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 ―――零が目を開くと、其処は何処とも分からぬ場所だった。
 荒れ果て、枯れた木立と草に囲まれた場所。……地獄への通り道と言われれば、素直に納得できそうな光景だった。
 零は固い土の上に伏せていた。――身体が痛い。身を起こそうとするが、何者かに押さえ付けられている様で、動けなかった。
 そればかりか、零が動こうとするのを察して、押さえ付ける力がぐいと強まった。――息が詰まる。
 何とか状況を把握しようと、周囲を見渡す。――そして、声が聞こえるのに気が付いた。
 少し離れて立つ、白い衣を纏い黄金の剣を持つ人物が、誰かと会話をしている。……その視線が、零の背後を向いている事に気付いて、零は納得した。
 この人物は、零の背を踏み付けている何者かと会話をしている。聞けば、背中の方からも声がする。――この声には聞き覚えがあった。……低く、唸るような声。――悪魔だ。
 という事は、この白い衣の人物が、式神――天乙貴人。
 
 そして、この場は、零の意識の中。
 
 ――何故、此の様に殺伐とした風景の中なのか。……己の心境を表しているとでも云うのか。
 しかし、そんな事よりも……。
 零は、何とか悪魔の足から逃れようと身体を動かすが、悪魔は其れを許さない。更に力を加えられ、背骨が悲鳴を上げる。――下手に動かない方が良い。零は諦め、力を抜いた。
 すると、悪魔が言った。
「そうだ。大人しくしていればいい。――今、大事な話をしている」
 息苦しさに冷や汗が吹き出て来たが、零は様子を伺いつつ、耳を澄ませる事にした。
 
 零の少し先で、天乙貴人が言った。
「―――で、取引とは?」
「俺がこの男を乗っ取る。そして、あの小僧の魂を頂く。
 ……そうすれば、あんたも、使役の呪縛から解放されるだろう?悪い話じゃあ無い筈だ」
 そう言いながら、悪魔が零の背中をジリジリと踏みにじった。その苦痛に呻き声が漏れる。
 天乙貴人は零に視線を向けた。――余りに容姿が清秀であるが、それ故に、氷の様に冷たい眼差しが刺す様だ。
「……確かに、悪い話では無い。其の内、隙を見てあやつを斬るつもりではあった」
「そうか。じゃあ、話は決まったな。早速、こいつを……」
 悪魔は足を除け、零の首筋に爪を突き立てようと構えた。――抵抗したいが、身体が動かない。動く方の腕を膝でがっちりと押さえ込まれ、自由が利かない。
 
 しかし、鋭い爪先が零の肌を傷付ける前に、天乙貴人が声を上げた。
「……事を為した後、其の者は如何するのだ?」
「用は無い。ついでに命を頂く」
「………其れはどうかな」
 天乙貴人は冷淡な目を悪魔に向け、腕組みをした。
「此の者が、太乙の器である事は、知らぬ訳では無かろう」
 ――「太乙」の名を聞くと、悪魔はギョッとした様に動きを止めた。
「お主、意識の中であるから、完全な姿を保って居れるが、現世に戻れば、そうはいくまい?だから、人の身体を器とせねば動けぬ。――此の者を器とする事を、太乙が許すと思うか?」
「ゆ、許すも許さないも、やってしまえばこちらのものだ!」
「そうかな?では、やってみるが良い。――太乙が黙って見て居るとは思えぬが。
 これは、お主への忠告じゃ」
 天乙貴人の言葉にゴクリと喉を鳴らし、悪魔は爪を納めた。
 
 そして、しばらく考えている様子だったが、やがてククク……と笑いを漏らした。
「――分かった。ならば、あの小僧をあんた自身が片付けるというのはどうだ?十二天将のあんたなら、こいつを使っても問題はあるまい?
 ……むしろ、そうしたかったから、太乙の名を出して、俺を脅したのか?そうだろう」
 悪魔が言うと、天乙貴人がニッと笑った。
「……あの者は、この手で斬らねば気が済まぬ。――良いだろう。その申し出、受けよう」
 
 其の言葉を聞いて、零は焦った。
 ―――とんでもない展開になった。
 天乙貴人が晴明に対して不穏な意思を持っている事は、以前降ろされた時に感じていた。
 零はとある事情から、自分の身に降りた憑き物を自らの意思で制御できる。だから、人間でありながら式神の器となる事が可能なのだが……
 いざ、十二天将の長たる天乙貴人が本気を出したら、零に止める事は出来るだろうか?そして、天乙貴人を払ったところで、残った悪魔に支配されたら、……制御は不可能になるだろう。
 意識を乗っ取られる前に、何とかしなければ……。
 
 零は腕を伸ばした。
「お、お待ちください、天乙様……」
 しかし、天乙貴人は黄金の剣先を零に向けた。
「そなたに口出しする権利など無い」
「そうでしょうか?……あの方は私の依頼人です。依頼人を守る事が、探偵の仕事……ぐわっ」
 悪魔が再び背中を踏み付けた。一瞬、意識が遠のく。しかし、何とか気を保って続けた。
「……自分の為すべき事をせぬは、畜生以下の行いだと思っています。目の前に守るべき命があるのに見過ごす事は、主義に反しますのでね」
 悪魔がまた踏みつけようと、一瞬足を上げた。――その瞬間を見逃さず、零は身体を転がした。そして、振り返りざまに悪魔の足を蹴り払った。
 片足を浮かしていた悪魔は、軸足を払われ、呆気なく腰から地面に落ちた。
 
 その隙に零は立ち上がり、悪魔の手を再び蹴った。其の手に握られていた妖刀・小丸がくるくると回転しながら宙を飛び、零の手に納まる。
 動かせぬ右腕の脇に挟んで、鞘から抜き放つ。――紫色の光を放つ切先を悪魔に向けると、だが悪魔は不敵な笑いを見せた。
「人間には俺は斬れん。無駄な足掻きだ」
「それはどうでしょう?確かに、人間の私ではあなたは斬れません。
 しかし、此処は精神世界。同じ次元でなら、分かりませんよ?」
 零は刃を振った。すると、悪魔は慌てて飛び退いた。――切先が悪魔の腕を掠め、其処から黒い血が噴き出す。
 悪魔は顔を強張らせ、赤い目に動揺の色を浮かべた。
 零は再び妖刀を振った。――今度は悪魔の胸を狙う。しかし、慣れぬ左手。焦点が定まらず、刃は空を斬った。
 
 ……その瞬間、悪魔が煙と化した。其れは瞬時に零の背後に回って再び姿を為し、零の右腕を捕まえ、背後へ捻じ曲げた。
 傷を負った腕を押さえられては、為す術も無い。痛みに悲鳴を上げて悪魔に屈するしか無かった。
「――だから、無駄な足掻きだと言ったものを」
 悪魔はクククと笑い、鋭い爪を零の喉元に当てた。
「もう、貴様の意識などに用は無い。必要なのは器のみだ。
 ……よくよく考えれば、早くそうしておけば、太乙など怖くも無かったのだ。呼び出す術師が居なければ、式神など何の力も無い」
「ならば、其の様な無駄口を叩いている暇に、其の者を殺しておくべきだったな」
 
 其の声に、悪魔はハッと振り向くが、時既に遅かった。
 背中をザクリと斬られ、悪魔は零を離して地面に転がった。
 
 ――腕を押さえながら零が顔を上げると、其処には黄金の剣を構えた天乙貴人が立っていた。
「……悪魔などとの取引に応じると思っておったのか、馬鹿め」
「―――き、貴様……!!」
 悪魔は目に怒りの色を浮かべるが、天乙貴人は容赦なく剣を振う。其の切先は、今度は悪魔の胸を貫いた。
「十二天将の長であるこの私が、貴様などの浅はかな誘惑に乗る筈が無かろう。
 ――其れに、此の者を殺されては困るのだ。……私を式神として受け容れられるのは、此の者しか居らぬ故」
 天乙貴人はチラリと零に目を向けた。
「あの男を殺す為には、此の者が必要なのだ」
「だ、だから、今殺そうと……」
 悪魔は剣から逃れようと身体を動かすが、天乙貴人は其の足に剣先を突き立てた。
「悪魔の誘惑に乗ると云うのを、余の矜持が許さぬのじゃ。
 ――式神として、己の為すべき事をせずして、畜生以下だと思われては堪らぬ」
 そう言って、天乙貴人は零に再び冷たい目線を投げた。――まぁ、素直ではないが、心変わりしてくれた事は、零にとってこの上無く在り難い。
 
 「………しかし、そなた、なぜ太乙を呼ばなかった?」
 天乙貴人が訝しげな顔をする。
「――太乙様を呼んでしまったら、貴方様の立場が無いでしょう」
 ……いや、実際のところ、晴明に悟られたくなかっただけだが……。
 そう答えると、天乙貴人はフンと鼻を鳴らした。
「まぁ良い。――一気に片付けるぞ。そなたも来い」
 言われて、零も刀を構えた。
「――悪魔よ。其の魂、滅却致す」
 
 其れからは、天乙貴人の攻勢一方だった。悪魔はズタズタに斬り裂かれ、其れでも諦めずに逃げ惑う。
 逃げる悪魔に、零は護符を投げた。
 護符に取り囲まれ、動きを封じられた悪魔は為す術も無い。天乙貴人が一閃、護符ごと悪魔を真二つに斬った。
 
 ………しかしその瞬間、護符の僅かな隙間から、黒い煙が飛び出した。――しまった!と思った刹那には、零を突き飛ばして、煙は上空へ消え去った。
「まずい!外に出たぞ!」
 天乙貴人が零を見た。
「そなたの身を借りる。良いな?」
 そして、返答をする間も無く、零の意識は眩い光に包まれた。
 

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 あまりにもgdgdの為、UPが遅くなりました(汗
 もう、ごめんなさいとしか言いようがありません。バトル的な話は苦手だあああ。
 しかし、最後までは書きます。
 ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい
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