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 ――とうとう、敵は「ロボット」を出してきた。ディケイルのヤツも、相当追い込まれているようだ。
 テオドアは、仮面の下で口元を歪めた。
 ――では、こちらも、「神の兵」を出すとするか……。
 テオドアは、格納庫の様子を映し出すモニターに目を向けた。――鋼鉄の淑女たちは、白銀の鎧をまとい、静かに出陣の時を待っていた。
 テオドアは告げた。
「『ジャンヌ・ダルク』、出撃せよ」
 
 
 
 レイは、無数の砲火の中を縫うように、宙を漂っていた。――前に出たいのだが、あまりに激しい砲撃の応酬のため、攻撃を避けるのに精一杯なのだ。
 この前、追撃ミサイルから逃げ回っていた時の事を思い出す。……若干、トラウマになっているようで、ミサイルの影が目に入ると、足がすくむ。
 レイは頭を振った。――ダメだダメだ、こんなんじゃダメだ!!
 
 その時、敵の砲撃が若干緩んだのが分かった。今だ!
 レイが前に出ようとすると、エトウの声が制した。
「待て!――何か来る」
 その言葉に、レイはハッとしてモニターを見た。――意識でモニターを操作して、画像を拡大してみる。……それは、イザナギと同じような、巨大戦闘ロボットだった。白銀の機影が、砲火に照らされて光を放っている。その光は機体を包み、それが神々しいまでのオーラに見えた。
「油断するな!来るぞ!!」
 エトウに言われるまでもなく、レイにも分かった。――ロボットたちは、レイたちイザナギ向けて、真っ直ぐに飛んで来た。
「迎撃!!」
 レイはライフル砲を構えた。
「ターゲットマーカー、ロックオン。――発射!」
 今度はうまくいったと思う。しかし、ロボットは目にも止まらぬスピードで方向を変え、それを避けた。
 あっという間に、レイの目前に、白銀の機体が迫る。もう、ライフルじゃ間に合わない!レイは大きく腕を振った。
 すると、両腕から何かが飛び出した。――一見、「剣」のように見える。……いや、文字通り、片手剣だ。ただ、刃に当たる部分に、超微細振動で装甲を破りやすくするような加工がしてあるだけで……。
 レイが柄を握ると、剣のスイッチが入った。レイの手には感じられない程度だが、細かい振動が起こり、それが青白い光を発する。
 それを両手で持ち、レイは右手を振った。
 敵は腕に取り付けられたシールドで、その攻撃を防ぐ。――しかし、その直後には、目を覆いたくなるような光を放って、爆発した。
 ――レイの左手の剣が、腹の部分にあるエンジンを貫いたのだ。
 その爆風に吹き飛ばされないよう、レイは体勢を立て直した。
 
 両手に構える、双剣。――二刀流。
 
 これは、マック校長に習った。
 昔、日本という国に、ものすごく強い剣士が居たらしい。その人は、天下無双と言われるほどの剣の達人で、両手に2本の剣を持って戦ったという。
 その剣法を、子供の頃、マックは教わっていた。
「――いいか、普通、片手に剣、片手に盾を持つんだが、二刀流の場合は、両方剣だ。つまり、剣で防御もする。こう見えて、オールマーティーな戦い方ができる」
 マックは、両手に棒を持って、実演して見せた。
 たまたま視察に来ていたディケイルは、それを眺めながら、
「俺なら、槍を使うな。リーチが長い方が、圧倒的に有利だ」
と言っていたが……。
 ラボも、いろいろな意見に合わせて、複数の武器を開発していた。それで、パイロットが自分に合った武器を選んだのだが……。
 双剣を選んだのは、レイだけだった。レイはさほど感じなかったが、クセのある戦い方らしい。
 それよりも、元帥が主張してた槍なんて、誰も使いこなせなかった。どうしても武器が大きくなるから、扱いが難しいのだ。
 他の人は、ラボがテスト用に作ったチェーンソーを改良した大剣――あの時、エドが使っていたヤツだ――と、片手剣にシールドという、オーソドックスなタイプが多かった。
 ラボが作った武器を、いろいろ見るのは面白かった。腕がドリルに変形する「ドリルアーム」や、遠隔攻撃専門のガトリングアーム、ハサミのような爪で鋼板を切り裂く、なんてのもあった。――ボツになったのも多かったようだが。
 しかし、そのどれもが「人を殺すため」の道具である事を考えると、少しだけでも楽しい気分になった自分が嫌になった。
 
 ――そして、レイは、今、人を殺した。
 
 あまりに呆気ない、命の終焉。殺した側にも、あるいは殺された側にも、自覚は無かったかもしれない。
 ……こうして、僕は、殺人鬼になっていくのか……。
 
 「――14号機!適合率が下がってる。気を確かに持て!!」
 エトウの鋭い声がレイの意識を現実へと引き戻した。レイは頭を振った。――何してるんだ。ここは戦場だ。生きる意思を失ったら、死ぬ。
 すぐまた、別の機体がレイのイザナミに襲いかかる。至近距離でレーザーガンを発砲され、慌てて身を翻した。そして、目に入った「脚」を切断する。バランスを失った敵機は、その場から逃げ去ろうとしたが、レイはその背中に向けて、ライフル砲を放った。
 背中に穴を穿たれた敵機は、爆発と共に、木端微塵に飛び散った。
 
 生きる意思を失ったら、死ぬ。
 生きるために、殺す。
 殺す事が、生きる事。
 
 レイの中で、何かが壊れていくのが分かった。
 
 
 
 テッドは、モニターに目をやるのを極力やめる事にした。
 ――こんな状況を見てたら、心臓がいくつあっても足りない。
 テッドはその代わり、各方面のデータ類に目を通した。――各艦からの通信記録、敵からの妨害電波の波形、イザナギの通信状況。
 ……イザナギのデータを見た時、初めて気付いた。
 それぞれのパイロットの状況まで、分かるようになってるのか。
 「アナログ方式」と呼ばれる機体のパイロットには、心拍数と呼吸状態程度の情報しかないが、「ハイブリッド方式」と「エレクト方式」には、「適合率」や「脳波レベル」という、テッドにはよく分からない数値も示されていた。
 その中で、11号機のマタル・アブラハム・ラーディンというパイロットと、唯一のエレクト方式の14号機に乗っているレイ・マグアドルの数値だけが、異様に高い。
 これには、どういう意味があるのか?
 
 「――いよいよ始まりましたね」
 女の声がして振り向くと、スージーとかいう記者だった。隣のカメラマンが、モニターに向けてカメラを向けている。――いいのか?と思ったが、話し掛けられた当のディケイルは何も言わなかった。
「この先、どうするんです?
 敵がせっかく撤退しようとしたのに、それを足止めしたり、味方艦をかばうために自分が前に出たり。――勝ちたいっていうより、敵を潰したい、そんな感じに見えますけど」
「あんたは黙ってろ!」
 ディケイルが鋭い声を飛ばしたが、スージーは挑発的な目でディケイルを見返していた。
 やがて、諦めたようにディケイルが目を前に戻し、言った。
「避難ボートを貸す。今のうちに、アマテラスに移れ」
「イヤです」
「死にたいのか?」
「死にたくはありません。けれど、死なないと信じてます。――あなたを。
 邪魔はしません。ですから、取材を続けさせてください」
 スージーは後ろに下がり、壁にもたれてモニターに顔を向けた。……それから、それを自分の仕事と決めたように、腕を組んだまま動かない。
 一方、カメラマンの方は、邪魔をしないように気を配りながら、あちこち回ってシャッターを押していた。この決戦の模様を全てカメラに納める、そのつもりなのか。
 
 ――全く、こんな戦場に好き好んでやってくるヤツの気が知れない。避難ボートを貸してくれるなら、テッドが逃げ出したいくらいだ。
 そう思いながら、テッドは顔を戻した。
 すると、イザナギの間で通信が交わされているのが耳に入った。
 
 
 
 「――11号機、14号機!前に出過ぎだ!」
 エトウの声が聞こえた。……確かに、隊列から、レイとマタルだけが飛び出している。レイは目の前に迫って来たミサイルを撃ち落とし、ブースターの出力を抑えた。
 ――しかし、マタルはスピードを落とそうとしない。
「大丈夫です。まだ行けます」
 そう言って、さらにスピードを上げた。
「11号機、おまえが大丈夫か大丈夫じゃないかを言っているんじゃない!隊列が乱れる事は、全軍の動きが乱れる事だ!分からないのか!!」
 すると、マタルは聞こえるように舌打ちをした。……これにはレイも驚いた。――何か、マタルの様子がおかしい。
「俺ひとりでも、戦艦1隻くらい、墜とせますって。見ててください!」
「馬鹿野郎!命令を聞かないのか!!」
 エトウの怒号を無視して、11号機はさらに激しさを増した弾幕の中を進んで行った。――いくらなんでも無茶だ!!
「止めてきます!」
 レイはそう言って、マタルの後を追った。
 
 初めはただ張っているだけの弾幕だったが、次第に、レイを狙い撃つ意思が見て取れるようになってきた。それらをかいくぐりながらだから、思うように前に進めない。しかし、マタルは信じられないようなスピードで、エクスシアめがけて飛んでいる。
「―――マタル!止まるんだ!」
 個別回線に切り替え、レイは叫んだ。しかし、モニターに現れたマタルは、恐ろしく冷淡な顔をしていた。
「俺を足止めして、手柄を自分のものにしようとしてンの?そうはいくかよ!」
「そうじゃない!!これ以上ひとりで前に出たら、狙い撃ちされるぞ!!」
「当たらなきゃいいだろ?――見てろよ」
 マタルはまさに11号機に向けて発射をしようとしているエクスシアの砲台に向け、一直線に飛んだ。そして、
「おりゃああああ!!」
という掛け声と共に、大剣を振り下ろした。
 エネルギーの充填中だった砲台は、亀裂からそのエネルギーを放出しながら爆発した。その衝撃で、11号機がわずかにバランスを崩す。
「危ない!!」
 11号機の背後から、敵機が迫っているのが見えた。レイは弾幕の隙間を見つけて、敵に向かって一直線に飛んだ。
 11号機に狙いを定めていた敵機は、横からの斬撃に為す術もなかった。光と共に、その白銀の巨体は砕け散った。
「――何それ?俺を助けた気でいるの?……勘違いしないでくれよ。俺は避けられたんだ」
 マタルの上ずった声がして、レイはモニターを見た。
 
 そこには、レイに銃口を向ける11号機の姿が映っていた。


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