忍者ブログ
オリジナル小説のダストボックス

WRITE | ADMIN

PR
カウンター
プロフィール
HN:
碧井 湊
性別:
非公開
自己紹介:
頭の中には、
いつも何かのストーリー。
なかなか、
文字にならないのが難点。

詳しい事はこちらへ。
メールフォーム
感想・ご意見等 お気軽にどうぞ
Powered by NINJA TOOLS
忍者サイトマスター
バーコード
ブログ内検索
当ブログの利用方法
★プラグイン最上部のブログタイ
 トルをクリックで、トップページ
 へ戻ります。
★トップページより、各小説タイ
 トルをクリックで、目次ページ
 へ進みます。
★プラグイン内「カテゴリー」から
 も、目次ページを開けます。
★小説各ページに「次へ」のリン
 クはありますが、「前へ戻る」
 リンクはありません。プラウザ
 内の「←」をご利用いただくか、
 一度目次ページへ戻るかして、
 ご覧ください。
アクセス解析


忍者ブログ [PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


web拍手 by FC2


52.  展開
 
 
 2211年7月21日。
 日付が変わったのとほぼ同時に、テオドアは命令を下した。
「全軍、出撃する」
 すると、脇に控えた副官が、言いにくそうに質問してきた。
「――あの、『核』の存在は、今回はどうなのでしょうか?」
「無い」
「………はっ」
 テオドアの返答に、短く敬礼を返すと、副官は各部門へ連絡を伝えるため、去って行った。
 
 ――さすがに、前回使った手を再び使って来る事はあり得ない。核を盾に全軍壊滅を懸けて脅すような手、さすがのディケイルもテオドアに通用するとは思っていないだろう。第一、一度使った手に対する対策を、テオドアが考えていない訳はないではないか。
 案の定、対峙を始めてからも、何も言ってはこない。核を盾にしたいのならば、まず、その旨を敵軍へ伝えなければ、意味が無い。それが無いという事は、ドミニオンに、核は積まれていない。
 それでも念のため、核爆弾の爆発半径よりも距離を置いて布陣した。万一、核の所在を告げて来たら、長距離ミサイルで集中砲火を浴びせてやろうと思っていた。そうすれば、自滅するのは敵軍だけで、テオドアは労せずに勝利を得る事ができる。
 ……しかし、そんな事はいくら無謀なディケイルでも承知しているはずだ。
 
 「エクスシアが先陣を切る。アークエンジェル及び各艦は、後に続け。
 ……狙うは、ドミニオン艦橋のみ」
 テオドアの言葉に従い、エクスシアはゆっくりと動き出した。――だが、敵軍に動きは無い。
 間もなく、エクスシアはドミニオンの射程に入った。
 テオドアは前方に腕を振った。
「一斉砲射!!」
 
 
 
 ――やはり、テオドアは正面から突っ込んで来た。錐状に陣形を組み、中央突破をしてくる気だろう。
 イザナミの正面モニターは、次々と襲いかかる光で、真っ白になっていた。
「――弾幕を最大に張っていますが、持ち堪えられません!どうしますか?」
 砲手がディケイルを振り返った。――狙いはイザナミただ1隻、というところだろう。ならば……
「イザナミ、ユナイテッド・トンネル内に後退しろ。アマテラス及び各艦は、一旦退避。その後、フォーメーション『B』でいく」
「了解しました」
 クリスが返答を返した。――直後、イザナミはゆっくりと後退を始める。
 
 意味を成さない、外の光景を取り込むだけの画面から切り替わり、レーダーの図面がモニターに映し出された。――敵の先頭は、エクスシア。恐らく、テオドアの乗っている旗艦だろう。
 今回、地球が出してきたエクスシアとアークエンジェルは、宇宙艦隊が製造した宇宙戦艦の中では、大型の部類に入る。システム的にも、イザナミと引けを取らない。――だが、それでもまだイザナミの方が大きい。それだけ、無駄に図体がデカいのだ。……しかし、この時ばかりは、その図体に助けられていた。巨躯の装甲が屈強な盾となって、猛烈な攻撃を受け止めていた。……アマテラスのように装甲の薄い中型艦だったら、とっくに蒸発しているだろう。
 
 イザナミは、トンネル内に進入し、なおも後退を続ける。
ディケイルはモニターを注視した。アマテラスなど他の艦艇は、分断されるように後退し、やがて、ゆっくりと敵の背後に回り込んだ。――これでいい。
 
 すると、思惑通り、エクスシアは動きを止めた。
 このままイザナミを追ってトンネルに進入するという事は、イザナミとアマテラスに挟み撃ちにされるという事を意味する。
 狭いトンネル内で縦列の隊列を組んでいる以上、前後から挟まれれば、その火力も十分に発揮できない。「アス会戦」の時もそうだったが、ヘタに砲撃すれば、味方艦に当たってしまうからだ。
 ……これなら、少数対多数でも、十分に戦える。
 だから、敵側としては、そういう状況になる事は、何としても避けたい。テオドアがその程度の事を察知しない訳がない。テオドアはトンネル内には入らず、脇へ退避する。
 そもそも、この一戦は、何としても敵を撃滅するというような、強い意思を持ってはいない。退路を断たれたとはいえ、まだ、最終決戦に至るほどの窮地には陥っていないはずだ。だから、これ以上攻め込むよりも、身の安全を優先する。
 
 ……ディケイルの予想通り、エクスシアは左手に針路を変え、後背に迫るアマテラスの艦影を回り込むようにして難を避けた。
 
 ――こうして、再び両軍は、射程距離を隔てた宙域に陣を敷き、再び睨み合う事になった。
 
 
 
 ――やはり、トンネル内に罠は敷かれていない。
 テオドアは、腕を組み、モニターを眺めた。
 ……なぜなら、もし罠があるとするならば、ドミニオンがトンネル内へ後退する必要など無いからだ。
 今回は、宇宙艦隊出撃の発表をギリギリまで遅らせ、敵に妙な策を講じさせないようにした。それでも、ディケイルの事だ。いつかはこういう時が来る事を察して、事前に準備をしていたかもしれない。
 万一、その仕込みがあったとするならば、ドミニオンはトンネル内には入らず、テオドアたちの背後から押すような動きをしただろう。その方が、ずっと理に適っている。ドミニオンのような巨体を狭いトンネルに押し込めるという事は、その火力の大きな部分を殺してしまう事になるからだ。
 しかし、ドミニオンはトンネルに入り、プリンシパリティで後背を攻めてきた。これは、テオドアの攻撃を回避するための、苦肉の策としか言いようがない。
 よって、トンネル内には、種も仕掛けも無い。
 
 ……という事は、隙を見てうまく攻撃を仕掛ければ、トンネルの突破も可能だ。
 
 そのタイミングはいつか?
 残念ながら、テオドア側には、ディケイルたちの疲弊を待つだけの余裕は無い。補給路は経たれてしまったと考えておいた方がいい。となると、現在、各艦に積載しているだけの、燃料と食料のみ。
 しかも、当初の計画は、早々に戦艦を抜け出して、月へ帰還する予定だった。だから、余分な物資は積んで来なかった。――あと、持って1週間。その間に、戦闘などエネルギーを大量に使用する行為があれば、その「寿命」はもっと縮む。
 
 その間に、「隙」は、見つけ出せるだろうか……。
 
 テオドアはモニターを睨んだ。
 ――やってやるさ。「神」から授かった最後のチャンスだ。これを逃したら、テオドアを待っているのは、本物の『死』だ。……手をこまねいての撤退など、あり得ない。
 必ず、ディケイルの隙を突いてみせる。
 
 ……その時には、「神の兵」、ジャンヌ・ダルクの華麗な雄姿が、大宙を舞う事になるだろう……。
 
 そんなテオドアの思考を遮るように、通信士が告げた。
「ほ、補給艦の第2陣も、宇宙海賊にヤラれたそうです!」


>> 次へ
PR

web拍手 by FC2


※ Comment
HN
TITLE
COLOR
MAIL
URL
COMMENT
PASS


※ この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:



Powered by 忍者ブログ  Design by まめの
Copyright © [ Second Box ] All Rights Reserved.
http://secondbox.side-story.net/