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オリジナル小説のダストボックス

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碧井 湊
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 「――何が天国だ。フザけてないで、さっさと話をするぞ」
 雰囲気をブッた切るようにディケイルは言って、近くの置物にもたれ掛かろうとした。翼の生えた骸骨をかたどった銅像のようだが、ディケイルが体重を掛けようとすると、スカルは慌てて跳ね起きた。
「おい!それ、意外と軽いから、触ると倒れる!」
 ――しかし、時は既に遅かった。スカルはグラスを放り投げて銅像に飛びついたが、銅像はディケイルと共に後ろに倒れ、頭と翼の部分がバラバラになった。その折れた断面を見ると、どう見ても、金属では無い。――フェイク?
「……テメェ!何しに来た!?ヘル・ビートルを壊しに来たのか!!」
 スカルはディケイルの襟首を掴み、引き起こしながら睨んだ。……グラスを放り投げたクセに、チュッパチャップスはしっかりと握り締めているから不思議だ。
 ――しかし、雰囲気は確実に悪くなった。ソウの背後で、男たちがおもむろに立ち上がるのが分かった。――まずい!!
 だが、ディケイルは平然として言った。
「なら、おまえの秘密をバラす。おまえのその眼……」
「言うな言うな言うな言うな言うなああああっ!!」
 再びスカルは大声を上げた。そして、男たちに向かって、
「テメェら!何ボケッと見てる!?新しく人質ができたんだ。昨日のヤツらはさっさと解放しねぇか!!
 これから大事な話があるんだ。席を外すという気配りはできねぇのか!!」
と怒鳴りつけた。……いや、そんな事を指示も無く勝手にやったら、それこそ怒鳴られる種じゃないのか?とも思ったが、男たちは怒鳴られ慣れているのか、
「ラジャ!」
と一斉に返事をして、素直に部屋から出て行った。――その中のひとりが、スカルにグラスを返した。……スカルの放り投げたグラスを、中身ごとキャッチしたらしい。すごい運動神経の持ち主だ……。
 
 ディケイルは、スカルの手を振り解き、ソファーにドカリと座った。スカルは仕方なく、だが席を取り返そうともせずに、テーブルの上にあぐらをかいた。――形勢逆転、というより、どんな立場関係なのだろう、このふたりは……?
 そう思いながら、ソウは、またヘタに触って壊すといけないので、そのまま立っていた。
 
 「――で、俺様を呼び出した理由は?」
 スカルはブランデーをチュッパチャップスでかき混ぜると、チュッパチャップスを口へ放り込んだ。
「もう一回、海賊、してみねぇか?」
 ディケイルに言われ、スカルはジロリとグレーの瞳を見返した。
「報酬は?」
「収獲品全部」
「――は?何だそれ?意味分からねぇな。そんなの、依頼でも何でもねぇじゃねぇか」
「そうか?今度のは、武器なんかよりももっと金回りのいい、エネルギー資源を大量に積んでるぜ?火星に流せば、相当な金になると思うがな」
「…………」
 スカルは、再びブランデーに飴を浸して口へ入れた。――どんな味がするんだろう?
「どうだ?悪い話じゃないと思うが」
「確かにな。――だが、依頼人が気に入らない」
 スカルは飴をくわえたまま、テーブルの上に立ち上がった。
「交渉決裂だ。帰れ」
「そんな事言っていいのか?おまえの眼帯がただのダテで、それを取ると素顔はとっても可愛いのをバラすぞ?」
「ぎゃあああああああっっ!!」
 スカルは絶叫した。頭を抱えて野獣の咆哮のような声を出すと、テーブルの上にヘタり込んだ。
「―――言いやがったな。テメェ……」
 呻き声を上げながら、スカルはディケイルを睨んだ。――ネタばらしをされてしまうと、その目に、これまでのような迫力が全然感じられないから、不思議なモノだ。
「誰も聞いてないからいいだろ」
「聞いてるじゃねえか!!」
 スカルはソウに目を向けた。
「ソウなら大丈夫だ。口が堅い。俺が保証する」
 すると、スカルはくわえていたチュッパチャップスを手に取り、それが刃物であるかのようにソウに向けた。
「もし、誰かにしゃべってみろ?テメェの寝床に忍び込んで、口の中にポテトチップスを突っ込んで、アヒルのクチバシみたいにしてやるからな!」
 ――脅し文句としては、微妙すぎる気がするが……。本人は、至って真剣な様子だ。
「じゃ、交渉成立な」
 そう言って、ディケイルは立ち上がり、大きく伸びをした。
「……で、期日はいつ?」
「多分、10日以内だ」
「多分かよ!」
「おまえなら分かるだろ?……じゃあな」
 ディケイルはさっさと歩き出した。
 
 ――帰りは、スカルの手下たちも、素直に通してくれた。
 外に出ると、ディケイルはチャンに、包囲を解くように指示した。不審そうな顔をしていたチャンだったが、部下たちに指示を出し、空港の建物側に撤収した。
 すると、ヘル・ビートルは唸りを上げ、滑走路へ向かって一直線に進むと、あっという間に空の彼方へと消え去った。
 
 ……何だったんだ?
 唖然とそれを見送っていたソウの腕を、再びディケイルが引っ張った。
 促されるまま、ソウは宇宙空軍の、ディケイルの執務室へ向かう事になった。
 
 珍しくデスクに座ると、ディケイルは前に立ったソウを見上げた。
「――今回の作戦、あんたに『アマテラス』を任せる」
「………はぁ!?」
 ――ちょ、ちょっと待て。まず、『作戦』とは何の話だ?それに、俺はそもそも「軍本部」の所属であって、「宇宙空軍」には属していない。そんなヤツが、宇宙戦艦の指揮をするのは、おかしいだろ?
 すると、ソウの思考を見抜いたに、ディケイルは机の上に1枚の紙切れを置いた。
「ソウ・ナカムラ参謀本部長。貴官を『宇宙空軍副司令官』に任命する」
 ………辞令!?
「――お、おい!じゃあ、今の『参謀本部室』はどうなる?」
「兼任だ。問題あるか?」
 ………無茶苦茶だ!!
「今、宇宙空軍にやれそうなヤツが居ないんだよ。だからさ……」
「そう言われても……」
 ソウは考えた。何とか、逃れる手段はないか?――そして、唯一思い浮かんだ疑問をぶつけてみた。
「テイラー総司令官に話は通して……」
「ある。――見ろ。ちゃんとサインもあるだろ」
 ……確かに。頼みの綱が切られて、ソウはガクリと肩を落とした。
「大丈夫だ。すぐ終わる。その間だけ、アマテラスに乗っててくれれば、それでいい」
 ――何だか、適当に騙されているような気がものすごくするが……。
 ソウは諦め、覚悟を決めた。
「――分かった」
 ソウが目を伏せると、ディケイルはニヤリとした。――しかし、その笑顔はすぐに消え、いつもの無表情でいながら鋭い目つきに変わった。
「じゃあ、この作戦の概要を説明する」
 
 
 
 アルベルタ・ビアンキは、完成した「巨大戦闘ロボット」の前に立ち、その巨躯を見上げていた。――白銀色の装甲は、神々しいまでの威容を示している。
 完成後、ミカエルには通信で写真とデータを送ってある。まだ、返事は来ていないが……。――これなら、ミカエルの好みに適うでしょ。……最後のプレゼントとして、喜んでくれたかしら?
 
 「――ビアンキ」
 声がして振り向くと、――白い仮面をした男が現れた。一瞬、その異様な姿にギョッとしたが、態度に出す間も無く、ビアンキは察した。
「―――テオドア。……いろいろ大変だったみたいね」
「大変だった?―――そんな生易しいモノじゃない。……私は、一度、死んだ」
「…………」
「そして、生き返った。――『神』に感謝しているよ。もう一度、私にチャンスを与えてくださった神に……」
 ――仮面が全ての表情を隠して、テオドアの本心は全く読めなかった。……『神』、つまり、ミカエルに対する感情も……。これまでは、本当に『神』のように崇拝していたが、あのような目に遭わされて、恨んだりはしていないのだろうか?
 ――しかし、そんな事、言葉にして確認したところで、本人が答えるとも思えないし、それ以前に、ビアンキにはどうだっていい事だった。
「神は、この「神の兵」に、名をお授けになった」
「………?」
「――『ジャンヌ・ダルク』。……まさしく、神を守護せんとする兵に相応しい名だ」
 ……何かに酔って謳い上げるように話すテオドアを眺めながら、ビアンキは少々不安になった。―――こいつ、まさか、気が触れてるんじゃないか?……いや、ビアンキ「たち」にとっては、むしろ、その方が都合がいいかもしれない。
 
 しかし、テオドアはビアンキの微妙な表情には気も留めず、ゆっくりと『ジャンヌ・ダルク』へ歩み寄った。
「今回の作戦は、持久戦になる。――ビアンキ、君の後方支援がカギを握る。――期待している」
 ………テオドアになど期待されたくもない。ビアンキは思った。――こいつは、今回の作戦で、死ぬのだから。
 
 その後、テオドアは去って行った。きっと、出撃させる戦艦の確認にでも行ったのだろう。
 だだっ広い空間に誰も居なくなった事を確認して、ビアンキはポケットから携帯電話を取り出した。これは、ミカエルもその存在を知らない、秘密のものだ。――あの男との連絡用、ただそれだけのためのもの。だから、余計な機能など何も付いていない、至ってシンプルなものだ。
 そのボタンを押し、耳に当てる。
 すぐに、低いが柔らかいトーンの声が、それに応じた。
「―――テオドアが来たわ。……うん、何かヘンだったわよ。―――そう。
 でも、大丈夫。うまくやるわ。――これで、ミカエルを丸裸にしてみせる。
 ………そしたら、あなたの出番よ。―――ブルーノ」
 
 
 
 ソウは、自宅マンションで、ひとり侘びしく朝食を取っていた。
 ――マタルが士官学校に入学してから約2ヶ月。ひとりで暮らすには、この部屋は広すぎる。早々に引き払って、もっとこじんまりとした部屋へ移りたいところだが、ガニメデ要塞の住居棟が完成したら、そちらに引っ越す事が決まっているので、それまでは仕方なく、ここに住む事にした。
 茶碗1杯の白飯に、生卵をかき混ぜただけのもの。――マタルが居た頃は、生卵なんて貧相なモノじゃなくて、目玉焼きとか、オムレツとか、食べてたなぁ……。――マタルが作ってくれたから。
 
 ひとりだけの食事の場面には、テレビは必須アイテムだ。レポーターの声でも聞いていないと、気が滅入ってくる。
 この日も、ソウは天気予報のお姉さんと向き合って、茶碗をかき込んでいた。
 すると、突然画面が切り替わり、ニューススタジオに座るアナウンサーの、深刻そうな表情が映し出された。
――何かあったのか?
 ………なんていう感想をこの場で述べたら、参謀長失格だろう。当然ながら予測はついた。――いよいよか。
 
 アナウンサーは、ソウの予測通りの内容を読み上げた。
「先程、ミカエル・アイヒベルガー、アース・コーポレーションCEOが、声明を発表しました。その内容は――」
 
 
 
 「――本日早朝、宇宙艦隊をガニメデに向けて出発させた。
 その目的は、『ガニメデ政府』を名乗り、ガニメデコロニーを占拠する武装組織が、新たな大量破壊兵器を製造しているとの情報を得たため、その使用を阻止する事である。
 今回の大量破壊兵器は――」
 ミカエルは、立ち並ぶカメラの前に写真を示した。
 それは、銃を構える「巨大戦闘ロボット」の姿だ。――記者たちが一瞬、ざわめくのが聞こえた。
「ご覧の通り、爆弾などとは違い、そのもの自体に機動性を付加されたものである。そのため、ガニメデコロニー内の従業員への暴力だけでなく、むしろ、地球への破壊行為が目的で製造された可能性が高いと思われる。
 地球で使用される事は、何としても阻止しなければならない。そのため、緊急に、ガニメデに宇宙艦隊を派遣し、その所在を確認後、その全てを破壊するように、命令を下した。
 ――以上」
 記者たちは、一斉に手を上げた。そして、口々に質問を投げ掛けて来る。――質問の時間を設ける、もしくは質問に応じるなどとは、一切言っていないにも関わらず。
 しかし、質問を無視しても、後々うるさい。ミカエルは言った。
「――質問は、この後、執行役員のブルーノ・レオンが応じる」
 そう言って、ミカエルは立ち上がった。そして、脇に立つ人物に、冷たい目を向けた。
 
 ――ブルーノ・レオンは、琥珀色の瞳――「ウルフアイ」をミカエルに向け、薄い唇をニッと歪めた。
 
 ミカエルは、会見場を後にした。
 背後で、ブルーノが記者たちに向かって何やら言っているのが聞こえる。――まぁいい。こんな場面でその本性を現すようなヤツではない。この場はうまく切り抜けるはずだ。
 
 ―――ブルーノ・レオン。ラザレフ機構の卒業生。ミカエルに次ぐ能力を持つ、トランセンダー。
 だが、ミカエルはこの男を怖れていた。――何を考えているのかが、全く読めないからだ。
 卒業後は、大人しくミカエルの腹心として働いてはいるが、以前は、こんなヤツじゃなかった。――施設に居た頃は、「2番目」という地位に決して満足せず、常にミカエルにライバル心を剥き出しにして、挑んで来た。
 ……現在の態度は偽りの服従で、そのうち、牙を剥くのではいか。ミカエルは、それを常に警戒していた。
 だから、人の顔色を伺うのに長けたテオドアを手近に置き、ブルーノの様子を探らせたりもした。
 ――だが、そのテオドアが使えない人間だという事が分かり、手離してしまった。……しかし、やはり手元に置いておくべきだっただろうか?まぁいい。ガニメデ討伐から戻ったら、その褒賞として、ミカエルの側近の地位を再び与えてやってもいい。
 
 ――今回は、ディケイルとテオドア、トランセンダー同士の対決となる。
 ……卒業生中最下位のテオドアとはいえ、あの落ちこぼれのディケイルよりは、成績は数段優秀だった。しかも、後方支援に、同じくトランセンダーのビアンキを置いている。
 ―――ただひとつ、この作戦に憂慮があるとすれば……、そのビアンキがブルーノと繋がっているという疑惑、それだけだ。
 しかし、ミカエルの情報収集能力を以ってしても、その証拠は見つからなかった。――ただの思い違いならいいが……。
 
 ミカエルの前に、広大な風景が現れた。廊下の突き当たりの窓から見える、ジュネーヴの光景だ。朝の強い光を浴び、レマン湖に立つ小波が、キラキラと眩しく輝いている。
 ミカエルは夏の暑さが嫌いだ。だから、高地にありながら、世界経済の重要な拠点を担ってきたここスイスに、その本拠地を構えた。――しかし、短い夏の暑さだけは、どうしても避けられないようだ。
 
 ――しかし、この暑ささえ乗り切れば、ガニメデの凍えきった大地は、ミカエルの手元に戻って来ているだろう。来年の夏には、ガニメデで避暑をするのも悪くない……。


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