忍者ブログ
オリジナル小説のダストボックス

WRITE | ADMIN

PR
カウンター
プロフィール
HN:
碧井 湊
性別:
非公開
自己紹介:
頭の中には、
いつも何かのストーリー。
なかなか、
文字にならないのが難点。

詳しい事はこちらへ。
メールフォーム
感想・ご意見等 お気軽にどうぞ
Powered by NINJA TOOLS
忍者サイトマスター
バーコード
ブログ内検索
当ブログの利用方法
★プラグイン最上部のブログタイ
 トルをクリックで、トップページ
 へ戻ります。
★トップページより、各小説タイ
 トルをクリックで、目次ページ
 へ進みます。
★プラグイン内「カテゴリー」から
 も、目次ページを開けます。
★小説各ページに「次へ」のリン
 クはありますが、「前へ戻る」
 リンクはありません。プラウザ
 内の「←」をご利用いただくか、
 一度目次ページへ戻るかして、
 ご覧ください。
アクセス解析


忍者ブログ [PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


web拍手 by FC2


 テオドア・カゼリは、エクスシアの艦橋で、前方のモニターを眺めながら、思考に耽っていた。
 ――おかしい。なぜ、動かない?
 
 テオドアは、相手の思考を読もうとする時、常に「自分ならどうするか」と置き換えて考える。
 ――テオドアがディケイルの立場なら、トンネル付近の小惑星帯に、あの「戦闘ロボット」を配置して、敵を誘い込む。……だが、トンネルの向こう側に布陣していたのでは、怪しんで、入って来てくれないだろう。だから、トンネルのこちら側に構えて、軽く一戦交えた上で、突破されるような形で敵の背後に回り込み、トンネル内に敵を追いやる。……そこで、ロボットとドミニオンの火力で敵を殲滅する。そうしようとするだろう。
 現に、今の布陣は、まさしくそれに相応しいものになっている。
 ならば、長期戦は好まず、もうとっくに仕掛けて来ていいはずだ。
 
 なのに、なぜ?
 
 考えられるパターンはふたつ。
 まずは、テオドアに策を見破られ、手をこまねいているパターン。この場合は、相手が焦って手を出してこれば、適当に叩き、手を出して来なければ、そのまま睨み合いを続けて消耗させれば、それでいい。
 それから、もうひとつのパターン。――テオドアの注意を引き付けて、時間稼ぎをしているパターン。……もし、これだとしたら、裏には必ず何かがある。それを早急に探らなければ、取り返しのつかない事になりかねない。
 
 しかし、考えれば考えるほど、後者であるような気がしてならなかった。――ヤツは何を企んでいる?まさか……。
 
 「艦長。月より通信です」
 通信士に呼ばれ、通信に出てみると、ビアンキからだった。その通信の内容を聞いて、テオドアは眉をひそめた。……その表情は、仮面に隠されて誰にも見られる事は無かったが。
「――補給艦が海賊に襲われただと?」
「そう。すぐ次の便を出すけど、今から準備するから、ちょっと遅くなるわ。――大丈夫?」
「大丈夫も何も、こちらはそれを待つしかないんだ。至急頼む」
 
 ビアンキからの通信を終え、テオドアはモニターに映る敵影に目をやった。
 ――どういう事だ?壊滅したはずの海賊が、今頃になって出て来るとは……。
 
 テオドアは、後方支援のビアンキが支援物資を送って来ないという事態は想定していた。
 そもそも、ビアンキを後方支援に推薦したのは、テオドアだ。
 テオドアは、ミカエルがビアンキとブルーノが反意を抱いているのでは、と疑っているのを知っていた。そして、ミカエルはテオドアに周辺を探らせたりしていたのだが、テオドアの能力を以ってしても、その証拠を探り当てる事は出来なかった。
 そのため、ビアンキがこの作戦中に、テオドアの不利になるような行動をすれば、それを証拠とし、ビアンキの身柄を押さえる手筈を整えていた。もちろん、そんな露骨な事をする可能性が低い事も分かっていた。きちんと仕事をしてくれれば、それはそれで好ましい。ビアンキもその辺は承知しているはずだ。
 ――しかし、もし万一何か不都合があれば、難癖でも何でもいい。ビアンキを押さえる。そうすれば、ブルーノの野望を砕く事ができるだろう。
 
 だから、もしエンジントラブルなど、人為的な原因が疑われる状況で補給が来ないとなれば、即座にビアンキを捕える事になっていたのだが……。
 海賊とは想定外だった。ビアンキの周辺を厳重に当たったが、海賊などという、如何わしい立場の人物もしくはそれに繋がる人間関係は、一切出て来なかった。
 
 ――しかし、たまたま海賊に襲われたとは考えられない。必ず、裏がある。
 ……もし、それがビアンキでないとするならば……
 
 テオドアの背筋を冷たい汗が流れた。
 
 もし、そうでないとするならば、ディケイルとしか考えられない。
 つまり、やはりここ5日間動きを見せないのは、テオドアをこの宙域に足止めしておくため。――そして、最終目標は、補給路を断ち、テオドアをゆっくりと締め殺す事!
 
 補給路を断たれる可能性も考え、ガニメデと地球を結ぶ、もう一方のトンネル、アルビック・トンネルにも、念のため別動隊を待機させていた。もし、後背を突くような作戦に出て来られたなら、即座に対応できるようにしていたのだが……。
 海賊の小型船なら、トンネルを通らずとも、小惑星帯の中を普通に通過できる。張った網など、意味が無い。
 
 ――結局、テオドアが行おうとしていた、じわりじわりと首を締め上げる作戦に、逆にテオドア自身がハマったという事になる。……ヤラれた!!
 
 テオドアの作戦は、こうだった。
 敵の罠をいち早く見抜き、それには乗らず、持久戦に持ち込む。
 その間、補給を受けながら、じっとしている――訳ではない。
 補給艦に人員を移し、何回かに分けて、人員だけを月へ退却させる。そして、ビアンキが用意している小型の艦艇に分乗させ、小惑星帯の中を通過し、ガニメデ本体を急襲する。
 ――つまり、エクスシアやアークエンジェルといった大型戦艦はただの囮で、ディケイルたちの動きを封じておくためだけのもの。本当の狙いは、ガニメデの艦隊ではなく、ガニメデそのものなのだ。
 艦艇の数から見て、敵軍は総力でユナイテッド・トンネルに出て来ているのは間違いない。だから、ガニメデは現在、もぬけのカラも同然だ。行きさえすれば、それを掌握するのは、赤子の手を捻るに等しい。
 だが、ディケイルがどんな作戦に出てくるか分からないため、初めから人員を少なくしておく訳にもいかなかった。だから、ビアンキが送り込む補給艦がこの計画の鍵だったのだが……。
 
 それを押さえられてしまったら、テオドアの計画自体が不可能になる!
 
 テオドアは艦長席のデスクに拳を打ち付けた。未だ、包帯でその焼けただれた皮膚を隠しているから、鈍い音しか出ない。しかし、艦橋に居る何人かが、ギョッとしたように艦長席を振り向いた。
 私としたことが、全くの裏をかかれるとは……。
 
 ――しかし、待てよ。
 テオドアは考えた。
 もし、ディケイルの策がテオドアの推測通りだとするならば、この布陣はただの見せ掛けで、トンネルの中には罠も何もない事になる。――既に、会戦が始まってから5日経つ。その間、ロボットがずっと小惑星帯の中に潜んでいるとは考えにくい。何か動きがあれば、レーダーで分かる。そんな気配も見えないとなれば……。
 
 正面から押せば、簡単にトンネルを通過できてしまうのではないか。
 
 テオドアはニヤリとした。
 やってみる価値はある。
 
 
 
 ディケイルは、モニターの中に並ぶ、宇宙艦隊の機影を眺めていた。
 ……そろそろ、何か仕掛けて来てもいい頃だ。
 
 そもそも、このような形でテオドアと対峙する事は、「イザナギ」の存在が地球側に漏れて、その後1ヶ月以内に行動を起こしてくるだろう、そう予測した時に分かったものではない。
 ――以前、火星に逃げ込んだ時、フォンシェと話した事があった。
「……トランセンダー同士が正面からぶつかり合う事になったら、俺に勝ち目はあると思うか?」
 すると、フォンシェは平然と答えた。
「無いな」
「………なぜ、そう思う?」
「おまえ、罠を張るのが好きだろう?」
「…………」
「罠というのは、一見、作戦としては優れているようで、しかも、成功すればこの上なく気分がいい。――しかし、相手に見破られたら、この上なく惨めなものだ。
 よって、罠とは、格下の相手に対して行う者であって、自分と同等、あるいは格上の相手に使うのは、自分の首を絞めるも同然の行為だ」
「……なら、どうすればいい?」
 フォンシェは、細い目をしてディケイルを見た。
「それを聞いてどうする?」
「最終的には、ミカエルを倒す」
「おまえ、自分の立場が分かっているのか?ガニメデを追放されたかもしれない身分で……」
「うるせぇ!聞いた事にさっさと答えろ!」
 
 すると、渋々といった様子で、フォンシェは答えた。
「……ガニメデの立場で、地球の宇宙艦隊を迎え撃とうとすれば、必ず、小惑星帯が砦となる。ここを突破されれば、かなり不利になるから、何としても守らなければならない。よって、必然的にトンネル付近が戦場となる。
 そして、――対トランセンダーというのであれば、まず出て来るのは、テオドアだろう。ブルーノやビアンキに、ミカエルが戦力を持たせるとは考えにくい。
 そう考えた場合、いくら手の込んだ罠を張ったところで、あいつは、絶対にかからない」
「…………」
「ならば、それを逆手に取る」
「………?」
「罠を張ったフリをしていれば、警戒して、それ以上攻め込もうとはしないだろう。
 そうして、長期戦に持ち込む。
 そうなった場合、補給路が長い地球側が圧倒的に不利だ。その補給路を、例えば、宇宙海賊なんかに襲われたら、一気に窮地に陥るだろう」
「――そんな都合良く動いてくれる海賊なんて居るか?」
「ひとり知ってる。――スカルというヤツだ。……おまえも、顔を見れば分かると思う。目がクリクリして可愛い顔をした……」
「まさか!!」
 この時ばかりは、ディケイルは心底驚いた。
「私も、スカルという宇宙海賊を捕まえてみて、驚いた。――まさか、パパッチノのヤツが、宇宙海賊になり果てているとはな」
「まぁ、あいつらしいと言えば、あいつらしいかもな……」
「それはともかく、だ。
 補給路を断ってしまえば、後は自滅を待つだけだ。……撤退するか、総攻撃を仕掛けて来るか。いずれにせよ、ガニメデ側が圧倒的有利に戦える」
「……しかし、その場合、あんたにとっては、最悪の事態も予測できるぜ?」
 ディケイルは爪を噛みながらフォンシェを見上げた。
「火星に補給を求めて来たら、どうする?」
「断る」
「…………」
「言っておくが、それは、おまえにも言える事だ。火星は、どちらの陣営からも中立で……」
 
 ――とにかく、こうなることは、ずっと以前にフォンシェが書いた筋書きなのだ。
 他人の考えた策を実行するというのは、余計に神経を使う。話を鵜呑みにして、何か重大な事を見落としているのではないか、そんな焦った気分に陥る。……しかし、相手はテオドアだ。気分を乱せば、それにつけ込んでくるだろう。冷静さが、今のディケイルにとって、最も必要なものだ。
 ディケイルは、モニターの前に並ぶ乗務員たちの中の、金髪の人物に目をやった。――確か、クリスとかいうあの航宙士、何だかんだ言って、ディケイルよりも肝が据わっているかもしれない。あのくらいの冷静さが無ければ、この戦い、勝てはしないだろう。
 
 その後、モニターに視線を戻し、膝を抱えた。
 ……恐らく、スカルに補給路を断たれたテオドアは、こちらの布陣が罠「もどき」だと察して、総攻撃を仕掛けてくる。
 ――相手は14隻、こちらは6隻。この圧倒的戦力差で、ここをどう乗り切るか……。


>> 次へ
PR

web拍手 by FC2


※ Comment
HN
TITLE
COLOR
MAIL
URL
COMMENT
PASS


※ この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:



Powered by 忍者ブログ  Design by まめの
Copyright © [ Second Box ] All Rights Reserved.
http://secondbox.side-story.net/