう思っておきます」
 それだけ言うと、クリスは席に着いた。それを、ディケイルは複雑な視線で見ていた。
 
 テッドも前へ顔を戻し、目立たないようにホッと息をついた。――一時は、どうなる事かと思ったが、何とか収まったようだ。それにしても……。
「おい、無茶するなよ。心臓が止まるかと思ったぜ」
 小声でクリスに囁くと、だが、クリスは平然と答えた。
「あの艦長が、口答えした程度で人を殺すと思うか?」
「…………」
 まぁ、「アス会戦」での悲劇を見ている。そんな事をしたら、自軍が崩れるのは、十分に承知しているだろう。
「それに、チャン大将が、今回の作戦には参加していない」
「確かに……」
 一番うるさそうなのはチャンだ。彼が居なければ、ディケイルのやり方に口を出す人なんて居ないだろう。
「……そんな艦長が、なんであんな、部下を怖がらせるような事を言ったのか。――自分が怖いからだよ」
「…………」
「少し話をしたから、多少は気が紛れたんじゃないか。そうでもしなきゃ、この持久戦、決戦まで持たないぜ?精神力で負けた方が負けだからな」
 ――いつもの事だが、クリスの考えている事は、テッドの予想の斜め上を行っている。
 まぁ、確かに、テッド自身、少し気分が軽くなったのは事実だ。
 
 ……だからといって、現状が変わるものでは無かった。
 あとは、その、別動隊とやらに期待するだけ、か……。
 
 
 
 スカルは、艦長席――いつものソファーの上で、テレビ画面を眺めていた。
 火星経由のニュースだ。ユナイテッド・トンネル付近で、宇宙艦隊と宇宙空軍が睨み合いを始めてから5日目。――そろそろだろう。
 ホールに目をやると、手下の男たちが、相変わらず賭け麻雀で一喜一憂していた。……実は、スカルは麻雀のやり方を知らない。面白そうだな……、とは思う事はあるが、だからといって、やり方を教えてくれと言うのもイヤだし、知ったかぶりをして負けるのは、もっとイヤだった。
 スカルは、何となく自分で確認したくなって、ソファーを離れ、操縦席へと向かった。そして、レーダーを覗き込む。
 ――すると、そこには、超光速移動している物体がある事を示す、影のようなマークが示されていた。……間もなく、来る。
 
 スカルは振り向き、口にしていたチュッパチャップスを手に握り締め、声を上げた。
「野郎ども!!可愛い獲物がケツを振ってやって来るぞ!さっさと準備しねぇか!!」
 
 ヘル・ビートルが今停泊しているこの宙域は、地球からユナイテッド・トンネル方面へ行く際に、必ず一旦、超高速航行を中断する場所なのだ。
 超光速航行というのは、現在の技術では、直進しかできない。つまり、途中で何か障害物があったりすると、回避できないのだ。だから、確実に安全を確認された直線ルートを、幾つか繋ぐようにして、航路が決められる。
 ここは、そんな中継地点のひとつだ。
 さすがに、超光速航行中の艦艇を襲うのは、難易度が高いしリスクも大きい。だから、スカルが「仕事」をする時には、こういう場所で待ち伏せをするのだ。
 
 それからしばらくして、ソファーの脇の絵を隠すようにして現れたモニターの中に、オーロラーのような光の渦が現れた。――その中央から、大きな軍用艦艇が現れた。ずんぐりと丸い、葉巻型の宇宙船。――輸送艦だ。
 輸送艦は、この宙域をゆっくりと移動しながら、次なるワープポイントに向かう。――ヘル・ビートルに気付いた様子は無い。なぜなら、ヘル・ビートルの黒い装甲は、レーダーを透過するようになっているのだ。しかも、エンジンも特殊なもので、熱源感知レーダーにも反応しない。――別の名を「地獄の幽霊船」と呼ばれる所以だ。
 
 何も言わずとも、海賊たちは慣れた手つきでヘル・ビートルの舳先を輸送艦の背後に向けた。そして、静かにスピードを上げていく。――初めはほぼ並んで航行していた2隻だったが、徐々にヘル・ビートルが距離を詰めだした。……これ以上近付いたら、さすがに気付かれる。その地点まで来た時、スカルは叫んだ。
「あのデカいケツにブチ込んでやれ!!」
「ラジャ!!」
 海賊たちは、嬉々とした声を上げた。そして、エンジンが唸りを上げ、ヘル・ビートルは一気にスピードを上げた。
 ……こうなったら、「獲物」としては為す術も無い。一度、超光速航行を停止し、エンジンを冷やしてしまっている。逃げようにも、スピードが出せない。
 後方の小窓が開き、ミサイルが飛んでくるのが見えた。――チッ、輸送艦のクセして、ミサイルまで積んでやがったか。
 しかし、それは、操縦席に座っている男を喜ばせただけだった。
「ちょっと揺れるぜ」
 操舵士はそう言って、ハンドルを大きく振った。モニターを眺めていると、風景が横になるのが分かった。ヘル・ビートルが回転しているのだ。だが、その程度の揺れになど慣れっこだ。誰ひとり、慌てるヤツなんて居ない。
 窓のすぐ外を、ミサイルが光線となって過ぎ去って行くのが見えた。――避けた。
 しかし、モニターには次なる光が現れていた。
「また来るぜ?」
 スカルは、ソファーの上に立ったまま、チュッパチャップスを口の中で遊ばせている。だが、黙っていても、別の男が声を上げた。
「おっしゃ!任せろ!!」
 その男は、操縦席の脇にある、レバーがいくつも付いた台に向かい、叫んだ。
「迎撃ミサイル、一斉発射!!」
 ヘル・ビートルの体躯に低い振動が走る。それと同時に、無数の光線が四方八方に飛び散るのが見えた。――その光線は、ミサイルを狙うように宙を走り、目標に達すると、盛大な花火を上げた。
 ……その光の中を、ヘル・ビートルは、真っ直ぐに、「獲物」に向かう。――もう、火器で対応できる距離じゃない。あとは、突っ込むだけ!!
 
 気付けば、ホールに他の男たちの姿は無かった。既に、乗り移る準備をしているのだろう。
「――さて、俺も行くか」
 スカルはソファーから飛び降りた。――足がソファーを離れた瞬間、ガクンと大きく床が揺れた。「カブトムシ」の角が、獲物を捕えたのだ。
 揺れが静まった床に、スカルは降り立ち、何事も無かったかのように舳先へと向かった。


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