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 ……こいつも、自殺志願の同志なのか?
 俺はそいつを眺めた。

 真っ黒な服、というより、マントのようなものを頭からすっぽりと被っている。
 背中には、大きな箱のようなもの。
 ……大きいにも程がある。ほとんど等身大じゃないか。それを、肩に掛けるように背負っている。
 薄汚れた感じのその箱の中には、何が入っているのか。

 そう思った時、それが何であるのか理解した。
 ―――棺桶。
 ……バカな!?マジか?こいつ頭が変に違いない。関わらない方がいい。

 俺は気付かれない様に、そっと距離を開けようと足を出した。しかし、そんな時に限って足元に空き缶が転がっている。カランと音がした拍子に、そいつがこっちを見た。

 その顔を見て、俺は心の底からビビッた。

 そいつの顔は、ガイコツだった。

 でも、目が合っているのは分かる。本来、目があるはずの何も無い穴が、真っ直ぐにこちらを向いている。
 人間、あまりにもビビると、逆に動けなくなるらしい。俺は、金縛りにでも遭ったように、不自然な姿勢のまま固まった。

 「……あれ?もしかして、俺が見えるの?」
 そいつが声を出した。――以外にも、それはあまりに普通の声だった。
「が、が、が、が………!!」
 俺は何か言い返そうとするが、全く言葉にならない。すると、そいつは思い付いたように手を打った。
「あ、そうか。俺の顔にビビッてるわけね。――じゃあ、これならいいだろ」
 そいつは顔に手をやり、――外した。
 ちょ……!!と思ったが、ガイコツの向こうから顔が現れた。――どうやら、お面だったらしい。

 しかし、その顔を見て、俺は更に落ち込んだ。
 ……ジャニーズにでも居そうな、色白の美形。なんでこんな奴が、わざわざ顔を隠す必要があるんだよ!
 世の中、理不尽すぎる!!

 「どうしたの?何かおかしい?」
 そいつが不思議そうな顔で俺に言った。
「……おかしいとかおかしくないとか、そんなんより、……おまえ、何者?」
 この場では、当然すべき質問だと思ったのだが、そいつはもっと不可思議そうな顔をした。
「見て分からない?死神だよ、死神」
「………は?」
「だから、死神なんだってば、し・に・が・み!」
 やはり、頭がおかしいらしい。意味不明の事を言い出した。
 そういえば、さっき独り言でも、死神がどうとか言ってたっけな。

 やっぱり、関わるのはよそう。俺はそいつに背を向けて歩きだした。
 すると、そいつは慌てて、
「おい!待てよ!無視することはねーだろ!」
と俺を肩を引き止めた。
「おまえ、俺が見えるんだよな?てことは……」
 そいつは、俺を顔をまじまじと見ながら言った。

 「まさか、本気で死のうと思ってた?」

 ……心を見透かされたようでドキッとしたが、ここで否定する事でもない。俺は言った。
「俺が生きようが死のうが、おまえには関係ねぇだろ」
 しかし、そいつはギョッとしたように目を見開いて、俺の両肩を掴んだ。
「ちょ!冗談じゃねーぜ!!今さっき冥界に一人運んで行って、やっと戻ってきたばっかなのによ、こんなところでまた一人死人を拾うなんて御免だぜ!!」
 そう言うと、そいつは頭を抱えてヘタり込んだ。

 「……おまえには分からないよな、死神の過酷すぎる労働条件なんて。
 人間界に死人が出ると、浮遊霊になる前に見つけ出して、この棺桶に入れて運ばなきゃならないんだぜ。
 病気や寿命で死んだんなら、勝手に冥界に上がって行ってくれるからいいけどさ、最悪なのは自殺。
 自殺する奴って、だいたいこの世に未練を残してるんだよね。だから、言う事聞かないしさ、酷いとこの世に居座って、恨みのある奴を呪い殺して、また死人を増やす奴まで居るんだよ。
 これ以上、仕事を増やされちゃたまらないから、早いとこ見つけ出してあの世に運んだ方がいいのは分かってるさ。けどよ、一人運んで戻って来たら、もう次の死人が出てるしさ……。
 俺、千年間、休みが無いんだ。特にここ何十年かは、自殺する奴が多くて困るよ。人間なら、とっくに過労死してるぜ……」

 ハァとため息交じりに嘆いているが、そんな事は俺には関係ない。
「知るか!まぁ、少し斬新な説得ではあるけどさ、そんな事で俺の自殺を引き止めようなんて甘いぜ!」
 俺は橋の欄干から身を乗り出した。
「ちょ!ちょっと待てって!!今の話、聞いてなかったのか!?
 今、おまえに死なれると、俺、困るんだ!!」
「だから、おまえの都合なんて関係ねーだろ!俺は死にたいから死ぬんだ!!」
「や、やめろよ!頼むからさ!!」
 そいつは俺の腰にしがみ付いて離さない。
「今、死ぬの止めたら、母さんに頼んで不死身にしてやるから!」
「……余計嫌だ!!」
「昔の奴らは、不死身にしてやるって言うと、喜んだモンだぜ?」
「不死身って言っても、不老不死じゃないんだろ?
 年取って病気になって苦しんで、でも死ねないくらいなら、今のうちに死んでやる!」
「だから、やめろって!!」

 そいつは、力任せに俺の体を引き倒した。
「わっ!!」
 腰を地面に打ち付けて、一瞬、息が止まる。すると、激しい自転車のベルの音が聞こえた。
「ちょっと!あんた!!こんな昼間っから、地面なんかで寝てるんじゃないわよ!!」
 どこかのオバサンが、怒鳴り声を残して自転車でヨロヨロと通り過ぎようとした。

 こういうオバサンって、文句は言っても絶対にブレーキを掛けない。
 自転車の前には、あいつが居る。轢かれるぞ!?

 しかし、俺と同じように道端に座り込んでいるそいつの上を、自転車は何事も無く、スーッと通過した。

 ―――え?
 俺は焦った。しかしそいつは平然とした顔を俺に向けて言った。
「だから、俺は死神なんだって。
 本気で死のうと考えるか、死を目前にした奴にしか、俺は見えないし、触れない。
 これで信じてくれた?」

 そいつは立ち上がり、マントの埃を払うと、俺に手を差し出した。
「いつまでもそんなところで座ってると、車にひかれて死ぬぜ?」
 仕方なく、手を借りて立ち上がる。――手袋をしているからよくは分からないが、言われてみれば確かに、体温を感じない気がする。

 俺は今、死神の前に居る。

 ―――マジか!?

 俺の頭は混乱していた。どういう顔をすればいいのかも分からない。
 そんな俺に向けて、死神はニコリとした。
「どうやら、生きる気になってくれたようだな」
「……い、いや、俺の決意は変わってなんかないんだから!」
「そうだ、折角知り合いになれたんだ、名前を教えてよ」

 ……何だか、嫌にフレンドリーな死神だな。俺はこういう人種が苦手だ。
 しかし、この場は適当に取り繕っておこう。俺は素直に名乗った。
「――天光 聖(あまみつ ひじり)」
「………これまた、随分と神々しい名前だな。間違いなく天国に行けるよ」
「言うな!」
「俺はタナトス。下っ端の死神さ」
 ―――タナトス。ゲームか何かで聞いた事がある。……恐ろしく偏ったキャラで、使いモノにならなかった気がする。

 「よし!決めた!!」
 だが、そんな俺の心境を察する事なく、死神は極めて明るい声で宣言した。

 「俺、おまえに取り憑く事にする。
 そうすれば、おまえが生きている間は仕事をしなくても済む!」


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