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 「――ゆ、輸送艦より緊急連絡!!
 か、海賊に襲撃を受けています!!」
 通信士の動揺しきった叫びが室内に響いた。
 ビアンキは通信に向かい、言った。
「仕方ないわ。船を捨てて、逃げてらっしゃい。――人命優先にして。無理はしないで」
 ビアンキが言い終わらないうちに、画面の向こうで通信士の男が笑い出した。涙を流して腹を抱えていたかと思うと、床に転がるように、画面から消えた。――笑気ガスでも使われたのだろう。
 ビアンキはあごに手をやった。――このやり方、もしかして……。
 
 その直後、画面をひとりの男が通り過ぎるのが見えた。ガス弾用のランチャーにガスマスク。明らかに、海賊側の人間だ。――そして、その腕に、ドクロのタトゥーが見えた。
 
 「………スカル!?」
 ビアンキもその存在は知ってはいた。アース・コーポレーションによる「統一」以前、航路を荒らし回ってた海賊たちの中でも、特に際立った存在。
 しかし、宇宙海賊はミカエルの宇宙艦隊により壊滅したと思っていた。なんで、今頃……?
 
 スカルも、通信を通してビアンキの声に気付いたらしい。マスク越しに通信を見ているようだった。
 そして、同時に声を上げた。
「ビアンキ!!」
「パパッチノ!?」
 画面の中で、スカルはだがすぐに落ち着きを取り戻した様子で、ニヤリとした。
「……ははぁ、裏が読めたぜ」
「な、何よ?――それより、あなた、いつからディケイルの犬に?――というより、……生きてたの?」
「犬とか言うな!!」
 スカルはモニターにランチャーの銃口を向けた。
「生きてて悪いか!?」
 ―――まさか。未だに信じられない。……だが、ガスマスクのレンズから覗く、クリッとした異様に可愛い目は、間違いなく、パパッチノのものだ……。
 
 
 
 パパッチノ・ニール・イム・エ・デコタは、「ラザレフ生体能力開発機構」の施設に居た子供のひとりだった。――だが、「トランセンダー」では無い。訓練が完了する前に、施設から脱走したのだ。
 施設に居た当時から、実に個性的なヤツだった。総合的な成績では、ビアンキよりも上だったのだが、妙なこだわりがあるのか、ミカエルを抜く程に成績が優れている科目と、常に最下位をキープしている科目が入り混じっていて、ヴィクトール・ラザレフからの評価は低かった。
 特に、確か格闘技の授業だったと思うが、こういった身体を使う系は、ミカエルやブルーノといった頭脳派組は弱かったので、ディケイルとパパッチノがトップを競い合っていた。……どちらも小柄なのだが、なぜか、あのふたり、センスがあるのか、やたらと格闘技には強かった。――そして、いつも間にか、格闘技から普通のケンカへと移行するのが常で、ヴィクトール・ラザレフはそれを憂慮していた。
 
 そんな中、パパッチノは突如として施設から姿を消した。
 
 その時、ディケイルがポツリと言った一言が、未だにビアンキの耳に残っている。
「―――結局、一番の勝ち組は、パパッチノだな」
 
 その意味は、ビアンキにも分かった。
 ラザレフの施設に居る子供たちは、物心つく前から訓練を受けており、そんな日常が当たり前になっていた。ある意味、「洗脳」されていたと言ってもいい。だから、いくら訓練がつらくても、「逃げる」という考えには至らなかった。できなかった。
 しかし、パパッチノは、そんな「呪縛」を振り解いて、ただひとり、脱走したのだ。
 逆に、どうしてパパッチノだけ逃げる事ができたのか、ビアンキには分からなかった。ただ、言えるのは、パパッチノだけが唯一、ヴィクトール・ラザレフのやり方に疑問を持っていた。――だから、そういう意味で、パパッチノが一番の勝者だった、とも言えるのだ。
 
 それから、ビアンキも逃げはしなかったが、何となく、その当時の状況に疑問を抱くようになった。そして、卒業後も、ヴィクトール・ラザレフの「課題」を盲信して突き進もうとするミカエルを、どこか冷めた目で見ていた。
 ……だから、今のビアンキがある、と言えなくもない。
 
 この時、ふとビアンキの胸にある疑問が浮かんだ。
 ――パパッチノが逃げる時、なぜ、ディケイルを誘わなかったのだろうか?パパッチノとディケイルは、あぁ見えて、一番親しかったはずだ。「ケンカするほど仲が良い」というヤツだ。むしろ、パパッチノがディケイルの事を、兄のように慕っていた節もある。それなのに、なぜ、ディケイルを見捨てて逃げたのか?
 ……あるいは、パパッチノの誘いを、ディケイルが断ったのか?――そう考えた方が、自然に思える。しかし、なぜ……?
 
 
 
 「――で、俺を見つけて、どうする気だ?ミカエルに報告するのか?」
 パパッチノ――スカルは、銃口をこちらに向けたまま言った。……通信越しなんだから、銃口を向けたところで意味が無い事くらい、分かっているのだろうか?
「……して欲しいの?」
 ビアンキが唇に指を置きながら言うと、スカルはフンと鼻を鳴らした。
「言いたきゃ言え。ただし!俺はディケイルみたいなヘマはしねぇ。絶対に見つからないように、逃げ回ってやるからな!」
「そうなったら、鬼ごっこの鬼は私になるだろうし、報告しても私が面倒なだけね」
 ビアンキは腕を組んだ。
「ミカエルと、それと、テオドアには黙っておいてあげる。――ただし、やるなら、もっとハデに暴れ回ってちょうだい」
「あぁ、言われなくてもやってやるさ。久し振りの仕事だ。腕が鳴るぜ!
 ――だけどよ、それよりも、あんたとブルーノの関係を俺にバラされないように、何か考えた方がいいんじゃねぇの?」
 スカルは、モニターに向けてランチャーを発砲した。一瞬だけ、モニター全体にヒビが走る光景が映し出され、その後は、何も見えなくなった。
 
 ――思わぬところで、小バエを見つけたわ。
 
 元々、ビアンキは補給艦を無事にテオドアの乗るエクスシアまで届ける気は無かった。――エンジンに少し細工がしてある。超光速航行を2回もすれば、エンジントラブルを起こして、立ち往生する、その予定だった。
 ……そこへ、時代遅れの宇宙海賊のご登場とは。
 ちょっと驚いたけど、私「たち」の計画自体には、何の影響も無いわ。――向こうがそのつもりなら、なおさらやりやすくなった、それだけの事。
 
 ビアンキは、ポケットから携帯電話を取り出した。――それにしても、面白いネタだわ。ブルーノに教えてあげようかしら。……でも、先にテオドアの坊やに連絡だけしといた方が良さそうね。
 ビアンキは、通信ボタンを押した。


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