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オリジナル小説のダストボックス

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碧井 湊
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 「……さすがに、この距離から窓を狙えば、外す事もないし、強化樹脂と言ったって、穴が開くだろうね。――そうならないうちに、早く撃ったら?」
「イザナミの通信士!アマテラスと11号機の通信を繋いでくれ!」
 ソウが険しい形相で通信を送って来た。テッドがすぐさま対応すると、アマテラスからの通信が聞こえてきた。
「マタル!何を考えてる?こんな事をするために、パイロットになる事を許したわけじゃないぞ!」
「あ、参謀長。ただ居るだけで、守ってもらえるってのは、いいご身分ですね。
 言っておきますけど、僕は参謀長の許可をもらってパイロットになったワケじゃないですから。これは、自分の意思です。――元々、参謀長に、僕の行動に口を出す権利なんてないじゃないですか。ただの同居人なだけだし」
「……マタル、一体どうしたんだ?何があったら、そんなに……」
「何があろうと、参謀長には関係ありませんよ。――元帥、どうしたの?撃たないの?
 撃たなきゃ、こっちから行くよ?」
「待て!マタル!!」
「まだ何か用ですか?もういいでしょ?参謀長は、そうやって、後ろに引っ込んでればいいんだよ」
 テッドは、呆然と通信を聞き入るしかなかった。――元帥と参謀長を怒らせて、何になるんだ?このパイロット、気がおかしくなってるんじゃないか?
 
 テッドはモニターを見た。――すると、明らかに異常な数値が目に入った。
「――艦長、11号機の数値なんですが……、適合率が200%を超えています!こ、これは、どういう……」
 すると、ディケイルがすぐに聞き返した。
「脳波レベルは?」
「180前後で推移しています」
「…………」
 ディケイルは爪を噛んだ。
「至急、ラボの誰かを通信に出してくれ」
 ――テッドには、その意味が分からなかったが、言われるまま、ラボの研究員が詰所に使っている格納庫内の事務室を呼び出した。
 
 モニターに現れたのは、ジョルジュだった。
 ディケイルは単刀直入に言った。
「11号機のパイロットの異常は、機体の影響だな?」
 すると、ジョルジュはモジモジと目を泳がせた。
「適合率200%というのは、理論上、あり得ない数値なんです。なぜ、このような事が起こったかというと……」
「ゴタクはいい!知ってたんだな!?」
「――ぼ、僕は詳しくは知りませんけど、ドクターは、そんな可能性も……」
「なら、なぜ俺に言わなかった!」
「そ、その可能性ってのが、計算上では0.001%以下のもので……」
「可能性を認めるんだな。じゃあ、対処法は!?」
 叩きつけられるように言及され、ジョルジュは完全にビビッている。
「………分かりません」
 消え入りそうな声で言うジョルジュの声を、ディケイルがデスクを殴りつける音がかき消した。
「ふざけるな!!」
 ジョルジュはモニターの向こうで、泣きそうな顔になっていた。
「ドクターを呼べ」
「は、はい!!」
 飛び跳ねるように、ジョルジュがモニターから消えた。
 
 間もなく、ラボからの直通通信が入った。それを、艦内モニターに切り替えると、そこには分厚いメダネをした奇妙な風体の男が映し出された。
「――ドクター、説明を願う」
 すると、その男は答えた。
「何も難しい事じゃない。
 精神的に未発達な、そして心に葛藤を抱える子供に武器を与えたらどうなるか。――それは、イザナギに限った事ではないだろう。ナイフやエアーガンだって同じだ。
 ……ただ、『エレクト方式』という操縦法には、それを助長する可能性がある。つまり、自己の実力を過剰に自己評価させる。それにより、精神のコントロールが効かなくなり、『デストルドー』の状態に陥りやすくなる。
 しかし、それはエレクト方式に限った事ではない。アナログ方式では絶対に起こらないかというと、そうとは限らない。先程も言ったように、武器というものには……」
「―――ならば、どうすればいい?」
 ディケイルの声が、呻くように遮った。
「武器を取り上げる、それしかないだろう」
「ならば……」
「その方法は、おまえさんが自分で考えるんだな。
 武器を与えたのはあんただ。私の知った事じゃない」
 通信は切れた。
 
 ディケイルが、ガクンと座席に身を落とした。デスクに突っ伏し、頭を抱えて動かなくなった。しかし、クリスの声が現実から逃げるのを許さなかった。
「艦長!アマテラスと11号機が戦闘に入ろうとしています!どうしますか!?」
「……あの状態でイザナギのライフル砲をまともに食らったら、アマテラスの方がヤラれる。――俺が、11号機を撃つ」
 
 
 
 ――とんでもない展開になってきた。
 スージーは艦橋の片隅で、固唾を呑んで様子を見ていた。
 ……まぁ、要するに、あの11号機ってヤツのパイロットが、精神異常を来して暴走、自軍に被害を及ぼす可能性が強いから、排除する、と……。
 仲間を撃つ、――これほど最悪な展開があるだろうか?しかも、そのパイロット、子供というではないか……。
 これが悪夢でなければ、何なんだろう?
 
 カムイが、そっとスージーの傍らに寄って来た。
「……ね、ねぇ、ヤバくない?これ以上見てると、僕たちも、殺されるんじゃない?」
 ――確かに。自軍に不都合な情報は抹殺する、それは軍という組織では当たり前の感覚だろう。
「ど、そうする?逃げた方がいいんじゃない?」
 しかし……。
「逃げるって、どこへ?」
「た、例えば、他の艦、とか……」
「そんなコトしたって、結局は同じじゃねぇか。――なら、ここで、この顛末、見届けてやるよ」
「…………」
 カムイかカメラを抱えて、その場に座り込んだ。
 スージーは腕組みをしたまま、モニターの風景、そして、地獄から這い出すような格好で顔を前に向けるディケイルの後ろ姿を眺めた。
 
 通信は続いている。
「――参謀長、やる気なんですか。じゃあ、相手になってあげますよ。
 保護者ヅラとか、そういうの、ウザいですから」
 11号機が、前進してきたアマテラスにライフル砲を向けた。同時にアマテラスの前方から火線が迸った。
 しかし、11号機の機体に届く事は無かった。信じられないようなスピードでそれらを避け、隙を突いてアマテラスへと飛んだ。
「どけ!」
 声にハッと視線を映すと、ディケイルが艦長席から飛び上がっていた。低重力下、砲手の席までジャンプし、席を奪う。そして、狙いを定めてレバーを引いた。
 
 艦橋が低く振動する。前方で光が湧きあがるのが見えたが、それが伸びる前に、スージーは無意識に目を閉じていた。……見ていられなかった。
「……は、外した……!」
 カムイの呟き声に、やっと目を開くと、アマテラスの目前にまで迫った11号機が、こちらに顔を向けていた。
「―――邪魔するなって言ってるだろ!?
 なんで、そんなに俺の事を邪魔にするんだよ!!俺だって……俺だって……!!」
 11号機がこちらに向きを変えた。
 そして、一気にブースターを点火し、飛んで来るのが見えた。――ライフル砲は、真っ直ぐに、艦橋に向けられている。
 その銃口が光った。
 
 ――次の瞬間。
 イザナミの前方から光が奔った。
 
 それは、紛う事無く、11号機の胸を貫いた。
 
 通信から、一瞬だけ、恐怖の叫び声が聞こえた気がする。
 しかし、すぐに爆音にかき消された。
 
 そして、イザナミのモニターの中で、爆発の閃光に包まれ、破片が周囲に飛び散った。
 
 ……それから数秒後には、モニターには、何事も無かったかのような、何もない光景だけが映し出されていた。
 
 誰も、声を出さなかった。痛いまでに張り詰めた沈黙が、艦橋を満たしていた。
 
 
 
 エクスシアは、火星の衛星ダイモスにまで近付いていた。もう少し行けば、もうひとつの衛星フォボスがあり、そして、火星への上陸軌道に入る。
 火星を攻撃すると告げた時、
「――そ、そんな事をしたら、地球に帰れなくなります!」
と声が上がった。当然の思いだろう。しかし、それは感情的な意味だけではなかった。
「現在、艦に残存しているエネルギーを考えると、これ以上戦闘行為に及んだら、月まで持ちません」
 ……つまり、もう、後戻りはできない。
 
 火星は、赤い大地を薄っすらと水色の大気に覆われ、オパールのような不思議な色合いを呈していた。
 
 何が正義なのか?何が正しい道だったのか?
 今のテオドアには、全く分からなくなっていた。
 しかし、現状では、これが最善の途、それは間違いないはずだ。
 ……そう心の中で念じてはいるものの、どうしようもない迷いと後悔だけは、追い出す事はできなかった。
 なぜ、こうなった?私に何が足りなかったというのだ?なぜ……。
 
 艦長席で手を組み、顔を埋めるテオドアを、強い衝撃が揺らした。
 すぐさま顔を上げ、状況確認をする。
 すると、操舵士が悲鳴を上げた。
「――こ、後方から、所属不明船が追突してきました!!」
 ……何だと!?火星の領域内に入ってからは、追撃も終わったと報告を受けていたが。
「映像は出せるか?」
 テオドアが言うと、通信士が慌ててモニターを操作した。――そこに映し出されたのは、長く尖った舳先を持つ、真っ黒な小型船だった。
 ――船の側面に、白く、ドクロのマークが描かれている。……海賊船?………まさか!!
 
 「か、艦長!あの船が、通信を求めてきています!!」
「通せ」
 ――そして、モニターに現れた男の顔を見て、テオドアは驚愕した。
「………ニール!!」
 
 ――パパッチノ・ニール……なんとか。
 名前が長くて、あまりよく覚えていない。だが、かつてラザレフの研究施設で共に過ごし、そしてひとり脱走したヤツだという事は、即座に認識した。
 他の者は、「パパッチノ」と呼んでいたが、ミカエルとテオドアだけは、ヴィクトール・ラザレフの呼び方に合わせ、ミドルネームの「ニール」と呼んでいた。
 
 画面の中の人物は言った。
「その名は忘れた。今はスカルと呼ばれてる」
 ――スカル!!やはり、補給を徹底的に潰し、私を窮地に追いやった海賊!!
 となると……!――テオドアの脳裏で、仕組まれた陰謀が、形を成しつつあった。
「さすがに、戦艦の強固すぎる貞操には、ヘル・ビートルの堅いツノも通用しなかった。本来なら、そっちに行って挨拶したいところだが、通信で失礼するぜ」
 スカルは黒い眼帯をした隻眼で、テオドアに不敵な眼差しを送った。
「……何の用だ?」
「あんたなら、自分がハメられた事にくらい、もう気付いてるだろ?」
「…………」
 
 ――つまり、ビアンキは初めからテオドアに補給を送る気など無かった。スカルと共謀し、テオドアを騙していた……。
 となると、ビアンキとディケイルも繋がっている……!?
 
 「……だけど、あんたのボスには、ヘタな事ぁ言わない方がいいぜ?
 何せ、あんたは『負け犬』だからな。負け犬の遠吠えなんぞ、誰も聞いてくれやしねぇ」
 スカルは棒の付いた飴で頬を膨らませながら言った。
「それに、あんたの考えている事は、真実じゃない。――根源は、もっと適当で、もっと複雑だぜ?」
「そんな事を言いに、わざわざ火星にまで来たのか?」
「俺がどこに来ようが、あんたには関係ねぇだろ。元々、宇宙は誰のものでもねぇ。地球だってそうだ。それを、やたらゴチャゴチャさせてるのが、あんたたちだろ。
 宇宙から地球を見下ろしてる身にとっちゃ、全く、くだらねぇ限りだ。
 ……けれど……」
 スカルは、飴を頬張ったまま、テオドアに鋭い目を向けた。
「今は、俺も落ちぶれて、ある御方に雇われてる身だ。
 本当なら、こんなメンドクセー事はしたくないんだけどよ、仕事だから仕方がねぇ。
 ちょいと、あんたの邪魔をさせてもらうぜ?」
「………何をする気だ?」
「ブッ潰す、それだけだ」
 
 通信は切れた。
 その直後、エクスシアが再び大きく揺れた。
「――後部に被弾!右サブエンジン、破壊されました!」
「何!?」
「メインエンジンが砲撃を受けています!」
 ……こんなところに、しかもとんでもない伏兵が居ようとは!油断していた!!
「メインエンジン、フル出力で吹かせ!一旦、この宙域を離脱する。
 エクスシアが立て直す間に、各艦、海賊船へ砲撃!――相手は小型船だ。集中砲火を浴びせればそれまでだ!」
 しかし、テオドアの思考は完全に裏切られた。
「か、海賊船、レーダーに感知しません。そのため、自動砲撃は不可能です!!」
「ならば、手動で……」
「特殊な塗装をしてあるのか、光を吸収するようで、投光機を使っても、その姿が捉えられません!」
 ――そんな亡霊みたいなのに、好き勝手動き回られたら……!
 
 最悪の予想は現実となった。
「……哨戒艦、被弾!自力航行不能!!ダイモスに墜落します!!」
「護衛艦、集中攻撃を受け大破!!」
「こ、こちら、駆逐艦!エンジンに損傷を受け、制御不能です!装甲艦に衝突します!!」
 悲鳴が錯誤する中、呆然と立ち尽くすテオドアの目の前で、自軍が次々と巨大な火の玉となり、消えていった。
 
 ……そ、そんな、バカな……!!
 テオドアは、床にガクリと膝を落とした。
 ここまで逃げ延びて、生き延びた結果が、これか……!!
 しかし、絶望に暮れている暇すら与えられない状況だった。
「か、海賊船、正面からこちらに向かって来ます!!」
 ハッと顔を上げると、モニターの中を、漆黒の奇妙な形をした船影が、みるみるうちに大きくなって来るのが見えた。
「全砲台、前方に向けて発射!!」
 しかし、その圧倒的火力さえも嘲笑うかのように、その機影はひらりと身をかわし、エクスシアの上部へと抜けて行った。……そして、頭上から砲撃の雨を降らせた。
 エスクシア全体が軋む。テオドアも思わず頭を押さえて床にうずくまった。
 
 「艦長!こ、このままでは……!」
 分かってる。――全滅する!!
「全艦、全速で離脱!火星に向かう!!」


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