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 ――捨て身の策だったが、何とか切り抜けたようだ。
 結局、攻め切れなかったが、ここは一度、退却するしかない。
 テオドアは艦長席で、仮面に包まれた顔を手で覆った。――このまま帰還する事は、敗北を意味する。恐らく、ミカエルはこの失敗を許さないだろう。どうする?私はどうすればいい??
 
 しかし、状況は感傷に浸る事すら許さなかった。
「敵艦隊、追撃に出てきました。迎撃しますか?」
「――いや、全速で振り切れ。距離を離したところで立て直す」
 ……だが、立て直すだけの体力が、我が軍にはあるだろうか?エクスシアは艦橋をも奪われ、薄暗く窮屈なサブブリッジで、何とか旗艦の機能を保っているに過ぎない。ただでさえ満身創痍なところを、ガス爆発で、さらにダメージを受けた。他の艦にしても、激しい砲撃の応酬で傷つき、無事な艦など無いだろう。
 
 テオドアは考えた。――唯一、立て直す手段があるとするならば、……火星に救援を求めるしかない。しかし、中立を宣言している火星、それにあのフォンシェが、テオドアに手を貸すだろうか?
 だが、今はその可能性にすがるしかない。テオドアは通信を開こうと、包帯に包まれた指を伸ばした。
 
 その時。
 エクスシアの艦体がガクンと揺れた。爆発音のような振動も、どこからか伝わって来る。
「――何だ?何が起こった?」
 テオドアが言うと、すぐさま返答が返ってきた。
「こ、後背に敵ロボットの反応!左サブエンジン、爆破されました!!」
「何!?」
 しまった!前にばかり気を取られていた。爆発で何機か蒸発した後、敵ロボットは撤収したと思っていた。――が、爆発前からチョロチョロしていたあの黒い機体が、後背に取り付いて、難を逃れていたのか!!
 モニターやメーターの数値を確認すると、明らかに航行速度が落ちている。――このままでは、追いつかれる!!
「なぜ、あの機体を見落とした!!」
 自分の不注意だというのは分かっている。しかし、声を上げずにはいられなかった。
「も、申し訳ございません!艦後方の感知システムを破壊されて……」
 ――まぁ、いまさら言い訳を聞いたところで、どうにもならない。対応策を考えなければ……。
 
 テオドアは操舵士に聞いた。
「超光速航行はできないか?」
 すると、操舵士は驚いたように振り返った。
「無理です。これほどまでのダメージを受けていては、艦体がバラバラになる可能性があります!それに、エンジン出力も低下しているので、フルスピードは出せません」
「フルスピードにまでする必要はない。敵を振り切れればそれでいい。――損傷の大きい前方の区画は見捨て、隔壁を閉鎖する。それでも無理か?」
「……分かりました。危険は大きいですが、何とかやってみます。――しかし、背後の敵機を何とかしてもらえないと……」
「それは、私が何とかしよう」
 
 テオドアは立ち上がった。そして、格納庫へ向かおうとした時、通信に呼び止められた。
「司令官!お待ちください」
 後続の宇宙空母からだった。モニターに映った艦長は言った。
「いくら何でも、その艦状況でのワープは危険過ぎます!
――私の艦と、駆逐艦とミサイル艦で、敵を防ぎます。その間にお逃げください」
「何……!?」
 さすがのテオドアも、この申し出には言葉を失った。
「――そんな事をすれば、あなたがたは無事では済まない」
 ……間違いなく、撃墜されるだろう。
「承知しています。――しかし、全滅を避けられるのならば、少数の犠牲になど、構っている場合ではありません!」
 テオドアは、仮面の隙間から宇宙空母の艦長の顔を見た。その表情は、決意に満ち、晴れやかにさえ見えた。
「我々は、地球の平和を守るために出撃したのです。争う事しか知らぬ暴徒たちから平和を守れるのならば、この命など、惜しくありません。
 ――どうか、戦力を立て直して、必ずや、敵を討ってください」
 
 ――ミカエルの言う事を、疑いもせずに信じているのか。
 しかし、そうでなければ、こんな戦いに参加する事はできなかっただろう。
 ……彼らがミカエルの本性を知ったら、どう思うだろうか?それに、私の本来の目的を……。
 そう考えると、テオドアは顔を背けざるを得なくなった。
 
 「――司令官、何とぞご許可を!」
 テオドアは、奥歯を噛み締めながら言った。
「宇宙空母、駆逐艦、ミサイル艦で、敵艦隊を防げ。ジャンヌ・ダルクの出撃許可も出す。
 ………すまない」
 モニターの中で敬礼をする艦長に敬礼を返し、テオドアはサブブリッジを出た。
 
 ―――私の前にあるのは、正義の道なのか、あるいは、地獄の修羅の道なのか……。
 だが、どちらにせよ、後戻りはできない。
 
 テオドアは格納庫に行き、ジャンヌ・ダルクの胎内へ乗り込んだ。
 ……どうせ戻れぬ道ならば、悪魔にでも死神にでもなってやる。
 そうでなければ、死んで地獄に行った後、これまでこの手で奪ってきた命に、合わせる顔がないではないか。
 
 テオドアはオペレーターに告げた。
「小うるさい敵機を片付けてくる。出撃のナビゲートを頼む」
 
 
 
 マタルは、右のサブエンジンの破壊に取りかかっていた。
 左のエンジンを爆発させた時は、本当に気分が良かった。――レイに勝てた、そう思った。レイは何だか気がヘンになったようだ。……そんな弱いヤツの事なんか、もう、気にする必要もない。
 エトウがうるさいくらいに「命令を聞け!」と言ってきたけれど、そもそも、命令って何だ?何の権限があって、俺に指図する?
 エクスシアを撃墜しろって言ったのは、そもそも元帥じゃないか。だから、その命令に従ってるだけなのに、何でうるさく言われなきゃならない?
 そのイライラをぶつけるように、マタルは剣をエンジンに突き立てた。……もう少しで、動力源に届きそうだ。そこまでの穴が開いたら、ミサイルをブチ込んで……。
 
 すると、横から光弾が飛んで来た。素早く身を翻したから避けられたけど、ちょっと危なかった。――でも、それよりも、憤りの方が勝った。
 ……いいトコだったのに、邪魔しやがって!!
 光弾が来た方向を見ると、白銀の機体がマタルに銃口を向けていた。再び光が迸り、光線が走る。
「当たんねーよ、そんなの!」
 マタルは横に飛んで回避するのと同時に、前に突進した。あまりの動きの速さに、敵機はついて来れていない。あっさりとダークブルーの腕に捕まり、首を押さえ込まれた。
「ハハハハ!ざまぁ見ろ!身の程もわきまえずに邪魔なんてするから、こうなるんだよ!」
 マタルは剣を右手で構えて、敵機の胸に突き立てようとした。……しかし、その時になって気付いた。大剣の刀身が長過ぎて、片手では扱えない。
「―――バカが」
 赤外線通信を通して声が聞こえた。
 次の瞬間、マタルのすぐ下で光が湧きあがるのが見えた。――まずい!
 
 マタルはすぐさま敵機から手を離し、後ろへ飛んだ。……超至近距離で撃たれたレーザーガンの光弾は、真っ直ぐにイザナギの胸を狙っていた。
 ―――死ぬ!!
 けれど、マタルは、その感覚が怖くなかった。当たり前の事として、その事態を受け入れていた。――殺したから、殺される。いや、逆かもしれない。死にたいから、自分の周囲に多くの死を積み上げてきた。
 全部、壊れてしまえばいい。その破壊対象の一部分として自分があるのも分かってる。だから、自分も含めて、全てが消滅すべきなんだ。何もかも、何もかも……。
 それが、俺の望みなんだ。
 
 なんでこんな事を考えるのか、そんな事すら考えられなかった。ただ、「死への欲動」に身を任せ、手を伸ばした。
 自分へ死を届けてくれる、青白い光へ向かって。
 
 しかし、その光は手に届いた瞬間に、儚く散って消えた。―――イザナギの右腕を吹き飛ばしながら。
 ……何だよ?中途半端だなぁ……。
 残念に思いながらも、右手に猛烈に走る衝撃に、顔を歪めた。その痛みが、マタルに強烈な生の実感を与えた。……チッ、まだ殺されたがってるヤツが居るってコトか!
 
 けれども、右腕と剣は木端微塵に砕け散ってしまった。あと、残る殺傷手段は、ライフル砲のみ。――しかも、左腕1本で当てられるかなぁ。
 
 マタルは、敵機にライフル砲を構えてみた。そして、躊躇無くトリガーを引いた。
 しかし、寸でのところでかわされた。――惜しかった!もうちょっと狙えば、いけるかもしれない。
 マタルは再びトリガーを引いた。弾はエクスシアの艦体に点線を描いた。その隙間を縫うように、敵機は艦体を転がった。そして、マタルが弾の充填をしている隙に、反撃に出た。
 こちらに近接武器が無いのを知って、肉弾戦を挑んできた。エクスシアの鋼板を蹴り、その勢いでマタルの方へ一直線に飛んで来た。突き出される刃を、マタルはライフル砲の銃身で受け止める。
「死にたいんだろ?なら、さっさと死んでくれよ。ウザいんだよ!」
 マタルは剣を振り払い、銃底で敵機の頭を殴り付けた。この攻撃は予想外だったのか、敵機はまともに殴られ、コントロールを失って宙を飛んだ。
「ハハ!ざまぁ見ろ!」
 マタルは敵機に銃口を向けた。
 
 しかし、また邪魔が入った。
 今度は後ろからだ。光弾を身をかわして回避し、振り返ると、宇宙空母の姿がそこにあった。
「――おいおい、また出て来る気か?」
 まぁ、何機来ても、俺が全部撃退してやるけどな!
 
 だが、宇宙空母は1発発砲しただけで、マタルの視界を過ぎ去って行った。……というより、スピードを落としているのだ。よく見ると、他の艦も何隻か艦隊から離れようとしている。――何をする気なんだ?
 すると、追い掛けて来ていたガニメデの艦隊とドンパチ始めたじゃないか。……ははぁ、足止めをして時間を稼ぎ、エクスシアを逃がす気なんだな。
 ――そうはさせるか!
 
 マタルはエクスシアを振り返った。しかし、その艦体は猛烈にスピードを上げ始めていた。あの敵機の姿ももう無い。――このままでは、引き離される。
「チッ!……なんでこうもみんな邪魔してくるんだよ!!」
 苛立ちを抑えられずに叫んで、マタルはエクスシアの後を追った。


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