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 零の身体から黒い煙が現れ、ハッと構えた次の瞬間には、ハルアキは黒い煙に包まれていた。――取り憑こうとする意思を感じ、ハルアキは九字を切った。
 だが、九字が悪魔に通用した様子は無い。――しかし、煙はハルアキの胸辺りで動きを止め、やがて少し離れた場所で形を為した。
 ……なぜ諦めたのだ?
 考えて思い当った。――零から預かっている、退魔の鏡。其の鏡面が、悪魔を弾いたのだろう。
 
 悪魔はよろよろと立ち上がった。……両手は奪われ、翼を落とされ、黒い皮膚をズタズタに切り裂かれても尚、その目には怒りが渦を巻いていた。
「―――貴様……!!」
 赤く燃える目をハルアキに向け、悪魔は唸り声を上げた。
 
 しかし、その視線は白い衣に遮られた。
 見ると、零の姿は消え、代わりに天乙貴人が其の秀麗な姿を現していた。
「……悪魔が逃げぬ様、結界を張ってあるとは。そなたにしては上出来ぞ」
 天乙貴人がハルアキにチラリと目を向けた。
「式神ごときが、拙者を褒めるとは千年早いわ」
「誰も褒めてなどおらぬ。此の儘逃げてくれれば手間が省けたものを、此れでは滅却せねば済まぬでは無いか」
 憎まれ口を叩きながら、天乙貴人は剣を振った。
 刃は悪魔の身体を真二つに斬り裂き、悪魔は床に崩れ落ちた。
 ――しかし、死んだ様子は無い。ギリギリと歯を鳴らしながら、それぞれの目で天乙貴人とハルアキを睨んだ。
「……しぶとい奴だ。一体どの様にすれば死ぬのだ?」
「悪魔は滅せねば死なぬ。早く燃やすのじゃ」
「貴様の指図など受けぬ!」
 天乙貴人はハルアキをギロリと睨んだ後、剣を頭上に掲げた。――すると、剣に黄金色の焔が立ち上った。
 剣を持ち変え、其の切先を下に向ける。そして、天乙貴人は其れを悪魔に突き立てた。
 
 「ぐうわああああ!!!」
 悪魔が凄まじい絶鳴を上げた。焔が悪魔を包み込み、その身体を飲み込んでいく。
 形を為せなくなった悪魔は、煙と化すが、焔からは逃れられない。
 ――やがて、其の煙の一片さえも焼き尽くすと、焔は消えた。
 
 
 
 「―――しかし、本当に此れで良かったのですか?」
 気付けば、天乙貴人は姿を消し、零が壁を向いて立っていた。
「何がじゃ?」
 ハルアキが言うと、零は目だけをこちらに向けた。
「貴方は、契約を破り、悪魔を殺した。――此れは、『陰』の秩序を乱した事になりませんかね?」
「そもそも、悪魔などが人の世に出ようとするのが間違っているのじゃ。そなたも申したではないか。あの魔術書は悪魔の罠だと」
「しかし、契約は契約。――秩序を何よりも重んじる『太乙』様が、其れをお許しになれば宜しいですけどね」
 零が目を細めた。――其の眼を見て、ハルアキはゾッとした。
 
 ………闇の様に光の無い黒い瞳は、森羅万象全てを見通しているかの様に見えた。
 
 以前、――千年近く前にも、この目を見た事がある。
 其れは、闇を支配する者、十二月将の長、――太乙と同じ色をしていた。
 
 「……しかし、貴方は禁忌を犯した罰を、既に受けている」
「――何じゃ?」
「不老不死、其れ自体が罰です。
 貴方は、其れ以上、成長する事も出来ない。此れから何千年も、力の無い子供の儘で生きて行くのです」
「…………」
 これにはハルアキも反論のしようが無かった。――自覚はしていた。悪魔を呼び出す時期を誤ったと。せめて、一人前に成長してからやるべきだった……。
 
 「――そもそも、なぜ、転生をしてまで、千年も生き永らえようと思ったのですか?」
 零が振り返った。――其の目は、普段通りの色に戻っていた。
「……死にたくなかったからじゃ。其れ以外に何の理由があろう?」
 ハルアキは視線を外した。
 ―――まさか、千年もの間、一人の人物を探していたなどとは、口が裂けても言えない。
 
 しばらく不審そうな目を送っていたが、諦めた様子で零は部屋を出ようとした。……が、身体が痛むのか、呻き声を上げてその場に蹲った。
 あれだけ無茶な事をしたのだ。当然の事だ。
「―――少し、疲れました。私は此処で休みます。……部屋の片付けは、ご自分で……」
 零は其れだけ言うと、床に横たわった。
「おい――!!」
 こんな処で寝られても困ると抗議しようとしたが、其の儘意識を失ってしまった様だ。
 
 「………困った」
 さすがに、放って置く事も出来ない。何とか長椅子までは運ぼうかと、取り敢えず扉を開ける。――が、目の前に桜子が眠っているのを見て、ハルアキはため息をついた。そう言えば、此処にも寝かせている人物が居た。
 ハルアキは式神の術を解いた。――だが、桜子は眠った儘だ。
 二人もの大の大人を、子供の拙者がどうしろと云うのだ!
 ハルアキは頭を掻き混ぜた。
 
 
 
 ―――目が覚めると、桜子は長椅子に横になっていた。
「……あれ……?」
 ――何で眠ってしまったのだろう?確か、ハルアキの部屋に入って、壺から煙が出て来て……。
 ―――ヤダ!まさか、あの壺、浦島太郎に出て来る玉手箱じゃないでしょうね?煙を浴びたらお婆さんになってました、なんてオチ、嫌よ!絶対に嫌よ!!
 桜子は慌てて飛び起き、洗面台に向かった。そして、鏡を覗き込んでみる。
 ……が、顔は何時も通り。手を枕にして寝ていたから、頬に指の跡が残っている位だ。
 
 ―――だけど、何でまた眠ってしまったのかしら?それに、あの部屋に居た筈なのに……。
 桜子は、書斎への扉に目を向けた。――何時も通り、きちんと閉まっている。
 
 しかし、気になって、桜子は其の扉をそっと押してみた。
 ――すると、何時も通り整然と並んだ本棚の間で、零とハルアキが、並んで眠っていた。
 何処から持って来たのか、一枚の毛布に二人仲良く包まって……。
 
 ―――って、何でこんな処で寝てるのよ!?
 
 しかし、零に身を寄せて穏やかな寝顔を見せているハルアキを見ていると、起こす気にもなれなかった。
 ……仕方が無いわね。風邪引かない様に、大家さんから布団を借りて来てあげる。
 それを毛布の上からそっと掛け、桜子は書斎を出た。
 
 ――気付けば、夕刻。夕焼けに染まった路地裏には、家路を急ぐ子供たちの声が響いていた。
「……じゃ、私も帰ろうかな」
 桜子は片付けをして、事務所を出た。
 
 階段を降りながら、桜子は思った。
 ―――今日、掃除しかしていない気がする。
 こんな風で、よくこの探偵社はやっていけるわね?
 桜子は階段の下から事務所の看板を見上げた。――やっぱり、全然目立たない。もう少し、大きな看板にすべきだわ。
 
 視線を感じて、見ると、金色の目がふたつ、桜子を見上げていた。――猫だ。
 この三カ月で、やっとこの猫も桜子に慣れて来た。……だが、自由奔放で、ろくに事務所には姿を見せない。一体、何処で何をしているのやら……。
 桜子は屈み込んで猫の頭を撫でた。
「今日は、何をして遊んでたの?―――今日も、犬神心霊探偵社は平和だったわよ」
 
 
第弐話 完
 
 
>> あとがき
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